たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

森友問題と人事と責任 <森友文書改ざん 太田理財局長「佐川氏知っていたと思う」>などを読みながら

2018-03-16 | 行政(国・地方)

180316 森友問題と人事と責任 <森友文書改ざん 太田理財局長「佐川氏知っていたと思う」>などを読みながら

 

昨日のTVニュースを見ていて驚きました。前川前文科省事務次官が中学校で講演したことについて、文科省の課長補佐が教育委員会にメールを送り、天下り事件で責任を負って辞任したとか、出会い系バーの店を利用したとか指摘しつつ、そのような人物に講演を依頼した理由などを明らかにするよう要請したとのことでした。

 

一体、わが国の官僚はどうなっているのだろうと驚きました。その後文科省が問題ないといった対応を示したようですが、一課長補佐の判断で、このような要請ができるはずがなく、文科省の組織的関与、ないしは内閣官房なのか、ぴりぴりしている印象を感じます。私は課長補佐くらいの方とは霞ヶ関ではいろいろと相談したり、割合気軽に話しをうかがっていた記憶があります。もう20年ないし30年暗い前のことですが、こんなことを元トップであった前川氏にできるとは思えないのです。

 

むろん、講演を聴いた保護者の誰か、あるいはこの情報を知った誰かが、内閣あるいは文科省に抗議したため、やむなくとったのかもしれませんが、それが官僚のあり方でしょうか。教育行政に直接に泥足で踏み入れるようなもので、介入以外の何物でもないと思うのですが、それが仮に安倍政権の体質からでたのであれば、問題とする必要があるように思うのです。

 

毎日記事も<前川講師問題なぜ要請「詳細に」 文科省のメール公表>と問題にしていますが、当然です。

 

さて、いま公文書が存在したこと、それが買い換え(あるいは改ざん)されていたことで大変な事態になっている森友学園問題、どうも国会答弁した当時の理財局長であった佐川氏の問題が特別に注目されているように思えます。たとえば今朝の毎日記事<森友文書改ざん太田理財局長「佐川氏知っていたと思う」>。

 

しかし、それはこの国有地取引の経緯との関係で、適切な問題意識と言えるのか、以前から気になっていましたので、改めてウェブ上の資料を参考に考えてみたいと思います。

 

まず、国有地の取引経緯について、同じ毎日記事<森友学園国有地売却問題 文書改ざん、主な削除部分>では、文書改ざんに係わる文書の内容と作成日を指摘しつつ、国有地問題のうち、貸付処理の経緯についてのみ、H25(13年).6.28~H27(15年).4.28の間の経緯を整理しています。なぜ所有権取得の経緯を取りあげていないのか、よくわかりませんが、よくできていますので、次の資料を基本にしつつ、これも必要に応じて引用したいと思います。

 

これとは別に一般の方が作成した<森友学園問題を時系列で検証してみた>があり、コメント部分は除いて、その当初からの経緯を時系列に一覧表にしているのは便利なので、これを参考にして、検討してみたいと思います。

 

1201月(大阪音楽大学が最大7億円での購入を希望)から1606月(森友学園の買取)まで時系列でかなり要約・あるいは省略されている部分もありますが、整理されています。

 

で、なにが気になるかというと、国有地売却における特例扱いの一つ、貸付処理したときの責任は問われなくてよいかという点です。次に売買価格を含む偽装工作ともいうべき処理の責任は誰が問われるべきかという点です。

 

佐川氏は、国会答弁の内容を責任追及されていますが、たしかにそれ自体問題であるものの、異例の貸付処理と不当あるいは不法な売買処理のとき、彼はどのような立場にあったか、誰も問題にしていないように見えます。それぞれの時点で、彼がなんらかの関与をしたのかそれが気になっていました。

 

それで、今度は理財局長の人事を時系列で調べてみますと、<財務省(旧大蔵省)組織 理財局 人事>というものがあり、それによると、

2013年(平成25年)329日~2014年(平成26年)74日 林 信光

2014年(平成26年)74日~2015年(平成27年)77日  中原 広

2015年(平成27年)77日~2016年(平成28年)617日 迫田英典

2016年(平成28年)617日~2017年(平成29年)75日 佐川宣寿

 

となっています。佐川氏は理財局長になった日から3日後に国有地の売買契約が締結されていますが、レールがすでに敷かれていて、その前に売買価格の交渉を終えていたのであり、成り立ての佐川氏がちゃぶ台返しをするような状況ではないですね。

 

では佐川氏が長官就任以前から本件取引に係わっていたかというと、上記の人事一覧で彼の名前のところをクリックすると、その学歴・職歴が記載されています。13年6月から佐川氏は理財局長に就任するまで国税・関税の関係の職務に就いていて、国有財産の処理には一切係わっていないとみられます。

 

他方で、その前任者である、林氏、中原氏、迫田氏こそ、貸付処理、売却処理の実質的決定に係わっている責任者と言うべきです。

 

だからといって、かれら当時の理財局長の個々の判断によってなされたと即断することもどうかと思われます。

 

ちょっと職歴等をフォローすると、学歴のわかっている中原氏、迫田氏、佐川氏、いずれも東大卒で、前2人は法学部、佐川氏が経済学部です。中原氏が一年上、迫田氏と佐川氏が同期です。当然、両者は出世競争を激しくしたと思いますが、ある時点で迫田氏が一歩リードしたと思われるのです。それは11年に内閣官房に出向した時点ではほぼ同じなのですが、その後迫田氏は引き続き内閣官房ないし大臣官房と内閣と密接な関係あったのに対し、佐川氏は大阪国税局長など少し距離を置いています。

 

その他迫田氏の出身地が山口県で安部首相の同郷といったことでいろいろ情報があるようです。それは別にして、本件取引の特例措置は、佐川氏の判断で行われたものでなく、迫田氏ないしは前任者らが行った可能性が高いといえます。

 

佐川氏のある種、毅然とした国会答弁は、そうした安部氏の問題発言もありますが、前任者の問題処理を組織として守ろうとしたのか、そんな疑問を抱いています。いずれにしても、佐川氏一人の責任問題ではなく、財務省全体、あるいは内閣をも含んだ問題ではないかとの疑いを払拭できない状況にあると思っています。

 

こんなことでいつまで議論を続けるのかという思いもありますが、内閣府と官僚の現在の組織に大きな異常事態が起こっているとしたら、徹底的に改善してもらいたいものです。

 

今日はこのへんでおしまい。また明日。


アマゾンは公正か <アマゾン 公取委立ち入り 王者に逆らえず・・>などを読みながら

2018-03-16 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

180318 アマゾンは公正か <アマゾン 公取委立ち入り 王者に逆らえず・・>などを読みながら

 

ここのところずいぶんと暖かくなってきました。運動不足を解消と足腰の劣化進行を少し抑えるため、室内ジョギングを始めたところですが、結構暑くなってきました。最初は5分から、次は10分、15分、そしてようやく20分となり、少しずつ足が動くようになってきました。ところが、かなり暑くなってきたので、今後は室内では難しいかなと思いつつ、汗をかいてシャワーを浴びるのもいいものですから、それなりに対応するのもいいかもと思っています。

 

ところで、今朝の毎日記事<アマゾン公取委立ち入り 王者に逆らえず メーカー「切られたくない」>は、やはりという感じをうけました。アマゾン利用者の一人である私ですが、十分サービスの利益を享受しつつ、少しサービスが良すぎるんではと思うこともありました。

 

たしかに注文すれば、翌日とか遅くとも数日中に届けてもらえるというのはとても便利で、田舎にいるとなかなか品物がない、といって都会まで出かける元気もないとき、アマゾンの存在がなければ結構、田舎生活も淋しいものになったかもしれません。といった感覚は物質主義に染まりすぎていると、反省しますが。自然農やほんとに田舎生活を享受している人は、おそらくアマゾンの品物やサービスなどは必要としていないのではないかと思っています。

 

いずれ本格的な田舎生活、というか自然の中で生きるとすれば、アマゾンなどなくてもなんの問題もないのですが、当分、そのサービスを受け続けそうな自分としては、アマゾンがまっとうな商売をしてもらいたい、公正な取引を行ってもらいたいと思うのです。

 

それは宅配便の件では、アマゾンの過剰なサービス強化で、労働者に対する加重労働・長時間労働を強いていた事実が明らかにされ、その後ある程度改善したと思います。私たち利用者も、できるだけ一度の配達で受け取れるように配慮するなり、新たなボックス制度を利用するなど、消費者側も配慮する必要があると思うのです。

 

さて、宅急便事件では、アマゾンの優越的地位を遺憾なく発揮している様子が窺えましたが、今回の公取委の立入調査は、より直接的な不公正な取引を強いている姿勢が少しずつ露呈してきたように見えます。

 

記事では、<ンターネット通販大手「アマゾンジャパン合同会社」(東京)が15日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査を受けた。自社サイトで取り扱う商品の納入業者に対し、値引き販売した額の一部を填(ほてん)させたとされ、ネット通販の「王者」としてのアマゾンの絶大な力に抗することができない日本メーカーの姿が浮かび上がる。>

 

今回問題となっている取引形態としては、上記の値引き額の一部補填と、協力金負担とがその乱用の疑いがかかっているようです。

 

後者について<アマゾンは昨秋から、納入業者に負担を求める動きを強めた。ある食品メーカーは、アマゾンからサイトで販売した金額の5%程度を協力金として負担するよう求められた。一度は拒否したものの、「商品の販売で不利な扱いを受ける」という懸念があり、交渉の結果、1%の支払いに応じたという。>

 

アマゾンが優越的地位にあるということは否定しがたいと思います。

<アマゾンは圧倒的な品ぞろえと低い価格、スピード配送を武器に急速に売り上げを伸ばし、2017年の国内の売上高は約119億ドル(約1兆3000億円)に上る。国内メーカーにとっては無視できない存在だ。日用品メーカーのうちの1社は「アマゾンはネット業界の絶対的王者。>

 

参考までに公取委の<優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方>により、協賛金と値引き分の補填に関連する事項を取りあげておきたいと思います。

 

協力金といった経済的利益の提供について、<独占禁止法第2条第9項第5号ロ>があり、その定めは次の内容です。

<ロ 継続して取引する相手方に対して,自己のために金銭,役務その他の経済上の利益 を提供させること。>

 

この解釈として、<この規定における「経済上の利益」の提供とは,協賛金,協力金等の名目のいかんを問 わず行われる金銭の提供,作業への労務の提供等をいう。>と規定しています。

 

想定例が挙がっていますので、一部を引用します。

<①取引の相手方の商品又は役務の販売促進に直接寄与しない催事,売場の改装,広 告等のための協賛金等を要請し,これを負担させること。

<②決算対策のための協賛金を要請し,取引の相手方にこれを負担させること。

<③自己の店舗の新規オープン又は改装オープンに際し,当該店舗の利益を確保す るため,事前に負担額,算出根拠,目的等について明確にすることなく,一定期間 にわたり,取引の相手方からの当該店舗に対する納入金額の一定割合に相当する 額を協賛金として負担させること。

<④一定期間に一定の販売量を達成した場合にリベートの提供を受けることをあら かじめ定めていた場合において,当該販売量を達成しないのに当該リベートを要 請し,負担させること。>

 

前者の場合、上記が該当する場合もあるでしょうが、<独占禁止法第2条第9項第5号ハ>も当てはまるかなと思われます。

 

その規定の内容は<ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み,取引の相手方から取引に係る 商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ,取引の相手方に対し て取引の対価の支払を遅らせ,若しくはその額を減じ,その他取引の相手方に不利 益となるように取引の条件を設定し,若しくは変更し,又は取引を実施すること>です。

 

想定例の一部を引用します。

<④ セールで値引販売したことを理由に,又は当該値引販売に伴う利益の減少に対 処するために,値引販売した額に相当する額を取引の相手方に値引きさせること。

  毎月,一定の利益率を確保するため,当該利益率の確保に必要な金額を計算し て,それに相当する額を取引の相手方に値引きさせること。

 

上記の④は本件の取引に近いかなと思われます。

 

アマゾンは、日本のこれまでの流通・運送業務など各方面に革命的な取組を行っていますが、それがある種の創造的革新となり、既存の不当な特権を破壊し、新たな公正な取引秩序を生み出し、消費者に利益を提供するだけでなく、競争者に公正な取引を促進し競争を生むものであればいいのですが、その優越的地位の乱用にならないよう、注意が必要でしょうね。

 

たとえば先月のニュース<取次外し 印刷工場から本を直接調達>も場合によって問題を含む内容があるかもしれません。具体的な事実関係を確認しないと即断できませんが。

 

とはいえ、アマゾンのサービスは、いろいろな面で革新的で、期待したいところでもあるので、その半面、問題があれば正してほしいものです。