アコギおやじのあこぎな日々

初老の域に達したアコギおやじ。
日々のアコースティックな雑観

ウルトラマン vs オタク

2007-07-17 | Weblog
 郡山市立美術館で開催中の「ウルトラマン伝説展」に、息子と2人で行って来た。

 3連休の最終日、夏休み前の仕事が山積している妻を、一人きりにして仕事をする時間をつくってあげるためである。

 美術館としては、正直言って、入場者数を意識しすぎるあまり客に迎合し、市民の文化的生活の実現という本来の目的を見失っていると思われる今回の企画展。まあ、「ウルトラマン」の生みの親である円谷幸吉氏が福島県須賀川市出身であることから、須賀川市に近い郡山市で開催されたらしいし、ふるさとへの誇りを喚起するには意義があるともいえるのかも。



 予想したとおり、駐車場はいつもの休日よりも格段に混雑。美術館の庭は子どもだらけ。これもいつにない風景である。

 息子も広いところが何より好き。庭をひとしきり走り回った後、ようやく玄関前のウルトラマンのポスターに気付いた。

 「ウルトラマンに会いに行こう」と言って家を出発したのだが、3歳児にとっては、やはり広い庭の方が魅力的なのである。大きな庭を目の前にして、息子はウルトラマンのことはすっかり頭から離れていたようである。

 ちなみにこの庭、でこぼこの石畳なので子どもはよく転ぶ。でも、よほど勢いよく転ばなければ、すこし膝を擦りむくくらいで、大したダメージはない。大人が仰々しく助けると、子どもは泣いている。大騒ぎしなければ、子どもは立ち上がって走り続けている。息子ばかりではない。観察していると、転んでいる子どもすべてが、親さえいなければ、何事もなかったように元気に遊んでいた。やっぱり、子どもの成長に、親が邪魔になる場合は多いなぁ、と思う。



 ウルトラマン展は、「美術展」というよりは「資料展」であった。

 小さな子どもたちに混じって、外見だけで「オタク」と断定できる人も。中学生くらいの太った少年が、両親と一緒に来ていた。資料を見て「ティガ」とか「グレート」とか、的確にウルトラマンの種類を言い当てている。


 ちなみに、「オタク」とは決して侮蔑すべきものではないと思う。「何でも一つのことに打ち込んでいるっていいことだ」と思う。「井戸は一つでいいから深く掘れ。深い井戸からは、広い水脈につながる」と私は思っている。「オタク」という言葉は、実は「専門家」と同義である。

 
 たとえば「アニマル」である。「アニマル」とは、「動物」などの直接的な意味のほかに「専門家」の意味を含む。「ベースボール・アニマル」ならば「優秀な野球選手」なのである。侮蔑どころか、尊敬の意味をはらんでいるのだ。松下幸之助だって、井深大だって、本田宗一郎だって、野茂だって、イチローだって、中田だって、松田優作だって、みんな「アニマル」だ。

 ちなみに、「エコノミック・アニマル」という言葉についても、日本人は誤解しているようだ。アジアの発展途上国の政府首脳が、経済成長が目覚しい日本のビジネスマンを称賛して「エコノミック・アニマル」と言ったらしい。しかし、日本人の認識では「アニマル」と「ビースト」は同じで、「馬鹿にしている」となってしまったらしい。

 褒められているのに、それを知らない自分たちが馬鹿なのだが。



 そんなわけで、私は一つのことにのめり込んでいることは悪いこととは思っていない。

 が、今回出遭ったヤツは例外であった。

 今日見たオタクである。


 初代ウルトラマンのビデオの上映中。科学特捜隊本部のビルからジェットビートルが飛び出してきた。息子は大喜び。これから怪獣と対決なのである。周りの子どもたちも意気上がる。

 が、そのオタク。「しっかし、使えねえよな、ジェットビートルは。ジェットビートルの存在意義って何?」。

 阿保か。ウルトラマンが来るまでのツナギに決まってるだろう。っていうか、いいじゃん。そんなモンにまで厳格に意義を求めなくて。怪獣に歯が立たないことを前提にして飛び立ったんだし、もしジェットビートルが怪獣を倒しちゃったら、どうすんだよ、ウルトラマンは。すこし黙れよ、息子が訝しがってるだろう。

 さらにウルトラマン・ナントカが怪獣と戦っているとき。子どもが「うわぁ、怪獣だぁ」と驚く。と、そのオタク。「ちげーよ、超獣だってば。ったく、知らねえからよぉ」。

 いや、不正確で申し訳ありません。でも、そんなに悪いことしました? そんなにてめえに迷惑かけてっかって聞いてんだよ、人生のジェットビートル君よぉ。御偉、固羅。



 「自分の子どもを、あんなふうにそだてないために」。そんな「標本」も充実した展覧会でした。
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