現代劇作家シリーズ6 サミュエル・ベケット「芝居」@日暮里d-倉庫
IDIOT_SAVANT theater company
演出 恒十絲
出演 朱尾尚生 近藤康弘 新井千賀子 三浦寛士 千頭静那
ベケット『芝居』フェス、8団体の公演終了。
最も刺激的な2団体がトリを務めました。
“賢い白痴”ことイディオ・サヴァンIDIOT_SAVANTの「芝居」は、
20分の1スケールでd倉庫を再現し、
そこに忠実に(おそらく8団体中最も)「芝居」を上演する…という全ての裏をかいたような演出。
その上演を司るのが「審問官」という存在で、
カメラによって投影するのがベケット自身という構成。
演出家の恒十絲さん曰く、
「闇の外には闇が拡がり、そのさらに外にはもう一つの闇が拡がる…入れ子構造」
をミニチュアで俯瞰的に見せることで、表出したかったと。
その構造はまさしく、ベケットが『芝居』において見せたかった
人間存在の宙ぶらりんな状態。
最後「審問官」だった女優・千頭静那さんが、3つの骨壺をハンマーで破壊する行為は、
愚かなる人間への見せしめにも見えて、震える結末となった。
ふだんは身体をフル活用した作品が主のイディオ・サヴァン。
ハンマーを振りかざし、骨壺を一撃するくだりは、
役者の集中力と身体の緊張が伝わってきて、この劇団を凝縮する見せ場でした。