《あらすじ》
「担任は僕が引き受けますよ」
セチャンはニコニコと笑った。
ナムスンは、補習対象の生徒を集めようと一計を案じる。
ジョンホに電話をかけ、勝負を挑んだのだ。
もちろんクラスの広報マン、ギドクにも情報を流した。
心配したり、興味津々だったり、補習組が集まってきた。
いきりたってやってきたジョンホたちも、
ひとまず様子を見ようと、仕方なく席についた。
ハギョンも「塾通いをバラすぞ」とナムスンにメールされて、
仕方なく補習に出てきた。
インジェの補習は、自分の夢について動画を作るという課題。
「先生の夢は?」
「教師になること」
「へぇ、じゃ、かなったんだ」
「うん、まあね」
たった今、クビになったんだけどね……。
補習は終わったが、ジョンホがそのままで済ますわけがない。
ナムスンは屋上に連れて行かれた。
とうとう勝負が始まるのか?
クラスメイトは慌てて先生を呼びに走った。
今俺たちがケンカしたら先生がクビになっちまう……。
鍵のかかった屋上から階下の屋根に飛び降りて、
ナムスンは逃走。勝負はお預けになった。
「先生、ホントにクビ?」
「先生が担任で嬉しかったのに」
「2組を見捨てないでよ~」
生徒たちの声に、インジェはため息をついた。
まだ生徒の手を離すべき時ではない。
自分の書いた言葉に励まされ、生徒たちの声に後押しされ、
翌朝インジェは校長に直談判。
なぜかセチャンも味方をしてくれて、クビの皮が一枚つながった。
ただし、共同担任だ。
生徒たちはほっとして嬉しそうにインジェを取り囲んだ。
セチャンに反目するナムスンの態度は相変わらずだったが。
授業に出ないナムスンを見かけて、チョ先生は体育館掃除を命じた。
セチャンと一緒に半分ずつ。
さすがのふたりも、人格者のチョ先生には頭があがらない。
掃除が終わる頃には、一応の休戦協定が結ばれた。
インジェが生徒たちに提出を求めた自己紹介書。
ナムスンの筆は進まない。
成長背景だって?
俺は……俺は……どう書けば?
セチャンには学習計画書を出せと言われているし、生徒たちは文句たらたらだ。
「コ・ナムスン、お前の夢は?」セチャンが聞く。
「ないよ」
「夢もないし進学もしないのに、なぜ学校へ?」
「考えてみるよ」
飄々としたナムスン。
ハギョンは、勉強会を抜けたことでクラスの女子に詰問されていた。
「だって本来は内申Aクラスの勉強会のはずでしょ?でも違ったし」
自分たちをバカにした態度に、ウネは腹を立てた。
ハギョンがいないから、と、友達に黄金ノートも見せてもらえない。
論述クラスにも選抜されなかった……。
悔しさのあまり、友人の黄金ノートを盗んで写真を撮る。
ノートは教室のゴミ箱に捨てた。
それを見つけたのは、居残りで自己紹介書を書いていたナムスン。
ハギョンのものだろうと、彼女の机に入れた。
それが後々トラブルの元になるなんて、思ってもみなかった。
黄金ノートを盗んだと思われてしまったハギョン。
「わたしは知らないわ」
「それ、俺がこいつの机に入れたんだ」
ナムスンが正直に申し出ても、なぜ、ハギョンのものだと思ったのか、説明がつかない。
彼女の塾通いは秘密だから。
もちろんセチャンは事情を知っている。
「僕の教え子だったから彼女にあげたんです」
「ノートひとつであんなに大騒ぎ。いっそみんなにあげたら?」
「みんな大金を払って手に入れてるんですよ?」
「あなたはまだ講師なのね。教師じゃなくて」
インジェのため息が冷たい。
ナムスンは放課後ジョンホに連れ去られ、殴られていた。
なぜか彼はけっして反撃しない。
「殴るのは快感だろ?くせになる。ぼろぼろになるまで殴れよ。
お前の人生もすり切れるぞ」
カッとなってさらに殴りかかろうとしたジョンホを、誰かが止めた。
不適に笑う少年。
「久しぶりだな、コ・ナムスン」
先生が現れ、散会して逃げたナムスンは昔のことを思い出していた。
殴られ、蹴られる自分を笑って見ていたあいつ……。
と、そこへ電話がかかってくる。
届け物の依頼だ。
それが、ハギョンの洋服?
彼女は、塾へ行くための着替えを教室において帰っていたのだ。
急いで着替えないと。
底辺校の生徒だとバレたら、塾のみんなになんて言われるか。
だが、タイミング悪く、トイレで着替えようとしていたところを、
塾の生徒に見つかってしまった。
「名門校の生徒しか通えない塾なのよ?嘘ついてたの?」
「だけどあなたたちより頭がいいわ」
隠していた秘密が、バレてしまった。
それでも着替えて、塾に向かおうとするハギョン。
「おい、行くのかよ?あいつが電話で言いふらしてたぞ」
「構わない」
屹然と歩いて行く彼女をナムスンは追いかけた。
「来いよ。昼間で懲りたろ?今行けばまた攻撃されるぞ」
さすがのハギョンも力が抜けて、
ナムスンが腕をひくのに身をまかせた。
「乗れよ」
イヤだというハギョンを、強引にスクーターに乗せた。
ふたり乗りのスクーターが、夜の街を走る。
ナムスンの腰にしっかりと手をまわし、ハギョンは頬をぬぐった。
「ねぇ、止めて」
スクーターを止めさせて、ハギョンは制服を橋の上から投げ捨てた。
「おい!血迷ったのか!」
「そうよ。恥ずかしくて。あれもこれも、スンリ校の生徒だってことも、
心底恥だわ。あんたにはわかりっこない」
「マジでおかしいぞ。お前あの子たちより頭いいんだろ?何が恥ずかしいんだよ」
ナムスンはあきれたし、わけがわからない。
「あんた捨てたいものは?捨てちゃいなよ!
ふっ、そんなものないか、あんた脳天気だもんね」
ハギョンの怒ったような横顔を見つめて、ナムスンはつぶやいた。
「俺、俺を捨てたい」
その言葉に、驚いたようなハギョン。
意地をはって、歩いて帰るという彼女がバスに乗るまで、
ナムスンはそっと見守った。
家に戻って、もう一度考える。
自己紹介書に何をかく?
正直、学校が嫌だ。なぜ学校へ行くのだろう。恥をかくばかりだし
イラつくことばかり。勉強もできないし、夢もないし殴られるのもいやだ。
でも朝になると、自然と足が向いている。
学校へ行く理由を問えば、答えはひとつ。なんとなく……。
翌朝、2組に転校生がやってきた。
パク・フンス。
ナムスンは、動揺していた。
委員長として号令をかけたナムスンを見て、フンスが冷ややかに笑う。
教室を出たセチャンは違法な家庭教師の件で呼び出しを受けた。
(つづく)
うわー、この回で、転校生パク・フンスが登場。
彼もわりと色白ですね。顔ながい。
演じるキム・ウビンくんは、「花ざかり……」で気になった俳優さんです。
こないだはお兄さん役で今回は高校生役……。
お忙しいですわね。
インジュ先生と並ぶと、その背の高さが強調されて大変。
なんかこう、巨人的な……。
でも、高校生よ!
ナムスンと過去に因縁がありそうですね。
ナムスンへの暴行を指示していたの?
彼をいじめてたの?
お前が委員長かよ、へっ、みたいな顔をしてましたよね。
ナムスンも、彼が転校してきたことを知ると、
全然顔つきが変わっちゃった感じ。
さっきまではハギョンを支えてちょっとカッコイイ男子だったのに、
急に幼くなったみたいな気弱そうな表情になっちゃって。
ほんとに、過去に何があったの?
フンスを見つめるナムスン。やっぱりいじめられてたの?
「俺は俺を捨てたい」っていうナムスン。
「殴るのは快感だろ?
殴りたいだけ殴ればいい。お前もすり切れるぞ」と忠告するナムスン。
彼が、人を殴って生きてきた子とは思えない。
それよりも、人の痛みをわかってあげて、そっと助けてくれる子に見えるの。
自分が傷ついてきたから、人の痛みがわかる子なんだと思う。
ただあの言葉は……。
人を殴って、殴って、すり切れてしまった人を知っている、ということなのかしら。
それがフンスなのかもしれないわね。
ハギョンはとても頭がいいのに、
なぜスンリ高校へ入学したのかな。
そこがすべての始まりだと思うけど、塾の高い月謝を払えるくらいなのに、なぜ?
おうちに何か問題があるのかしら?
そのうちわかってくることなんでしょうけれど。
ただ、彼女は強い。
目標があるから、そのためならなんだって出来る覚悟がある。
ソウル大入学。よほど頑張らないと無理かな?2年では首席だそうですが。
ナムスンとハギョンの委員長・副委員長コンビ、いい感じです。
ナムスンが彼女を心配してあげるんだけど、
やっぱりそこは男の子で。
ちぇっ、女はわかんねーや、みたいな届かない感じとか、
心配されるハギョンの方の、
肝心なとこはわかってないからウザいけど
心配してくれるのはなんか嬉しい、みたいな感じとか、
お互いのかゆいところに手が届ききらない感じが好きっ。
所詮他人同士といっちゃあ身もふたもありませんが、
特に彼らは思春期男子と思春期女子なわけで。
子ども同士だからわかりあえる部分と、
子ども同士だからこそわかりあえない部分が混在していてとても複雑。
もどかしいのなんの。
だがそこがイイ!
大人同士ってね、
わかりあえないけど、でも推察出来るよって部分がどんどん増えてくるのね。
一応、長く生きているので。
心から共感はできないけれど、まぁわからないでもないよ、と
頭で理解できる範囲が広がってくるんですよ。
それって経験値の違いなので、大人でも子どもみたいな人はいるし、
子どもでも大人みたいな人もいますけれども、
一般的に大人は子どもよりうまくやるんです、人間関係。
でもそんな関係、観ててもちっとも面白くない。
わかってほしい気持ちと
どうせわかるわけないって気持ちとの間で揺れながら、
不器用に人と関わろうとする関係が好き。
ま、あくまでも「はたから観る分には」ってことだけどさ。
ハギョンとナムスンが、女の子と男の子っていうのもあって、
ちょっとこそばゆい感じの距離感がいいな、と。
ぼすっとメットをかぶせられて強引にスクーターに乗っけられるって、
青春だよねー!キャー!いいなぁ、高校生っぽい!
あご下でメットのベルトをかちっと止めてもらうところなんてもう!
うう、高校生の時にこんなことされてみたかった……。
ハギョンもホントは怖いんだもん。
何言われるかわかんないし。ひどい悪意をぶつけられるんだし。
でも意地っ張りだから行こうとする。
ソウル大へ行くって目標があるから、
自分は強いと思ってるから、行こうとする。
それを止めてくれるんだよナムスンが~。
クサいセリフ吐いたりしないで、
熱血におせっかいするわけじゃなくて、
たらりらりーんって感じでさらっと守ってくれるんだよ~。
いいないいなー。
ちゃんとバスに乗るまで見ててくれるしさー。
そのくせ自分を捨てたいなんて
弱みを見せちゃってさ……。
惚れてまうやろ!
翌朝なんて、制服捨てちゃったから体操服着て校門でもじもじしてるハギョンに、
自分のブレザーをパッと渡してくれるんだよ?
で、ハギョンが教室でそれを突っ返すと。
「男子の制服なんて着れないわ」って。
ああ!恥ずかしげなハギョンの気持ちが痛いほどわかるわ!
ツンデレ、ツンデレですね?!お嬢さん?!
ナムスンにぎゅっとしてスクーターに乗ってる姿とか、
ちょっと泣いちゃったとことか、女の子だなぁ。
強がってるけど女の子。ハギョン美人だし頭イイし、かわいい。
委員長と副委員長……いいなぁ。
他の男子と比べると、格段に大人っぽいナムスン。
あのショートカットの女の子が
何かと彼に絡むのも、きっと「恋」なんだわねぇ。
先生たちのやりとりも、定番ながら面白い。
セチャン先生の言うこともわかるし、
インジェ先生の言いたいこともわかる。
ただちょっとまだ、インジェの歩が悪い感じ。
なぜだろう?いい先生だけど、生徒の心をぐっとつかむとこまでは
行ってない気がするんだよね。
ちょっと友達先生みたいに軽く見られてる感じ。
先生かわいそーだから、言うこと聞いてやろうぜ、みたいな。
チョ先生からみたら、ふたりともまだ生徒のようなものですね。
ナムスンとセチャン先生は、チョ先生に言われて体育館掃除をして、
仕方なく仲直り。
先生らしくなく、自分の心に正直なセチャン先生は、
インジェ先生とは別の角度から、生徒たちの心を変えてくれるような気がする。
どっちが優れた先生か、という話ではなくてね。
共同担任、思いのほか良い効果があがるんじゃないかしら。
めんどくさいなぁと思いながらも、毎日毎朝、なんとなく学校へ行く。
学校に行かない、なんて選択肢、高校生の頃は考えたこともなかった。
学校って、ほんとに特別な場所なんだな……。
通っている時は、気がつかないんだけど。
「担任は僕が引き受けますよ」
セチャンはニコニコと笑った。
ナムスンは、補習対象の生徒を集めようと一計を案じる。
ジョンホに電話をかけ、勝負を挑んだのだ。
もちろんクラスの広報マン、ギドクにも情報を流した。
心配したり、興味津々だったり、補習組が集まってきた。
いきりたってやってきたジョンホたちも、
ひとまず様子を見ようと、仕方なく席についた。
ハギョンも「塾通いをバラすぞ」とナムスンにメールされて、
仕方なく補習に出てきた。
インジェの補習は、自分の夢について動画を作るという課題。
「先生の夢は?」
「教師になること」
「へぇ、じゃ、かなったんだ」
「うん、まあね」
たった今、クビになったんだけどね……。
補習は終わったが、ジョンホがそのままで済ますわけがない。
ナムスンは屋上に連れて行かれた。
とうとう勝負が始まるのか?
クラスメイトは慌てて先生を呼びに走った。
今俺たちがケンカしたら先生がクビになっちまう……。
鍵のかかった屋上から階下の屋根に飛び降りて、
ナムスンは逃走。勝負はお預けになった。
「先生、ホントにクビ?」
「先生が担任で嬉しかったのに」
「2組を見捨てないでよ~」
生徒たちの声に、インジェはため息をついた。
まだ生徒の手を離すべき時ではない。
自分の書いた言葉に励まされ、生徒たちの声に後押しされ、
翌朝インジェは校長に直談判。
なぜかセチャンも味方をしてくれて、クビの皮が一枚つながった。
ただし、共同担任だ。
生徒たちはほっとして嬉しそうにインジェを取り囲んだ。
セチャンに反目するナムスンの態度は相変わらずだったが。
授業に出ないナムスンを見かけて、チョ先生は体育館掃除を命じた。
セチャンと一緒に半分ずつ。
さすがのふたりも、人格者のチョ先生には頭があがらない。
掃除が終わる頃には、一応の休戦協定が結ばれた。
インジェが生徒たちに提出を求めた自己紹介書。
ナムスンの筆は進まない。
成長背景だって?
俺は……俺は……どう書けば?
セチャンには学習計画書を出せと言われているし、生徒たちは文句たらたらだ。
「コ・ナムスン、お前の夢は?」セチャンが聞く。
「ないよ」
「夢もないし進学もしないのに、なぜ学校へ?」
「考えてみるよ」
飄々としたナムスン。
ハギョンは、勉強会を抜けたことでクラスの女子に詰問されていた。
「だって本来は内申Aクラスの勉強会のはずでしょ?でも違ったし」
自分たちをバカにした態度に、ウネは腹を立てた。
ハギョンがいないから、と、友達に黄金ノートも見せてもらえない。
論述クラスにも選抜されなかった……。
悔しさのあまり、友人の黄金ノートを盗んで写真を撮る。
ノートは教室のゴミ箱に捨てた。
それを見つけたのは、居残りで自己紹介書を書いていたナムスン。
ハギョンのものだろうと、彼女の机に入れた。
それが後々トラブルの元になるなんて、思ってもみなかった。
黄金ノートを盗んだと思われてしまったハギョン。
「わたしは知らないわ」
「それ、俺がこいつの机に入れたんだ」
ナムスンが正直に申し出ても、なぜ、ハギョンのものだと思ったのか、説明がつかない。
彼女の塾通いは秘密だから。
もちろんセチャンは事情を知っている。
「僕の教え子だったから彼女にあげたんです」
「ノートひとつであんなに大騒ぎ。いっそみんなにあげたら?」
「みんな大金を払って手に入れてるんですよ?」
「あなたはまだ講師なのね。教師じゃなくて」
インジェのため息が冷たい。
ナムスンは放課後ジョンホに連れ去られ、殴られていた。
なぜか彼はけっして反撃しない。
「殴るのは快感だろ?くせになる。ぼろぼろになるまで殴れよ。
お前の人生もすり切れるぞ」
カッとなってさらに殴りかかろうとしたジョンホを、誰かが止めた。
不適に笑う少年。
「久しぶりだな、コ・ナムスン」
先生が現れ、散会して逃げたナムスンは昔のことを思い出していた。
殴られ、蹴られる自分を笑って見ていたあいつ……。
と、そこへ電話がかかってくる。
届け物の依頼だ。
それが、ハギョンの洋服?
彼女は、塾へ行くための着替えを教室において帰っていたのだ。
急いで着替えないと。
底辺校の生徒だとバレたら、塾のみんなになんて言われるか。
だが、タイミング悪く、トイレで着替えようとしていたところを、
塾の生徒に見つかってしまった。
「名門校の生徒しか通えない塾なのよ?嘘ついてたの?」
「だけどあなたたちより頭がいいわ」
隠していた秘密が、バレてしまった。
それでも着替えて、塾に向かおうとするハギョン。
「おい、行くのかよ?あいつが電話で言いふらしてたぞ」
「構わない」
屹然と歩いて行く彼女をナムスンは追いかけた。
「来いよ。昼間で懲りたろ?今行けばまた攻撃されるぞ」
さすがのハギョンも力が抜けて、
ナムスンが腕をひくのに身をまかせた。
「乗れよ」
イヤだというハギョンを、強引にスクーターに乗せた。
ふたり乗りのスクーターが、夜の街を走る。
ナムスンの腰にしっかりと手をまわし、ハギョンは頬をぬぐった。
「ねぇ、止めて」
スクーターを止めさせて、ハギョンは制服を橋の上から投げ捨てた。
「おい!血迷ったのか!」
「そうよ。恥ずかしくて。あれもこれも、スンリ校の生徒だってことも、
心底恥だわ。あんたにはわかりっこない」
「マジでおかしいぞ。お前あの子たちより頭いいんだろ?何が恥ずかしいんだよ」
ナムスンはあきれたし、わけがわからない。
「あんた捨てたいものは?捨てちゃいなよ!
ふっ、そんなものないか、あんた脳天気だもんね」
ハギョンの怒ったような横顔を見つめて、ナムスンはつぶやいた。
「俺、俺を捨てたい」
その言葉に、驚いたようなハギョン。
意地をはって、歩いて帰るという彼女がバスに乗るまで、
ナムスンはそっと見守った。
家に戻って、もう一度考える。
自己紹介書に何をかく?
正直、学校が嫌だ。なぜ学校へ行くのだろう。恥をかくばかりだし
イラつくことばかり。勉強もできないし、夢もないし殴られるのもいやだ。
でも朝になると、自然と足が向いている。
学校へ行く理由を問えば、答えはひとつ。なんとなく……。
翌朝、2組に転校生がやってきた。
パク・フンス。
ナムスンは、動揺していた。
委員長として号令をかけたナムスンを見て、フンスが冷ややかに笑う。
教室を出たセチャンは違法な家庭教師の件で呼び出しを受けた。
(つづく)
うわー、この回で、転校生パク・フンスが登場。
彼もわりと色白ですね。顔ながい。
演じるキム・ウビンくんは、「花ざかり……」で気になった俳優さんです。
こないだはお兄さん役で今回は高校生役……。
お忙しいですわね。
インジュ先生と並ぶと、その背の高さが強調されて大変。
なんかこう、巨人的な……。
でも、高校生よ!
ナムスンと過去に因縁がありそうですね。
ナムスンへの暴行を指示していたの?
彼をいじめてたの?
お前が委員長かよ、へっ、みたいな顔をしてましたよね。
ナムスンも、彼が転校してきたことを知ると、
全然顔つきが変わっちゃった感じ。
さっきまではハギョンを支えてちょっとカッコイイ男子だったのに、
急に幼くなったみたいな気弱そうな表情になっちゃって。
ほんとに、過去に何があったの?
フンスを見つめるナムスン。やっぱりいじめられてたの?
「俺は俺を捨てたい」っていうナムスン。
「殴るのは快感だろ?
殴りたいだけ殴ればいい。お前もすり切れるぞ」と忠告するナムスン。
彼が、人を殴って生きてきた子とは思えない。
それよりも、人の痛みをわかってあげて、そっと助けてくれる子に見えるの。
自分が傷ついてきたから、人の痛みがわかる子なんだと思う。
ただあの言葉は……。
人を殴って、殴って、すり切れてしまった人を知っている、ということなのかしら。
それがフンスなのかもしれないわね。
ハギョンはとても頭がいいのに、
なぜスンリ高校へ入学したのかな。
そこがすべての始まりだと思うけど、塾の高い月謝を払えるくらいなのに、なぜ?
おうちに何か問題があるのかしら?
そのうちわかってくることなんでしょうけれど。
ただ、彼女は強い。
目標があるから、そのためならなんだって出来る覚悟がある。
ソウル大入学。よほど頑張らないと無理かな?2年では首席だそうですが。
ナムスンとハギョンの委員長・副委員長コンビ、いい感じです。
ナムスンが彼女を心配してあげるんだけど、
やっぱりそこは男の子で。
ちぇっ、女はわかんねーや、みたいな届かない感じとか、
心配されるハギョンの方の、
肝心なとこはわかってないからウザいけど
心配してくれるのはなんか嬉しい、みたいな感じとか、
お互いのかゆいところに手が届ききらない感じが好きっ。
所詮他人同士といっちゃあ身もふたもありませんが、
特に彼らは思春期男子と思春期女子なわけで。
子ども同士だからわかりあえる部分と、
子ども同士だからこそわかりあえない部分が混在していてとても複雑。
もどかしいのなんの。
だがそこがイイ!
大人同士ってね、
わかりあえないけど、でも推察出来るよって部分がどんどん増えてくるのね。
一応、長く生きているので。
心から共感はできないけれど、まぁわからないでもないよ、と
頭で理解できる範囲が広がってくるんですよ。
それって経験値の違いなので、大人でも子どもみたいな人はいるし、
子どもでも大人みたいな人もいますけれども、
一般的に大人は子どもよりうまくやるんです、人間関係。
でもそんな関係、観ててもちっとも面白くない。
わかってほしい気持ちと
どうせわかるわけないって気持ちとの間で揺れながら、
不器用に人と関わろうとする関係が好き。
ま、あくまでも「はたから観る分には」ってことだけどさ。
ハギョンとナムスンが、女の子と男の子っていうのもあって、
ちょっとこそばゆい感じの距離感がいいな、と。
ぼすっとメットをかぶせられて強引にスクーターに乗っけられるって、
青春だよねー!キャー!いいなぁ、高校生っぽい!
あご下でメットのベルトをかちっと止めてもらうところなんてもう!
うう、高校生の時にこんなことされてみたかった……。
ハギョンもホントは怖いんだもん。
何言われるかわかんないし。ひどい悪意をぶつけられるんだし。
でも意地っ張りだから行こうとする。
ソウル大へ行くって目標があるから、
自分は強いと思ってるから、行こうとする。
それを止めてくれるんだよナムスンが~。
クサいセリフ吐いたりしないで、
熱血におせっかいするわけじゃなくて、
たらりらりーんって感じでさらっと守ってくれるんだよ~。
いいないいなー。
ちゃんとバスに乗るまで見ててくれるしさー。
そのくせ自分を捨てたいなんて
弱みを見せちゃってさ……。
惚れてまうやろ!
翌朝なんて、制服捨てちゃったから体操服着て校門でもじもじしてるハギョンに、
自分のブレザーをパッと渡してくれるんだよ?
で、ハギョンが教室でそれを突っ返すと。
「男子の制服なんて着れないわ」って。
ああ!恥ずかしげなハギョンの気持ちが痛いほどわかるわ!
ツンデレ、ツンデレですね?!お嬢さん?!
ナムスンにぎゅっとしてスクーターに乗ってる姿とか、
ちょっと泣いちゃったとことか、女の子だなぁ。
強がってるけど女の子。ハギョン美人だし頭イイし、かわいい。
委員長と副委員長……いいなぁ。
他の男子と比べると、格段に大人っぽいナムスン。
あのショートカットの女の子が
何かと彼に絡むのも、きっと「恋」なんだわねぇ。
先生たちのやりとりも、定番ながら面白い。
セチャン先生の言うこともわかるし、
インジェ先生の言いたいこともわかる。
ただちょっとまだ、インジェの歩が悪い感じ。
なぜだろう?いい先生だけど、生徒の心をぐっとつかむとこまでは
行ってない気がするんだよね。
ちょっと友達先生みたいに軽く見られてる感じ。
先生かわいそーだから、言うこと聞いてやろうぜ、みたいな。
チョ先生からみたら、ふたりともまだ生徒のようなものですね。
ナムスンとセチャン先生は、チョ先生に言われて体育館掃除をして、
仕方なく仲直り。
先生らしくなく、自分の心に正直なセチャン先生は、
インジェ先生とは別の角度から、生徒たちの心を変えてくれるような気がする。
どっちが優れた先生か、という話ではなくてね。
共同担任、思いのほか良い効果があがるんじゃないかしら。
めんどくさいなぁと思いながらも、毎日毎朝、なんとなく学校へ行く。
学校に行かない、なんて選択肢、高校生の頃は考えたこともなかった。
学校って、ほんとに特別な場所なんだな……。
通っている時は、気がつかないんだけど。
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