建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

KY活動(1)

2009-04-17 23:34:07 | Weblog
    …………………………(KY活動 1)………………

「空気が読めない」を略して《KY》と新聞の政治欄に出ていたのには驚いた。
 もともとは建設現場で危険K・予知Yから『KY活動』としてのキィ・ワードであり、長年聞き慣れているものの、この場で少し話をしてみよう。

 建設現場で朝礼の後にKY活動の時間があり、職種グループ毎にミーティングを行う。
 グループリーダーが今日の仕事の中で「○○に注意しましょう」の言葉に皆が唱和する。
 一見、安全対策には問題はないようだが、本当にそれでいいのかと聞いてみる。
 場内が危険だから、前もって危険を予知するのは悪くないが、危険な状態で作業させている人達は、危険を取り除く事をしないで、毎日作業をさせていて安全監理なのか……である。
 職人さん達は危険な場所で作業するとは、思っていない。
 ところが、作業しようとすれば足場が無いとか、手が届かないとか、床に穴があるとの状態でも、
「周囲に気をつけながら、作業します」
と毎日唱えているだけのKY活動で、事故が無いのが不思議なくらいである。
 KY活動を全員が毎日やっているから事故にならないのではなくて、たまたま事故になってないだけで『KY活動の効果ではないのである』と私はいつも言っている。
 危ない箇所を知りながら、手をこまねいていて事故になったら、
『未必の故意』
つまり、必ず事故になる事を知っていながら……と業務上過失で、検挙されるのである。
 事故に合わさない監理、なおかつ事故にならない現場環境にするには、どうするのかである。
                   
 まず、KY活動を原点から掘り下げてみよう……(日立建機PR誌ティエラ79号から)…

安全大会の一環として協力業者と共に安全を考える会社もあれば、事故を起
こした反省会で安全大会を開く会社もあり、安全監理には難しさがあります。
安全監理の出発点「危険予知」の話をしましょう。
  ☆
 日々刻々と状況が進む現場は、昨日まで手摺があった所とか今朝ネットを外
した個所で事故が起きたなどとよく耳にします。
 毎日、朝礼時に危険予知運動を実施して全員に安全喚起を伝え、安全書類も
整備してあるのになぜ現場(仮囲いの内部)で事故が発生するのでしょうか? 
 会社の安全計画書・活動の決まりだから
「やるべき事をやらせている」
とほとんどの現場担当者は自負しています。
 77号にも書きましたが、《やらせている安全》には限りがあります。
「北風と太陽」の話のように力で押し付ける安全より、やれるべきところから
自主的に全員が基本から安全活動を行えば、成果は言うまでもありません。

 安全規則も必要ですがそれよりも「安心」があれば事故はまず起きません。
「今日で終わらせろ、作業予定表を提出しろ、やり直しだ!職人さんを増やせ」
 作業開始前の打合せ時から現場監督がカミナリを落とし、腕自慢の職人さん
が《こころ》を見失っている中で作業をさせるからミスが発生するのです。
         
『建物は職人が創るが、事故は職員が作る』
 私は安全大会で必ずこう話ます。
 一瞬、場内が張り詰めます。

                              《続く》

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