この夏にNHK土曜ドラマで織田作之助の「夫婦善哉」が放送されます。
http://www9.nhk.or.jp/dramatopics-blog/6000/152260.html
夫婦善哉は昭和15年に書かれた小説で、頼りない若旦那・柳吉と勝ち気な芸者・蝶子の夫婦(めおと)物語です。
柳吉は食い道楽ですが一流の店は敬遠して、今でいうB級グルメの店へ蝶子を連れて行きます。
17日の午前11時に新大阪に着くと真っ直ぐに地下鉄御堂筋線で難波へ行き、
柳吉の真似をしてミーコを自由軒に連れて行きました。
「夫婦善哉」には自由軒のカレーについてこう書かれています。
蝶子は急に空腹を感じ、楽天地横の自由軒で玉子入りのライスカレーを食べた。
「自由軒(ここ)のラ、ラ、ライスカレーはご飯にあんじょうま、ま、ま、まむしてあるよって、うまい」
とかつて柳吉が言った言葉を想い出しながら、カレーのあとのコーヒーを飲んでいると、いきなり甘い気持が胸に湧わいた。
自由軒の名物・インディアンカレー。
ウースターソースを掛け玉子を混ぜて食べると初めは奇妙な味でしたが、
食べ進むとその美味しさに、織田作之助が好んだ理由がわかります。
店内の看板
自由軒でカレーを食べたあとは、法善寺横丁まで歩きました。
法善寺境内の水掛不動にお詣りしました。
食後のデザートは夫婦善哉です。
小説にはこう書かれています。
法善寺境内の「めおとぜんざい」へ行った。道頓堀からの通路と千日前からの通路の角に当っているところに
古びた阿多福人形が据えられ、その前に「めおとぜんざい」と書いた赤い大提灯がぶら下っているのを見ると、
しみじみと夫婦で行く店らしかった。
阿多福人形と
おまけに、ぜんざいを註文すると、女夫(めおと)の意味で一人に二杯ずつ持って来た。
碁盤の目の敷畳に腰をかけ、スウスウと高い音を立てて啜(すす)りながら柳吉は言った。
「こ、こ、ここの善哉はなんで、二、二、二杯ずつ持って来よるか知ってるか、知らんやろ。
こら昔何とか大夫ちう浄瑠璃のお師匠はんがひらいた店でな、一杯山盛にするより、
ちょっとずつ二杯にする方が沢山(ぎょうさん)はいってるように見えるやろ、そこをうまいこと考えよったのや」
蝶子は「一人より女夫の方がええいうことでっしゃろ」ぽんと襟を突き上げると肩が大きく揺れた。
夫婦善哉は甘みを控えた今風の味で、大甘党のミーコには物足りないモノでした。
小説に関東煮(かんとうだき)の店として出てくる正弁丹吾亭(しょうべんたんごてい)。
ここで夕飯を食べる予定にしていましたが、この日は定休日でした。
正弁丹吾亭の前にある織田作之助の文学碑 「行き暮れて ここが思案の 善哉かな」
月の法善寺横丁の歌碑 ♪ 包丁一本 晒(さらし)にまいて・・・
自由軒のカレーと夫婦善哉を食べたあとは、NHK大阪放送局へ向かいました。
(つづく・・・・)
夫婦善哉は青空文庫で読めます。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000040/files/545_33102.html