石森則和のSEA SIDE RADIO

ラジオマンの
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玉音放送の前に、日本人に終戦をつげたラジオ番組が存在する。その実音をオンエア。文化放送『封印された真実〜軍属ラジオ』

2020-08-14 | Weblog

『軍属ラジオ』の取材は半年前には難航していた。コロナ禍で高齢の取材対象には思うように会えず日米の公的施設も閉鎖、さらに緊急事態宣言で外での取材もままならなくなっていった。

そんなとき、連絡を取り合っていた米国立公文書館のキャロルさんからメールが届いた。

『ノリカズ、あなた方の探している音声資料には、コロナの影響で私たち職員でさえもアクセスできない状況にある。しかし、おそらくあなたが興味を持ちそうな音源があったから送るよ。1945814日の降伏放送だ』

ありがたいと思ったが、少し落胆した。

『降伏放送』とはおそらく『玉音放送』のことだろう。

それならフルバージョンが文化放送にはある。ただ『玉音放送を探して』という特番(15日午前11時放送)も制作中だし、アメリカで保存されていたならバージョン違いの可能性もある。スタッフや上司とも相談して失礼ながら一応頂くことにした。本当はもっと欲しい音が他にもあった。

公文書館から届いた音声を再生すると、まず英語が流れた。ん?これは?

さらに多言語で同内容がながれ、日本語に切り替わる。

 

なにこれ‥‥。

 

文化放送「軍属ラジオ」(15日土夕6)では極めて貴重な音源を放送する。

 

日本人が終戦を知ったのは、玉音放送を聴いた時だと思っているかたが多い。

しかし、実際にはその3時間ほど前に日本語で降伏の手続きが進んでいることや、間もなく玉音放送で語られることが日本語で放送されていた。

放送したのは『VOA』。プロパガンダ放送を行なってきた国営の国際放送Voice of Americaだ。

文化放送は、その実音を取材を通じてアメリカの国立公文書館から入手、15日の特番でオンエアする。

 

1945810日、

日本は昭和天皇の御聖断によりポツダム宣言の受諾を決定、814日の2度目の御聖断で、日本はポツダム宣言の受諾を最終決定する。

日本からポツダム宣言受諾の通告を受けたアメリカのトルーマン大統領は、日本時間の815日午前7時から日本の降伏を発表。

一方、Voice of America は英語、日本語や各国の言葉で事実関係を放送、昭和天皇が降伏メッセージを発する玉音放送を正午から放送すると伝えた。

我々文化放送の軍属ラジオ取材班は、この放送の実際の音声をフルで入手した。

残念ながら声の主であるアナウンサーが誰かは突き止められなかったが、日本にプロパガンダ放送を通じて国体を護持した上での無条件降伏を呼びかけたエリス-ザカライアス 大佐の声に酷似しているがどうだろう。

今回、取材するなかで、日本の防遏放送(ジャミング)が及ばなかったアメリカのプロパガンダ放送を耳にし、それによって終戦を知った日本人も一定数いたことがわかっており、それを裏付けた形だ。

日米のラジオを通じたプロパガンダ合戦では、

日本が虚偽の内容や、故郷に残してきた恋人が別の男に奪われるぞといった脅し、ノイズによる防遏放送をしたのに対し、アメリカは防遏放送は行わず、敗色濃厚の事実を直接国民に伝える手法をとった。その象徴的な放送とも言える。

一方、番組ではサイパンから日本に向けて放送されたプロパガンダ放送の台本を早稲田大学名誉教授の山本武利さんから貸与され、それをもとに当時の番組を再現する。

サイパンからの番組はブラックラジオと呼ばれる発信元を明らかにしないプロパガンダラジオで、日本の有志により作られたラジオ局から放送しているという架空の設定でオンエアされたものだ。

しかし実際にはアメリカが制作プロダクションまで立ち上げて制作していた。

さらにこれに、太平洋放送研究会理事の川崎隆章さんのアドバイスや、元共同通信の柿沼英晴さんの証言、冷戦時代に各国から実際に放送された音源を参考に再現した防遏放送=ジャミングをぶつける。

取材のきっかけは去年文化放送報道スポーツセンターが制作した『戦争はあった』の中で、吉田涙子記者が取材した隠蔽放送局だった。

埼玉県川口市にある文化放送の送信所の地下には、今もアメリカのプロパガンダ放送を防遏するための隠蔽放送局が埋まっている。

当時は日本放送協会の所有であり、当時の技術者の証言で存在が判明し、発掘調査も行われた。

番組ではNHK OBで発掘にも立ち会った柿沼久さんに現場までご同行いただき、詳細についてインタビューさせていただいた。

心に直接届くラジオは災害時には命を守り、

平時には孤独を癒す。

しかし、それだけに

心を直撃する兵器として使われた時代があった。

 

民間放送は戦後に生まれたが

ラジオ局で働くものとして

直視し、心に刻みたい。

 


特別番組『文化放送戦後75年スペシャル 封印された真実~軍属ラジオ』

2020-08-01 | Weblog

特別番組『文化放送戦後75年スペシャル 封印された真実~軍属ラジオ』
シリーズ企画『封印された真実』の2作目。

文化放送の川口送信所は昭和3年に日本放送協会のラジオ送信所として設立され
戦後、文化放送に売却された歴史がある。


後年、この施設の地下に「隠ぺい放送局」が作られていたことが、当時の職員の証言から判明した。

1945年に秘密裏に作られた「隠ぺい放送局」の目的は、アメリカが日本に対して行っていた「プロパガンダ・ラジオ番組」を国民に聞かせないよう、放送を妨害(ジャミング)することであった。

当時、アメリカは日本に対し、また日本はアメリカに対し「敵国の国民や兵士の心に、直接影響を及ぼす作戦」として互いにプロパガンダ放送をオンエアしていた。

今では災害時などに人の命を救う放送をするラジオだが、戦時中は「兵器化」していたことになる。
また、その効果を重要視していたからこそ、ジャミングも行われた。

番組では「日本放送協会のOB」や「プロパガンダ放送の研究者」らに取材、アメリカの国立公文書館、在日米海軍などにも協力を求め、『ラジオを使った情報戦』の真実に迫る。

取材の過程で発見された、終戦直前にアメリカから日本に向けて放送されたプロパガンダラジオの音声や、各国におけるジャミングの実際の音もオンエアする。

また、アメリカが日本に向けて放送したプロパガンダ放送(中波による第一回放送)の貴重な原稿を入手、これをもとにした当時の放送を再現する。また、当時と同様の手法で妨害放送の再現を試みる。

戦時におけるラジオ放送はメディアとして、本来の使命と真逆の役割を担った。
そうした「負の事実」と向き合いながら戦後75年の今、封印された真実を解き明かしていく。

パーソナリティは、アメリカ人の詩人アーサー・ビナード氏。放送は8月15日、夕方6時から