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シンガポールの庭(14) あとがき
名古屋は、日本の都市の中で、一番人気のない都市といわれているそうですが、言われてみれば、確かにそうで、知人が名古屋に訪ねてきたとき、どこに案内しようかと思っても、一日分くらいしか行くところがありません。
まず、名古屋城。
その名古屋城に、本丸御殿が完成し、天守閣を木造に作り直す計画もすすんでいます。 “金シャチ横丁”もできて、ここにきて観光にも少し力が入りはじめた感じです。
シンガポールから帰ってきて、改めて名古屋の街を見てみました。
シンガポールの目で見るせいか、空き地や道路わきの雑草が気になります。広告看板や売り出しの旗、電線など目障りなものもやたら多く、街の美観を損なっています。
しかし、この程度の景観は、生活感があっていいという人もいます。あまり街をきれいにしすぎると、なんとなく落ち着かず、道端のゴミや、壁の落書きのある風景が懐かしくなるそうです。
そこで、ゴミや落書きの件は、条例などで規制するのではなく、その地域に住む人たちのモラルに任せ、県や市は、街路樹に着目してほしいと思うのであります。
10年くらい前のことですが、造園組合40人ほどで東京の庭園見学に行ったことがあります。その時、東京の中心部では既に電柱や電線の類はなく、空間はのびのびした街路樹で占められていました。
最近では、名古屋駅周辺の一部からも電線が消えて、のびのびした街路樹になってきていますが、わが尾張旭まで足を伸ばすと、相変わらず、ちんちくりんに枝を切り落とす街路樹剪定が主流です。
もうそういう剪定はやめて、木は伸びるだけ伸ばし、町がこんもりと樹木に覆われるくらいの、森の都「名古屋」にするというのはどうでしょうか。剪定は、大透かしにして、日差しだけは入るようにします。
また空き地という空地は、すべて市が一時的に借り受け、そこに木をいっぱい植えて、林にし、街のあちこちに里山の雰囲気をつくりだします。
できれば小さな池と小川をつくり、メダカを放します。トンボやゲンゴロウなども育てます。広い空地であれば、循環装置を使った小川をつくり、ホタルも飼育します。
元々里山にあった、チョウの食草になる、樹木や、草をいっぱい植えて、アゲハチョウから、シジミチョウまで、大小100種類のチョウが街中をとびかう「里山名古屋」にするという案は、どうでしょう。これなら、お金をかけず、観光名所ができます。
シンガポールの人工的な美しさに対し、名古屋の自然「里山」の美しさを世界にアピールし、日本で一番訪れたい都市にするのです。
造園業者が主役に躍り出るチャンスです。
シンガポールのガーデンをつぶさに見てきましたが、そこからたどり着いた発想は、自然そのものを見つめなおす、日本の新しい庭づくりでした。
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シンガポールの庭(14) あとがき
名古屋は、日本の都市の中で、一番人気のない都市といわれているそうですが、言われてみれば、確かにそうで、知人が名古屋に訪ねてきたとき、どこに案内しようかと思っても、一日分くらいしか行くところがありません。
まず、名古屋城。
その名古屋城に、本丸御殿が完成し、天守閣を木造に作り直す計画もすすんでいます。 “金シャチ横丁”もできて、ここにきて観光にも少し力が入りはじめた感じです。
シンガポールから帰ってきて、改めて名古屋の街を見てみました。
シンガポールの目で見るせいか、空き地や道路わきの雑草が気になります。広告看板や売り出しの旗、電線など目障りなものもやたら多く、街の美観を損なっています。
しかし、この程度の景観は、生活感があっていいという人もいます。あまり街をきれいにしすぎると、なんとなく落ち着かず、道端のゴミや、壁の落書きのある風景が懐かしくなるそうです。
そこで、ゴミや落書きの件は、条例などで規制するのではなく、その地域に住む人たちのモラルに任せ、県や市は、街路樹に着目してほしいと思うのであります。
10年くらい前のことですが、造園組合40人ほどで東京の庭園見学に行ったことがあります。その時、東京の中心部では既に電柱や電線の類はなく、空間はのびのびした街路樹で占められていました。
最近では、名古屋駅周辺の一部からも電線が消えて、のびのびした街路樹になってきていますが、わが尾張旭まで足を伸ばすと、相変わらず、ちんちくりんに枝を切り落とす街路樹剪定が主流です。
もうそういう剪定はやめて、木は伸びるだけ伸ばし、町がこんもりと樹木に覆われるくらいの、森の都「名古屋」にするというのはどうでしょうか。剪定は、大透かしにして、日差しだけは入るようにします。
また空き地という空地は、すべて市が一時的に借り受け、そこに木をいっぱい植えて、林にし、街のあちこちに里山の雰囲気をつくりだします。
できれば小さな池と小川をつくり、メダカを放します。トンボやゲンゴロウなども育てます。広い空地であれば、循環装置を使った小川をつくり、ホタルも飼育します。
元々里山にあった、チョウの食草になる、樹木や、草をいっぱい植えて、アゲハチョウから、シジミチョウまで、大小100種類のチョウが街中をとびかう「里山名古屋」にするという案は、どうでしょう。これなら、お金をかけず、観光名所ができます。
シンガポールの人工的な美しさに対し、名古屋の自然「里山」の美しさを世界にアピールし、日本で一番訪れたい都市にするのです。
造園業者が主役に躍り出るチャンスです。
シンガポールのガーデンをつぶさに見てきましたが、そこからたどり着いた発想は、自然そのものを見つめなおす、日本の新しい庭づくりでした。
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