Look for the silver lining
When ever a cloud appears in the blue
Remember somewhere the sun is shining
And so the right thing
To do is make it shine for you
A heartfull of joy and gladness
Will always banish sadness and strife
So always look for the silver lining and try to find
The sunny side of life
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青い空に雲が現れたときは
銀色の裏地があるか探してごらん
覚えておいて、太陽はどこかで必ず輝いているから
そしてすべきことは
君のために太陽を輝かせること
胸いっぱいの楽しみと喜びは
いつでも哀しみと争いを打ち消してくれる
だからいつでも銀色の裏地を探して
人生の明るい面を見つけてごらん
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3月25日の誕生日を前に
ボクはマニラに向かった。
「Look for the silver lining」
ボクの好きな言葉だ。
雲に覆われた青空の向こうには
銀色に輝く世界が隠れている。
マニラへのフライトの間、
ボクの頭の中では、この曲がループしていた。
Chet Bakerの中性的なボイスと軽快なリズムが
「なんくるないさ」と歌っている。
順風満帆な1954年頃のChetだから醸し出せた脳天気さである。
Jazz界のジェームスディーンと持て囃され、アイドル並に映画主演までこなしてしまうChet。
1970年以後は麻薬に溺れ、2度とアメリカの地を踏むことなく、
アムステルダムのホテル2階バルコニーから転落死…という悲運な最期が待っているとは、
誰が想像できただろう。
そんな急激な没落を経験したChet Bakerだが、
彼は晩年までこの「Look for the silver lining」をオハコにしていた。
つまり、人生に暗雲が立ち込めるような劣勢な時でも、
裏地かがやく銀色の世界への憧憬をしっかりと携えて人生を全うした男だったのだ。
同じように振幅の激しい人生を生き、
この「Look for the silver lining」をタイトルとしたアルバムまで発表している
女性ブルース歌手もいる。
Alberta Hunter(アルバータ・ハンター)
1920年代の初期アメリカの全盛期にヴォーカリストとしてデビューし、
第二次大戦以後では従軍看護婦として激戦地を回り、軍人の介護にあたっていた。
ふたたびマイクを握るのが、なんんんんんと、御年77歳の時。
そんな波瀾万丈の生涯を生きてきたからこそ、
「Look for the silver lining」は彼女のリアルとなって、心にしっかり響く。
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窓外のかがやく雲をぼんやり眺めながら、
2006年3月から始まる新しい1年を占う…。
フィリピン・マニラで誕生日を迎えることで、
今までにない振幅の激しい1年…となるような、予感がした。
Alberta Hunter
Every cloud has a silver lining....Ammonite