180305 河川津波で何を考える <NHKスペシャル 「“河川津波” ~震災7年 知られざる脅威~」>を見ながらふと思う
いま外は豪雨です。いくつかの裁判書面を書いている中、地響きのする雷音が鳴り響いていました。10分間雨量30mm以上?とも思われるたたきつけるような雨音もかなりのものです。なお、時間雨量とか一日雨量とかはそれなりに意味がありますが、私は分単位、とくに10分間雨量とかがどのくらいで、それがどのくらい続いたかを気にしますし、もちろん累積雨量としては3日間程度も気にします。ある事件で、時間雨量を調べるだけでは地滑りとか、崖崩落、斜面崩壊などの原因要因を調査するうえでは不十分と感じたのです。
というか、分単位で調べると、雨量というのは相当幅があることがわかります。というか、これは大変だと豪雨の中外にいると不安になりますが、通常は、長続きしません、休憩時間?があるんですね。自然も巨大エネルギーを持続させるには休みもとらないといけないのでしょう。
と余分な前置きをしてしまいましたが、見出しのテーマ、昨夜見ました。「河川津波」ってどんな特殊な現象なのだろうと興味をもったからです。
私はアマゾン川の大遡行をつい思い出しました。7000km以上もある世界最長の川で、ときには河口から800kmも逆流というか、大遡行をしちゃうわけですね。これは映像で過去に見たことがありますが、まさに龍神が上流に向かって角を立てて上っている感じでした。
でもNHK番組で映像化されたものは、残念ながら、東日本津波の河川遡行としては実写された物ではありませんでした。シミュレーションで遡行、というか「河川津波」を描いていました。
これまで津波被害は、もっぱら沿岸周辺からはじまって平坦な大地を侵入する様子が映像で実写されてきました。ただ、実際は、海岸付近には多数の大中小河川が流れ込んでいて、大津波の時、一部では何10kmも遡上したという指摘があったと思います。
北上川の古戦場など、多くは氾濫原ですから、河川津波が起これば浸水被害が甚大になったと思いますし、現在は利用制限区域になっているようです。
番組では砂押川という中小河川で起こった河川津波をシミュレーションしていたかと思います。平地部は時速30kmで津波が進みますが、河川内では40kmとさらに速度が速まるというのです。
その理由については、とくに解説がなかったように思うのですが、護岸壁で囲まれていて、障害物がないため、遡行がスムーズにいくのでしょうか。ま、いえば、津波の幹線道路になってしまうのかもしれません。
こういった護岸工事は、洪水対策という治水事業として、上流部、中流部から吐き出される雨水量をできるだけ早く海に吐き出すためになされている、他方で、堤防外の利用価値を高め、安全性を確保する役割を持っているのでしょう。
しかし、海からの逆流という、河川津波は想定していませんので、こういった遡行があれば、逆に簡単に上流に向かうことになるでしょうね。
ただ、要因としては、それだけではないと思うのです。沿岸部、とくに河口付近は、堤防により陸地への日常的な高潮が来ないように対策をとっていますが、これが津波にとっては障壁になり、河口の空いた部分は逃げ道となって、河口に入った途端、勢いを増すことは想定できます。
通常、たとえば荒川が東京湾に流れ込み河口では、大変な三角波が発生しています。東京湾に流れ込む太平洋の海流と荒川を下ってきた淡水とが猛烈な衝突を繰り返しているのです。普通の時は、それで相撲のぶつかり状態でそれなりに平衡を保つのでしょう。
でも大津波となると、それは一気に河川流の流れを打ち負かして、遡上するわけですね。
で、この点で少し問題を指摘しますと、昔、横須賀市の久里浜海岸(あのペリーが上陸した地点ですね)に流れ込んでいる平作川という小さな河川が洪水被害を発生したことがあり、そのとき問題になったのが違法駐留している無数のボートや船がその要因の一つとされたのです。その後、違法駐留船舶を移動させる施策がとられた記憶です。これが津波による影響だったのか、上流からの大量の雨水流によるものだったのかは記憶が定かではないので、適切な例といえるかは、書きながら、ふと躊躇してしまいました。
この河川津波の時も、一部の映像で船が遡行流とともに流されていましたが、これが多いと橋桁にぶつかり、堰き止められて、そこから破堤、越堤など洪水発生のおそれがでてくることもあるでしょう。この津波ではなかったように思えますが・・・
河川津波で怖いのは、護岸工事は、本来の氾濫原を平地利用する、それを保護するために行われてきたと思いますが、それが想定外の河川津波に遭うと、越堤が起こりやすいですし(元々氾濫原ですからね)、そうなると被害が甚大となりますね。番組では多くの犠牲者が出たと言うことでした。
で、私が気になったのは、河川流(つまり上流部など上方から下ってくる水流ですね)と河川津波が合体したとき、その水嵩はさらに増えて、越堤は極めて容易になることの危険性です。さらにいえば、通常、上から下ってくる水流と下から上がってくる水流がぶつかれば、アマゾン川の大遡行ほどのウェーブができないとしても、当然、水の流れが立ち上がるというか、あのプレートテクニクスと同じように隆起してしまうのではないかと思うのですが、これは素人発想でしょうかね。
こういった河川津波特有の、水の形態、流れは、番組では追求されていなかったように思うのです。
これが仮にそうであったとしても、この河川津波を回避したり、最小化したりする手法は、簡単には見つからないでしょうね。強いて言えば、いま大丈夫と思われている高い堤防方式がさほど安全ではないことを、意識を持ってその周辺に住み、どう逃げるかを改めて考えておくことでしょうか。
地震列島日本、プレートテクニクスの複雑な連続的衝突の上に立っているわけですから、災害の発生は不可避と考えて、具体的な対応策を真剣に取り組むことしかないでしょうね。
そろそろ一時間近くになりました。何を書こうとしたのか忘れてしまいましたが、雨音も強いですし、今日は早めに帰宅した方がいいかもしれません。
ということで本日はこれにておしまい。また明日。