「こんな世の中になるとは思えへんかったわ~」
スーパーで買い物をしていると後方でそんな言葉が聞こえた。振り向くと老婦人2人がコロナ禍を嘆いている様子だった。
毎日ニュースで「感染者数○○人、死亡数○○人」と淡々と述べているが、亡くなった一人一人の本人や家族にとってどれだけ大きな問題か。
5月の初旬に兄家族4人がコロナに罹患して娘と孫は自宅療養で兄夫婦はホテル療養だったが、基礎疾患を持っていた義姉は悪化して7日後に死去。
思いもよらぬ訃報で悲嘆に暮れる兄も喘息持ちなので、療養解除までは心中穏やかではなかっただろう。
コロナで亡くなると家族との『最後の対面』が無いまま火葬されて骨だけ遺族のもとに返されるとか。
兄や娘3人の家族は、見舞う事も看取る事も収骨も出来ず、義姉の死を現実として受け止めらずにいて毎日泣いていると思う。
義姉と言っても私と同じ年で、優しくて面倒見の良い女性だった。
だから毎年小学校の夏休みには娘の瞳を兄宅に預けていた。一人っ子だった瞳は同年代の3姉妹に会えるので楽しみにしていたのを思い出す。
瞳はお世話になっていただけに天国で悲しんでいることだろう。
私の妻は年が近かく仲が良かったので義姉への思いが深く、コロナのニュースを見るたびに目を潤ませながら嘆いている。
「コロナが無かったら今頃は元気に孫と一緒に…」「可哀そうや」「むちゃくちゃや」「こんな世の中になるとは思えへんかったわ~」
多くの人は同じ思いでいる事だろう。