
昨年のクリスマスパーティーの帰りの電車内のこと。独りの行動は自分のリズムで出来るので、ゆっくりの足取りで電車内の椅子に座ることが出来た。乗り換えてから55分程度だが、遊び疲れているので座れたのが有り難い。さよならの意味を込めて、毎度窓から見えるスカイツリーを眺める。ところが今回はスカイツリーを見るのを忘れていた。気づいた時には、東京を離れ千葉県に入っていた。目を閉じ、今日のパーティーを振り返っていた。華やかな女性客が36名、スタッフ11名。大変な盛り上がりだった。大満足の一日であった。
目を閉じていた。脳内はぼやけていて眠気が出ているようだ。ゆらゆらと心身が解ける。「カチカチカチ、カチカチカチカチ」
なんの音だろう? そして、何処から聞こえてきているのか? ぼやけた脳は少しずつ覚醒する。
「カチカチカチカチカチ」
右隣の人物が音を立てていた。ペンシュルのような形のカウンターペンというのだろうか? その右手の動きが目の端に見えた。新聞記事のようなものを張り付けたノートの、文字数をカウントしているらしい。
長い時間音を立てていたのだから、仕事の一端かもしれない。どんな仕事なのだろう?
新聞記者かもしれない。何かの研究者かしら? 私の数少ない経験からは得られない職業があって、とても大事なことを移動時間さえ惜しんでしているのかもしれない。
横目で盗み見ると、黄や黄緑で塗りつぶした行を数えては黒い線を引いている。様々な記事は次の頁にもあって、次々と作業を続けていた。
「カチカチカチ、カチカチカチカチ」
そうしているうちに、降りる駅に着いた。
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