建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

工程管理について(2)

2020-10-07 09:56:24 | 建設現場

 ――― 工 程 に つ い て 考えると (2)――――――

   そんな総合工程表の基で、月間や週間工程表を作っているのであれば、毎度毎度ズレ
      たとか遅れたとか云う評判になってしまうのだ。

    本人は月間予定から少し遅れたと反省しても、その月間の遅れが3ヵ月目、4ヵ月目
 にも加算されて溜まって来ると、契約を交わしていた時の昔の総合工程表からは半月も
 遅れている事を協力業者に伝える事になる。

   20日遅れているとか10日遅れとか、約一週間とか工程の遅れを平気で弁明しているが
 実際にはその何割かはもっと遅れている。
  サバよんでの少なめの日数だと思ってもいい位なのだ。

   工程の遅れを現場から聞いた協力業者のオーナーさんはどんな気持ちだろうか。

 やっと2~3グループ(1グループ7名前後)確保出来たところに、
 「社長、1週間延びたから・・・」
 と突然の電話を現場監督から受けても、社長としてはどうしようもないのである。

総合工程表から10日も遅れている事を平気で言えるほどの根性が私には欲しい。

   仮に4日遅れているとしたら―――、
人には予定通りと言っても分からないだろうが、ゴマかしていると自分の工程管理自体
に信用をなくする事になるし、遅れを取り戻す原動力にもなりはしないので、私は堂々
と4日の遅れでも公言する事にしている。

原因が何であるにしろ、工事が遅れているのは現場の責任である。

「予定通りに行けば楽なものさ、行かないから苦労してるんだ」
と担当監督さん達が威張ってみても、工程アップにはならない。

躯体工事が半月遅れて、仕上げ工事の人達にバトンタッチの時、
「躯体が遅れてるのに、俺達ばっかりにしわ寄せしないでよ」 
てな話もよく聞く。

では―――《遅れていると云う事がどう云う事なのか》と話をすると―――

『請負金5億円、10ヵ月の工事』として、  

   1ヵ月で3日、5ヵ月目に15日遅れているとした場合の計算をしてみよう。

    概算すれば、総工費の25%の1億2500万円が人件費の総額と予定する。
    一人一日2万円の日当で割れば、延べ6250人分が必要。
    日曜・祭日・降雨を除いて10ヵ月の内、稼働日数は220日としたら、延べ
    6250人を稼働日数220日で割れば一日平均28人で一ヵ月(25日就労)で
    は700人必要になるのだ。
    15日遅れているのは28人×15日分で420人も不足しているのだ。

  どうやって遅れを取り戻すのか―――。

    当月末迄の25日間で遅れを取り戻すには、不足人数分を投入せねばならない。
    単純に一月予定数の700人と不足の420人を加えて1100人いれば簡
    単に戻る。

    1100人を25日で割ると44人いれば追いつく計算である。
    一日平均28人のところが44人になるだけだが、今まで予定人数が入って来な
    かったから遅れているのだから、明日から急に増える段取りにはなるまい。

    今から追いかけると断言しても
                           その3に続く……

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