プレイボーイ

　自称プレイボーイのお客さんが来たので、スナックなどで女性をナンパする方法を聞いた。ポイントは『心開かせるまではさりげなく褒める』とか。

　私　「最初はどんな話から入るの？」
　お客「おひとりですか？」
　私　「そうやなあ、後で彼氏が来たらモメるもんなあ。それで一人やったら？」
　お客「少しお話してもよろしいですか？」
　私　「なる程、相手の都合を聞くのが礼儀やからなあ。さすがプレイボーイ、心得てる！」
　お客「その服はセンスがいいですね、から徐々に長所を見つけてはさりげなく褒めまくる」
　私　「調書？取り調べでもするんか？」
　お客「タバコ一服吸わせたるから正直に白状しろ！…違うがな、長所・短所の長所や！」
　私　「スマン。しょうもない事言うてたら嘲笑(チョウショウ)されるなあ。で、長所の他には？」
　お客「飲み物なんかにも気を配る。『なんのカクテルを飲んでるの？』みたいに…」
　私　「わからないの、て女の子が言うたら？」
　お客「それじゃ、僕が名前を付けようか」
　私　「へえ、なんてつけるの？」
　お客「う～ん、二人の出会いを眩しく照らしてくれる朝をイメージして、サンライズ！」
　私　「サンバイズ(三杯酢)？酸っぽうてイメージ悪いやん」
　お客「違う、日の出のサンライズや！」
　私　「ああ、そうかいな。ほんでそれからは？」
　お客「歌を唄ったりして雰囲気がピークに達したところで、店を出ましょうか？と言う」
　私　「ほう、それで勘定は？」
　お客「勘定は『彼女の分も一緒にとっといて』と言うて、さりげなく1万円払う」
　私　「見た目はスマートやけど、11000円やったりして…」
　お客「そうか。値段を聞いて7、8千円やったら『釣りはとっといて』言うて1万円を払うわ」
　私　「格好つけて、もう」
　お客「ここが一番、格好をつけるトコや」
　私　「でも外に出てから『あ、煙草忘れた』とか言うて戻り『釣り返して』て言うんやろ」
　お客「プレイボーイはそんなケチな事はせーへん」
　私　「ホンマやなあ。ケチな男は持てへんからなあ」
　お客「そうやで。僕の場合は、『今度来た時にその分引いてや』て言うねん」
　私　「なんや、それもケチくさいやん。ホンマにプレイボーイかいな」

　一句：遊び人　オヤジのギャグに　遊ばれる