ちょっと待って!

見たこと聞いたこと、すんなり納得できません。あ、それ、ちょっと待って。ヘンじゃありません?  ヘンです。

お抱え運転手

2017-12-13 20:00:09 | Weblog
 一つ二つのものを買いにスーパーへ行くと、ショーがあれやこれやを籠に入れる。三日前にウナギを買った。その前の日に紅鮭四切れ入りのパックを買った。
 この日、マグロのトロがあったから、それも買った。筑前煮を作って欲しと言うから、子芋、蓮根、厚揚げ、竹輪、こんにゃくなども買った。
 予定のおかずは八宝菜だった。冷凍庫がいっぱいだから、豚肉を片付けなければならないし、大きい白菜があるので八宝菜と決めていた。
 でも、まずトロから食べなければならないので、面倒な八宝菜はやめて、玉水だけにした。前の日に作った青唐辛子のきんぴらがある。海苔も出した。美味しいお漬物もある。ご飯は二人とも小さいいお茶碗に軽く一杯しか食べないから、トロが三切残った。「食べてしまい」とショーは言う。「おかずは残してはいけません」と言われて育ったのだ。
 お父さんは株屋でかみしも(上下)の女中さんが3人と庭仕事の男衆が一人いて、大きな邸宅に住んでいた。大きな畑もあって、お母さんやお兄さんは畑を作っていた。戦時中も戦後も食べ物に不自由のない家だった。戦災にも遇わなかった。私の生家は家伝薬(九州黒田の)製造販売で、戦災で丸焼けになったから戦後は勿論ヒドイ食糧難だった。闇市で手に入れた食料は、一度に食べずに何日かのおかずにした。「残したら勿体ない」ではなくて、「一度に食べてはモッタイナイ」だった。
 一舟1000円もするトロの刺身を残ったからといって「食べてしまう」わけにはいかない。次の日のお昼のおかずにした。ショーは、鮭の焼いたのと海苔と味噌汁とお漬物。まだトウガラシのキンピラもある。
 夜は、厚揚げや竹輪が急ぐから八宝菜ではなく、筑前煮。「鮭も焼いて……」とショーは言った。ごった煮なのに、まだ魚も要るカ?
「あ。ウナギ食べんならんわ」
「うん。ほな、アゲと子芋とこんにゃくだけでええワ」
 鰻丼に、そんなけもおかず、要る? 

 パンと牛乳が切れるから…と、スーパーへ行った。ショーはホーレンソウと菊菜を2把ずつ籠に入れた。「いっぺんに買うたら、半分傷む」といつも言っているのに、ショーはーは必ず2把づつ買いたがる。
「朝も晩も食べたらええねんや」
 野菜、高いのに。ショーは、食品、調味料、厚生費、灯油、など買ったことがない。ショーの肌着や靴下も、私が買っている。私は、服は大方手製。本はbook off で、纏め買い。化粧品も自家製。一人だったら、生活費は半分だろうなあ。十日に一度タクシーで買い出しに行っても……