建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

工程管理について

2020-09-14 11:54:46 | 建設現場

――― 工 程 に つ い て 考えると (1)―――――― 

現場4管理(品質・原価・安全・工程)と云うものは、総てを上手く管理出来れば何
も言う事はないが、なかなか思う様に行かないものである。

  原価管理と言えば利益を求める管理である。清算時赤字転落では失格。
  安全管理と言えば無事故・無災害は当然の管理である。事故発生では論外。
  品質管理と言えば精度よく仕上げる事である。
  工程管理と言えば遅れを出さない事である。遅れていれば管理とは言えないのだ。

この内、一つが欠ける様では困るし、一つにウイークポイントを持つと、現場の流れ
と言わず、段取り総てが狂ってしまい取り返しの付かない事態を招く事になりかねない。

  4管理の中の『工程管理』について、私の思う事を本音で語ってみよう。

工程管理としてまずは総合工程表から月間・週間工程表を作成して月々の目安にし、
工事の進捗状況を把握する事から始まるのである。
この総合工程表を最初に作成してから、工事の計画も業者の設定や契約時期も
自ずと決まる。

仕事量をある程度把握してから、簡単に横線を引いて(この位の時期だろう)の
予想とカンと経験による工程表を作ったとしたら、現場工程管理は落第である。


  竣工日が決まっているから、ケツからも日程を割り出して、仕上げは竣工の半月前に
終了させると想定すれば、更にその前の躯体工事が何時までに終っていればイイのかと
日程を逆に計算したそれらしき工程表もかなりある。

そういう日数のみの判断ならば、今時ならコンピューターで工事内容と竣工日を入力
すれば、標準、あるいは正確無比な工程表をプロッターから打ち出す事も可能である。

 忙しいを口に出す所長さんなら、自分で工程表を作成せずとも、機械に任せればいい
のであるが、そうはいかないものだ。 
 
これでは工事の流れではなくて、日数に対する割りつけだから、工事のヤマと云うか
職人のピーク時の人数が頭に入っていないのだから、絶対に工程表通りに進まない

又、何度も修正工程表を書いては、遅れた、書き直しだ、最終工程表だとしてそれで
一時は予定通りと思いきや、また遅れ気味になったと繰り返す。

総合工程表を着工時に作り、基礎のコンクリート打設を行なう頃に《修正工程表》
書き直して以後、これが総合工程表だからこれから早い・遅れたを判断しようとする。

確かに杭打工事や山留め・掘削工事には自然や天候も左右され予期せぬ事も多いから
当初の工程表から遅れるものであると決めていては、工程管理者とは言えない。


〈遅れたと最初から思われるのはイヤだから〉

と、余裕を持った日数で工程表を書く人もいるが、最後は日程が足りなくなりドタバ
タするのでは、何を基準に日数を割り振ったのかの根拠を見直す必要がある。

 工事期間が何日あるかを、まず計算する。
  1年間の現場でも、実際に仕事の出来る日数を計算すると、日曜・祝日・正月・お盆 
 土休・降雨・積雪でもざっと100日は消えるのだ。

  年末と年度末には完成工事が重なり、工期に遅れそうな現場に仕上げ職種は送り込ま
 れて、こちらの現場はもぬけの空にもなりかねない。
  又、お盆の前、つまり8月の上旬の工程は、あっても無きが如くの叩き合いだ。

  お盆休暇の前迄に区切りのある所迄進めておかなければ、お盆明けのスタートが切れ
 ないのだ。
  故郷に帰ったママまだ戻って来ないから・・・来週の月曜日には出てくるだろうと
 思うが・・・と云う見通しのない週間工程表を、お盆明けに書く場合が多い。

 総合工程表を初めに書く時に、休みの予定を組み込む事も必要である。
 つまり、休んでもよい余裕のある工程表に挑戦するのである。

  その現場の特殊性や地域性により、お祭りの時期には仕事が出来ないと云う
 《お触れ書》も結構経験させて頂いている。 

  冬には水が凍って仕事の条件が制約されるから、12月半ば迄に一定の所(屋根
 防水終了)迄創っておく事と云う場合もあった。

  ネットワーク式の工程表の中に、出来高予想と作業員出面数のグラフを月末ポイント
 でグラフに表して、どの時点でピークになるのか前もって判断しておく。

  請負金に対して、どの位の職人が入って来て仕事をするのか、延べ何万人・何万時間
 が費やされるのか、これが把握出来ないで工程表を書いたら実情とかけ離れたものにな
 ってしまい、目標とする根拠がただ単にカンにたよっての工程表になってしまう。

 そんな総合工程表の基で、          その2に続く………

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