たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

専門家とセクハラ <BS1ワールドニュース・フランスでの医療機関でのセクハラ報道>を垣間見て一言

2017-11-18 | 差別<人種、障がい、性差、格差など

171118 専門家とセクハラ <BS1ワールドニュース・フランスでの医療機関でのセクハラ報道>を垣間見て一言

 

最近なぜか寝付きが悪くなり、うつらうつらしていて、朝も雨だとまったく目が覚めません。人間の体調は一定でないので、回復するまで付き合うしかありません。

 

普段は8時のニュースを見ることはないのですが、今朝はつい見てしまいました。BS1ワールドニュースです。いつもは6時台のを見ているのです。このニュースは世界各国の大きな話題から小さな話題織り交ぜ、なかなかよくできています。

 

で今朝は途中からですが、ひょいと気になるニュースについ立ち止まって見てしまいました。フランスの放送で、手術室内の密室空間で行われているセクハラが取り上げられていました。医師による患者に対するセクハラや、医学部教授などによる研修生などに対するセクハラはこれまでも報道で取り上げられることがあったと思います。

 

しかし、手術室といった空間は、人の命を預かり、緊張感に包まれ、厳粛な環境とのイメージがどうしても浮かんでくるのが普通ではないかと思います。ところが、そうでない場合もあることが報道されていたのです。しかも女性の立場が尊重されているといわれるフランスでです。これは少し驚きつつも、やはりという気持ちでした。

 

詳細なセクハラの内容が報道されたかは、途中から見た段階ではなかったので、はっきりしません。でも看護師や研修生、さらに指導を受ける若い医師など、相当数が手術台を囲んで、執刀医の下、チームワークよろしく厳粛に行われている場合ばかりでないことが明らかにされていました。医師の不愉快な発言や接触に対して、異議や苦情を述べることは容易でないとの発言が女性看護師などから出ていたかと思います。

 

手術室内の出来事はほんとにわかりませんね。最近は可視化されて電磁記録として残される場合が増えていると思いますが、手術の手技や患者の侵食部位以外となると、撮影対象外でしょうし、発言となると細かく拾えないことが考えられますね。

 

話は飛びますが、かなり昔、都立病医師による手術および術後管理に医療過誤があるとして訴訟提起したことがありますが、当時の看護記録にしても十分でなく、適切な管理ができていたか疑いありました。その中で、ある若い看護師が止めたという情報を入手したのです。その看護師がなにか情報を知っているはずだと、追求しようとしたのですが、できませんでした。その頃でしたか、映画The Verdict(評決)が放映されていたのを見た記憶で、主人公のポールニューマン演じる荒くれ弁護士が医療過誤訴訟で、窮地に陥ったとき、退職した看護師の行き先を突き止め夜間に電話で医師のミスを確認する場面がありました。これは無茶な弁護活動と思いましたが、それにより逆転勝訴になったのです。私もそれぐらい貪欲さが必要かと思いましたが、ま、無理かなと思いつつ、なにか溜飲を下げたような気もしました。

 

要は、手術室内は密室で、医師を含めた人の行いは一部しか記録されません。患者に対する措置も適正とは限らず、それを身近に体験する看護師は医師の指揮下にあって反論できません。セクハラとは関係ありませんが、そういう主従関係は先輩医師と後輩医師、看護師との間で厳然としてあるわけで、男女間で言えばセクハラ・パワハラが生じうる隙というか、土壌は油断すると形成されやすいかもしれません。

 

こういう風に医師という専門家を批判的に見ていますが、それは医師に限りません。専門家と称される職業人には優越的地位にあることから、昔からあった男尊女卑の感覚を振り払えない感覚の人がいまなお相当数生き残っていると思います(もしかしたら私の意識の中にも)。

 

この点、弁護士はというと、たとえば日弁連が平成20年12月18日理事会議決で<セクシュアル・ハラスメントの防止に関する指針>を発表しているとおり、問題を抱えていることは否定できません。

 

私が若い頃、まだ女性弁護士はわずかで、多くはすぐに結婚すると見られたりして、一人前の弁護士として扱われない傾向があったと思います。また、事務所の中では女性事務員がほとんどでしたが、ある種の閉鎖空間ですから、弁護士の言動は法律を熟知している装いで「正義」の旗を振るうわけですから、現在のセクハラもかなり平気でやられていたのではないかと思います。

 

驚いたことに、今でもそういう弁護士が一部にいることが、法律関係の労組からの申出で指摘されることがあります。驚くほどのことではないのでしょうかね。日弁連や各単位会が本気で取り組まないと、旧態依然の体質が是正されていないと、フランスで報道された医師のように、外国のニュースの種になるかもしれません。

 

ただ、そうはいってもセクハラとは何か、場合によってよくわからないこともあります。厚労省のパンフ<職場におけるセクシュアルハラスメント対策を事業主の義務とする>では、はっきりいって誠実な人でもよくわからないように思います。女性側が過度に反応することもありますし、誤認・誤解することもあることは、たとえば電車などでの痴漢事件で起こる話です。

 

で、日弁連の上記指針は参考になるかと思うのです。ご承知の方は別に詳細を知る必要はないのですが、意外とこの識別基準的なものが理解できていない人もいるので(これも変わりうるものです)、少し長くなりますが、引用しておきます。

 

具体的な部分だけ取り上げます。

 

<セクシャル・ハラスメントになり得る言動として、例えば、次のような言動 が挙げられる。

(1)    性的な内容の発言

性的な関係を強要すること。

身体的特徴や容姿の良し悪しなどを話題にすること。

性的な冗談を交わすこと。

性的な経験や性生活について質問すること。

性的な噂を立てたり、性的なからかいの対象とすること。

(2)   性的な行動

性的な写真や記事が載っている雑誌等を広げて読んだり、パソコンの画面 に卑わいな写真を映し出したりすること。

体を執拗に眺めること。

食事やデートに執拗に誘うこと。

性的な内容の電話をかけたり 性的な内容の手紙や電子メールを送ること。

体に不必要に接触すること。

トイレや更衣室等を覗くこと。

カラオケでのデュエットを強要すること。

(3)   性別により差別するもの

「男のくせに 「女のくせに」等の発言をすること。

「男の子、女の子 「おまえ、僕、坊や、お嬢さん 「おじさん、おばさん」、「じじい、ばばあ」等と他人を失礼な呼び方で呼ぶこと。

不必要に、語頭に「男の、女の」等性別を付けること。  

体調が悪そうな女性に「今日は生理日か 」「もう更年期か」等ということ。

酒席等において、女性の座席を男性の隣に指定したり、お酌やダンスを強要すること。 性別による役割分担を課すこと。

 

「李下に冠を正さず」というのがこの場合適切かはともかく、セクハラに限らずパワハラと第三者から疑惑の目で見られないように、常日頃、言動に慎重でありたいものです。すべての人に分け隔てなく、誠実であれば、そういう問題も生じないかもしれません。聖徳太子の言葉だとなんでしょうね。いますぐに的確なものが浮かびませんが、太子像を思い浮かべれば、自然、差別的扱いができなくなるでしょうし、和をもって貴しとなるのでしょうね。

 

今日はこの辺でおしまい。