フィギュアスケートの新採点規則について、一つ気になったことがある。
新方式の採点は大きくTES (Technical Element Score) とPCS (Program Component Score) に分けられ、その合計点から反則・転倒による減点を引いたものが選手の得点である。昔流の言い方に対応づければ、おおよそ、TESが技術点、PCSが芸術点に相当する。TESはプログラム内の技の難易度と成功の度合いによって採点され、PCSはスケーティングそのものの美しさ・精度とか、振り付け・音楽の解釈などの採点である。
本来は双方は全く独立に採点されるべきなのだろうが、PCSは、PCS合計点がTES合計点と等しくなるところをまず基準として増減されるようだ。かつての6点満点の採点でも、芸術点は技術点と同じ点数が基準と見なすことができ、そこから芸術的要素の巧拙によって最大で0.4とか0.5くらいまで増減があった。現在でもこれを引き継いでいるようだ。
それをよく表しているのが、男子と女子でPCS各項目の採点にかける倍率が違うことである。わざわざこのような違いがあるのは、TESとPCSが絶対的な数字で同程度にするためとしか考えられない。男子ではPCS5項目の合計に2倍、女子では1.6倍である。(フリーの場合。SPではこの倍率は半分)
しかし、これは大問題だ。上位と下位との差という観点では、TESの差が大きいのはむしろ女子だからだ。
今回世界選手権フリーに進出した選手中、最高点と最低点の差を比較すると、女子では30点を超える差があるのに、男子ではこの差は約20点である。なのに、PCSの倍率は女子の方が小さい。かけ算する前のPCSの点差に換算すると、女子の差はPCS5項目合計約20点に相当するのに、男子は5項目合計10点分にしかならない。
女子の採点についても、特にPCSで意図的な上げ下げがあるのではないかと不満が噴出しているのに、その女子に比べて男子ははるかにPCSの影響が大きいということだ。採点をまだ放送を全く見ていないけれども、採点表を見る限り、男子はPCS次第で順位がどうにでもなってしまうように見える。素人にとっては、PCSの点数は、直感でわからない部分とか、プログラム自体の好みでひいき目が入る部分とか多いと思う。素人目には、意味不明の事態が相当に多発しているのではないかという疑問を抱く。
筆者としては、新採点規則のコンセプト自体には反対をしていない。全く根本的な規則の変更だから、バランスという観点では未完成であり、当分微調整は続くのではないだろうか。
# しかし、このようなレベルの問題は、グランプリシリーズ2シーズンの試行でとっくにわかっていると思うのだが
# それにしても、男子の優勝選手でフリーのTES60点台後半とは、ちょっと情けない内容の大会に思われる。男子シングルは14要素、女子シングルは13要素という違いを考えれば、スルツカヤやコーエンと実質的にほとんど差がないということになるからだ。
新方式の採点は大きくTES (Technical Element Score) とPCS (Program Component Score) に分けられ、その合計点から反則・転倒による減点を引いたものが選手の得点である。昔流の言い方に対応づければ、おおよそ、TESが技術点、PCSが芸術点に相当する。TESはプログラム内の技の難易度と成功の度合いによって採点され、PCSはスケーティングそのものの美しさ・精度とか、振り付け・音楽の解釈などの採点である。
本来は双方は全く独立に採点されるべきなのだろうが、PCSは、PCS合計点がTES合計点と等しくなるところをまず基準として増減されるようだ。かつての6点満点の採点でも、芸術点は技術点と同じ点数が基準と見なすことができ、そこから芸術的要素の巧拙によって最大で0.4とか0.5くらいまで増減があった。現在でもこれを引き継いでいるようだ。
それをよく表しているのが、男子と女子でPCS各項目の採点にかける倍率が違うことである。わざわざこのような違いがあるのは、TESとPCSが絶対的な数字で同程度にするためとしか考えられない。男子ではPCS5項目の合計に2倍、女子では1.6倍である。(フリーの場合。SPではこの倍率は半分)
しかし、これは大問題だ。上位と下位との差という観点では、TESの差が大きいのはむしろ女子だからだ。
今回世界選手権フリーに進出した選手中、最高点と最低点の差を比較すると、女子では30点を超える差があるのに、男子ではこの差は約20点である。なのに、PCSの倍率は女子の方が小さい。かけ算する前のPCSの点差に換算すると、女子の差はPCS5項目合計約20点に相当するのに、男子は5項目合計10点分にしかならない。
女子の採点についても、特にPCSで意図的な上げ下げがあるのではないかと不満が噴出しているのに、その女子に比べて男子ははるかにPCSの影響が大きいということだ。採点をまだ放送を全く見ていないけれども、採点表を見る限り、男子はPCS次第で順位がどうにでもなってしまうように見える。素人にとっては、PCSの点数は、直感でわからない部分とか、プログラム自体の好みでひいき目が入る部分とか多いと思う。素人目には、意味不明の事態が相当に多発しているのではないかという疑問を抱く。
筆者としては、新採点規則のコンセプト自体には反対をしていない。全く根本的な規則の変更だから、バランスという観点では未完成であり、当分微調整は続くのではないだろうか。
# しかし、このようなレベルの問題は、グランプリシリーズ2シーズンの試行でとっくにわかっていると思うのだが
# それにしても、男子の優勝選手でフリーのTES60点台後半とは、ちょっと情けない内容の大会に思われる。男子シングルは14要素、女子シングルは13要素という違いを考えれば、スルツカヤやコーエンと実質的にほとんど差がないということになるからだ。