170426 郵便はどうなる? <日本郵政 赤字転落 400億円、民営化後初・・>を読んで
今朝は涙雲?でしょうか、辛い気持ちをじっと耐えているような空模様。でもちょっと最近聞き慣れない囀りにふとベランダを見ると、赤い腹で濃紺の衣服をまとった、そうイソヒヨドリが軽やかに鳴いています。ちょっとこっちの様子をうかがいながら、しばらくさえずりましたが、ひょいと一気に飛び立っていきました。
あんな感じで空を飛び回れば気持ちがいいだろうなと、人間の勝手な思いがちょっと浮かびました。人間の勝手な思いというので、昨日の夕刊記事、<福島の6年 「それぞれ」の桜>を思い出しました。
福島・三春町にある福聚寺(ふくじゅうじ)の住職であり作家の玄侑宗久氏の話が掲載されていました。彼の禅に関する本は結構読みましたし、小説もそれにつれて読みました。彼の言葉には重みを感じます。その彼が<。「これほどまでに、ややこしくなってしまうとは……」>といい、<分断を生み出す。それが原発>と語るのです。
<「この6年を、誰もが肯定したいと思っています。福島に残った人には『残って良かった』という気持ちがあり、県外に避難した人も、その決心が正しかったと思いたい。そして双方の立場とも、納得できる材料はたくさんある」。その結果、両者の壁はどんどん厚くなってしまった。そして、同じような「分断」は至る所で起きている。>と。<。「原発の再稼働を推進する人々は、こうした分断から生じる人間関係のややこしさを重大な問題と思わないのでしょう」と。
当地にやってきて玄侑宗久氏のある種ファンになりつつあるのです。そんな中で福島原発が起こりました。明確な道筋があろうとは思いません。それでも僧侶として、また作家として苦悩している様子を遠くから受け止めたいと思うのです。そういう僧侶がもっと増えることを期待したいとも思いつつ。
その福島の復興がというより、被災の苦悩の中に多くの人が取り残されているというのに、今朝の毎日記事はトップニュースで、今村復興相の辞任と、日本郵政の赤字転落を取り上げていました。前者は取り上げるだけの価値を見いだせないので省きます。
後者は<日本郵政赤字転落 400億円、民営化後初 3月期決算>との見出しで、多数の指摘があり、郵政事業のあり方も含め、考えてみたいと思います。
<赤字転落 復興財源に影響も 政府、株売却へ逆風>の記事では、この赤字転落により、<政府が東日本大震災の復興財源調達のために計画している郵政株売却のスケジュールに影響が出る可能性がある。>といった予測もあります。
<民営化後初の赤字 甘い海外戦略 豪社買収時、疑問の声 政府、市場「相乗効果薄い」>の見出し記事では、そもそも赤字原因は、海外企業の過大な買収です。トップの経営判断ですが、<豪州物流最大手「トール・ホールディングス(HD)」の買収>はどの程度具体的な企業戦略の基に、決定されたのか、疑問視されていますが、当然でしょう。
上記の記事には東芝をはじめ最近の海外企業買収事例の増加傾向と、その失敗例が取り上げられています。東芝の例と類似するのは、両者ともいわば水平的統合ですが、いずれも当該企業実績や海外市場動向をなど、綿密に検討したのか疑わしいのです。相当数の専門家メンバーでその当否を検討したはずでしょうが、買収額がいずれも事業実態に比べて極めて巨額となっていていますが、その判断に過ちがなかったのか、その責任はどうとるのか、調査の必要性が高いと思います。
そもそも日本郵政は、収益力が高い金融2社の分社化と、収益力の乏しい残った郵政事業について、明確な戦略を持たないまま、<国内物流事業を強化し、日本郵便の成長につなげることを画策し、佐川急便(SGホールディングスグループ)、日立物流の買収を検討した。だが、いずれも実現が困難だったため、「第3の選択肢だった」(幹部)トール買収に踏み切った。>と思われるのです。
国内物流事業の強化は本来の道であるのに、他の競合企業を買収できなかったからと行って、まったく未知の海外市場で、それもその実績も十分把握できたとは思えないトール買収を決定したトップを含め取締役の責任は重大でしょう。だいたい、トールがもつノウハウが国内物流事業の強化にどう役立つのか、はなはだ疑問です。豪州を市場とする企業が、仮に物流事業を効率的・革新的に行っていたとしても、まったく異質の日本の市場で相乗的に機能するノウハウを有しているかどうかを緻密に検討しないと、とても巨額を投じて買収するといった判断に到るとは思えません。
しかも政府が80%も株式保有しているのですから、いわば税金で経営している企業です。その企業が6200億円も拠出して買収した結果、4003億円もの損失処理をするわけですから、人様の大切な銭をはなはだぞんざいにあつかっていたかと批判されてもやむを得ないでしょう。それが復興予算にも影響するわけですから、トップたる者、心して欲しいものです。
翻って、郵政事業は、1871年前島密が郵便事業の創設し、近代郵便事業の基礎を作った後、長年にわたり、日本全国の隅々まで、低額かつ定額で郵便物を届けるという、日本人にとって情報流通を容易にしただけでなく、心通わせてくれる事業を行ってきたと思うのです。
近時のIT革命でメールなどでの情報伝達や、宅配便などによる荷物配達などにより、郵便事業の新たな展開が求められる中、既存システムの抜本的な改革を容易に進められない状況にあったかと思います。
とはいえ地方における郵便局の役割は驚くほど人気が高いと思うのです。当地では一番人気のある場所というか、車や人が混雑する場所のように思うのです。ただ、金融子会社2社が分社化し、郵便事業だけで独立して事業を黒字化できるかとなると、容易ではないと私も思います。
郵便局のそれぞれのスタッフの営業努力も最近は私のような小さな事務所にもやってきます。でもそれは従来型のサービスの人海戦術に過ぎず、努力は買えますが、より多角化、効率化を目指すサービスが求められているように思うのです。一人一人の職員が経営者的感覚で事業を行うくらいの気構えが求められているように思うのです。
そろそろ7時に近づいてきました。中途半端ですが、今日はこの辺で終わりとします。