にわとりのにわ a hen's little garden

歌うたい時々クラリネット吹きの日高由貴のblog。
ちいさなこころのにわの風景をすこしずつ書きとめていきたいです。

音楽の勉強

2011年09月10日 | 日々のこと
イラストは、ドーナツじゃなくて、レコードのつもりです(あいかわらず写実的ではありません・・・)

きのうは、来月ライブをさせていただくむ~らさんで、コーヒーとシフォンケーキ(チーズケーキと迷いましたが、今回はシフォンケーキにしました)をいただきながら、かれこれ3時間ぐらい、レコードを聴かせていただいていました。

初めて聴く歌手のかたも多くて、ジャズヴォーカルの奥深さをあらためて知った思いでした。

そのなかで、わたしは低くてあたたかみのある女性の声がとても好きだということを発見しました。基本的に嫌いなヴォーカリストはいないので、それぞれの個性が好きですが、低くてあたたかい声は身体にすっとなじみます。

マキシン・サリヴァンという人のうたが特に好きでした。

昔、ジャズミュージシャンのひとたちは、ジャズ喫茶に通ってソロを耳で聴いて譜面に起こし、練習したのだそうです。いまみたいにCDもインターネットもなくて、レコードがものすごく高価だった時代。

コーヒー一杯で何時間も粘り、一心に聴き続けたと、いろいろなミュージシャンの方の回顧録で目にします。どんなに大変だっただろうと思います。

いまは、なんでもインターネットで調べられるし、聴くこともできるから、それはこの上なくありがたい(そんなに裕福じゃないひとにとってはとくにそうだと思います)のですが、レコードをお店で聴くという行為には、お店の方や他のお客さんとのコミュニケーションもあったはずで、ただ情報を得ることとは質が違うように思います。

わたしにとっては、たまに行く喫茶店は、ひとりではできない音楽の勉強の場です。

きのうも、いろいろ教えていただきました。

なんでも無料で、あるいはとても安く手に入ることは、アーティストの生活を脅かすことにつながることもある。だから、守るためにできることを探していかないといけないと思います。でも一方で、なんでも有料で、高くなってしまうと、お金がない人から芸術を遠ざけてしまう危険性もあるような気がします。

だから、YouTubeもよく利用しますし、好きなアーティストのCDは、お金をためてできるだけ買うようにはしています(ほんとうはレコードがほしいのですが、レコードプレーヤーを買ってから、になるのでもうすこし先の将来の夢です。)

ミュージシャンが、自分でレコードを揃えることは難しかった時代に、ジャズ喫茶があったからこそ育まれてきた日本のジャズ文化もあるのだろうと思います。

先日アメリカに行っていたときにお逢いしたベースの巨匠が、「ジャズの教育は日本が一番素晴らしいよ。二番目はヨーロッパで、アメリカは三番だ。」とおっしゃっていました。

「仕事さえあれば日本に住みたい。日本のミュージシャンは、とても謙虚で熱心に勉強する。日本は大好きだ。」とも。

もちろん、アメリカでしか学べない空気はたしかにあると思います。でもそこまで言われるなんて、たくさんの方々の努力があったからこそだな、と思いました。

日本のジャズ文化についてマイク・モラスキーさんが書いた著書があります。(マイク・モラスキー『戦後日本のジャズ文化―映画・文学・アングラ―』青土社、2005年)。

書評を、『文化/批評』(国際日本学研究会)という雑誌に掲載させていただいたので、もしご希望の方がおられましたらご連絡ください。

むずかしいけれど、バランスをとりながら、大切なものを見失わないようにしていけたらいいな、と思います。