170509 労働者の守り人 <労働基準監督官ってどんな人? 働く環境守る警察官・・>を読んで
昨夜は帰りが遅くなり、寝るのも遅かったのですが、目覚めは5時前。さすがに途中での目覚めはありませんでした。体は少しだるいのですが、血圧は120台になっており、気分はあまりよくないのですが、少しはよくなっているのかもしれません。今日もいろいろやっていてもう5時過ぎなので、早めにこのブログを終わらせて帰宅しようと思っています。
さて昨日の毎日夕刊には、特集ワイドで<労働基準監督官ってどんな人? 働く環境守る警察官 臨検1年がかり「心臓、強くないとね」>とあまり話題になりにくい職業が大きく取り上げられていました。
私自身も労働基準監督官というと、時折、労働事件などで登場するものの、直接話した経験はほとんどなく、おおよその仕事は分かっているようで、実際どんな風に仕事をされているか知りませんでしたので、参考になりました。
実は身近に元労働基準監督官だったとうかがった方がいらっしゃって、その人柄がとても信頼でき、細やかで親切でいろいろなことの指導も丁寧な人なのです。当地では一般的な定年退職後に農業をされていますが、地域の活動に積極的に参加され、区長をされたときは道路拡張など公益活動を熱心にされたばかりか、集団登校の見守りにも参加するなど、その活動範囲がとても広範です。いつもにこやかで優しさばかりの人かと思うと、ある会議では、手続き上の問題を鋭く指摘され、会議主催者の責任のあり方を的確に指摘されるのを見て、普段穏やかな様子しか知らなかった私はとても驚きました。法的な手続きの適合性など、問題があれば見逃しにせず、言うべき時はしっかりと問題提起される人なのだと思った次第です。
で、そうか、労働者のいろいろな悩みを受け止め、未熟な労働者でもしっかりその相談を受け止め、法的に対応すべき時は厳しく経営者に向かう、そういう職業体験で培った人格なり能力が現在の活動にも生きているのかなと感じています。むろんその人がもっている天性の人柄もあるでしょうけど、この毎日記事に示されている、労働基準監督官の仕事の実態をみれば、労働者にとっては駆け込み寺的存在の監督署での対応はかなり柔軟性のあるハードな仕事であったことがうかがえます。
その労働基準監督官が<全国に3241人(2016年度)>しかいないのですね。これは驚きです。<監督官1人あたり、全国平均で1486カ所の事業場を受け持つ。>のですから、それだけでみれば、監督官自身が過剰労働になりかねない状況です。
労働者人口で考えるともっと分かりますね。<ILOは労働条件や安全を守るために、先進国で労働者1万人あたり1人の監督官が必要との目安を示している。しかし、厚労省が今年3月に作成した資料によると、日本は1万人あたり0・62人。米国の0・28人よりは多いが、ドイツの1・89人やイギリスの0・93人には及ばない。>
毎日記事にあるように、労働者も過酷な労働条件の悩みを多様に抱えているわけですが、監督官の業務範囲は法律違反に限定されるので、その対応のあり方も微妙です。他方で、経営者、とりわけ中小のブラック企業などは、毎日記事にあるように、監督官の失言を待ち受けて手ぐすね引いてああでもないこうでもないと適当に弁解を続けているかもしれません。
このような能力はなかなか代替出来るものではないでしょう。とはいえ、監督官の不足を社会保険労務士などに代替することを政府側がでは検討しているようですね。
<監督官の不足が解消されない中、政府の規制改革推進会議は、定期監督業務の一部を社会保険労務士などに民間委託する検討を始めた。同会議の作業チーム主査で昭和女子大特命教授の八代尚宏さんは「政府の大方針として監督官を大幅に増やせない中、社労士に補完業務をやってもらいたい。監督官を問題のある事業場に集中すれば、より労働者を保護できる。これは業務の一部の民間開放です」と説明する。>
いわゆる社労士さん、こちらは多くの事業所で活躍しているように思います。私も知り合いに社労士さんがいて、労働法制にとても詳しく、しっかりした方で、事業所の経営者・担当者などからも信頼されていたように思います。とはいえ、監督官のように厳しい指導、摘発ができるかというと、それは無理でしょうと言わざるを得ないですね。
補完事業とは何か、それで対応できるのか、かなり疑問を感じます。
他方で、多くの労働者にとっては、身近な労働組合があります(たとえば全労連の相談センター)。あるいは最近は組合離れで、個人の労働者に対応してくれるユニオン(たとえばジャパン・ユニオン)が大きな力になっていると思います。こういった組織には、労働法制や慣行に相当熟知しているスタッフがいて、熱心に相談にのってくれたり、労働審判や労働委員会などの手続きの助言もしているようです。むろん、いわゆる労働弁護士(経営者側でない)も各地にいて、まさに専門家として活躍していると思います。
私も最近の労働問題の一端を担当することがあります。コンビニにおける従業員のサービス残業、超過勤務、未払い賃金の問題といったこともあります。労働問題は、多様ですし、産業分野も広範で、その労働条件や慣行も、それぞれの分野で大きく異なることを痛感することがあります。たとえば宗教の世界を取り上げれば、お寺における、僧侶とその家族労働、あるいはある寺の住職が別の上位の寺で勤務する場合など、当然に労働法の対象となります。あるいは林業などは昔から労働条件が厳しい一方、労働者側からの要求も強いため、森林組合などでの労働条件は相当改善されているように思うのです。
たとえばとして上げた分野などは、あまり社労士さんも深く入っていないように思います。まして監督官の目が届いているかというと、あまりにカバーする範囲が広いので、むずかしいだろうなと思うのです。
どうも何を書こうとしたのか分からない状況になりましたが、一時間経過し、6時を過ぎたので、疲れていることもあり、今日はこの辺でおしまいとします。