友人からの依頼もあり、レナウンの
分析をもう少し広い範囲で試みることにした。
今回はPLは除いてあくまでBSに着目しての分析。
カッチカチの内容ですがご辛抱を。
1)親会社グループへの滞留売掛金の問題
2014年から2017年までの売掛金と現預金の増減を
見てみると売掛金は44億88百万円の増加。一方
現預金は45億76百万円の減少。この期間の商品や
固定資産の推移をみても大幅な動きはなく、キャッシュは
ほぼ売掛金(滞留債権?)に代わっていると推測される。
2)いきなりの商標権取得
2017年までは同社はほぼ無借金経営(お付合いの借入だけ)
だった。が、2017年12月に香港の「アクアスキュータム」の
商標権を発表する。取得金額は56億円と発表された。
もちろん財務諸表上にも計上されている。
この時無借金経営だった同社はいきなり35億円
もの借金を抱えることになり大きな転換期となる。
たった5年前には140億以上の
資金があり無借金だった会社が
あっという間に経営危機に。
これは推測であるが同社のキャッシュが100億
切ったタイミングで資金調達に動いたのではないか
と思われる。
3)貸倒引当金計上の攻防
2018年2月期から2019年12月期までの1年10か月の間に
現預金がおよそ50億も減少。売掛金回収はままならず、商品在庫は約
10億増え、財務内容はかなり悪化していた。そして多額の貸倒引当金
の計上は営業赤字に直結する、すなわち前回とりあげた「財務制限条項」
に抵触するのでおそらく監査法人と存亡を掛けた激しい攻防があった
であろう。
したがってこの計上で2年連続営業赤字となり金融機関が動いた
という流れではないかと前回の補足としたい。
内部の人間ではないので詳細はわからないが山東グループと同社の関係
は有価証券報告書では良好と謳っていたものの、財務諸表を見る限り
実際は数年前からかなり揺さぶられていたように見受けられた。
以上はあくまでも個人的な見解である。