電話の応対

　去年、名古屋へ転勤になったD君から時々電話がある。彼は寂いしい男なので休みの日でも優しく？応対をしいている。

　D君「もしもし」
　私 「おう、入口君か？」
　D君「違う、出口やがな。マスター元気？」
　私 「ホンの今まで元気やったけど、出口君の声を聞いて急にしんどなってきたわ」
　D君「なんやねん、それは」
　私 「用も無いのに電話をよう掛けてくるやろ。エエ加減疲れるで」
　D君「そんなん言わんといてや」
　私 「いったい何の用やねん？」
　D君「阪神、優勝逃したなあ」
　私 「逃したんはリーグ優勝やろ、小さい小さい。日本シリーズで優勝して日本一になったらエエねん」
　D君「負け惜しみ言うて、もう」
　私 「まだ負けてない、日本シリーズはまだや。それはそうと彼女は出来たんかいな？」
　D君「まだやねん」
　私 「そうやろな。名古屋の女の子は見る目があるなあ」
　D君「どういう意味やの」
　私 「深い意味はない。当たり前の話や。ほんで今の会社はまだ続いてんのか？」
　D君「辞めんと頑張ってるで」
　私 「ほう、その会社、よっぽど人手不足やねんなあ」
　D君「なんやねん、それ」
　私 「出口君、俺とこに電話してきて、今日はエエ気休めになったやろ」
　D君「なれへんわ！」

　一句：度々の　電話応対に　疲れ果て
　謎かけ：電話の応対とかけて、俳句を投稿すると解く。どちらも(トーク・投句)します

順位が無い

　今どきの小学校の運動会の徒競争などで1位2位の順位が無いところが多いとか。「うちの子は足が遅いので、順位をつけるのはやめて」との一部の親の苦情でその様になったらしい。
　徒競争で1番になろうがビリになろうがゴールラインを駆け抜けたら、「ハイ頑張ったね、お疲れさま」では、そこには喜びも悔しさも無いと思う。

　私　「月曜日は体育の日やけど、最近の運動会は6月ぐらいにするとこが多いね」
　お客「暑い時に体育の練習すると倒れる子が多くなったかららしいで」
　私　「そうか、今の子は軟弱な子が多いんやねえ」
　お客「スポーツの秋て言うぐらいやから、運動会はやっぱり秋がええなあ」
　私　「運動会で思い出したけど、今、徒競争で1位2位の順位をつけへんらしいね」
　お客「そうそう、俺とこの孫の学校も徒競争の順位が無かったわ」
　私　「一部の親が順位をつけたらアカン言うたので、そないなったらしいなあ」
　お客「順位があった方が面白いで。その点、昔は1、2位等があって景品が貰えた」
　私　「そうそう、カラーテレビとかな」
　お客「市場のガラガラの抽選じゃあるまいし、そんな高価な景品はくれへん！」
　私　「ノートとか鉛筆やったなあ」
　お客「ノートはコクヨ」
　私　「屁もコクヨ」
　お客「臭いなあ」
　私　「6位でコクヨ貰われへんかったら、コクヨクヨクヨ」
　お客「鉛筆はトンボやったわ」
　私　「ビリやったら尻切れトンボ」
　お客「マスターは尻切れと違(チゴ)て、切れ痔やがな」
　私　「こんなん言うて楽しんで、俺らは極楽トンボやなあ」

　一句：徒競争　順位が無くて　張り合い無い
　謎かけ：順位が無いとかけて、安物の品物と解く。どちらも(勝ち・価値)が無い

模造刀ーⅢ

　9月に模造刀で警察に連行された(9/12“模造刀”で記載)と言うお客の浅ヤンは、それ以来5回は来ているが来る度にその話題をした。

　私　「まだ言うてんのかいな。この調子やったらこの話、1年位言うてんのと違うか？」
　浅ヤン「そうや、滅多にない経験やから、この話題で1年間持たそ思てんねん」
　ママ「それはそうと同じマンションの人、捕まった頃は避けてたけど今はどうやのん？」
　浅ヤン「当初はエレベーター、一緒に乗るのも避けてたけど最近は挨拶する様になったで」
　ママ「何で変わったん？」
　浅ヤン「マンションで会(オ)うたら、こっちから丁寧に挨拶する様にしてん」
　私　「ホンマは近所の人は怖いからやで。挨拶せーへんかったら刺される思てるんやで」
　浅ヤン「へえ、ホンマか？」
　私　「気の弱い人やったら、オシッコちびってるかも知れんで」
　ママ「それはないやろけど、まあ、怖がってるやろなあ」
　浅ヤン「まあ俺は、近所では有名人や」
　私　「ローカルやなあ。19歳の石川遼が世界で注目を浴びてるのに、55過ぎのエエおっさんが○○町だけで注目かいな。もっと頑張ってメジャーにならんな…」
　浅ヤン「頑張るて、どない頑張るのん？」
　私　「警察が来た時に、素直に家のドアを開けへんかったらエエねん」
　浅ヤン「ほんで、どないするのん？」
　私　「何時間も立てこもったら警察は誰か人質が取られてる思て、警官を増員するわ」
　ママ「そうやろな、そないなったら野次馬もぎょうさん増えるやろなあ」
　私　「そうなるとテレビ局も来るので、それを家でテレビ見たらエエねん。おもろいで」
　浅ヤン「なんか俺、スターみたいやなあ」
　私　「そうや、それを1週間も続けてみ、アメリカのCNNも来て、メジャー・デビューや」
　浅ヤン「まあ、そこまでは無いやろけど、おもろいなあ」
　ママ「マスター、余計なこと言うたら、またするで」
　浅ヤン「もう二度と(留置場に)入りたないわ。模造刀は刃が無いから切れへんけど、この話はこれで打ち切りや」

　一句：模造刀　取り扱いは　真剣に
　謎かけ：模造刀とかけて、総入れ歯と解く。どちらも(刃が・歯が)ありません

似合わん曲

　50歳前のお客のJ子ちゃんが松田聖子の“赤いスイートピー”を唄った。

　私 「聖子の歌は以前いけてたけど、今は可愛い歌はJ子ちゃんには、猫と犬や」
　客J「何よ、猫と犬て？」
　私 「猫はニャア、犬はワンて鳴くやろ。そやからニャアワン(似合わん)て言うてるねん」
　客J「あらそう？大人になるて嫌やね」
　私 「ほんま、ひねてくるなあ」
　客J「何よ、私ひねてるってか？捻くるで～」
　私 「アダルトなヤツ、1曲頼むわ」
　客J「ほんだら『崖の上のポニョ』！」
　私 「余計、若い(曲)やん。歳、離れすぎ～。自分の歳に合(オ)うた歌を唄いや」
　客J「ほんだら何がエエ？」
　私 「岸壁の母とか…」
　客J「古すぎ～」

　一句：気が若い！　歳に似合わん　曲唄う
　謎かけ：似合わん曲とかけて、安物の薬と解く。どちらも(聞き・効き)にくいでしょう

多い無駄

　現代はエコの言葉が氾濫している割には、あらゆるところで無駄が多いと70代のお客のTさんが言った。

　客T「昔は食パンのヘタはおやつやったなあ」
　私 「そうそう、パン屋でも売ってたなあ。それを買(コ)うてきて油で揚げて食べてたわ」
　客K「食パンのヘタ言うたら鳩のエサにやってたわ」
　私 「鳩は食パンのヘタなんか食べるかいな。元首相ともあろう人が…」
　客K「その鳩と違うがな、鳩ポッポの鳩や」
　客T「それにしても今、エコと言うてる割にはホンマに無駄が多い。考えられへんわ」
　私 「Tさんは始末屋やからエコおやじて言えるなあ」
　客K「スーパーとかコンビニの弁当なんかも勿体ないなあ」
　客T「そう、まだ食べられるのに賞味期限やからと捨ててるで」
　私 「そう、賞味期限がとうに過ぎても捨てられんと何年も生きてる人もいてるのになあ」
　客T「なんや、こっちを向いて言うて…」
　私 「いえ、Tさんは現役で働いてはるから、無駄を省く仕分けの対象にはなりません」
　客K「ええっ、Tさんはまだ現役？」
　私 「そうや、原液は出ーへんけど、現役や」
　客T「なんや、俺はエコおやじと違(チゴ)て、エロおやじかいな」

　一句：現政権　エコと言いつつ　多い無駄
　謎かけ：多い無駄とかけて、アメリカの西海岸と解く。どちらも(loss・Los)がある

身支度

　女性は出かける時に時間がかかる。妻も例に漏れずいつもギリギリまで身支度をするので待たされる者は気が焦る。
　だから私は「ギリギリやったらタクシーはすぐに拾われへんし電車も間に合わへんかったりする。車やったら焦って事故の原因にもなるで」と妻に言う。

　私　「ほんまに、(女性の身支度には)出かける度にいつもイライラさせられるわ」
　お客「ほんま、俺は毎回出かける度に、1時間前から『用意せえ』と嫁さんに言うねん」
　私　「俺は嫁さんに、前の日から『用意せえ』と言うねん」
　ママ「なんでやねん！一晩寝たら、またやり直さんなアカンやん」
　私　「その点、男は簡単やなあ。時間がかからん」
　ママ「そうや、アンタの頭は時間かからんと言うよりも、するとこあれへんやん」
　私　「自分(ママ)も髪の毛を抜きや、身支度の時間がだいぶ短縮できるで」

　一句：まだかいな　妻の身支度　待つ夫　
　謎かけ：身支度とかけて、ご飯を茶碗に盛ると解く。どちらも(装い・よそい)ます

土左衛門

　お客さんのN子ちゃんが久しぶりに来店。先日、出勤途中に堺駅前の花壇の所で、当店のお客さんの浅やんと出会ったとか。

　私 「いつ頃遭(オ)うたん？」
　客N「10日ほど前の朝の8時半ごろ」
　私 「浅やんに遭(オ)うたんは朝やん！その頃は浅やんは失業中やから暇やったんやなあ」
　客N「浅やん、花壇の縁に座って、缶コーヒー持って、川の方を見て黄昏(タソガレ)てたで」
　私 「黄昏てたて、なんか寂しそうやったんか？」
　客N「そうそう。あそこの川、よう土左衛門が浮かぶやろ。そやから私、心配したで」
　私 「長い失業でガリガリに痩せてたから、土左衛門になったら膨らんで丁度エエ具合やなあ」
　客N「そんな問題と違う。私、遅刻しそうやったけど、声かけずにいられへんかったわ」
　私 「どない声をかけたん?」
　客N「浅やん、オハヨウ、て言うたら『オー』言うてビックリしたわ。それで『何してるのん？』て尋ねてん」
　私 「何してたん?」
　客N「浅やん、『駅ビルのドコモに行くつもりやけど、時間早いから待ってんねん』て答えてん」
　私 「あそこ開くのん10時からやろ?ドコモ以外に“何処も”行くとこなかったんかいな」
　客N「うん、『家に居ててもしゃーないから』て言うてたわ」
　私 「それにしても早すぎるなあ。やっぱり川を見て思いつめてたんかなあ」
　客N「あの日、面接ていうてたけど、(面接に)落ちた時の事を考えての下見かなあ」
　私 「ジョークの好きの浅やんの事やから、水死体なって『ボク、土左衛門』て、言うかも」

　一句：ドラえもん　川でおぼれて　土左衛門
　謎かけ：土左衛門とかけて、ある物事のマニアと解く。どちらも(填まって・ハマって)なる人

新しい洗濯機

　今年の3月に洗濯機のベルトが緩んで脱水不能になったので、ファンプーリの溝にガムテープを巻いてベルトを張りなんとか対応した。
　しかし最近、脱水時の異音が激しくなり近所の迷惑になるので買い替える事にした。
　最新の洗濯機はファンプーリが無いのがあり、ファンプーリがあるタイプより1万5千円位高かった。妻はさんざん迷った挙句、静音性が優れている最新の洗濯機をセンタクした。
　そして今日、配達員が納品に来たが洗濯機を置いている場所の入口が狭くて新旧の入れ替えが出来なかった。
　そう言えば10年程前に現在の洗濯機を買ったのだが、2階のベランダで吹きさらしだったので3畳弱の書庫と洗濯機置き場をベランダに作った。
　その時に少し欲張って本を沢山収められる様にと本棚を横広に作ったので、その分、部屋の入口が狭くなった。
　配達員は「ユニックで吊り上げるか、入口のサイズに合う洗濯機を買い替えるかどちらかです。ユニック使用の場合は6000～10000円追加料金がいります」と言った。
　7kgの洗濯機が欲しいのでサイズダウンは出来ない。ユニックは買い替える度に利用しなければならない。それならばと、書庫の入口と本棚をカットして広げる事にした。
　配達員が帰った後、新品の洗濯機を楽しみにしていた妻の「余計な事をするからや」の小言をよそに書庫の改造に取りかかった。
　簡単に出来ると思っていたが、しっかりした柱に釘を数本打っていたので手間取り、ノコギリと鉄ノコを使い分け3時間半程かけてなんとか格好をつけた。
　早速、電機屋に電話をして、明日、改めて配達してもらう事にした。苦労した分、新しい洗濯機が来るのが楽しみだ。
　
　一句：洗濯機　ベランダ寒しと　部屋作る
　謎かけ：新しい洗濯機とかけて、小学校の生徒全員と解く。どちらも(全自動・全児童)である

飲み逃げ

　お客さんが貧血を起こして病院で点滴をした話をしたが、そこから話がそれた。

　お客「この間、暑かった時に貧血で倒れて点滴してん」
　私　「えっ、天敵？天敵言うたらハブとマングースが有名や」
　お客「そっちに走るかー」
　私　「カウンターの中、狭いから走られへん」
　お客「俺が今、走って出たら飲み逃げになるなあ」
　私　「飲み逃げで思い出したけど、昔、一見客が『あ、電話や』と携帯を持って表に出て行ったきり帰ってケーへんかったわ」
　お客「へえ、そんなことがあったん？」
　私　「その客、気前良う飲ませてくれたので『ありがとう』と礼を言うて飲んだけど、よう考えたら自腹や。礼を言うて損したわ」

　一句：飲み逃げや！　戻ってくるかと　固唾(カタズ)飲む　　　
　謎かけ：飲み逃げとかけて、特別な植物の実と思っていたが違っていたと解く。それは(タダ飲み・ただの実)でした

銀行強盗！

　ジムの帰りに銀行の前で男性のお客さんと出会った。そして彼と話している時に、サングラスをかけた女性が私に手を振って銀行に入っていった。

　男性客「マスターの知り合いか？」
　私　　「ああ、俺とこの店のお客さんや」
　男性客「俺、見たことないな」
　私　　「彼女、しばらく来てないから会(オ)うてないんや」
　男性客「グラサンなんかかけて入っていったけど、銀行強盗と違うか？」
　私　　「そうや、俺、見張り役や」
　男性客「そら、警察を呼ばんなアカンな」
　私　　「警察、呼ばん方がエエで」
　男性客「なんでや？」
　私　　「あんたの方が人相悪いから、捕まるで」

　一句：グラサンで　銀行強盗に　間違えられ
　謎かけ：銀行強盗とかけて、工場の中と解く。どちらも(行員・工員)が関わる