――― 工 程 に つ い て 考えると (2)――――――
そんな総合工程表の基で、月間や週間工程表を作っているのであれば、毎度毎度ズレ
たとか遅れたとか云う評判になってしまうのだ。
本人は月間予定から少し遅れたと反省しても、その月間の遅れが3ヵ月目、4ヵ月目
にも加算されて溜まって来ると、契約を交わしていた時の昔の総合工程表からは半月も
遅れている事を協力業者に伝える事になる。
20日遅れているとか10日遅れとか、約一週間とか工程の遅れを平気で弁明しているが
実際にはその何割かはもっと遅れている。
サバよんでの少なめの日数だと思ってもいい位なのだ。
工程の遅れを現場から聞いた協力業者のオーナーさんはどんな気持ちだろうか。
やっと2~3グループ(1グループ7名前後)確保出来たところに、
「社長、1週間延びたから・・・」
と突然の電話を現場監督から受けても、社長としてはどうしようもないのである。
総合工程表から10日も遅れている事を平気で言えるほどの根性が私には欲しい。
仮に4日遅れているとしたら―――、
人には予定通りと言っても分からないだろうが、ゴマかしていると自分の工程管理自体
に信用をなくする事になるし、遅れを取り戻す原動力にもなりはしないので、私は堂々
と4日の遅れでも公言する事にしている。
原因が何であるにしろ、工事が遅れているのは現場の責任である。
「予定通りに行けば楽なものさ、行かないから苦労してるんだ」
と担当監督さん達が威張ってみても、工程アップにはならない。
躯体工事が半月遅れて、仕上げ工事の人達にバトンタッチの時、
「躯体が遅れてるのに、俺達ばっかりにしわ寄せしないでよ」
てな話もよく聞く。
では―――《遅れていると云う事がどう云う事なのか》と話をすると―――
『請負金5億円、10ヵ月の工事』として、
1ヵ月で3日、5ヵ月目に15日遅れているとした場合の計算をしてみよう。
概算すれば、総工費の25%の1億2500万円が人件費の総額と予定する。
一人一日2万円の日当で割れば、延べ6250人分が必要。
日曜・祭日・降雨を除いて10ヵ月の内、稼働日数は220日としたら、延べ
6250人を稼働日数220日で割れば一日平均28人で一ヵ月(25日就労)で
は700人必要になるのだ。
15日遅れているのは28人×15日分で420人も不足しているのだ。
どうやって遅れを取り戻すのか―――。
当月末迄の25日間で遅れを取り戻すには、不足人数分を投入せねばならない。
単純に一月予定数の700人と不足の420人を加えて1100人いれば簡
単に戻る。
1100人を25日で割ると44人いれば追いつく計算である。
一日平均28人のところが44人になるだけだが、今まで予定人数が入って来な
かったから遅れているのだから、明日から急に増える段取りにはなるまい。
今から追いかけると断言しても
その3に続く……
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