最近やっと気づいたんですけど……。
オム先生は、「善徳女王」のヨムジョンですよね?!
あ、あんな悪い役やってたのに……。
いまはこんなにいい先生で、ほんとに別人です。
役者さんってあらためてスゴいわぁ。
《あらすじ》
インジェの教室には、ひとりの生徒もいなかった。
そしてセチャンの教室にも……。
窓から飛び降りられなかったフンスは、
ナムスンに「お前が行け!」といって男たちに向かい合った。
そう言われて、ナムスンが行けるわけもない。
「突破だ。俺は左」
ささやいて、数を数えて一気に突っ込むと、人波が割れた。
何人かを殴り、蹴り飛ばして、ふたりは必死に走って逃げる。
捕まれば一巻の終わりだというのに、なぜか胸が躍る。
ギリギリのところでふたりはバスに乗り込み、
奴らを振り切ることができた。
フンスは思わずナムスンの肩を抱き、ふたりは満面の笑みで相手を見る。
そして気まずそうに離れると、無言でバスに揺られていくのだった。
バスを降りるフンスを一度は見送ったナムスンだが、思いなおしてすぐに後を追った。
「脚は大丈夫か?俺のことなんてほっとけばよかったんだ」
「お前のためじゃない。ジョンホを喜ばせるのがイヤだっただけだ」
「嘘つけ。ありがとな」
「何が?」
「約束を守ったろ。バカヤロウ、おせっかいめ」
ふたりは思いだしていた。
昔、まだふたりがつるんでいた頃、
フンスは学生に暴力を振るおうとしたナムスンを止めたことがあった。
「鼓膜でも破ったら警察沙汰になるぞ」
ニヤニヤ笑いながら、フンスは言ったものだ。
「お前がどこで何をしていようと、お前が犯罪は犯させない。
この約束は絶対に守る」
あの約束を、フンスは守ってくれたのだ。
彼がジョンホの計略を教えにきてくれなかったら、
ナムスンは暴力沙汰で警察のやっかいになったに違いなかった。
無事に逃げたフンスは、ジョンホに警告を与える。
「もう手を出すな」と。
そしてナムスンと自分を揶揄したジョンホを一発殴った。
脚のことを言われ、我慢ができなかった。
学校では、不測の事態に校長が怒りをぶちまけていた。
しかし、怒っているのはセチャンも同じだ。
いや、保身のために怒っている校長よりも、もっと怒っているかも知れない。
校長のむちゃな押しつけが、生徒たちをボイコットに走らせたのだ。
子ども達は結局どちらの授業も選べなかった。
生徒のボイコット問題をどう決着させるか、職員室は紛糾した。
全員欠席にして内申に傷がつけば、保護者も黙っていないだろう。
セチャンとインジェは、こんなことを強要した大人が悪いと考えている。
生徒たちに罪はない。
お互いに、生徒が相手の教室に行っていると思っていた。
だが、それとこれとは別の話だ。
セチャンはインジェに譲歩してほしいと言う。
いずれ受験型の勉強をしなければならないのは確かなのだから。
それに、生徒の気持ちを考えてみれば?
翌日、2組の生徒たちの処分は掃除で良し、とふたりの担任が告げた。
神妙な顔をしていた生徒たちはホッと息をつく。
と、そこへナムスンが入ってきた。
ジョンホはおらず、歓迎ムードがそこはかとなく流れる。
ナムスンはフンスの背中を見つめ、
フンスは背中越しにナムスンの存在を意識した。
「なぜ遅れた?」セチャンの優しい声に、「迷ってて」とナムスンも素直に答える。
「迷ったけど来たわけか、よしよし」
ナムスンは努めて無表情だったが、インジェは嬉しかった。
久しぶりの委員長の号令で、朝礼は終わった。
オム先生は、ナムスンとフンスに校内奉仕の罰を与え、
その監督をセチャンに命じた。
古い倉庫の掃除を命じられたふたりは、しぶしぶ従う。
中の椅子や机を全部屋上に運ぶように言われてヘトヘトだ。
半ば嫌がらせの作業を黙々とこなすしかない。
一方、授業ボイコットの波紋は広がっていた。
保護者が噂を聞きつけ、授業方針をセチャンの受験型に統一するよう、
圧力をかけたのだ。
インジェを説得せよと、校長から言われたセチャンは気が進まない。
「彼女に落ち度はありませんしね」
だが、統一模試の結果が悪ければ、保護者の不満はすべてインジェに向かうだろう。
「学校でも塾でも、保護者が王様か……」
彼女の詩編を使ったグループ学習は、けして悪くはないのだが。
インジェも内心、自分の授業に自信を失っていた。
一部の生徒はあからさまに彼女を無視し、内職ばかり。
セチャンが一緒に進めようと言ってくる試験対策の授業はどんなものなのか?
「生徒が本当に寝ないなら、一緒にやります。
生徒の気持ちも考えないと……」
セチャンの授業を見学したインジェは、驚いた。
詰め込み式の受験授業をやっているとばかり思っていたら、
詩を使った分析の授業はなかなかのものだ。
だが、やはり寝ている生徒が目についた。全員が学びに集中しているわけではない。
「やっぱり、グループ学習を続けてみます」
彼女の信念は、より強くなったようだった。
1日目の奉仕作業を終えたナムスンに、セチャンが声をかけた。
「中学をやめてどうしてた?」
「家にいた。寝てた」
「それから中卒試験に受かったのか。
重荷だろ?パク・フンスは。
だけど、がんばれば耐えられる。だから……」
何かいいたげなセチャンだったが、「顔の汚れは拭いとけ」と続けて笑った。
ナムスンは、フンスと別れたあの頃を思いだす。
脚を折って入院したフンスに会いに行った。
だが、病室から憎悪の目で見下ろされ、逃げ出した。
震えて泣きながら、家に閉じこもっていた。
どうしてもフンスには会えなかった。
セチャンは、影ながらインジェを支えようと、
2組の夜間授業をやることにした。
「成績を上げたいの?塾講師のメンツのため?」
インジェは彼の気持ちを知らないが、まぁとにかくやるだけはやらないと。
生徒たちの努力は数日続き、フンスとナムスンは奉仕作業を続けた。
そしてテストの日が来た。
校長はふたりの担任を呼びつけ、
暗に成績不審者にテストを受けさせないよう指示する。
平均点を下げないためだ。
反論しようとするインジェを押さえ、「検討します」と言ったのはセチャン。
ふたりだけになった時、インジェは怒った。
「あんなこと、お茶を濁さずにすぐ拒絶しなきゃダメです!」
「僕は真面目に検討しようかと思ってますよ」
納得がいかない顔のインジェを説得するには、真実を話すしかなかった。
テストの平均点が悪ければ、校長が窮地に立たされること。
そうなれば矛先はすべてインジェに向かうだろうということ。
なぜなら、保護者はセチャンを選んだから。
子ども達を全員進級させて次の担任に引き継ごうと思っていても、
辞めさせられたらすべて終わりだ。
インジェはショックだった。
「あなたができないなら、僕が教室から連れ出します」
だが、セチャンにはっきりと言った。
「カン先生にだって出来ないはずよ。
そんなこと、教師として間違っていますから!」
教師たちの思惑をよそに、テストは淡々と進む。
必死に取り組むもの、すぐに寝てしまうもの、さまざまだ。
休み時間、教室の空気に辟易したフンスはタバコを吸いに外へ出た。
ところが、心配して後を追ったナムスンと一緒に、
倉庫へ閉じ込められてしまった。
携帯はテストのために預けてあり、助けも呼べない。
教室では、英語のリスニングテストの最中にジョンホが携帯ゲームを始め、
騒然となっていた。
インジェが注意しても聞かず、嫌がらせを続けるジョンホの腕をセチャンがつかむ。
「はなせよ、自分で出てくから」
その力の強さにひるんだジョンホはそう言うが、セチャンは離さない。
廊下まで連れ出し、ようやく手を離した。
背を向けて行こうとしたジョンホに言う。
「お前もやり返せよ」
そんな挑発にのるほどジョンホもバカではない。
「学校に通い続けたければ、ここへ戻れ。
そうしないなら、二度と教室には入れないぞ」
セチャンの言葉は本気だったが、ジョンホはためらわずに歩き去った。
(つづく)
いろいろ問題はありますが、フンスとナムスン。
閉じ込められて倉庫にふたりきりだなんて……。
だからコレどこの中2妄想ですかって!!
つるんで悪さしていた頃みたいにふたりで逃げ切って、
思わず肩組み合っちゃうフンスとナムスン。
楽しい気分になっちゃってニコニコしてたのに、
急に気まずくなって目をそらすふたり。
こんな笑顔のふたり、見たことない。ヤバい状況なのにねー。
こっそりジョンホをシメに行くフンス。
「コ・ナムスンはどうかしらんが俺は現役だぜ」ってかっこいい!
もう字幕の文字数制限で後半しか訳されてないのが泣けるレベル。
知ったかぶって、ふたりにしかわからないことに首をつっこむジョンホを
一発だけ殴るフンス。ん?って顔するフンス。
せっまいロッカーにふたりで隠れて、
守衛さんがいなくなったら無言でのそのそ出てくる背高男子ふたり……。
「……」「……」の三点リーダーが目に見えるような気まずさ。
もう、あんたらなんなの?
萌え殺す気か!
誰がどこからどう見ても、お互いを好きで好きでしょうがないふたり。
つっぱるのをやめて素直になっちゃうシーンをはやく見たいですね。
そしたら世界はほんの少し生きやすくなるし、
君たちは次の段階へ飛んで行けると思うんだなぁ。
何度か出てきましたが、病室から憎悪の目でナムスンを見つめるフンス。
そしてそんな親友を見上げて、怯え、逃げていくナムスン。
このシーン、ちょっとフンスの病室設定が変なんですけど、
(だって一面全部窓ガラス)
そのあたり見て見ぬふりをすれば良いシーンだと思います。
たぶん、この上から、下からの構図が撮りたくて、
病室設定に無理を通したんじゃないかな~。
その後、部屋にこもって震えて泣いているナムスンの表情がとてもイイ。
そりゃあ学校に行けなくなるわけだ。
だってどんな顔してフンスに会えばいいのさ?
でも、もう逃げられない。
逃げてはいられない。
このままだと、自分の人生はクソよりつまらないものになるだろうし、
何よりフンスのいない人生は、彼にとってまったく意味のないものだから。
フンスだって、あれから少しはマシな人生を歩んでいるかと思えば
そんなことはなくて、
それを知ってしまったら、ナムスンは償いをせずにはいられないのだ。
例え自分が傷つくとしても、
それはあの時逃げ出した代償だから。
セチャン先生が言った、「重荷だろ?」はすごいな、と思うんですよね。
自分のせいだとはいえ、やっぱり重荷なんですよね。
これは背負っている人にしか言えないことだと思うのですよ。
たぶん、先生が背負っているのは、あの少女。
セチャン先生も、昔はインジェみたいだったんじゃないかな。
だけど成績を上げるために必死で勉強して死んでしまった教え子を
背負って、方向転換したんじゃないかな。
少ない勉強時間で効率的に成績を上げてやれば、
子ども達はそんなに苦しまなくてもいいんだ、と考えたんじゃないのかなー。
インジェ先生の方式を取り入れた様子の授業、面白そうでしたよね。
しかし高度なことやってますね。
高校の授業って、あんなんだっけか?
インジェを刺激しないように、傷つけないように、
影ながら彼女を支えようとするセチャンがいい感じなんですが、
それをうわまわってカッコイイイのがインジェ先生の真骨頂です。
「あなたにだって出来ないはずよ!
だってそんなこと、教師として間違っていますから!」
いい啖呵だぜ!シビれるねぇ!
自分の立場が危ういとわかっても、言うべきことは言うんです。
実際、全国統一模試の前日に、過去問を必死で解かせたり、
カンニング推奨どころか答えを教えちゃったり、
出来ない生徒を休ませたり、日本でも普通にそういうことやってるじゃないですか。
子どもが学齢期でないから自分にできることはない、関係ない、と思ってる人、
違いますよ!
そういう学校現場を作るのは、不寛容な社会なんですよ。
過去の過ちを許さない社会、
高レベルの完成品しか必要としない社会、
出る杭を打ち、はみ出したバリは、切り取る社会。
「だって何かしらの基準がないと判断できないよ!」
その基準は、あなたが考えて作ればいいんですよ。
自分の頭で考えること、心で感じたことを信じることができない大人が
目に見える数字だけに固執するんですよ。
わたしたちが、自分の頭で考えて毎日を過ごすことが、
もしかしたら学校で苦しむ子ども達を救う早道なのかもしれませんよ?
この回で、とうとうジョンホも本格的にドロップアウトしてしまいました。
子分?友達?のジフンが離反したことが引き金でしょうね。
高校生の間はいいけれど、社会に出たらどうなるんだ?と
自分の将来に不安を感じたジフンは、不良をやめようと決意します。
だって不良を続けてたって、あの悪い先輩たちにパシリにされ、
結局人に踏みつけにされることばかりだからです。
心を入れ替えて職業学校に進学したいと思っても、
サボりすぎて出席日数が足りません。
人生何度でもやり直せるって嘘なの?
うん……嘘じゃないけど、間に合わないコースだってあるんだよね。
いつでもやり直せる社会が理想だけど……。
なんとかならないかなぁ。
ジフンを殴り続け、角材を手にしたジョンホ。
「脚を折るってか?ナムスンみたいに?」
ジフンの言葉に、振り上げた角材を捨てます。
もちろん、角材を振り下ろす前に逡巡し、なかなか振り下ろせないでいたのだけど。
ナムスンと同じ状況に陥ることで、ジョンホは何を感じたのかしら?
ためらわなかったナムスンの狂気と絶望に思いをはせたかしら?
「友達だからいうんだぞ」というジフンの気持ちを少しでも考えたかしら?
ジョンホや……と祈りながら観てましたけど、
結局彼は携帯ゲームでクラスメイトの試験の邪魔をする愚挙に出てしまいました。
相談相手がいないもんね。
ジョンホには折れるきっかけを与えてあげないと……。
素直に更生するタマじゃない。
セチャン先生の上から目線もまずいんだよなぁ。
真面目にやろうとがんばってる生徒の邪魔をする不良は困るんだけど……。
イヤなら来るな、義務教育じゃないぞ、っていうのは簡単なんだけど……。
そうなったら彼らはどこへ行くのか?
ドロップアウト集団しか彼らを受け入れてくれないとしたら、そこへ行くしかない。
排除すればするほど、社会への脅威は高まるのです。
好きにさせりゃあいいじゃないか!自己責任!と放り出すのは簡単だけど、
でも彼らは居なくなるわけじゃない。
わたしたちが生きる社会の中に存在するのです。
めぐりめぐって、何らかの影響をわたしたちに与えるファクターであることに
かわりはありません。
実際身近にいたら、本当にめんどくさいけどねぇ。
だってほとんどの人は、自分のことで精一杯なんだもん。
ただ、ジョンホにはジフンといういい友達がいる。
なんとか戻ってきてほしいなぁ。
角材を手放す心がまだある子なんだから。
オム先生は、「善徳女王」のヨムジョンですよね?!
あ、あんな悪い役やってたのに……。
いまはこんなにいい先生で、ほんとに別人です。
役者さんってあらためてスゴいわぁ。
《あらすじ》
インジェの教室には、ひとりの生徒もいなかった。
そしてセチャンの教室にも……。
窓から飛び降りられなかったフンスは、
ナムスンに「お前が行け!」といって男たちに向かい合った。
そう言われて、ナムスンが行けるわけもない。
「突破だ。俺は左」
ささやいて、数を数えて一気に突っ込むと、人波が割れた。
何人かを殴り、蹴り飛ばして、ふたりは必死に走って逃げる。
捕まれば一巻の終わりだというのに、なぜか胸が躍る。
ギリギリのところでふたりはバスに乗り込み、
奴らを振り切ることができた。
フンスは思わずナムスンの肩を抱き、ふたりは満面の笑みで相手を見る。
そして気まずそうに離れると、無言でバスに揺られていくのだった。
バスを降りるフンスを一度は見送ったナムスンだが、思いなおしてすぐに後を追った。
「脚は大丈夫か?俺のことなんてほっとけばよかったんだ」
「お前のためじゃない。ジョンホを喜ばせるのがイヤだっただけだ」
「嘘つけ。ありがとな」
「何が?」
「約束を守ったろ。バカヤロウ、おせっかいめ」
ふたりは思いだしていた。
昔、まだふたりがつるんでいた頃、
フンスは学生に暴力を振るおうとしたナムスンを止めたことがあった。
「鼓膜でも破ったら警察沙汰になるぞ」
ニヤニヤ笑いながら、フンスは言ったものだ。
「お前がどこで何をしていようと、お前が犯罪は犯させない。
この約束は絶対に守る」
あの約束を、フンスは守ってくれたのだ。
彼がジョンホの計略を教えにきてくれなかったら、
ナムスンは暴力沙汰で警察のやっかいになったに違いなかった。
無事に逃げたフンスは、ジョンホに警告を与える。
「もう手を出すな」と。
そしてナムスンと自分を揶揄したジョンホを一発殴った。
脚のことを言われ、我慢ができなかった。
学校では、不測の事態に校長が怒りをぶちまけていた。
しかし、怒っているのはセチャンも同じだ。
いや、保身のために怒っている校長よりも、もっと怒っているかも知れない。
校長のむちゃな押しつけが、生徒たちをボイコットに走らせたのだ。
子ども達は結局どちらの授業も選べなかった。
生徒のボイコット問題をどう決着させるか、職員室は紛糾した。
全員欠席にして内申に傷がつけば、保護者も黙っていないだろう。
セチャンとインジェは、こんなことを強要した大人が悪いと考えている。
生徒たちに罪はない。
お互いに、生徒が相手の教室に行っていると思っていた。
だが、それとこれとは別の話だ。
セチャンはインジェに譲歩してほしいと言う。
いずれ受験型の勉強をしなければならないのは確かなのだから。
それに、生徒の気持ちを考えてみれば?
翌日、2組の生徒たちの処分は掃除で良し、とふたりの担任が告げた。
神妙な顔をしていた生徒たちはホッと息をつく。
と、そこへナムスンが入ってきた。
ジョンホはおらず、歓迎ムードがそこはかとなく流れる。
ナムスンはフンスの背中を見つめ、
フンスは背中越しにナムスンの存在を意識した。
「なぜ遅れた?」セチャンの優しい声に、「迷ってて」とナムスンも素直に答える。
「迷ったけど来たわけか、よしよし」
ナムスンは努めて無表情だったが、インジェは嬉しかった。
久しぶりの委員長の号令で、朝礼は終わった。
オム先生は、ナムスンとフンスに校内奉仕の罰を与え、
その監督をセチャンに命じた。
古い倉庫の掃除を命じられたふたりは、しぶしぶ従う。
中の椅子や机を全部屋上に運ぶように言われてヘトヘトだ。
半ば嫌がらせの作業を黙々とこなすしかない。
一方、授業ボイコットの波紋は広がっていた。
保護者が噂を聞きつけ、授業方針をセチャンの受験型に統一するよう、
圧力をかけたのだ。
インジェを説得せよと、校長から言われたセチャンは気が進まない。
「彼女に落ち度はありませんしね」
だが、統一模試の結果が悪ければ、保護者の不満はすべてインジェに向かうだろう。
「学校でも塾でも、保護者が王様か……」
彼女の詩編を使ったグループ学習は、けして悪くはないのだが。
インジェも内心、自分の授業に自信を失っていた。
一部の生徒はあからさまに彼女を無視し、内職ばかり。
セチャンが一緒に進めようと言ってくる試験対策の授業はどんなものなのか?
「生徒が本当に寝ないなら、一緒にやります。
生徒の気持ちも考えないと……」
セチャンの授業を見学したインジェは、驚いた。
詰め込み式の受験授業をやっているとばかり思っていたら、
詩を使った分析の授業はなかなかのものだ。
だが、やはり寝ている生徒が目についた。全員が学びに集中しているわけではない。
「やっぱり、グループ学習を続けてみます」
彼女の信念は、より強くなったようだった。
1日目の奉仕作業を終えたナムスンに、セチャンが声をかけた。
「中学をやめてどうしてた?」
「家にいた。寝てた」
「それから中卒試験に受かったのか。
重荷だろ?パク・フンスは。
だけど、がんばれば耐えられる。だから……」
何かいいたげなセチャンだったが、「顔の汚れは拭いとけ」と続けて笑った。
ナムスンは、フンスと別れたあの頃を思いだす。
脚を折って入院したフンスに会いに行った。
だが、病室から憎悪の目で見下ろされ、逃げ出した。
震えて泣きながら、家に閉じこもっていた。
どうしてもフンスには会えなかった。
セチャンは、影ながらインジェを支えようと、
2組の夜間授業をやることにした。
「成績を上げたいの?塾講師のメンツのため?」
インジェは彼の気持ちを知らないが、まぁとにかくやるだけはやらないと。
生徒たちの努力は数日続き、フンスとナムスンは奉仕作業を続けた。
そしてテストの日が来た。
校長はふたりの担任を呼びつけ、
暗に成績不審者にテストを受けさせないよう指示する。
平均点を下げないためだ。
反論しようとするインジェを押さえ、「検討します」と言ったのはセチャン。
ふたりだけになった時、インジェは怒った。
「あんなこと、お茶を濁さずにすぐ拒絶しなきゃダメです!」
「僕は真面目に検討しようかと思ってますよ」
納得がいかない顔のインジェを説得するには、真実を話すしかなかった。
テストの平均点が悪ければ、校長が窮地に立たされること。
そうなれば矛先はすべてインジェに向かうだろうということ。
なぜなら、保護者はセチャンを選んだから。
子ども達を全員進級させて次の担任に引き継ごうと思っていても、
辞めさせられたらすべて終わりだ。
インジェはショックだった。
「あなたができないなら、僕が教室から連れ出します」
だが、セチャンにはっきりと言った。
「カン先生にだって出来ないはずよ。
そんなこと、教師として間違っていますから!」
教師たちの思惑をよそに、テストは淡々と進む。
必死に取り組むもの、すぐに寝てしまうもの、さまざまだ。
休み時間、教室の空気に辟易したフンスはタバコを吸いに外へ出た。
ところが、心配して後を追ったナムスンと一緒に、
倉庫へ閉じ込められてしまった。
携帯はテストのために預けてあり、助けも呼べない。
教室では、英語のリスニングテストの最中にジョンホが携帯ゲームを始め、
騒然となっていた。
インジェが注意しても聞かず、嫌がらせを続けるジョンホの腕をセチャンがつかむ。
「はなせよ、自分で出てくから」
その力の強さにひるんだジョンホはそう言うが、セチャンは離さない。
廊下まで連れ出し、ようやく手を離した。
背を向けて行こうとしたジョンホに言う。
「お前もやり返せよ」
そんな挑発にのるほどジョンホもバカではない。
「学校に通い続けたければ、ここへ戻れ。
そうしないなら、二度と教室には入れないぞ」
セチャンの言葉は本気だったが、ジョンホはためらわずに歩き去った。
(つづく)
いろいろ問題はありますが、フンスとナムスン。
閉じ込められて倉庫にふたりきりだなんて……。
だからコレどこの中2妄想ですかって!!
つるんで悪さしていた頃みたいにふたりで逃げ切って、
思わず肩組み合っちゃうフンスとナムスン。
楽しい気分になっちゃってニコニコしてたのに、
急に気まずくなって目をそらすふたり。
こんな笑顔のふたり、見たことない。ヤバい状況なのにねー。
こっそりジョンホをシメに行くフンス。
「コ・ナムスンはどうかしらんが俺は現役だぜ」ってかっこいい!
もう字幕の文字数制限で後半しか訳されてないのが泣けるレベル。
知ったかぶって、ふたりにしかわからないことに首をつっこむジョンホを
一発だけ殴るフンス。ん?って顔するフンス。
せっまいロッカーにふたりで隠れて、
守衛さんがいなくなったら無言でのそのそ出てくる背高男子ふたり……。
「……」「……」の三点リーダーが目に見えるような気まずさ。
もう、あんたらなんなの?
萌え殺す気か!
誰がどこからどう見ても、お互いを好きで好きでしょうがないふたり。
つっぱるのをやめて素直になっちゃうシーンをはやく見たいですね。
そしたら世界はほんの少し生きやすくなるし、
君たちは次の段階へ飛んで行けると思うんだなぁ。
何度か出てきましたが、病室から憎悪の目でナムスンを見つめるフンス。
そしてそんな親友を見上げて、怯え、逃げていくナムスン。
このシーン、ちょっとフンスの病室設定が変なんですけど、
(だって一面全部窓ガラス)
そのあたり見て見ぬふりをすれば良いシーンだと思います。
たぶん、この上から、下からの構図が撮りたくて、
病室設定に無理を通したんじゃないかな~。
その後、部屋にこもって震えて泣いているナムスンの表情がとてもイイ。
そりゃあ学校に行けなくなるわけだ。
だってどんな顔してフンスに会えばいいのさ?
でも、もう逃げられない。
逃げてはいられない。
このままだと、自分の人生はクソよりつまらないものになるだろうし、
何よりフンスのいない人生は、彼にとってまったく意味のないものだから。
フンスだって、あれから少しはマシな人生を歩んでいるかと思えば
そんなことはなくて、
それを知ってしまったら、ナムスンは償いをせずにはいられないのだ。
例え自分が傷つくとしても、
それはあの時逃げ出した代償だから。
セチャン先生が言った、「重荷だろ?」はすごいな、と思うんですよね。
自分のせいだとはいえ、やっぱり重荷なんですよね。
これは背負っている人にしか言えないことだと思うのですよ。
たぶん、先生が背負っているのは、あの少女。
セチャン先生も、昔はインジェみたいだったんじゃないかな。
だけど成績を上げるために必死で勉強して死んでしまった教え子を
背負って、方向転換したんじゃないかな。
少ない勉強時間で効率的に成績を上げてやれば、
子ども達はそんなに苦しまなくてもいいんだ、と考えたんじゃないのかなー。
インジェ先生の方式を取り入れた様子の授業、面白そうでしたよね。
しかし高度なことやってますね。
高校の授業って、あんなんだっけか?
インジェを刺激しないように、傷つけないように、
影ながら彼女を支えようとするセチャンがいい感じなんですが、
それをうわまわってカッコイイイのがインジェ先生の真骨頂です。
「あなたにだって出来ないはずよ!
だってそんなこと、教師として間違っていますから!」
いい啖呵だぜ!シビれるねぇ!
自分の立場が危ういとわかっても、言うべきことは言うんです。
実際、全国統一模試の前日に、過去問を必死で解かせたり、
カンニング推奨どころか答えを教えちゃったり、
出来ない生徒を休ませたり、日本でも普通にそういうことやってるじゃないですか。
子どもが学齢期でないから自分にできることはない、関係ない、と思ってる人、
違いますよ!
そういう学校現場を作るのは、不寛容な社会なんですよ。
過去の過ちを許さない社会、
高レベルの完成品しか必要としない社会、
出る杭を打ち、はみ出したバリは、切り取る社会。
「だって何かしらの基準がないと判断できないよ!」
その基準は、あなたが考えて作ればいいんですよ。
自分の頭で考えること、心で感じたことを信じることができない大人が
目に見える数字だけに固執するんですよ。
わたしたちが、自分の頭で考えて毎日を過ごすことが、
もしかしたら学校で苦しむ子ども達を救う早道なのかもしれませんよ?
この回で、とうとうジョンホも本格的にドロップアウトしてしまいました。
子分?友達?のジフンが離反したことが引き金でしょうね。
高校生の間はいいけれど、社会に出たらどうなるんだ?と
自分の将来に不安を感じたジフンは、不良をやめようと決意します。
だって不良を続けてたって、あの悪い先輩たちにパシリにされ、
結局人に踏みつけにされることばかりだからです。
心を入れ替えて職業学校に進学したいと思っても、
サボりすぎて出席日数が足りません。
人生何度でもやり直せるって嘘なの?
うん……嘘じゃないけど、間に合わないコースだってあるんだよね。
いつでもやり直せる社会が理想だけど……。
なんとかならないかなぁ。
ジフンを殴り続け、角材を手にしたジョンホ。
「脚を折るってか?ナムスンみたいに?」
ジフンの言葉に、振り上げた角材を捨てます。
もちろん、角材を振り下ろす前に逡巡し、なかなか振り下ろせないでいたのだけど。
ナムスンと同じ状況に陥ることで、ジョンホは何を感じたのかしら?
ためらわなかったナムスンの狂気と絶望に思いをはせたかしら?
「友達だからいうんだぞ」というジフンの気持ちを少しでも考えたかしら?
ジョンホや……と祈りながら観てましたけど、
結局彼は携帯ゲームでクラスメイトの試験の邪魔をする愚挙に出てしまいました。
相談相手がいないもんね。
ジョンホには折れるきっかけを与えてあげないと……。
素直に更生するタマじゃない。
セチャン先生の上から目線もまずいんだよなぁ。
真面目にやろうとがんばってる生徒の邪魔をする不良は困るんだけど……。
イヤなら来るな、義務教育じゃないぞ、っていうのは簡単なんだけど……。
そうなったら彼らはどこへ行くのか?
ドロップアウト集団しか彼らを受け入れてくれないとしたら、そこへ行くしかない。
排除すればするほど、社会への脅威は高まるのです。
好きにさせりゃあいいじゃないか!自己責任!と放り出すのは簡単だけど、
でも彼らは居なくなるわけじゃない。
わたしたちが生きる社会の中に存在するのです。
めぐりめぐって、何らかの影響をわたしたちに与えるファクターであることに
かわりはありません。
実際身近にいたら、本当にめんどくさいけどねぇ。
だってほとんどの人は、自分のことで精一杯なんだもん。
ただ、ジョンホにはジフンといういい友達がいる。
なんとか戻ってきてほしいなぁ。
角材を手放す心がまだある子なんだから。
好きです!私の見ているドラマに出演する率が高いのです(笑)
いい役だったり悪役だったり役どころによって全く違う顔を見せてくれる
すごい役者さんです
その中でも、ヨムジョンは顔つきまで違って、心底、恐ろしい子…!って思いました。
子じゃないし、亜弓さんじゃないですけどね(笑)
物語も、盛り上がって来ましたね!
いつか、ドラマもちゃんと見たいです(*^ω^*)