柴田よしき「聖なる黒夜」
この小説を紹介するとしたら、やはり今日しかないでしょう。
バレンタインデーの夜が明けた日。
山内練が小田急線の線路に横たわり始発を待っていた日。
そして韮崎に拾われた、運命の日。
平凡な大学院生だった(東工大の院なのだからけっして平凡じゃないけど)山内練が、
巧妙に仕掛けられた罠に嵌り、身に覚えのない事件で警察に捕まる。
冤罪を見抜けず自白を求める麻生龍太郎。
違法な取り調べに抵抗することもできず、苦しさから逃れるために嘘の自白をする練。
歪んだ運命の歯車が音も無く静かに動き出した瞬間。
その歯車もこの聖なる日に練の肉体とともに粉々になり終わるはずだった。
韮崎さえ現れなければ……。
韮崎に出逢ったことが、よかったのか、悪かったのか……。
ただ言えることは麻生と同じ。
「韮崎に……感謝する」
この小説は、暴力団の幹部韮崎がホテルで殺されたことから始まる推理小説です。
でもでも、わたしにとっては、練と麻生のあまりにも悲しすぎる恋愛小説なんです。
複雑に絡み合った人間関係、息を呑むほど見事な物語の進行。
さすが横溝正史賞受賞作家!
でもね、わたし興味は練と麻生がどうなるか!
とにかく望むのは練の幸せだけ!
麻生!しっかりしろよ~!
練だけを見てくれよ~!
練を幸せにしてくれよ~!
山内練という人物は非常に個性的で魅力的な男です。
柴田さんの他の小説にも(緑子シリーズや、花咲慎一郎シリーズ)登場するのですが、
あまりにも個性的なので主人公を食っちゃってます。
これが特長。
練ちゃんが登場するお話は彼のおかげでどれも面白い。
(なにげに、練ちゃん無しのお話はつまらないって言ってる?)
緑子シリーズの脇役として登場した練ちゃんですが、
「聖なる黒夜」で主役に(あれ?主役は麻生?)なり、
この最高傑作が誕生したわけです。
今だに練ちゃんと麻生の登場する話しは続いており(細々とですが)、
ファンとしてはうれしい限り。
ただ、この二人に幸せな未来が待っている、ということはなさそうで……。
お願いです~、柴田センセー~!
2人のラブラブでいちゃいちゃなお話書いてくださ~い!
上のイラストですが、ボツ絵です。
書き変えている余裕がなかったので仕方なく載せました。
でどうにかならないかとバックを写真にしてみました。
なんだか墓穴を掘っただけのような……。
イラストは2、3日したら下ろさせていただきます。
幸せになることがない二人でも、ファンとしては「もしかしたら」を期待してずっと待ってしまうのですよね。柴田先生、本当なんとかしてくれないかしら。麻生派の私としては、逃げ腰気味のままというのが悲しいです・・・腹括れよ!
麻生って自分から練に迫ったことってありましたっけ?ホントヘタレな「攻」ですよね~。
腹括ってほしいです!
でも、ハッピーエンドになったら、話しもそこで終わってしまうから、もう少し練には辛抱してもらいましょう。
健気なヤツなんです、練は。
練の健気さに萌えです。100回くらいポチです!