我が家、その日は珍しく客人がいた。
そこへノックノック。
古い水道管からの水漏れでできた天井のシミを隠すために、ペンキを塗りなおすべくペンキ屋さんがやって来た。
お客とのやり取りを続けたわたし。
ペンキ屋さんはペンキ屋さんで仕事を始め、黙々と一人作業。
12時30分をすぎたあたりで、お客はお帰り。
ペンキ屋のおじさんは、汚くなった天井を削り落とし、ヒビがはいったような部分に特殊な塗料を塗り、それが乾くのを待っているとのこと。
わたしはというと、、、そろそろ、、昼ご飯でも食べるぞと、、、レンジでご飯を暖めているところにおじさん、、、台所に顔を出した。
” お茶が出てこないじゃないか? ”
げーーーーー やっぱりこういう作業をしてもらう人にはお茶とかって出すの??
お茶を入れようとすると、、、
” いや、コーヒーをもらおうか!”
な、、、
何がきっかけだっただろうか、、、、、
" 働いてないの? ここに暮らして何年なの? ”
がきっかけだっけ、、、、??
質問されるがまま自分の状況を説明し始めると、、、ペンキ屋のおじさんもいろいろ身の上話をかたり始めた。。。
自分の奥さんがドイツ人だと口を滑らせたところから会話が止まらなくなり、、、、
” えーーー ベンは半分ドイツ人なの?? ”
あたしの一言が彼のおしゃべりボックスを開けてしまった、、、形となる。。。。
ベンというのは彼の息子さんで、彼の息子さんがわたしたちの住むアパートを管理している。息子が賃貸物件を管理し、お父さんがその物件のメインテナンスとして動く。
すごく平和なチームワークであった。家族誰も損をしない。家族みんなが収入につながっている。
” いやーーー 違うんだよ。 ベンには二つ年上のジェマというお姉ちゃんがいるんだけど、、、自分は二人を育てたシングルファーザーなんだよ 。 シングルファーザーだなんて珍しいだろ? 別れた奥さんはアルコール中毒でさ、、、ありゃ、、、もうどうにもならなかった。 自分もそんな彼女に耐えられずにね、、、、でも親権はお母さんでなく、お父さんの自分がもらってね。そりゃ大変だったよ。お前には絶対に無理だと周りからは反対されたんだけどさ。。。最初はさあ。。。。そりゃ大変で、 フランスから住み込みのお手伝いさんを呼ぶ事にしたさ。そのフランス人の女の子はお母さん、、、、娘の部屋に鍵はあるのか? って、、、、雇い主に妊娠させられる住み込みのお手伝いさんのケースが多くてね。 ”
” えーーーー 住み込みの若い子を、雇い主が妊娠させる?? ”
” そーーーだよ、そういうケースは多々あり! もちろん、自分は、そんなに疑うのなら部屋には鍵を作るし、それよりまして、オレの部屋に鍵をかけるぞって言ってやったけどな。 ”
このアパートを管理する息子のベンは、前妻のイギリス人との子どもなので100%イギリス人。ドイツ人の奥さんとは最近結婚されたらしい。
” 離婚すると基本的に親権がお母さんというのは、自分は賛成できないんだよ。お母さんだからちゃんと子どもを育てられるという確信なんてねえんだ。 自分はさ、、、自分ができないことを社会や他人のせいにしている、文句ばっかりたれていやがる奴らが許せなくてさ。この自分はどん底から這い上がった。ちゃんと働いてがんばってここまできた。 ベンもジェマもお母さんはいなかったけど、30人ほどいる親戚の中で一番しつけがなっているとよくおじいちゃんにほめられたものだ。 ”
レンジでちん! となったご飯を取り出すチャンスもなく、、、、
お腹がなる間もなく、、、ペンキ屋さんは話し続ける。。。。
” 自分はドイツ人の奥さんとタイで知り合ったんだよ。彼女もさ一人でね。彼女の読んでいる本を横目でみて、イギリス人じゃねえと思ったんだけど。自分はアジア人も好きだよ。 あんたはどこから来たんだい? ”
” 日本です。 事情があって旦那は日本でまだ働いてますけど、、、娘をこちらの学校に行かせたくて ”
” アジア人はこう、、、しっかりしてるよな。 タイに行くと長くとどまるんだけど、そこで知り合うタイ人の人はみんな家族思いで真面目に働く働きものが多いよ。本当にイギリスの文句ばっかりたれている奴らには、頭来るんだよ。”
へーーーーー話しがわかるじゃねえか、この親父。いいやつじゃん。
聞いてもないのに話しはどんどんつながる、、、広がる、、、、止まらない。。。。
” 自分はさ、女にひどい口を聞くやつがほっておけねえんだよ。若い頃はわ、、、バースのクラブを練り歩いたものさ。そこでさ、女に絡んでるやつがいて、その間に入ったんだよ。それで、女には優しくしてさ。ま、そいつといい仲になったと思ったら、、、妊娠しやがってさ。。。。自分は女が妊娠したからって結婚をするべきだとは思わなかったから、ずっと拒否してきて。なんとかお金をこさえてその女に中絶させることにしたんだよ。だけどさ、、、やっぱりいい気はしねえ。その日は仲間とパブで飲んださ。そうしたら、、、そのパブにあいつがいるんだよ。あれ?おめえ、病院じゃねえのかよ? だよなあ。。。どうしても中絶できなかったって。。。。それでさ、、、自分の親父に責任とれって言われて、結婚という形をとりジェマが生まれたっていうわけさ。 ”
いや、、、聞いてないし。。。。妊娠、中絶、復活で結婚、、、、そんなこと、あたし初対面だし、、、、もういいよーーーーー
” 女って言うやつはさ、、、結婚指輪がさ、左手にキラリするとさ、、、かわっちまうんだよな。ジェマが生まれて、三人でバギーを押して歩いていると、一杯知り合いの女とすれ違うわけさ。昔、関係のあったというだけの女だよ。自分は女、大好きだからね。でももう過去の事さ、、、なのに、結婚した女の嫉妬ときたらものすごいもので、、、その嫉妬からアルコールに走ってさ。。。あまりに二人の関係がひどいから、また親父から、二人で初心にもどって旅行してこいって南国に行ってみたらさ、、、ほら、、、気分は軽くなっちゃってさ、、、、戻ったら、あいつ、また妊娠しちまって。それがベンだよ。 それでもアルコール依存症は悪くなる一方でね。離婚を決めて自分が子どもを育てる事にした。”
ひーーーーー
抜け出したいーーーーーーーー が、、、話しは結構面白く。結構、いいことを言ってくれている。
” ジェマもベンも麻薬とかにも手をだしたこともある。若いからな。でもけじめはわかっていたし、けじめをつけることは教えて来たつもりだから、中毒になるような事はなかった。二人は洗い物をして、お皿を拭いてとよく手伝ってくれたよ。あんたの娘さんは家事は手伝うのかい? ”
びく、、、、いえ、、、、娘は何もしないし、させてもない、、、、、
” させるんだよ。お手伝い。12歳なんだろ? できるし、やらせないといけない。ベッドを自分で直さないのなら、クラブ活動には送っていかないと言ってやるんだよ。最近は子どもに暴力はふるうなとは言うけれど、愛のムチは必要だよ。その一発で、子どもは勉強しそれが土台になって、大きくなって間違いはしねえ。ベンが子どもの頃はよくサッカーも一緒にやった。親子で本当にいろんなことを話すんだよ。今ではベンの友人のセックス問題を聞いてやるほどさ。ベンが友達に自分は親父と何でも話せると話すらしくて、、、あいつの友人は親とセックスの話しもできないってさ。。。ジェマなんか12歳の時、学校から電話かけてきて、、、初めて生理になったって嬉しそうに報告してくれたんだ。”
ひーーーーー
濃すぎるって、、、、そこまで話しが発展するのか、、、、、助けてくれーーーーーーーー
あたしのご飯はレンジの中で、再び冷たくなっているーーーーーーー
” あんた、ネイルなんかして働きたいのかい? ”
” いやあ、、、考え中なんですけど、、、イギリスではちゃんとした資格がないから、、、”
” この国は言ったもの勝ちなんだよ。ほら、近くにある美容院でネイルやらせてくれって言って来たらいいじゃないか? 資格? そんなものは、オーナーを捕まえて、お免状はないけれど、自分はこんなことができるとデモンストレーションすればいい。それを気に入ってもらえたら何かにつながるんじゃないの? この国はね、待っていても何も出てこないんだよ。自分から探らないと。。。イギリス人と仲良くするのは難しいのかもしれないけど、自分からどんどん首を突っ込むべきだよ。言ったもの勝ち! ”
ひーーーーー
このおじさんの話しを聞く事になり、、、、昼ご飯、、、食べそこねた。。。。
60歳は越えていると話しをしていたこのおじさんは58歳、、、、
あたしとあんまり年、変わらないじゃん!
” 過去は過去、、、、楽しく前に進んで方がいいでしょ。仕事して、ホリデー楽しんで、ちゃんと暮らして。明日も来るから。 コーヒーとミルク、ちゃんと用意しておいてよ。 今日はミルクが足りなかったからな。 ”
ひーーーーーーー
最後までひーーーーーだったのだが、、、、、このペンキ屋さんに駐車テクニックを教えてもらおうと思ってしまったこのわたしであった、、、、
そこへノックノック。
古い水道管からの水漏れでできた天井のシミを隠すために、ペンキを塗りなおすべくペンキ屋さんがやって来た。
お客とのやり取りを続けたわたし。
ペンキ屋さんはペンキ屋さんで仕事を始め、黙々と一人作業。
12時30分をすぎたあたりで、お客はお帰り。
ペンキ屋のおじさんは、汚くなった天井を削り落とし、ヒビがはいったような部分に特殊な塗料を塗り、それが乾くのを待っているとのこと。
わたしはというと、、、そろそろ、、昼ご飯でも食べるぞと、、、レンジでご飯を暖めているところにおじさん、、、台所に顔を出した。
” お茶が出てこないじゃないか? ”
げーーーーー やっぱりこういう作業をしてもらう人にはお茶とかって出すの??
お茶を入れようとすると、、、
” いや、コーヒーをもらおうか!”
な、、、
何がきっかけだっただろうか、、、、、
" 働いてないの? ここに暮らして何年なの? ”
がきっかけだっけ、、、、??
質問されるがまま自分の状況を説明し始めると、、、ペンキ屋のおじさんもいろいろ身の上話をかたり始めた。。。
自分の奥さんがドイツ人だと口を滑らせたところから会話が止まらなくなり、、、、
” えーーー ベンは半分ドイツ人なの?? ”
あたしの一言が彼のおしゃべりボックスを開けてしまった、、、形となる。。。。
ベンというのは彼の息子さんで、彼の息子さんがわたしたちの住むアパートを管理している。息子が賃貸物件を管理し、お父さんがその物件のメインテナンスとして動く。
すごく平和なチームワークであった。家族誰も損をしない。家族みんなが収入につながっている。
” いやーーー 違うんだよ。 ベンには二つ年上のジェマというお姉ちゃんがいるんだけど、、、自分は二人を育てたシングルファーザーなんだよ 。 シングルファーザーだなんて珍しいだろ? 別れた奥さんはアルコール中毒でさ、、、ありゃ、、、もうどうにもならなかった。 自分もそんな彼女に耐えられずにね、、、、でも親権はお母さんでなく、お父さんの自分がもらってね。そりゃ大変だったよ。お前には絶対に無理だと周りからは反対されたんだけどさ。。。最初はさあ。。。。そりゃ大変で、 フランスから住み込みのお手伝いさんを呼ぶ事にしたさ。そのフランス人の女の子はお母さん、、、、娘の部屋に鍵はあるのか? って、、、、雇い主に妊娠させられる住み込みのお手伝いさんのケースが多くてね。 ”
” えーーーー 住み込みの若い子を、雇い主が妊娠させる?? ”
” そーーーだよ、そういうケースは多々あり! もちろん、自分は、そんなに疑うのなら部屋には鍵を作るし、それよりまして、オレの部屋に鍵をかけるぞって言ってやったけどな。 ”
このアパートを管理する息子のベンは、前妻のイギリス人との子どもなので100%イギリス人。ドイツ人の奥さんとは最近結婚されたらしい。
” 離婚すると基本的に親権がお母さんというのは、自分は賛成できないんだよ。お母さんだからちゃんと子どもを育てられるという確信なんてねえんだ。 自分はさ、、、自分ができないことを社会や他人のせいにしている、文句ばっかりたれていやがる奴らが許せなくてさ。この自分はどん底から這い上がった。ちゃんと働いてがんばってここまできた。 ベンもジェマもお母さんはいなかったけど、30人ほどいる親戚の中で一番しつけがなっているとよくおじいちゃんにほめられたものだ。 ”
レンジでちん! となったご飯を取り出すチャンスもなく、、、、
お腹がなる間もなく、、、ペンキ屋さんは話し続ける。。。。
” 自分はドイツ人の奥さんとタイで知り合ったんだよ。彼女もさ一人でね。彼女の読んでいる本を横目でみて、イギリス人じゃねえと思ったんだけど。自分はアジア人も好きだよ。 あんたはどこから来たんだい? ”
” 日本です。 事情があって旦那は日本でまだ働いてますけど、、、娘をこちらの学校に行かせたくて ”
” アジア人はこう、、、しっかりしてるよな。 タイに行くと長くとどまるんだけど、そこで知り合うタイ人の人はみんな家族思いで真面目に働く働きものが多いよ。本当にイギリスの文句ばっかりたれている奴らには、頭来るんだよ。”
へーーーーー話しがわかるじゃねえか、この親父。いいやつじゃん。
聞いてもないのに話しはどんどんつながる、、、広がる、、、、止まらない。。。。
” 自分はさ、女にひどい口を聞くやつがほっておけねえんだよ。若い頃はわ、、、バースのクラブを練り歩いたものさ。そこでさ、女に絡んでるやつがいて、その間に入ったんだよ。それで、女には優しくしてさ。ま、そいつといい仲になったと思ったら、、、妊娠しやがってさ。。。。自分は女が妊娠したからって結婚をするべきだとは思わなかったから、ずっと拒否してきて。なんとかお金をこさえてその女に中絶させることにしたんだよ。だけどさ、、、やっぱりいい気はしねえ。その日は仲間とパブで飲んださ。そうしたら、、、そのパブにあいつがいるんだよ。あれ?おめえ、病院じゃねえのかよ? だよなあ。。。どうしても中絶できなかったって。。。。それでさ、、、自分の親父に責任とれって言われて、結婚という形をとりジェマが生まれたっていうわけさ。 ”
いや、、、聞いてないし。。。。妊娠、中絶、復活で結婚、、、、そんなこと、あたし初対面だし、、、、もういいよーーーーー
” 女って言うやつはさ、、、結婚指輪がさ、左手にキラリするとさ、、、かわっちまうんだよな。ジェマが生まれて、三人でバギーを押して歩いていると、一杯知り合いの女とすれ違うわけさ。昔、関係のあったというだけの女だよ。自分は女、大好きだからね。でももう過去の事さ、、、なのに、結婚した女の嫉妬ときたらものすごいもので、、、その嫉妬からアルコールに走ってさ。。。あまりに二人の関係がひどいから、また親父から、二人で初心にもどって旅行してこいって南国に行ってみたらさ、、、ほら、、、気分は軽くなっちゃってさ、、、、戻ったら、あいつ、また妊娠しちまって。それがベンだよ。 それでもアルコール依存症は悪くなる一方でね。離婚を決めて自分が子どもを育てる事にした。”
ひーーーーー
抜け出したいーーーーーーーー が、、、話しは結構面白く。結構、いいことを言ってくれている。
” ジェマもベンも麻薬とかにも手をだしたこともある。若いからな。でもけじめはわかっていたし、けじめをつけることは教えて来たつもりだから、中毒になるような事はなかった。二人は洗い物をして、お皿を拭いてとよく手伝ってくれたよ。あんたの娘さんは家事は手伝うのかい? ”
びく、、、、いえ、、、、娘は何もしないし、させてもない、、、、、
” させるんだよ。お手伝い。12歳なんだろ? できるし、やらせないといけない。ベッドを自分で直さないのなら、クラブ活動には送っていかないと言ってやるんだよ。最近は子どもに暴力はふるうなとは言うけれど、愛のムチは必要だよ。その一発で、子どもは勉強しそれが土台になって、大きくなって間違いはしねえ。ベンが子どもの頃はよくサッカーも一緒にやった。親子で本当にいろんなことを話すんだよ。今ではベンの友人のセックス問題を聞いてやるほどさ。ベンが友達に自分は親父と何でも話せると話すらしくて、、、あいつの友人は親とセックスの話しもできないってさ。。。ジェマなんか12歳の時、学校から電話かけてきて、、、初めて生理になったって嬉しそうに報告してくれたんだ。”
ひーーーーー
濃すぎるって、、、、そこまで話しが発展するのか、、、、、助けてくれーーーーーーーー
あたしのご飯はレンジの中で、再び冷たくなっているーーーーーーー
” あんた、ネイルなんかして働きたいのかい? ”
” いやあ、、、考え中なんですけど、、、イギリスではちゃんとした資格がないから、、、”
” この国は言ったもの勝ちなんだよ。ほら、近くにある美容院でネイルやらせてくれって言って来たらいいじゃないか? 資格? そんなものは、オーナーを捕まえて、お免状はないけれど、自分はこんなことができるとデモンストレーションすればいい。それを気に入ってもらえたら何かにつながるんじゃないの? この国はね、待っていても何も出てこないんだよ。自分から探らないと。。。イギリス人と仲良くするのは難しいのかもしれないけど、自分からどんどん首を突っ込むべきだよ。言ったもの勝ち! ”
ひーーーーー
このおじさんの話しを聞く事になり、、、、昼ご飯、、、食べそこねた。。。。
60歳は越えていると話しをしていたこのおじさんは58歳、、、、
あたしとあんまり年、変わらないじゃん!
” 過去は過去、、、、楽しく前に進んで方がいいでしょ。仕事して、ホリデー楽しんで、ちゃんと暮らして。明日も来るから。 コーヒーとミルク、ちゃんと用意しておいてよ。 今日はミルクが足りなかったからな。 ”
ひーーーーーーー
最後までひーーーーーだったのだが、、、、、このペンキ屋さんに駐車テクニックを教えてもらおうと思ってしまったこのわたしであった、、、、