以前、『サイエンスカフェ』というものを取材したことがある。
これは一般の喫茶店などのテーブルに集い、
一線で活躍する科学者を囲んで
話を聴きながらお茶をするものだ。
バリバリ文系の僕も『世間話』的な感覚で、
普段聴けない核心的な話を知ることができ楽しかった。
講演会やシンポジウムと違い、
素人でも素朴な疑問をぶつけ易いのだ。
また、割と各地で行われていることに驚いた。
〜さて、倉敷でラジオのパーソナリティーを永年務め、
最近はテレビのコメンテーターとしても活躍する
画家で僧侶の天野こうゆうさんが
地元で『仏教カフェ』を行い好評だ。
僕もその様子を聞かせていただいたが、
仏事に関わる言葉の意味や『戒律』の捉え方、
『瞑想』の方法の宗派による違いなど
興味深いものだった。
実はこれまでも法話会やライブは行ってきたのだが
『カフェ』形式にしたら全国から反響が増えたのだという。
さて。
先週の僕は報道番組の審議会にでたり、
小沢さんの判決公判の傍聴レポートをしたりと
自分の頭の中に
ドリフの場面転換の音楽(わかるかな)が鳴り響いていた。
特に
小沢判決レポートで思ったのは
『難しい話を簡単に話すのは難しい』ということだ。
その意味で
『サイエンスカフェ』や『仏教カフェ』での
科学者や僧侶の話す技術は素晴らしいと思う。
以前取材した医師は
「医学知識の全くない患者さんに
わかりやすく話すのも
プロの技術のうちです」と話されていた。
また、ラジオにおいて理想的なのは
出演者やリポーターやコメンテーターが
互いの姿が見えなくとも
『同じテーブルを囲む感覚』で
番組をすすめることだと思う。
『カフェ』形式に人気が集まるのは
聴くかたがたの
『もっと現場の話を、当事者の本音を、
同じ目の高さで、
わかるまで話して欲しい』という希望があるからではないだろうか。
今度ニュース解説やレポートでマイクに向かう際には
そこを大切にしようと
改めて思った。