たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

風呂好きと住宅と健康 <質問なるほドリ ヒートショックって何?>を読んで

2018-01-03 | 心のやすらぎ・豊かさ

180103 風呂好きと住宅と健康 <質問なるほドリ ヒートショックって何?>を読んで

 

日本人は風呂が好きですね。といっても風呂の形態はいろいろあったようですね。だいたい奈良時代は蒸し風呂ですよね。たしか光明皇后が当時難病で苦しむ人などに蒸し風呂を提供して養生を助けたとか。

 

温泉自体は火山列島ですので、あちこちにあったわけで、とりわけ1万年前から紀元前くらいまでは列島は火山活動が激しかったのではないかと記憶しています。おそらく縄文期からシカやサルと同じように人も興じていたのでしょうね。

 

では五右衛門風呂のような湯舟方式になったのはいつからでしょうか。まさか五右衛門さんが登場するころからではないでしょうね。それは風呂の歴史に詳しい人には当たり前かもしれませんが、私の方は駄文を書くため適当に記憶の底から抽出しています。

 

維新のころ欧米からやってきた多くの異人がみた日本人は、銭湯という大衆浴場から異人見たさに裸の女性が出てくるという驚くべき姿が見られる一方、夏などにはタライで体を洗っている女性の姿も描写されていましたね。

 

こういう状況を見ていますと、少なくとも庶民の自宅の中には湯舟のある風呂はなかったのではと思ったりしています。ところでなぜ「風呂」というのでしょうか。不思議な名称のように感じるのは私だけではないでしょう。参考になるのはため池やそこからの用水路の名称として、風呂谷池とか、風呂谷川という名前が紀ノ川沿いに見られます。

 

地形的な形状が風呂谷という言葉を生み出したのでしょうか。それと風呂とはどう関係するか・・・

 

で、私が幼いころ、自宅に風呂がなく、近くにあった父親の実家まで歩いて行ってそこの五右衛門風呂に入っていたことを思い出します。戦前でも自宅に風呂がある家というのは少なかったのではないかと思います。戦後もしばらくはそうだったように思います。その代り風呂屋さんが繁盛していました。東京でも戦後しばらくまではあちこちに風呂屋があったのですね。わたしが大学生の時代でもまだ風呂屋が相当残っていました。

 

弁護士になって間もなくのころ、仕事の依頼があった事件は、風呂屋さんが廃業してその遺産分けの話でしたが、そこではたくさんの風呂屋を経営していたけれども、次第に利用者が少なくなり廃業したという話を伺いました。

 

この長い前置きは、見出しの毎日記事で取り扱われている風呂場でのヒートショックに語るために、そこに行きつくまでに自分の心の整理をしています。

 

記事は<質問なるほドリ ヒートショックって何? 温度急変で血圧変動 失神や心筋梗塞の可能性=回答・曹美河>との見出しです。

 

現在では自宅に風呂があるのは普通ですね。ユニットバスなどができ簡易でしかもデラックスな出来栄えのものもあり、マンションでも戸建てでも重要なアイテムですね。

 

日本人の風呂好きに合わすように、住宅メーカーはいろいろ工夫をこらしているようですね。でも記事では、あまり芳しくない風呂場事情を語っています。

 

寒くなるこの季節に増える、ヒートショックを取り上げています。この<質問なるほドリ>は話題のキーワードを簡単に解説するコーナーで結構重宝しています。

 

で、その解説によると<体が急激(きゅうげき)な温度変化にさらされ、血圧が変動することなどによって引き起こされる健康被害(けんこうひがい)です。失神(しっしん)や不整脈(ふせいみゃく)、脳卒中(のうそっちゅう)や心筋(しんきん)梗塞(こうそく)などを起こし、急死することもあります。特に冬の入浴時に注意が必要です。>

 

その発生メカニズムについては回答者曹美河氏は<寒い脱衣所(だついじょ)で服を脱ぐと、体の表面の温度が急激に下がり、血管が収縮(しゅうしゅく)して血圧が上がります。熱い湯につかると交感神経(こうかんしんけい)が刺激(しげき)され、さらに血圧が上昇します。体が温まってくると今度は血管が拡張し、血圧が降下します。すると、一時的に脳に血液が運ばれなくなり、意識障害(いしきしょうがい)や失神を起こすのです。また、急な血圧の変動は血管や心臓に負担をかけ、脳卒中や心筋梗塞の原因になります。>と述べています。

 

でその発生割合についても衝撃的なものです。

<入浴中のヒートショック関連死者数を、年間約1万7000人(2011年)と推計しました。これはこの年の交通事故死者数の3・6倍に当たります。特に高齢者の血管は弾力性がないため血圧の変動幅が大きく、約8割が65歳以上です。1人で入浴できる比較的元気な人に急死のリスクがあると言えます。>

 

まさに私のような高齢者が危ない存在ということですね。認知症による交通事故の危険性よりもずっと高いのではと思うのです。

 

お決まりの予防策については

<温度差をできるだけ小さくすることです。脱衣所(だついじょ)や浴室を暖め、お湯は41度以下が推奨(すいしょう)されています。高橋医師は「食後1時間以内や飲酒時は血圧が下がりやすいため、入浴は控えましょう。人の生理機能がピークになる午後2時から午後4時ごろの入浴がおすすめです」と話しています。>

 

こういった情報は、時折、TVなどでも紹介されていますので、知らない人は少ないのではと思うのです。

 

で、ここからが今日の本題です。いつもながら長い前口上となりました。少し調子が戻ったのかもしれません。

 

だいたい血圧の急上昇、急降下は、結構起こっていますね。というのは私も最近、体調不調に対処するため、体重・血圧の測定を朝夕行うようになり、その変化に驚いています。とくに寒くなってからは朝暖かい布団から出て最初に向かうトイレはとても寒いですね。

 

そして朝の血圧は、収縮期・拡張期のいずれも正常値を超えることが結構多いのです。ときには異常に高いこともあります。それでも夕方、実際は夜に測定するとだいたい正常値内になっています。多くは風呂に入った後ですが、風呂場は寒いけれどもそれによる変化よりも早朝の寒さに対する体の反応の方が強いようです。

 

ともかく血圧は温度差が急激に起こった時に血管が自衛本能として働く収縮や拡張を通じて対応するものでしょうから、そのような変化自体は元に戻る限りは問題ないように思うのです。むろん血管が劣化していてその変化に対応できない状態になっている場合は問題となるわけでしょうね。その意味では高齢者は血管の劣化、脆弱化が進むので、一般的には温度差が少ないことが望ましいとは言えるのでしょう。

 

その点、上記のようなアドバイスは風呂場の暖かいところと、脱衣場の寒いところの温度差を少なくするため、後者を暖かくすることは適切な内容とはいえるのでしょう。

 

ところでわが国ではそういうアドバイスが当たり前に受け止められていますが、不思議に思いませんか。例えば北欧やカナダなどでは、そのようなアドバイスは不思議なものと思われるのではないでしょうか。

 

家の中に急激な温度差がある場所があること自体が不思議なのです。これらの国々では住宅はセントラルヒーティングですので、廊下も含め家の中全体が一定の温度に保たれています。わが国ように各部屋にエアコンがあるという家づくりはあまりないと思われます。

 

そのためカナダでの住宅内での過ごし方は割合薄着でしたね。外は寒いのです、車も住宅内の駐車場に入れていて、そのまま外に出かけるという具合ですね。

 

たしかにこれは極寒の国では必要な住宅づくりかもしれません。むろん脱衣場での寒さに対応するといった心配もないでしょうし、そういう場でのヒートショックも起こりにくいでしょう。

 

その意味ではわが国の住宅建築の在り方も今後は検討してもよいかもしれません。

 

でもそれでよいかは簡単に言えないと思います。たしかに冬だけで言えば住宅内の温度差をなくすことができるわけですから、血圧変化への対応という意味で有効かもしれません。

 

しかし、血圧変化に耐える体を自然に作り上げるという意味では、私は日本の住宅建築はある意味では日本の四季に耐えうる体力を鍛え、また長寿を維持する血管を含む臓器を作り上げる住宅ともいえるのではと思っています。

 

なんといってもわが国は鴨長明、吉田兼好を含め賢者から庶民まで質素で簡易な住宅に住みながら永らえてきた民族ですから、安易に快楽を求めると、エネルギー消費が拡大し、温暖化抑制に逆行し、地球の健康にも、自分の健康にもよくないのではと愚見は感じています。

 

そろそろ時間となりました。また明日。