もう随分昔のことだ。
烏丸七条の大きな交差点を、西から東に向かって家族で歩いていた。
すると、東側から、黒いベンツがふらふら、と出てくるのが見えた。
信号は赤だ。
あれ?と思っているうちに、そのベンツは烏丸通を横断し、私たちの目前で、歩道の縁石に乗りあげて止まった。
どうしたんだろう?
どう見ても、オートマのまま、ブレーキを踏まずに、ハンドルも切らずに、ふわふわと走ってきたようだ。
信号が赤なのに、よく他の車にぶつからなかったな。
ベンツは止まったまま、誰も出てくる様子がない。
私たちのちょっと前を、若い女性が歩いていた。
その女性が、車の中を、覗き込んだ。
キャ~!!!!!
撃たれてはる~!!!!!
ちらっと見えた、ガラスには、弾痕のような穴が空いていた。
撃たれてはる!?
っていうことは、この辺にヒットマンがいる!?
私たちはその場でタクシーを拾って、実家に避難した。
のちに、新聞に記事が載っていた。
信号待ちをしていたベンツの運転手を、歩道側からヒットマンが1発撃って逃げたという。
しかも、そのヒットマンが狙ったていたのは、そのベンツの前の所有者だったのだ。
ベンツを買い受けた新しい所有者は、勘違いで、射殺されてしまったということらしい。
その頃は、未だ子供たちが幼くて、子供たちを守ろうということしか考えていなかったけれど、今思うと、なんて理不尽な死だろう。
納得して死ねる人って、いったいどのぐらいいるんだろう。
できることなら、きちんと納得して、みんなに挨拶して、それから召されたい。
・・・それこそ理不尽? wwwww