4月18日、土曜ドラマ「夫婦善哉」の収録日です。
午前9時半にNHK大阪放送局9階の待合室に行くと、
すでに俳優さんやスタッフがおおぜい集まっていました。
10時に収録開始ということで、8階の第一スタジオに移動しました。
セットではスタッフが忙しそうに準備をしています。
火野正平さん、根岸季衣さんも来られてセットを見ていました。
制作スタッフに呼ばれて、根岸さんのところへ行きました。
根岸さんから「よろしくお願いします」と、挨拶されたので、
「ふぞろいの林檎たちを見て以来、ファンです」
と、言うと根岸さんはニコッとしました。
ハサミの入れ方とバリ取りの内職の手ほどきを話していると、
演出の安達もじりさんも顔を見せました。
一通り説明が終わると、控え室でモニターを見ていて、
気が付くことがあったら指摘してくださいと言われました。
スタジオの控え室にはモニターが2台あって、
隣の第二スタジオで時代劇の収録をしている様子が映っています。
殿様の前に侍二人が伺候して、何か進言しています。
殿様は松平容保のようです。これは八重の桜の収録かも知れません。
第一スタジオでも収録が始まりました。
役者さん、スタッフ、現場にいるみんなが手を叩いて、収録の開始を祝います。
夫婦善哉の初め方のシーンで大正6年、蝶子の子供時代のエピソードです。
父親の柳吉が天ぷらを揚げているところへ、河童(役名)が借金の催促に来ます。
それをセルロイドの内職をしている母親のお辰があしらう場面です。
同じ場面をカメラアングルをいろいろ変えて撮影しています。
セットの手直しをする間に役者さんが代わる代わる控え室に来ます。
私の隣に河童の団時朗さんが座ってモニターを見ています。
団次郎といっていた若い頃はなかなかのハンサムボーイでした。
実は私、若い頃は友人から団次郎に似ていると言われました。
隣でモニターに見入っている団さんにそのことを話そうかと思いましたが、
前日のリハーサルで借金取り役の団さんが大声で怒鳴りつける演技を見ていたのと、
昔とは違って強面(こわもて)になっているので、ビビって声を掛けることが出来ませんでした。
根岸季衣さんが控え室に入ってきて、声を掛けてくれました。
「平井さんは何時までですか」
「お昼過ぎだと思います。根岸さんは?」
「私の収録は3時までです」
火野正平さんは声を掛けるどころか、目を合わせることも出来ないような存在感がありました。
隣の第2スタジオでは時代劇の扮装をした女優さんや子役が入れ替わり立ち替わり出入りしています。
モニターには出陣の支度をした武士が、玄関先で妻子の見送りを受けている場面が映っています。
テーブルの上にあった台本を見ると八重の桜ではなくて、歴史秘話ヒストリア・西郷頼母のドラマ部分の収録でした。
西郷頼母役の西田敏行さんより二枚目の俳優が出陣用の胴着を着用するところを見ていましたが、
胴着はもちろん籠手やスネ当て、わらじまで衣裳担当者がすべて着せ付けていました。
戦支度もたいへんだなと大いに感心しました。
また根岸季衣さんが私のところに来て、写真を撮りましょうと声を掛けてくれました。
「せっかくだから、隣のドラマの人たちが背景になるように撮りましょう」と、根岸さんのサービスです。
根岸さんは長い髪をしていたので地毛を結っています。
(左の武家の妻女は西郷頼母の妻、根岸さんの後ろは頼母の娘)
「平井さんは東京から来たのですね」
「ハイ、そうです。根岸さんは」
「東京からです」
あとはどんな会話をしたのか覚えていませんが、
最後にミーコの背中にサインをお願いしました。
サインをしている途中でスタッフが呼びに来たので、
名前の後ろ部分がうまく掛けずに終わりました。
第1スタジオの夫婦善哉の収録をモニターしていましたが、
私が特に注文を付けることはありませんでした。
放送では数分で終わるシーンを3時間かけて撮影していました。
私が立ち会った収録は午後0時45分に終わりましたが、このあと夜中の午前0時まで収録が続きます。
そして、ドラマの制作はロケなどがあって、このあと1ヶ月半ほど続くそうです。
内職の指導ということで大阪まで行きましたが、私がすることはほとんどなくて、
ただドラマの制作現場を見学に行ってきたという感じでラッキーでした。
夫婦善哉・NHKのドラマ制作のお知らせ
http://www9.nhk.or.jp/dramatopics-blog/6000/152260.html