ODORAMOX!

BABA庵から  釣り糸なんぞが ごちゃごちゃ こんがらかった状態を ここでは「オドラモクス」と言う。

バガヴァッド・ギーター から

2014-09-10 07:15:34 | 引用
第4章の22

無理なく入ってくるもので満足し
我・他・彼・此(あれこれ)を比較して悩み羨むことなく
成功にも失敗にも心を動かさぬ者は
どんな仕事をしても束縛されない

  脚注: 相対二元性を超越する
  ( )はふりがな


田中嫺玉訳(株式会社TAO Lab)


次は 岩波文庫(上村勝彦訳)
たまたま得たものに満足し、
相対的なものを超え、
妬み(不満)を離れ、
成功と不成功を平等(同一)に見る人は、
行為をしても束縛されない。

(読点のあと改行はない)

 翻訳でしか読めない古典は、複数の訳を参照するのがいいと思っている。



こんな詩

2014-04-25 16:08:21 | 引用
島の「やまんばハウス」は火曜日と金曜日の12-13時だけ営業のレストラン。
とくに火曜日の焼き立てパンLunchは好評で、予約しないと入れないことが多い。

さりげなく飾られている詩にも、気もちが和らぐ。

きのうの詩:(渡部耕治さん作)


 自信が足りなくて
   謙虚になれない
 頭が高い月の満ち欠け
  どの道
    この道
     散歩道


「ごちそうさん」から

2014-03-26 12:44:35 | 引用
視聴率が高いと報道されていてうれしい。
「あまちゃん」は見なかったけど「ごちそうさん」は全部見てきた。

次男の戦死公報を受け取ったことを長男に告げる場面。
どう暮らしていたか聞かれて「畑をしながらずっと考えていた」と答える主人公。

「畑てなぁ世の中とおなじなんよ。
 ふつうに手入れしていても、“なんで?”ということが起こるんよ。
 お母ちゃんの世話なんか、大きいとこでは関係ないんや。
 無力やなぁ……って。
 そやけど、そなどないしたらよかったんやろうって……
 どないしたらこんなふうにならんかったのやろ、と、
 そればっかり考えてた。」
「答えはでた?」
「笑われても怒られても恥ずかしくても、言わなあかんことは言わなあかん。
 おかしい思ぅたら言わなあかん。
 それが無力な大人の責任や。
 偉い人は、それを言わせなあかん。
 山のように言わせて聞く耳を持たなあかん」

そのどちらもが抜けていたことが、戦争へ、
子どもを戦死させることになってしまったとつぶやく。
(聞き書きなので不正確です)


己がなり得るものに

2013-10-05 16:13:48 | 引用
 政治家には意外と哲学者がいるものだ。

 1961年にコンゴで飛行機事故(?)で命を落とした国連事務総長、
ダグ・ハマーショルドDag Hammarskjold『道しるべ』(みすず書房)鵜飼信成訳
死後に日記を編集されたホンダが、若かったであろうときの記述:

「ほかの人たちよりすぐれているでしょうか?」
ときには彼は語る、「いかも、ほかの人たちよりはすぐれている。」
しかし、こう語るばあいのほうが多い。
「なぜ、そうでなければならないのか。
 おまえは、おまえのなりうる者になっているか、
 それとも---ほかの人たちと同様に---おまえのなりうる者になっていないか、
 いずれかなのだ。」

 総理大臣も務めた父親のことばかもしれない。
「おまえのなりうる者になっているか?」
 地位とかの話ではないだろう。

 能力が優れているかどうかを悩むのではなく、
もっている能力を働かせなさいということ。
そして、能力というのは使ってこそ磨かれ、より向上していくもの。

ちなみに、本の冒頭に引用されたことばは、スウェーデンの詩人ペルティル・マルンベルク
「抹消する手だけが 正しいことばを書くことができる」

学問は

2013-09-07 21:58:54 | 引用
読書室にしている島の喫茶店、店主さんの蔵書かと思ったら「お客さんが手にしそうな本を集めたんです」という。
きょうは、米原万里『他諺の空似』(たげんのそらに)。
ロシア語通訳で活躍した人だけど、書名でわかるように、彼女のどの本も半端じゃなくおもしろく、
『ガセネッタ・シモネッタ』とか『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』とか、たくさん読んできた。
きょうのは世界の諺を話題に、イラク戦争ほか鋭すぎる批判をくりひろげている本。

「少年老い易く、学成り難し」の話題から:
モスクワ国立大学創始者のロモノソフの詩に、
「学問は若者を養い、老人に喜びをもたらす」というのがあって、
それは、キケロの「詩人アルキュースの弁護」の次のくだりからひいたものだそうだ。

「この営みは、若者には糧を、老人には喜びをもたらす。
 順境においては、それをさらに引き立て、逆境においては逃げ場ともなぐさみとも、
 また家庭においては娯楽にもなってくれる。
 公の場では邪魔にならず、
 ともに夜を過ごし、
 旅の道連れとなり、
 ともに田舎に引きこもってもくれるのだ。」


さらに米原万里の感想:
「少年易老 学難成」は「命短し、恋せよ乙女」とそっくりの、
脅迫的な趣きがあるのに対し、ロモノソフのことばは、意欲をかきたてる…

よそ様の本棚から:マルクス・アウレリウスの『自省録』2

2013-03-24 14:10:27 | 引用
● 君の肉体がこの人生にへこたれないのに魂のほうがへこたれるのは恥ずかしいことだ。

● もうろくしはじめると呼吸・消化・思考・衝動など機能は失われないが、
   自分自身をうまく用いること、
   義務のひとつひとつを明確に弁別すること、
   現象を分析すること、
   人生を去るべき時の判断--
 推理力を必要とする事柄の処理能力は、真っ先に消耗する。

● ランプの光は、それが消えるまでは輝き、その明るさを失わないが、
 それなのに君の内なる真理と正義と節制とは、君よりも先に消えてなくなってしまうのだろうか。

以上、歳をとってきたときのメモから。

よそ様の本棚から:マルクス・アウレリウスの『自省録』1

2013-03-16 10:09:02 | 引用
歴史の授業で「ローマの5賢帝」は習ったけれども、
どんなふうに「賢い」のかは習わなかった。
そのひとりマルクス・アウレリウスは
プラトーンは哲学者の手に政治をゆだねることをもって理想としたが、
この理想が歴史上ただ一回実現した例がある。

という皇帝だという、その人が書きとめたことばを自身で編纂した書から。

● 自然によることに悪いことはひとつもない
● 人間の魂が自己を損なうとき
  ・ 自分にできる範囲において宇宙の膿や腫瘍のようなものになる場合
  ・ ある人間に対して嫌悪の念をいだいたり、相手を傷つけようとはむかっていくとき
  ・ 快楽/苦痛にうちまかされたとき
  ・ 行動や衝動…目的に向けずなんでもかまわず力を注ぐ…


<理性的動物の目的→宇宙の摂理に従うこと>
「自然」ということばが多く出てくる。


「自省」だから、こんなメモもある。
明け方に起きにくいときには、つぎの思いを念頭に用意しておくがよい。
「人間のつとめを果たすために私は起きるのだ」
自分という人間は夜具の中にもぐりこんで身を温めているために創られたのか
物事を受け身に経験するために生まれたのか、それとも行動するために生まれたのか
小さな草木や小鳥やアリやクモや蜜蜂までがおのがつとめにいそしみ、
それぞれ自己の分を果たして宇宙の秩序を形作っているのを見ないのか

東アジアの日本

2012-11-24 13:13:58 | 引用
『東アジアのアイデンティティ 日中韓はここが違う』 を読了。
2004年出版の『漢字文化の回路――東アジアとは何か』の普及版なので再読だが、
ほんとに前に読んだのかと思うほど新鮮。たぶん自分が変わったのだろう。

著者の李相哲は「私は中国に生まれ、中国で大学まで進学したが、中国人ではない。両親は二人とも朝鮮半島東南部の慶尚北道出身で一九三〇年代に中国にわたっているから、民族のルーツを辿れば韓民族である。しかし、韓国人ではない。韓国に住んだこともなければ、そこに戸籍があるわけでもない。日本国籍をもっているが、日本人でもない」「心のなかでは秘かに自分は三〇〇%の人間だと思っている。三つの国がすべてプラスになって付け加わっているからだ」とあとがきに述べている。

参考文献は日本語文献が約120冊、中国語文献が約75冊、韓国語文献が約35冊。

日本の古典に魅かれる意味をあらためて自覚した。

こんな学者の講義を受けられる龍谷大学の学生は幸せだ。

良い習慣は才能を超える

2012-08-06 09:45:04 | 引用
帚木蓬生(Hahakigi Housei)『日御子 ひみこ』を読みました。
紀元2-3世紀の北九州が舞台で、朝鮮半島・大陸との往来を担った通訳の家が主人公の小説です。
Amazonのカスタマーレビューで絶賛されていますが、
著者はフランス文学科を卒業してTBSに勤めた後、医学の道に進んだ現役の精神科医です。

物語で、祖父母が孫へ、親が子へ、経験してきた歴史を語り、教訓を伝えていきます。
銘や、尊敬する人と日々を過ごせるほどの幸せはない。草木が湿潤で緑を増すように、人の心も豊かになる。知らず知らずに魂が成長する。」(450ページ)

通訳の家系に継がれていく三つの教えの最後は

良い習慣は才能を超える

というものです。

「努力」ではなく「良い習慣」というところに惹きつけられました。

核家族を良しとして「良い習慣」を断ち切られた時代に育った、才能ある人たちが、
いまの政治家や官僚ではないでしょうか。
科学の進歩を追うことを御旗に、「後始末」を考えないで原子力発電を進めるような愚かなことは、
もし、家事をしっかりしつけられていれば、しないでしょう。

ほかの二つの教えは「人を裏切らない」「人を恨まず、戦いを挑まない」です。
逆のことばかりが、良い習慣を身につけられなかった<才能ある人たち>によって推進されています。



政治家と夢

2010-12-07 17:41:40 | 引用
前記事の『それでも、日本人は戦争を選んだ』の「はじめに」から:

・・・国民の正当な要求を実現しうるシステムが機能不全に陥ると、国民に、本来い見てはならない夢を疑似的に見せることで国民の支持を獲得しようとする政治勢力が笑われないとも限らない・・・

大岡昇平も・・・歴史は単純にはくりかえさない、「この道はいつか来た道」と考えること自体、敗北主義なのだと大胆なことを述べています。