人の心って、複雑ですよね。
見たいような、見たくないような、でも見ちゃう。
嬉しいような、悲しいような、いろんな感情が交ざって涙が出てくる。
最近、「涙活(るいかつ)」という言葉を聞きまして、驚いております。
他人ごとを気の毒がって泣いてストレス解消なんて、
ふざけたことをいってんじゃねぇ!
泣くならおのれの魂を振り絞って泣きやがれ!
のたうちまわってもがき苦しんで、疲れ果てた後、
それでも流れる静かな涙がすべてを洗い流してくれるんだ!
泣きたいと思って泣ける動画見たりするなんて、
泣きたくなくても涙が出ちゃう人たちに失礼だぞ~。
と、わたしは思うのであります。
みんな疲れてんだろうけどさ。
わたくし、今回もドラマ見て泣いちゃいましたけど、
ストレスが余計にたまった気がする……。
だってこんなの悲しすぎるでしょ?
《あらすじ》
「タム!」
チェユンの叫びに、ソイはハッとする。
彼が、トルボク兄さんだったなんて。本当なの?
ふたりは互いに信じられない思いで涙を流しながら、抱き合った。
カリオンは定武軍を出してソイを探す。
王とムヒュルも、カン・チェユンと共にソイがいるはずだと見当をつけ、
彼らを必死に探していた。
「タム、どうして口がきけないんだ?」
チェユンはソイにたずねた。
父親や仲間たちが殺された現場にいたんだ、その衝撃のせいなんだな……。
そう納得しようとするチェユンに、ソイは首をふった。
「違う?じゃあいったい何のせいなんだ、タム?」
(兄さんは覚えてもいないの?)
ソイは、チェユンの胸に指を置いた。
(兄さんのせいよ)
思い出した。俺が、この俺が、タムのせいだと責めたんだ……。
チェユンは泣いた。
声を殺して、あの言葉を後悔して、ただソイの手を握り、涙を流した。
(目が覚めると王妃様のお部屋だった。
兄さんがわたしを責める夢を見ていたの。
それから口がきけなくなった。
わたしがどれほど、自分を責めて兄さんを憎んだか、わかりっこない……)
そう思うソイもまた涙を流し、
チェユンを優しく抱きとめるのだった。
(タムは俺よりつらい地獄を過ごしてきたんだな)
チェユンは川で顔を洗いながらそう思うのだが、ソイはもう恨んではいない。
(もういいの。兄さんが生きていてくれただけで、報われたわ)
ソイはチェユンを呼ぼうとして、ふと口を動かしてみる。
すると一瞬、声が出そうで……。
と、そのとき、ソイののど元に刀が押し当てられた。
ユン・ピョンだ。
ジョンスの部下がもたらした情報をもとに、チェユンを追ってきたのだ。
「密本の書をよこせ、カン・チェユン。いや、トルボク」
「女官をはなせ」
「お前の望みはこれだろ?」
ユン・ピョンは懐から、福の字が刺繍された巾着を取り出した。
放り出された巾着に一瞬目を奪われたチェユンの手を、ユン・ピョンが蹴り上げた。
密本の書は、ジョンスの部下の手に渡る。
ひるんだチェユンに、追い打ちをかけるように目つぶしが飛んだ。
「望みのものは手に入れたんだろ?はやく女官を放せ!」
「あれを見たものを生かしてはおけぬ」
ユン・ピョンは小刀を構え、目の見えないチェユンに切りつける。
チェユンも気配で動きを読むが、相手の素早い動きに反応が遅れる。
ソイは、必死で口を動かす。
「み、右よ!」
とうとう、ソイの口から言葉が飛び出した。
「上!」
ソイの言葉をたよりに、チェユンはユン・ピョンの攻撃をかわし、
一太刀、二太刀と、受けた傷を返してゆく。
チェユンの目も次第に見えるようになり、もはやユン・ピョンの優位ともいえない状況だ。
しかし、彼はひとりではなかった。
定武軍が助太刀にあらわれ、ユン・ピョンは命じる。
「女を先に殺せ」
チェユンはとっさに武器を投げて刺客を倒し、ソイの体に覆い被さった。
今にも男がチェユンの背に刀を突き立てようとしたその瞬間、
飛んできた槍が男の胸を貫いた。
「ムヒュル……」
ユン・ピョンは思わずつぶやいた。
次々に、官軍が現れ、号令が響く。
「国法に背いた逆賊だ!皆捕らえよ!」
ユン・ピョンらは、密本の書を手に入れ、逃げ去った。
チェユンは、ソイを抱き、ホッと息をついた。
足下に転がる巾着を素早く拾い、胸元に押し込む。
近づいてくるムヒュル。
そして、その後ろには王自身の姿があった。
チェユンの頭の中は、素早く計算が働いている。
(何という?それともここで、勝負に出るか?)
ふたりの姿を見て、すっと背を向けようとする王に、
ソイが声をかけた。
「王様……」
王の目に、驚きの色が広がった。
「声が出るようになったのか」
「はい、王様」
「よかった。本当によかった……」
王は、頭を垂れたトルボクを見やる。
「王様、王様のおかげです」
ソイの言葉に笑顔でうなずきながら、結局心の病だったのか……と王は思う。
チェユンは、この場を言いつくろおうとしゃべり出すのだが、
王の一言で、何も言えなくなってしまった。
「トルボク」
とっさに傍らの刀に手を伸ばすチェユンを、ムヒュルが制した。
「父親のことは、すまなかった」
ソイは、王の話を思い出す。王様はご存じだったのだ。
「お前がゆるしてもけして忘れられぬ。
お前には心から、謝りたいと思っていた。
わたしを殺したかろう。父親が死んでからは、わたしを殺すことだけが支えだっただろう。
だが、お前はこれから別の人生を歩める」
チェユンの表情がもの問いたげだ。
「ソイがいる。いや、タムがいる。ソイと共に遠くへゆけ」
ソイもまた驚きを隠せない。
「王様……」
「新しい人生を始めるのだ」
(俺の人生?タムと共に生きる俺の人生?)
「お前にも損は無かろう。
お前は新しい人生を生き、わたしは余命を長らえ、今しばらく自分の道をゆける。
しかしわたしはソイを失い、お前はタムを得る」
「王様……」
ソイは信じられない思いだ。
「しあわせになれ。これは王命だ」
王は、兵を連れて去って行った。
チェユンはソイを馬に乗せ、ぼんやりと夜の山道を行く。
ふたりの姿をそっと見送りながら、王はある出来事を思い出していた。
地方で、疫病が流行り、人々が大勢なくなった。
王は予防策を触書として出したのに、なんの効果もなかった。
誰もそれを読むことができなかったのだ。
怒った王は、直々に疫病の蔓延する村へ入る。
荷車に乗せられた人々の死体。
「なぜ、何もしようとしない?たかだか2000字を覚えるだけでいいというのに!」
しかし、貧しい人々は毎日働きづめだ。
文字を覚えるヒマなんてない。
「わたしだって寝る間を惜しんで毎日働いている。
なのにお前たちは、自分のために何もしようとしない!」
やり場のない怒りを、子どものように無知な人々にぶつける。
「字が読めなくて、何をどうしろっていうんです」
「字が読めないのが自慢か!」
人々は王の剣幕に恐れをなし、口々に「お助けください」と嘆いては、
地面にひれ伏して赦しを請う。
「わたしは、お前たちを殺す人間か!どうしてわたしに命乞いをする……」
王は民を救うことの出来ない自分に苛立ち、側近に当たり散らした。
怯える女官たちの中で、ソイだけが冷静に立っている。
「冷ややかな目だな。
長い年月で、ひとつも変わらん。かたくなに心を閉ざしている。
何度も説明し、赦しを請うた。王であるこのわたしが!
お前たちを救うための密書がすり替えられた。殺す気はなかった!
この世の誰に対しても胸をはって言える。最善を尽くしたと。
でも変わらない。お前も世の中も、いっこうに変わらん!」
ソイはまったく動じることなく、無表情に立っている。
「お前が不幸なのは、わたしのせいか?お前が心を閉ざしたのは、すべてわたしの責任か?
いいや、お前は、おのれの人生のために何もしていない!
幼子のようにダダをこねているだけだ!
口がきけないことがそんなに偉いのか!よかったな!」
疫病の村で感じた憤りは、すべて形を変えてソイに向かってぶつけられた。
ソイは、眉ひとつ動かさず、書いた。
「幼子なら、育てるのが道理です」
とうとう王は、ソイに問うた。
文字を作りたい。簡単な文字を。誰もが覚えられる文字。
幼子なら、育てよと言ったな。
誰もがやたすく学べる文字を、わたしがつくろう。
ソイは書いた。ただ一言「是」と。
それから、王の文字創製の道が始まった。
その作業には、ソイの能力が役に立った。
彼女の頭の中には、数万字の漢字が入っているのだ。
思わず出た王の冗談に、ソイが初めて微笑んだ。
すべては彼女の「是」から始まったことなのだ。
イ・シンジョク、ヘガンら、密本の元老たちは、チョン・ギジュンを待っていた。
中でも右議政イ・シンジョクは、もしもの場合を想定して、刺客を潜ませている。
もし、密本の書が無ければ、即刻彼らを密告する手はずだ。
約束の場に遅れて現れたチョン・ギジュンは、まず、と断ってみなに問いかけた。
「あなたがたはなぜ、密本になったのですか?」
朝鮮を儒生の国にするという三峯先生の意志に賛同したからではないのか?
あなたがたの思想に変節はないか?
ギジュンをまっすぐに見つめることすらできない元老たち。
しかし右議政イ・シンジョクは厚顔だ。
「密本の書はあるのですか?ないのですか?」
シンジョクは、書はないものとふんでいる。
元老たちも、その尻馬にのるような形で、本元を責めた。
ところが、そこへシンジョクの側近が打ち据えられ、放り込まれた。
周囲に潜んで襲撃の合図を待っていたところを、捕らえられたのだ。
シンジョクの変節など、とうにギジュンはお見通しである。
「わたしに三峯先生の大義があるかと尋ねたか?」
ギジュンは懐から、書を取り出し、放り投げた。
それよりももっと重要な物は、ここにある。
「お前たちがいう大義がここにある!」
その手には、彼ら元老の名を記した連判状があった。
「お前たちは、逆賊にならぬか、歴史にどう刻まれるか、自分の名声と保身の方が
三峯先生の遺志よりも大事なのだ!」
チョン・ギジュンは火のように怒っている。
特に、イ・シンジョクの罪は重い。
密本としての仕事を忘れ、王の独裁をゆるした。
「お前たちの意志など知らん。ここに名前がある以上、密本とわたしの意志に従ってもらう!」
そしてカリオンは、カン・チェユンがトルボクだという事実を知る。
数奇な運命に、にやりと笑みがこぼれた。
チェユンとソイは、あばら屋で一晩を過ごした。
朝になり、チェユンは懸命に飯の支度をする。
ふたりは粗末な食事をしながら、共に涙を流した。
ふたりで歩く道。
チェユンの足取りは軽く、顔は始終にやにやとにやけている。
反面、ソイの足取りは重い。
王との日々を思い出さずにはいられない。
子どものように、夢中になって、文字を作っていたイ・ド。
自分にも、意見を求められ、王と一緒に文字を作った。
中声文字ができた時の喜びは、忘れられない。
イ・ドの構想に、ソイの発想が足され、より平易な構造が出来上がった。
王の喜びは、彼女の喜びでもあったのだ。
一方チェユンは、自分が野良仕事にせいを出し、
ソイが昼飯を運んでくるような生活を夢想している。
「タム、俺が何を考えていたかわかるか?
今までは、王をどうやって殺そうか、何をつかって殺そうか、
そんなことばかり考えていた。でもさ、」
「戻ろう。ううん、戻らなきゃ、宮殿に」
タムの言葉は、意外なものだった。
「どうして?」
「やらなきゃならないことがあるの」
「どんな?」
「王の大義、そして、わたしの大義」
「つまり、王の大義がわたしの大義、そういうことか?」
「うん」
チェユンには、ソイが何をいっているのか理解できない。
王様と仕事をしてたから、自分も偉いと錯覚したのか?
どんな仕事をしようが、俺たちは最下層のだ。
お偉い方々が、大義のために死ねと命じたら、死ぬしかないんだ、タム。
だからこそ、よ。
偉い人たちがおじさんや父さんを殺した。
だから、王様の大義がわたしたちを生かすか殺すか確かめたい。
「何?」
「兄さんも一緒に来て。兄さんもすべきことよ」
「いったい何なんだ?何なんだよ、その大義ってやつは」
「文字よ。音をもとにした、民が簡単に覚えられる文字。わたしには役目があるの」
ソイの決意とは逆に、チェユンは戸惑うばかりだ。
文字が読めないから不幸になったっていうのか?
俺に責められて苦しんでたから、王様が文字を作って救ってくれるのか?
「そうじゃないわ」
文字が読めてたら、助かったと思うか?
結局は同じ目にあってたさ!
「少なくとも、あの女官の嘘は見抜けた!
わたしのこの口が、おじさんに手紙を届けさせた」
王はお前の心を利用してる。そうして捨てるのが、あいつらのやりかただ。
「王様は聖君よ!」
聖君?それを聞くたびに反吐が出るぜ。
みんなが聖君がつくった平和な世の中でしあわせに暮らしてる。
俺だけが不幸だ。
そう思うと耐えられない。
北方でも言われてたさ。王様は民衆思いの良い王だって、太平の世だって!
チェユンは涙を流し、ソイもまた共に泣いている。
「あの夜のことは誤解なのよ、王様は……」
「黙れ。
いいさ、誤解だとしよう。お前を救ったように、王の意図は別にあったと。
俺が誤解を解いて、王を理解したとしよう。
……おやじはどうなる?
俺が王様を理解したら、俺のおやじが、おやじがあんまり可哀想だ。
それに俺は?俺の人生だって哀れだ。
それでお前は?俺やおやじやおじさんの身になって考えろよ。
お前も朝鮮の民だろ?その大義だかクソだかなんだかのために、おやじを忘れろって?
なんで俺じゃなくて、王様の味方をするんだよ?!」
ソイの瞳は揺るがない。
「わたしは、王の味方をするんじゃない。
兄さんが自分の人生を暗殺に懸けたように、
わたしの人生を文字に懸けたの。
それが父さんや、わたしが死なせたおじさん、そして死んだと思ってた兄さんへの償いよ」
見つめ合うふたりは、別々の道をゆくしかないのだった。
体を鍛え、人を殺し、技を磨いて生き抜いてきた日々はなんだったのか。
しかし、ソイは信じている。
カン・チェユンは、王がもっとも恐れ、信頼しているもうひとりの判官。
彼なくしては、文字創製の仕事は為し得ない。
きっと兄さんは、わかってくれる。
とぼとぼと歩いてあばら屋に戻るが、タムの姿は無い。
チェユンは、ひとり、岩の上で父の遺書を読んだ。
そして泣きながら、天に吠えた。
「おやじぃ!死ぬ前に俺に残した言葉はこれだけなのかよ?」
絶望にかられ、チェユンは自害して果てようとするのだが、できなかった。
ソイは、宮殿に帰ってきた。
王は冷たく突き放そうとするが、ソイの決心は固い。
「最初からわたしの仕事でした。やり遂げます。
そして、もうすぐもうひとりの判官が参ります。
我慢して待ち、耐え、時間がかかっても説得するのでは?」
ソイの挑戦的な言葉に、王は考え込んだ。
ムヒュルは、今度こそチェユンが、トルボクが、
王の暗殺を成し遂げるため現れるだろうと確信している。
ソイが王の元へ戻ってきたのだ。
奴の心の内は火を見るより明らかだ。
しかし王は、チェユンの通る道をすべて空けておくように命令した。
ソイの言葉は、「決着をつけろ」という意味だろう。
彼女の言動は挑発的だが、胸躍る。
わたしを、興奮させる。
果たしてトルボクはやってきた。
斬って斬って斬りまくって、自分も死ぬ。
それこそが、ハンジ村のトルボクじゃないか。
誰にも邪魔されず、王の前にたどり着いたトルボク。
そして彼を待ち受けていた、イ・ド。
(つづく)
なんかなー。
わかっていたけど、つらいんだ。
ふたりが無事に会うことが出来て、タムが声を取り戻して、
王様がふたりを放免してくれて、でもタムは戻ろうと言う。
放心状態のふたりが、ぽこぽこと馬と一緒に去って行った時、
え?マジでいなくなっちゃうわけ?
まさかなー、そんなわけないだろう、と思いつつ見てたの。
もちろん彼らは宮殿に帰ることになったわけだけれども、
そうなればそうなったで、なんか見るのがつらくなっちゃったんだよね……。
だってこの展開でしあわせなラストなんて想像できる?
あ!いや、もしかしたら、
文字創製はうまくいって、ふたりは結婚して、平民になり、
普通の村で普通の人々に文字を教えて暮らしてゆく……ってラストもアリか!
あ~、それならいいなぁ~。
そうだったらわたし、すごくしあわせな気持ちでドラマを見続けられるよ。
しばらく……そうやって自分を騙しながら続きを見ようかな……。
悲劇に終わるって決まったわけじゃないけどさ。
この回のチェユンの気持ちが伝染しちゃったみたいで、
どうにもダウナーな気分なのでした。
だってひどいよね?
タムが生きていて、会うことができて、
声を失ったのは自分のせいだったんだ、って気付いて、すごく泣いて、
でも自分を助けるためにタムは声を取り戻してくれて、
もう王様を殺すことだけ考えて生きなくてよくなって、うれしくて。
この先は好きな女と一緒にしあわせに普通に生きていけるんだと思ってたら、
当の相手は諸悪の根源である王様のところに帰るっていう。
つらくてつらくて仕方がない日々を過ごしてたって知ってるはずのタムが。
同じ思いをしていたはずのタムが。
自分と一緒に生きていくことを放棄して、宮殿に帰るっていうんだよ?
ずっとずっと好きで、その人のために復讐しようと思うほど好きだった人が、
自分じゃない人を選ぶんだよ?
しかもそれは、復讐の相手だったんだよ?
そんなのひどすぎるよー!(泣)
ほんとにタムにはトルボクの身になって考えてほしいわ……。
もうちょっと熱意を込めて説得するとかさ。
(トルボク兄さんなら、きっとわかってくれる)みたいに思ってるんだろうけど……。
言わなきゃわかんないからね!
ほんとはトルボクとしあわせに生きたいけど、それだけじゃダメなんだ!って言わなきゃ。
個人のしあわせよりも、もっと大事な大義があるんだって言わないと。
俺より王を選ぶんだな!ってチェユンは思ってるから。単純に。
いや、単純化すればそうなんだけど。
ああ、でもそうなのかな。
どんなに言葉を尽くしても、結局はそういうことなんだもんね。
タムは深いところで、トルボクを信じているのかもなぁ。
ただ復讐だけを思って生きてきたトルボクと、
王の大義とともに生きてきたタム。
チェユンが、どういう展開でソイを理解するようになるのか?
そこはすごく気になります。
ただ単純に、ソイのためだから、と思って彼女を守るために宮殿に残るのか。
それとも、王の大義が自分たちのような貧しい民を救う道だと理解するのか。
王の大義がソイの大義でもあるように、チェユンの大義になってくれたらいいんだけどなー。
相変わらず王の寝首をかこうと狙いつつ、王に仕える、というのも、
緊張感にあふれる展開でいいかもしれませんね。
本当は心の平安を与えてあげたいのだが、ゴメンね。
もう、あのご飯を食べながらふたりが泣いちゃうところではわたしも泣けて泣けて。
今までのつらい日々を思い、このしあわせを思い、
ふたりは泣いてしまうんだと思うのよ。
たくわんをかぶりながら泣いちゃうチャン・ヒョクが好きだ。
みっともなく泣ける俳優、というのがわたしは好きなんです。
仲直りの思い出の栗だよ……。
「なぁ、俺がいま何考えてるかわかるか?」って言って笑うチェユン。
歩きながらも、ふふっふふって笑ってる彼なのに……。
「戻ろう」って一言いうソイ。
「どうして俺じゃなくて王の肩を持つんだよ」って泣いちゃうチェユン。
もうあのへんも泣けて泣けて。
王様のやろうとしてることは、すごく大事なんだよ、
男として、命をかけてもいいくらいの大きな仕事だよ、って言いたくなったり、
そんなことはお偉い方々に任せておけばいいじゃん!って思ったりしました。
そもそも、ずーっとよくわからなかったんだよね。
なぜ、ソイでなくてはダメなのか?
瞬間記憶能力って文字創製にどういう形で役立つの?と不思議に思っていました。
ソイの生い立ちが、王にとって重要だから側に置きたいだけかな?と思ってたの。
重要なのは、一度見たら絶対に忘れない記憶能力だったんだね。
すべての漢字が頭の中に入っているとは……。
そして自由自在にアウトプットできるとは……。
まさにパソコンが手元にあるのと同じくらい便利。
しかも王の指針となってくれる聡明さがある女性だし。
王の不機嫌を屁とも思わないし。
過酷な人生で、人間練れてるし。
こりゃソイがいなくてはダメだ。
王の中には、彼女に対する愛情もあると思うよ。
ソイの中にも、王に対する愛情がある。
それは、いわゆる恋とは違うと思うけど、
王様の方は、男女の愛に近いところにあるんじゃないかなー。
ソイの方は、憧憬に近いところにあるような気がする。
チェユンはけっこう繊細なところのある男なので、
そのへん嗅ぎ取って、死ぬほどムカついていると思います。
そして絶望したと思います。
一時はその幸福に涙した部屋に、彼女はいない。
冷たい藁が落ちているだけ……。
タムが、「わたしがどれだけ自分を責めて兄さんを憎んだか……」って
思った時、えっ?と思ったの。
憎んだの?
そうか……。憎んだんだ。
生きてるなら一目会いたいと思ったし、
今はもういいの、って思うけど、やっぱり憎んだんだね……。
そこがチェユンとの大きな違いでサー。
あのときは、「お前のせいだ!」って彼女を責めたけど、
チェユンは一度だってタムを憎んだりせずに生きてきたよね。
カッとしてあのとき、言っただけだったんだよね。
ずーっと、タムを守れなかった自分だけを責めてきたんだよね。
そこがちょっと……お互いのことを思う気持ちのズレに関係してくるような。
なんかまだ、王様に見せたような笑顔をチェユンには見せてくれてないし。
いい笑顔です。タムの人生の目標が、文字創製なのね。
んー、とはいえ、王様にはどうにもならなかった声が、
チェユンとの再会で戻ってきたわけだし……。
やはりタムにとってトルボクは特別な存在なんだろうな。
はっはっは、わたしはとにかく、チェユンが少しでも報われてくれればいいんです。
あの哀れな青年に、愛を与えてあげてほしいんですよ。
お父さんの遺書、なんて書いてあったんでしょうねぇ。
「王様を恨むなよ」とかだったら、もだえ死ぬね。
ふたりがドラマからいなくなっても見たくないし、
いなくならなくても見る気が進まないし、困ったもんです。
残りの話数を楽しく見られるんだろうか……。
その鍵を握るのが、カリオンでしょう!
彼の正体がバレた時には、もうチェユンとソイのことなんて
どーでもいい!と一瞬思ったもんね。
わたしの憂鬱を吹き飛ばす、面白いドラマにしてくれることを祈っています。
頼むぞカリオン!密本!
今回も、あまりの哀しみに胸が張り裂けそうになっていたわたしですら、
あの血判状には驚きましたからね~。
密本の書、密本の書、って言ってたけど、必要なのはコレかい!と。
ヘガン先生ですら、なんか小物に見えてきた。
お前ら結局保身に走る卑怯者じゃないか!
世は太平ですからな~。
それも仕方のないことかも。
聖君のもとでみなしあわせなのに、なぜにわざわざ苦労せにゃならんのか、と。
その気持ちはよくわかりますよ。
血判状で老害を縛り付け、後で裏切られることのないように気をつけてね、カリオン。
さて、すべての道をあけ、復讐に燃えるチェユンを迎え入れたイ・ドは、
何を語るのでしょうか?
また泣いちゃうんだろうな、チェユンは。
見たいような、見たくないような、でも見ちゃう。
嬉しいような、悲しいような、いろんな感情が交ざって涙が出てくる。
最近、「涙活(るいかつ)」という言葉を聞きまして、驚いております。
他人ごとを気の毒がって泣いてストレス解消なんて、
ふざけたことをいってんじゃねぇ!
泣くならおのれの魂を振り絞って泣きやがれ!
のたうちまわってもがき苦しんで、疲れ果てた後、
それでも流れる静かな涙がすべてを洗い流してくれるんだ!
泣きたいと思って泣ける動画見たりするなんて、
泣きたくなくても涙が出ちゃう人たちに失礼だぞ~。
と、わたしは思うのであります。
みんな疲れてんだろうけどさ。
わたくし、今回もドラマ見て泣いちゃいましたけど、
ストレスが余計にたまった気がする……。
だってこんなの悲しすぎるでしょ?
《あらすじ》
「タム!」
チェユンの叫びに、ソイはハッとする。
彼が、トルボク兄さんだったなんて。本当なの?
ふたりは互いに信じられない思いで涙を流しながら、抱き合った。
カリオンは定武軍を出してソイを探す。
王とムヒュルも、カン・チェユンと共にソイがいるはずだと見当をつけ、
彼らを必死に探していた。
「タム、どうして口がきけないんだ?」
チェユンはソイにたずねた。
父親や仲間たちが殺された現場にいたんだ、その衝撃のせいなんだな……。
そう納得しようとするチェユンに、ソイは首をふった。
「違う?じゃあいったい何のせいなんだ、タム?」
(兄さんは覚えてもいないの?)
ソイは、チェユンの胸に指を置いた。
(兄さんのせいよ)
思い出した。俺が、この俺が、タムのせいだと責めたんだ……。
チェユンは泣いた。
声を殺して、あの言葉を後悔して、ただソイの手を握り、涙を流した。
(目が覚めると王妃様のお部屋だった。
兄さんがわたしを責める夢を見ていたの。
それから口がきけなくなった。
わたしがどれほど、自分を責めて兄さんを憎んだか、わかりっこない……)
そう思うソイもまた涙を流し、
チェユンを優しく抱きとめるのだった。
(タムは俺よりつらい地獄を過ごしてきたんだな)
チェユンは川で顔を洗いながらそう思うのだが、ソイはもう恨んではいない。
(もういいの。兄さんが生きていてくれただけで、報われたわ)
ソイはチェユンを呼ぼうとして、ふと口を動かしてみる。
すると一瞬、声が出そうで……。
と、そのとき、ソイののど元に刀が押し当てられた。
ユン・ピョンだ。
ジョンスの部下がもたらした情報をもとに、チェユンを追ってきたのだ。
「密本の書をよこせ、カン・チェユン。いや、トルボク」
「女官をはなせ」
「お前の望みはこれだろ?」
ユン・ピョンは懐から、福の字が刺繍された巾着を取り出した。
放り出された巾着に一瞬目を奪われたチェユンの手を、ユン・ピョンが蹴り上げた。
密本の書は、ジョンスの部下の手に渡る。
ひるんだチェユンに、追い打ちをかけるように目つぶしが飛んだ。
「望みのものは手に入れたんだろ?はやく女官を放せ!」
「あれを見たものを生かしてはおけぬ」
ユン・ピョンは小刀を構え、目の見えないチェユンに切りつける。
チェユンも気配で動きを読むが、相手の素早い動きに反応が遅れる。
ソイは、必死で口を動かす。
「み、右よ!」
とうとう、ソイの口から言葉が飛び出した。
「上!」
ソイの言葉をたよりに、チェユンはユン・ピョンの攻撃をかわし、
一太刀、二太刀と、受けた傷を返してゆく。
チェユンの目も次第に見えるようになり、もはやユン・ピョンの優位ともいえない状況だ。
しかし、彼はひとりではなかった。
定武軍が助太刀にあらわれ、ユン・ピョンは命じる。
「女を先に殺せ」
チェユンはとっさに武器を投げて刺客を倒し、ソイの体に覆い被さった。
今にも男がチェユンの背に刀を突き立てようとしたその瞬間、
飛んできた槍が男の胸を貫いた。
「ムヒュル……」
ユン・ピョンは思わずつぶやいた。
次々に、官軍が現れ、号令が響く。
「国法に背いた逆賊だ!皆捕らえよ!」
ユン・ピョンらは、密本の書を手に入れ、逃げ去った。
チェユンは、ソイを抱き、ホッと息をついた。
足下に転がる巾着を素早く拾い、胸元に押し込む。
近づいてくるムヒュル。
そして、その後ろには王自身の姿があった。
チェユンの頭の中は、素早く計算が働いている。
(何という?それともここで、勝負に出るか?)
ふたりの姿を見て、すっと背を向けようとする王に、
ソイが声をかけた。
「王様……」
王の目に、驚きの色が広がった。
「声が出るようになったのか」
「はい、王様」
「よかった。本当によかった……」
王は、頭を垂れたトルボクを見やる。
「王様、王様のおかげです」
ソイの言葉に笑顔でうなずきながら、結局心の病だったのか……と王は思う。
チェユンは、この場を言いつくろおうとしゃべり出すのだが、
王の一言で、何も言えなくなってしまった。
「トルボク」
とっさに傍らの刀に手を伸ばすチェユンを、ムヒュルが制した。
「父親のことは、すまなかった」
ソイは、王の話を思い出す。王様はご存じだったのだ。
「お前がゆるしてもけして忘れられぬ。
お前には心から、謝りたいと思っていた。
わたしを殺したかろう。父親が死んでからは、わたしを殺すことだけが支えだっただろう。
だが、お前はこれから別の人生を歩める」
チェユンの表情がもの問いたげだ。
「ソイがいる。いや、タムがいる。ソイと共に遠くへゆけ」
ソイもまた驚きを隠せない。
「王様……」
「新しい人生を始めるのだ」
(俺の人生?タムと共に生きる俺の人生?)
「お前にも損は無かろう。
お前は新しい人生を生き、わたしは余命を長らえ、今しばらく自分の道をゆける。
しかしわたしはソイを失い、お前はタムを得る」
「王様……」
ソイは信じられない思いだ。
「しあわせになれ。これは王命だ」
王は、兵を連れて去って行った。
チェユンはソイを馬に乗せ、ぼんやりと夜の山道を行く。
ふたりの姿をそっと見送りながら、王はある出来事を思い出していた。
地方で、疫病が流行り、人々が大勢なくなった。
王は予防策を触書として出したのに、なんの効果もなかった。
誰もそれを読むことができなかったのだ。
怒った王は、直々に疫病の蔓延する村へ入る。
荷車に乗せられた人々の死体。
「なぜ、何もしようとしない?たかだか2000字を覚えるだけでいいというのに!」
しかし、貧しい人々は毎日働きづめだ。
文字を覚えるヒマなんてない。
「わたしだって寝る間を惜しんで毎日働いている。
なのにお前たちは、自分のために何もしようとしない!」
やり場のない怒りを、子どものように無知な人々にぶつける。
「字が読めなくて、何をどうしろっていうんです」
「字が読めないのが自慢か!」
人々は王の剣幕に恐れをなし、口々に「お助けください」と嘆いては、
地面にひれ伏して赦しを請う。
「わたしは、お前たちを殺す人間か!どうしてわたしに命乞いをする……」
王は民を救うことの出来ない自分に苛立ち、側近に当たり散らした。
怯える女官たちの中で、ソイだけが冷静に立っている。
「冷ややかな目だな。
長い年月で、ひとつも変わらん。かたくなに心を閉ざしている。
何度も説明し、赦しを請うた。王であるこのわたしが!
お前たちを救うための密書がすり替えられた。殺す気はなかった!
この世の誰に対しても胸をはって言える。最善を尽くしたと。
でも変わらない。お前も世の中も、いっこうに変わらん!」
ソイはまったく動じることなく、無表情に立っている。
「お前が不幸なのは、わたしのせいか?お前が心を閉ざしたのは、すべてわたしの責任か?
いいや、お前は、おのれの人生のために何もしていない!
幼子のようにダダをこねているだけだ!
口がきけないことがそんなに偉いのか!よかったな!」
疫病の村で感じた憤りは、すべて形を変えてソイに向かってぶつけられた。
ソイは、眉ひとつ動かさず、書いた。
「幼子なら、育てるのが道理です」
とうとう王は、ソイに問うた。
文字を作りたい。簡単な文字を。誰もが覚えられる文字。
幼子なら、育てよと言ったな。
誰もがやたすく学べる文字を、わたしがつくろう。
ソイは書いた。ただ一言「是」と。
それから、王の文字創製の道が始まった。
その作業には、ソイの能力が役に立った。
彼女の頭の中には、数万字の漢字が入っているのだ。
思わず出た王の冗談に、ソイが初めて微笑んだ。
すべては彼女の「是」から始まったことなのだ。
イ・シンジョク、ヘガンら、密本の元老たちは、チョン・ギジュンを待っていた。
中でも右議政イ・シンジョクは、もしもの場合を想定して、刺客を潜ませている。
もし、密本の書が無ければ、即刻彼らを密告する手はずだ。
約束の場に遅れて現れたチョン・ギジュンは、まず、と断ってみなに問いかけた。
「あなたがたはなぜ、密本になったのですか?」
朝鮮を儒生の国にするという三峯先生の意志に賛同したからではないのか?
あなたがたの思想に変節はないか?
ギジュンをまっすぐに見つめることすらできない元老たち。
しかし右議政イ・シンジョクは厚顔だ。
「密本の書はあるのですか?ないのですか?」
シンジョクは、書はないものとふんでいる。
元老たちも、その尻馬にのるような形で、本元を責めた。
ところが、そこへシンジョクの側近が打ち据えられ、放り込まれた。
周囲に潜んで襲撃の合図を待っていたところを、捕らえられたのだ。
シンジョクの変節など、とうにギジュンはお見通しである。
「わたしに三峯先生の大義があるかと尋ねたか?」
ギジュンは懐から、書を取り出し、放り投げた。
それよりももっと重要な物は、ここにある。
「お前たちがいう大義がここにある!」
その手には、彼ら元老の名を記した連判状があった。
「お前たちは、逆賊にならぬか、歴史にどう刻まれるか、自分の名声と保身の方が
三峯先生の遺志よりも大事なのだ!」
チョン・ギジュンは火のように怒っている。
特に、イ・シンジョクの罪は重い。
密本としての仕事を忘れ、王の独裁をゆるした。
「お前たちの意志など知らん。ここに名前がある以上、密本とわたしの意志に従ってもらう!」
そしてカリオンは、カン・チェユンがトルボクだという事実を知る。
数奇な運命に、にやりと笑みがこぼれた。
チェユンとソイは、あばら屋で一晩を過ごした。
朝になり、チェユンは懸命に飯の支度をする。
ふたりは粗末な食事をしながら、共に涙を流した。
ふたりで歩く道。
チェユンの足取りは軽く、顔は始終にやにやとにやけている。
反面、ソイの足取りは重い。
王との日々を思い出さずにはいられない。
子どものように、夢中になって、文字を作っていたイ・ド。
自分にも、意見を求められ、王と一緒に文字を作った。
中声文字ができた時の喜びは、忘れられない。
イ・ドの構想に、ソイの発想が足され、より平易な構造が出来上がった。
王の喜びは、彼女の喜びでもあったのだ。
一方チェユンは、自分が野良仕事にせいを出し、
ソイが昼飯を運んでくるような生活を夢想している。
「タム、俺が何を考えていたかわかるか?
今までは、王をどうやって殺そうか、何をつかって殺そうか、
そんなことばかり考えていた。でもさ、」
「戻ろう。ううん、戻らなきゃ、宮殿に」
タムの言葉は、意外なものだった。
「どうして?」
「やらなきゃならないことがあるの」
「どんな?」
「王の大義、そして、わたしの大義」
「つまり、王の大義がわたしの大義、そういうことか?」
「うん」
チェユンには、ソイが何をいっているのか理解できない。
王様と仕事をしてたから、自分も偉いと錯覚したのか?
どんな仕事をしようが、俺たちは最下層のだ。
お偉い方々が、大義のために死ねと命じたら、死ぬしかないんだ、タム。
だからこそ、よ。
偉い人たちがおじさんや父さんを殺した。
だから、王様の大義がわたしたちを生かすか殺すか確かめたい。
「何?」
「兄さんも一緒に来て。兄さんもすべきことよ」
「いったい何なんだ?何なんだよ、その大義ってやつは」
「文字よ。音をもとにした、民が簡単に覚えられる文字。わたしには役目があるの」
ソイの決意とは逆に、チェユンは戸惑うばかりだ。
文字が読めないから不幸になったっていうのか?
俺に責められて苦しんでたから、王様が文字を作って救ってくれるのか?
「そうじゃないわ」
文字が読めてたら、助かったと思うか?
結局は同じ目にあってたさ!
「少なくとも、あの女官の嘘は見抜けた!
わたしのこの口が、おじさんに手紙を届けさせた」
王はお前の心を利用してる。そうして捨てるのが、あいつらのやりかただ。
「王様は聖君よ!」
聖君?それを聞くたびに反吐が出るぜ。
みんなが聖君がつくった平和な世の中でしあわせに暮らしてる。
俺だけが不幸だ。
そう思うと耐えられない。
北方でも言われてたさ。王様は民衆思いの良い王だって、太平の世だって!
チェユンは涙を流し、ソイもまた共に泣いている。
「あの夜のことは誤解なのよ、王様は……」
「黙れ。
いいさ、誤解だとしよう。お前を救ったように、王の意図は別にあったと。
俺が誤解を解いて、王を理解したとしよう。
……おやじはどうなる?
俺が王様を理解したら、俺のおやじが、おやじがあんまり可哀想だ。
それに俺は?俺の人生だって哀れだ。
それでお前は?俺やおやじやおじさんの身になって考えろよ。
お前も朝鮮の民だろ?その大義だかクソだかなんだかのために、おやじを忘れろって?
なんで俺じゃなくて、王様の味方をするんだよ?!」
ソイの瞳は揺るがない。
「わたしは、王の味方をするんじゃない。
兄さんが自分の人生を暗殺に懸けたように、
わたしの人生を文字に懸けたの。
それが父さんや、わたしが死なせたおじさん、そして死んだと思ってた兄さんへの償いよ」
見つめ合うふたりは、別々の道をゆくしかないのだった。
体を鍛え、人を殺し、技を磨いて生き抜いてきた日々はなんだったのか。
しかし、ソイは信じている。
カン・チェユンは、王がもっとも恐れ、信頼しているもうひとりの判官。
彼なくしては、文字創製の仕事は為し得ない。
きっと兄さんは、わかってくれる。
とぼとぼと歩いてあばら屋に戻るが、タムの姿は無い。
チェユンは、ひとり、岩の上で父の遺書を読んだ。
そして泣きながら、天に吠えた。
「おやじぃ!死ぬ前に俺に残した言葉はこれだけなのかよ?」
絶望にかられ、チェユンは自害して果てようとするのだが、できなかった。
ソイは、宮殿に帰ってきた。
王は冷たく突き放そうとするが、ソイの決心は固い。
「最初からわたしの仕事でした。やり遂げます。
そして、もうすぐもうひとりの判官が参ります。
我慢して待ち、耐え、時間がかかっても説得するのでは?」
ソイの挑戦的な言葉に、王は考え込んだ。
ムヒュルは、今度こそチェユンが、トルボクが、
王の暗殺を成し遂げるため現れるだろうと確信している。
ソイが王の元へ戻ってきたのだ。
奴の心の内は火を見るより明らかだ。
しかし王は、チェユンの通る道をすべて空けておくように命令した。
ソイの言葉は、「決着をつけろ」という意味だろう。
彼女の言動は挑発的だが、胸躍る。
わたしを、興奮させる。
果たしてトルボクはやってきた。
斬って斬って斬りまくって、自分も死ぬ。
それこそが、ハンジ村のトルボクじゃないか。
誰にも邪魔されず、王の前にたどり着いたトルボク。
そして彼を待ち受けていた、イ・ド。
(つづく)
なんかなー。
わかっていたけど、つらいんだ。
ふたりが無事に会うことが出来て、タムが声を取り戻して、
王様がふたりを放免してくれて、でもタムは戻ろうと言う。
放心状態のふたりが、ぽこぽこと馬と一緒に去って行った時、
え?マジでいなくなっちゃうわけ?
まさかなー、そんなわけないだろう、と思いつつ見てたの。
もちろん彼らは宮殿に帰ることになったわけだけれども、
そうなればそうなったで、なんか見るのがつらくなっちゃったんだよね……。
だってこの展開でしあわせなラストなんて想像できる?
あ!いや、もしかしたら、
文字創製はうまくいって、ふたりは結婚して、平民になり、
普通の村で普通の人々に文字を教えて暮らしてゆく……ってラストもアリか!
あ~、それならいいなぁ~。
そうだったらわたし、すごくしあわせな気持ちでドラマを見続けられるよ。
しばらく……そうやって自分を騙しながら続きを見ようかな……。
悲劇に終わるって決まったわけじゃないけどさ。
この回のチェユンの気持ちが伝染しちゃったみたいで、
どうにもダウナーな気分なのでした。
だってひどいよね?
タムが生きていて、会うことができて、
声を失ったのは自分のせいだったんだ、って気付いて、すごく泣いて、
でも自分を助けるためにタムは声を取り戻してくれて、
もう王様を殺すことだけ考えて生きなくてよくなって、うれしくて。
この先は好きな女と一緒にしあわせに普通に生きていけるんだと思ってたら、
当の相手は諸悪の根源である王様のところに帰るっていう。
つらくてつらくて仕方がない日々を過ごしてたって知ってるはずのタムが。
同じ思いをしていたはずのタムが。
自分と一緒に生きていくことを放棄して、宮殿に帰るっていうんだよ?
ずっとずっと好きで、その人のために復讐しようと思うほど好きだった人が、
自分じゃない人を選ぶんだよ?
しかもそれは、復讐の相手だったんだよ?
そんなのひどすぎるよー!(泣)
ほんとにタムにはトルボクの身になって考えてほしいわ……。
もうちょっと熱意を込めて説得するとかさ。
(トルボク兄さんなら、きっとわかってくれる)みたいに思ってるんだろうけど……。
言わなきゃわかんないからね!
ほんとはトルボクとしあわせに生きたいけど、それだけじゃダメなんだ!って言わなきゃ。
個人のしあわせよりも、もっと大事な大義があるんだって言わないと。
俺より王を選ぶんだな!ってチェユンは思ってるから。単純に。
いや、単純化すればそうなんだけど。
ああ、でもそうなのかな。
どんなに言葉を尽くしても、結局はそういうことなんだもんね。
タムは深いところで、トルボクを信じているのかもなぁ。
ただ復讐だけを思って生きてきたトルボクと、
王の大義とともに生きてきたタム。
チェユンが、どういう展開でソイを理解するようになるのか?
そこはすごく気になります。
ただ単純に、ソイのためだから、と思って彼女を守るために宮殿に残るのか。
それとも、王の大義が自分たちのような貧しい民を救う道だと理解するのか。
王の大義がソイの大義でもあるように、チェユンの大義になってくれたらいいんだけどなー。
相変わらず王の寝首をかこうと狙いつつ、王に仕える、というのも、
緊張感にあふれる展開でいいかもしれませんね。
本当は心の平安を与えてあげたいのだが、ゴメンね。
もう、あのご飯を食べながらふたりが泣いちゃうところではわたしも泣けて泣けて。
今までのつらい日々を思い、このしあわせを思い、
ふたりは泣いてしまうんだと思うのよ。
たくわんをかぶりながら泣いちゃうチャン・ヒョクが好きだ。
みっともなく泣ける俳優、というのがわたしは好きなんです。
仲直りの思い出の栗だよ……。
「なぁ、俺がいま何考えてるかわかるか?」って言って笑うチェユン。
歩きながらも、ふふっふふって笑ってる彼なのに……。
「戻ろう」って一言いうソイ。
「どうして俺じゃなくて王の肩を持つんだよ」って泣いちゃうチェユン。
もうあのへんも泣けて泣けて。
王様のやろうとしてることは、すごく大事なんだよ、
男として、命をかけてもいいくらいの大きな仕事だよ、って言いたくなったり、
そんなことはお偉い方々に任せておけばいいじゃん!って思ったりしました。
そもそも、ずーっとよくわからなかったんだよね。
なぜ、ソイでなくてはダメなのか?
瞬間記憶能力って文字創製にどういう形で役立つの?と不思議に思っていました。
ソイの生い立ちが、王にとって重要だから側に置きたいだけかな?と思ってたの。
重要なのは、一度見たら絶対に忘れない記憶能力だったんだね。
すべての漢字が頭の中に入っているとは……。
そして自由自在にアウトプットできるとは……。
まさにパソコンが手元にあるのと同じくらい便利。
しかも王の指針となってくれる聡明さがある女性だし。
王の不機嫌を屁とも思わないし。
過酷な人生で、人間練れてるし。
こりゃソイがいなくてはダメだ。
王の中には、彼女に対する愛情もあると思うよ。
ソイの中にも、王に対する愛情がある。
それは、いわゆる恋とは違うと思うけど、
王様の方は、男女の愛に近いところにあるんじゃないかなー。
ソイの方は、憧憬に近いところにあるような気がする。
チェユンはけっこう繊細なところのある男なので、
そのへん嗅ぎ取って、死ぬほどムカついていると思います。
そして絶望したと思います。
一時はその幸福に涙した部屋に、彼女はいない。
冷たい藁が落ちているだけ……。
タムが、「わたしがどれだけ自分を責めて兄さんを憎んだか……」って
思った時、えっ?と思ったの。
憎んだの?
そうか……。憎んだんだ。
生きてるなら一目会いたいと思ったし、
今はもういいの、って思うけど、やっぱり憎んだんだね……。
そこがチェユンとの大きな違いでサー。
あのときは、「お前のせいだ!」って彼女を責めたけど、
チェユンは一度だってタムを憎んだりせずに生きてきたよね。
カッとしてあのとき、言っただけだったんだよね。
ずーっと、タムを守れなかった自分だけを責めてきたんだよね。
そこがちょっと……お互いのことを思う気持ちのズレに関係してくるような。
なんかまだ、王様に見せたような笑顔をチェユンには見せてくれてないし。
いい笑顔です。タムの人生の目標が、文字創製なのね。
んー、とはいえ、王様にはどうにもならなかった声が、
チェユンとの再会で戻ってきたわけだし……。
やはりタムにとってトルボクは特別な存在なんだろうな。
はっはっは、わたしはとにかく、チェユンが少しでも報われてくれればいいんです。
あの哀れな青年に、愛を与えてあげてほしいんですよ。
お父さんの遺書、なんて書いてあったんでしょうねぇ。
「王様を恨むなよ」とかだったら、もだえ死ぬね。
ふたりがドラマからいなくなっても見たくないし、
いなくならなくても見る気が進まないし、困ったもんです。
残りの話数を楽しく見られるんだろうか……。
その鍵を握るのが、カリオンでしょう!
彼の正体がバレた時には、もうチェユンとソイのことなんて
どーでもいい!と一瞬思ったもんね。
わたしの憂鬱を吹き飛ばす、面白いドラマにしてくれることを祈っています。
頼むぞカリオン!密本!
今回も、あまりの哀しみに胸が張り裂けそうになっていたわたしですら、
あの血判状には驚きましたからね~。
密本の書、密本の書、って言ってたけど、必要なのはコレかい!と。
ヘガン先生ですら、なんか小物に見えてきた。
お前ら結局保身に走る卑怯者じゃないか!
世は太平ですからな~。
それも仕方のないことかも。
聖君のもとでみなしあわせなのに、なぜにわざわざ苦労せにゃならんのか、と。
その気持ちはよくわかりますよ。
血判状で老害を縛り付け、後で裏切られることのないように気をつけてね、カリオン。
さて、すべての道をあけ、復讐に燃えるチェユンを迎え入れたイ・ドは、
何を語るのでしょうか?
また泣いちゃうんだろうな、チェユンは。
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