筆の足跡

日々の出来事と趣味のお絵描きの記録です。

長野まゆみ「咲くや、この花」

2009年05月15日 | 日本画・絵
    
    長野まゆみ「咲くや、この花」

「左近の桜」の続編。
そろそろ、最近の長野さんの温度に慣れてきたかな、と思える作品です。
きらっきら!も、どっきどき!もないけど、それはそれで面白いというか味がある。

主人公「桜蔵」の見る、夢か幻かわからない世界、
そしてそこに登場するおもいっきり怪しく美しい男たち。
夢はあやふやに現実と解け合い、読んでいるほうも錯覚に陥る。
まるで終わりのない夢を見ているかのように。

彼らが織りなす複雑怪奇で御伽草子のようなお話は、さすが長野まゆみ!という感じです。
長野さんの十八番である、現実と非現実の境界線の曖昧さは、
相変わらず健在で楽しめます。
それなりに面白かったです。

それにしても桜蔵(さくら)くんってようするに「総受け」だったんですね~(笑)
しかも、この世に存在しない方々に好かれる好かれる!
通りかがりに見初められちゃって、やられちゃうんだから、
気の毒といえば気の毒なんですけどね。
その上、ぜったい気持ちいい思いしているはずなのに、
最中の記憶がないなんて、やられ損じゃん。
ボランティアじゃないんだからさぁ~。
(ボランティアか?)

何か足りないのはシリーズを通して強烈な「攻め」が存在しないこと。
あえて言えば父親(義父かな?)なんだけど……。
長野さんの話しにまともな父子は登場しないような気がする。
父親いないことが多いし、いても父子で同衾とか……。

さてさて、今回は桜蔵が父宅に同居を言い渡されたところで終わってます。
ふふふ~、どうなるんでしょうかね~、この父子。
桜蔵くん、貞操の危機!?
な~んて勝手に妄想して喜んでおります。