夕食後にインターホーンが鳴って出てみると、裏のバカブスガフフ(犬)の飼い主T田を含めた女四人が門前に立っていた。
「回収車が残して行く瓶が増えて、整理当番に参加して頂けるかどうか、お願いに回ってます」
とT田が、手にした一枚の紙をひらひらさせた。
「焼肉のタレの瓶やイイチコの1升瓶や栄養ドリンクの瓶が、洗わないで金属のキャップしたまま出てるから、残して行かれるんです。私ら交代で引き取って、洗って分別して次の回収日に出してるんですけどね-----。当番制にして、やって頂けないかと……」
「汚れたまま出してる人を見つけて注意した方が早いですやん」
「汚れたまま出してませんか、とは訊けませんでしょう」
「なんで訊けないんですか?」
「え? 常識のモンダイですから」
「瓶置き場の電柱に書いて貼っといたらよろしいねん」
「ダレが貼るかが問題なんです」
「貼るぐらい、私しますよ」
「無闇に貼り紙したらあきませんねん」
「無闇やないでしょう。空き瓶の正しい出し方書くのは……」
「常識問題ですから」
なにがジョーシキモンダイや。常識問題なんて言葉、こんな時に言うか?
「おタクらが、取り残された瓶の始末するから、正しい出し方の判らない人は回収してもうてると思てるわけですやン。迷惑してると書いて、回覧板で回したら、気がつくと思いますわ」
「回覧板は、要らんこと勝手に書いて回したらあきませんねん」
6月頃だったか、東隣の塀の横に出されたゴミ袋をカラスがつついて散乱させていたことがある。塀際の主婦が「出している人は判ってるけど注意できません」と困っていた。私が、「ゴミの出し方注意。生ゴミは、カラスに見えないように、新聞紙などに包んでからゴミ袋に入れて出してください」とプリントして回覧板の裏表紙に貼っておいたら、班全部が新聞紙にくるんで出して、カラスは来なくなった。
数日して、T田がわざわざ来て、「勝手なことを書いて回覧板で回したらあかんと自治会長さんが言うてはりました」と言った。「カラスがゴミ散らかさんようになったからよろしいやン」
「今回はよろしいけど、『雨の日は、回覧板が濡れないように、ビニール被せて……』も書いてはった」
「黙ってポストに突っ込んで、半分雨に濡らしてたから、書いたんです」
つまらないこと言いに来るヒマがあるのなら、バカブスガフフの躾でもちゃんとしなさいッと怒鳴ってやっても良かったのだ。
「当番、参加してもらえますか」
「人に迷惑掛けてるヒトそのままにしといて、みんなで迷惑分担なんて、しょうむないこと-----」
「ジョーシキ問題ですから」
「迷惑瓶片付けるのが、ジョウシキ?」
私が怒ったと察したT田の後ろにいた女が、「汚れた瓶出してるヒト見たら、注意してください」と言った。
「見たことないですよ、そんなヒト。残された瓶洗ろたりしてはるのやったら、回収日の朝、交代で見張ってたらどうですか」
「朝は忙しいですから、見張りなんかできません」
「交代で、たったの一日で判るでしょう」
自分らの意見ばっかり押し通そうとする。T田が毎日犬を吠えさせているのも、ついでに腹が立ってきた。
「気の済むようにしはったらええけど、迷惑瓶片付ける当番はイヤですよ」
アホの後始末を常識問題も知らんやつらに言われて、なんでせんならんの!?
女四人になにか言うスキを与えず、さっさと家へ入って、ガチン、ガチンとドアをロックし、門灯、玄関灯、パッパッと消してやった。
バカブスガフフのシツケしろー。バカブスオバハンめー。
「回収車が残して行く瓶が増えて、整理当番に参加して頂けるかどうか、お願いに回ってます」
とT田が、手にした一枚の紙をひらひらさせた。
「焼肉のタレの瓶やイイチコの1升瓶や栄養ドリンクの瓶が、洗わないで金属のキャップしたまま出てるから、残して行かれるんです。私ら交代で引き取って、洗って分別して次の回収日に出してるんですけどね-----。当番制にして、やって頂けないかと……」
「汚れたまま出してる人を見つけて注意した方が早いですやん」
「汚れたまま出してませんか、とは訊けませんでしょう」
「なんで訊けないんですか?」
「え? 常識のモンダイですから」
「瓶置き場の電柱に書いて貼っといたらよろしいねん」
「ダレが貼るかが問題なんです」
「貼るぐらい、私しますよ」
「無闇に貼り紙したらあきませんねん」
「無闇やないでしょう。空き瓶の正しい出し方書くのは……」
「常識問題ですから」
なにがジョーシキモンダイや。常識問題なんて言葉、こんな時に言うか?
「おタクらが、取り残された瓶の始末するから、正しい出し方の判らない人は回収してもうてると思てるわけですやン。迷惑してると書いて、回覧板で回したら、気がつくと思いますわ」
「回覧板は、要らんこと勝手に書いて回したらあきませんねん」
6月頃だったか、東隣の塀の横に出されたゴミ袋をカラスがつついて散乱させていたことがある。塀際の主婦が「出している人は判ってるけど注意できません」と困っていた。私が、「ゴミの出し方注意。生ゴミは、カラスに見えないように、新聞紙などに包んでからゴミ袋に入れて出してください」とプリントして回覧板の裏表紙に貼っておいたら、班全部が新聞紙にくるんで出して、カラスは来なくなった。
数日して、T田がわざわざ来て、「勝手なことを書いて回覧板で回したらあかんと自治会長さんが言うてはりました」と言った。「カラスがゴミ散らかさんようになったからよろしいやン」
「今回はよろしいけど、『雨の日は、回覧板が濡れないように、ビニール被せて……』も書いてはった」
「黙ってポストに突っ込んで、半分雨に濡らしてたから、書いたんです」
つまらないこと言いに来るヒマがあるのなら、バカブスガフフの躾でもちゃんとしなさいッと怒鳴ってやっても良かったのだ。
「当番、参加してもらえますか」
「人に迷惑掛けてるヒトそのままにしといて、みんなで迷惑分担なんて、しょうむないこと-----」
「ジョーシキ問題ですから」
「迷惑瓶片付けるのが、ジョウシキ?」
私が怒ったと察したT田の後ろにいた女が、「汚れた瓶出してるヒト見たら、注意してください」と言った。
「見たことないですよ、そんなヒト。残された瓶洗ろたりしてはるのやったら、回収日の朝、交代で見張ってたらどうですか」
「朝は忙しいですから、見張りなんかできません」
「交代で、たったの一日で判るでしょう」
自分らの意見ばっかり押し通そうとする。T田が毎日犬を吠えさせているのも、ついでに腹が立ってきた。
「気の済むようにしはったらええけど、迷惑瓶片付ける当番はイヤですよ」
アホの後始末を常識問題も知らんやつらに言われて、なんでせんならんの!?
女四人になにか言うスキを与えず、さっさと家へ入って、ガチン、ガチンとドアをロックし、門灯、玄関灯、パッパッと消してやった。
バカブスガフフのシツケしろー。バカブスオバハンめー。