…………………………(一斉清掃) 2 …………
昨今では『一斉清掃』は現場で決まり事になったものの、その心
意気が引き継がれていなくて、言われた範囲の、やりたくもない掃除を
するから、毎週掃除しても成果が上がらないのだ。
中にはその時間はまだ近隣の食堂で昼飯とか食後のコーヒー
タイムの延長で、現場の掃除時間が終わった頃に戻ってくる
《お馬鹿さんチーム》がある。
私はお馬鹿さんチームを見過ごさない。
何年も掃除を皆でしていれば、誰がどこで掃除をしないかくらい
「お見通しでござんす」だ。
「掃除をしなかったンだから、掃除して集まったゴミの処理はアンタ持ちだよ」
と山積みのゴミパレット処理代金を、当月の工事費請求金額から相殺させて
頂いている。
ゴミパレットのゴミ処分代金は1箱3~5万円だった時代から、私としては
毎月のゴミ処理代金の予算が少なくても、お馬鹿さんチームのお陰?で
何とか凌(しの)いで来ていた。
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そう言えば、この一斉清掃が思うように出来なかった現場もあった………。
中学校の増築現場でいつものように音楽を流して、
(さあ掃除だ)
と腰を上げたと同時に、
「いま中間テスト期間中ですから、静かにしていただけませんか?」
と仮囲いの横の職員室からの電話だった。
「済みません。ごめんなさい」
一斉清掃中止のアナウンスはやめて、音楽もすぐ止めた。
(あれっ?もう終わり?)
いつもは終わるのが今か今かと思っている人に限って、心配をしてくれる。
「今日は一斉清掃の時間が16時30分からです」
と朝礼の時に伝えるのをコロッと私は忘れていたのだ。
この現場の掃除時には仮囲いを越えて面白い物が舞い込んで来ていた。
紙飛行機を「一緒に捨てて…」と飛ばして来る。
それも採点済みの答案用紙である。
「点数が軽いから、よく飛ぶね」
と言ってやったら、窓から飛ばす生徒がいなくなった。
とあるマンションの現場の時は、
「所長さん、お願いですから一度に埃を出さないで、洗濯ものが大変です」
お隣の奥様が事務所までお願いに来られた。
埃飛散防止にネットを張っていてもメッシュシートだから、完全
遮断になり難い。
20分間ほど集中して一斉清掃をすれば、我々のまつげも鼻も埃が積もり息苦しいから、送風機で風を送るが、吹き出た強い風は
その細かな埃を吹き飛ばしメッシュシート貼を通り抜けて、
お隣さんの庭先に舞い落ちていたのだ。
それも1ヶ月程度も、お隣へ迷惑かけているとも気がつかず…
大変失礼したものだった。
その現場はお隣さんが接近していたので、一斉清掃は中止して、
「毎日自分の周囲を掃除して帰るようにしよう」
と皆で決めたけれど、キレイな状態での週末には程遠いものだった。
無理矢理の掃除も昨今はどこの現場でも決まり事にしているが、
マンネリ化されていて、昔のようにキレイになる喜びに感動して
いない。
毎日場内を片付け掃除の女人夫さんがを掃除しているが、ゴミを出す人の量に
追い付かない。
ゴミは誰かが処分してくれると思い切っている輩がいまだにいる。
キレイに片付いた場所で、イイ仕事をしたい気持ちがなければ、
腕は上達しないものだ。
掃除の仕方からでさえ、職人さんの腕の優劣を私は査定しているのである。
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次は『設計図が何だ』と本音を言うと………の話をしよう。
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