市役所で働く小森洸人(柳楽優弥)は、両親を事故で亡くしてから、自閉スペクトラム症を持つ弟の美路人(坂東龍汰)と2人で暮らしていたが、ある日「ライオン」と名乗る1人の男の子(佐藤大空)が2人の自宅前に現れる。
この子を置いていったのが異母姉の愛生(尾野真千子)ではないかと思い2人はやむなく、このライオンを預かることになってしまう。そして徐々に、ライオンがある事件に関わっていることが分かり…。平穏な日常から突然、事件に巻き込まれてしまった兄弟。物語は母子失踪事件を軸に真実を追い求めていく、ヒューマンサスペンスドラマ。
障害、ヤングケアラー、DV問題など、扱うのが難しいテーマなのに、観るのが辛いとあまり思わせなかったのは、それ以上に温かいシーンがあったり、周りのサポートが手厚かったり、各登場人物の心情の機微も丁寧に描かれていたからと思う。
周りの人に支えられながらお互い成長していく洸人、美路人、ライオン。洸人を演じる柳楽優弥のただそこに居るだけで物語を感じさせる稀有な存在感と、ライオン役の佐藤大空の溌剌としながらもどこか切なく幼気な愛くるしさ。そしてなんと言っても美路人役の坂東龍汰の繊細に輝く表現の数々は、『ギルバート・グレイプ』のディカプリオにも匹敵するほどの名演だったと思う。
10話までのハラハラで不安なサスペンスもとても良かったが、特に最終回の洸人のスピーチが心に響いた。サスペンスで終わらせるのではなくて、家族のヒューマンドラマとしても描き切っていて良い幸せな括り方であったかいドラマだった。
■主な出演者の似顔絵集⇒http://www.ainet21.com/nigaoe.htm