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なおしのお薦め本(78)『たった一人の大きな力』

  クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。

 『たった一人の大きな力

                            蓮見 太郎著

  この本には、人並みの幸せを目指さないバカ者が30人も紹介されています。
  
そのうちのひとり、「一人で巨大な彫刻をした人の話」を読んでみてください。

   「ワシントン、ジェファーソン、ルーズベルト、リンカーン……岩山に4人の大統領の顔が並ぶアメリカ・サウスダコタ州のマウントラッシュモア。この4人の大統領と対峙するように巨大な彫像がそびえたっています。それがアメリカで最も有名なインディアンのクレイジーホースの彫像です。
 
すべての始まりは1939年、アメリカ・コネチカット州に住む彫刻家コジャック・ジオルコフスキーのもとに突然、1通の手紙が届いたことでした。差出人はアメリカン・インディアン、スー族の長老です。その手紙にはこう書かれていました。『最近、我々の聖地であるマウントラッシュモアに4人のアメリカ大統領の彫像が勝手に彫られてしまった。しかし、この地にふさわしいのは最後まで白人に戦いを挑んで戦死したスー族の英雄、クレイジーホースである。そこであなたにお願いしたい。この4人の大統領の彫像よりも大きなクレイジーホースの彫像をぜひ作ってもらいたいのだ』。
 
コジャックは白人であり、アメリカン・インディアンについてもさほど知識を持っていませんでした。そこで、アメリカン・インディアンの歴史を調べてみると、白人たちが行ってきたあまりにも残虐な行為に憤りを感じ、自分の中から情熱が沸き起こってくるのを感じたのです。彼らの誇りであるクレイジーホースの像を作り上げることはせめてものつぐない、自分の使命だと確信し、コジャックはその依頼を引き受けることにしました。
  
大統領の顔の大きさが18mなのに対し、コジャックが彫ろうとしたクレイジーホースの彫像は顔の大きさが26m、さらに白馬にまたがって突撃のポーズをとる姿まで含めると横幅は約200mにもなる計画でした。コジャックはこの大事業にたった1人で立ち向かうことにしたのです。4人の大統領の彫像を作るのに400人の作業員が14年かかったことを考えると、いかに無謀な挑戦であるかがわかります。」
 
「やがてアメリカ政府もコジャックの作品に関心を持つようになり、公的な援助を申し出ました。しかし、インディアンを迫害し続けた相手から援助を受け取ることは趣旨に反するとして、彼は断固拒否しました。1980年代に入ってどうにか顔の部分だけが完成しましたが、70歳を超えるコジャックの体は限界にきていました。
 
1982年、コジャックは74歳で息を引き取りました。しかし、彼が亡くなった後も妻(引用者注:コジャックの姿に心打たれ、手伝いを申し出た女性)と5人の息子、5人の娘はコジャックの遺志をしっかりと受け継ぎ、クレイジーホースの勇姿を完成させるべく岩山を掘り続けています。今では観光の名所にもなり年間100万人もの人たちが訪れ、入場料の10ドルが制作費として運用されるようになりました。
 
子供たちは父・コジャックがインディアンと交わした約束を守るため、自分たちの代で完成しなければ孫の代まで引き継いででも完成させると誓っています。」

  前書きにこうあります。
  
「何かを始めるのはたった一人で充分。
  
自分の頭で考えて、自分に正直に、自分の足で一歩踏み出してみよう。
  
勇気を出して。
  
世界には一人力で頑張っている、君の『仲間』がいっぱいいる。」
 
 すべての話に、写真が掲載されています。
 
 お伽噺のような話が事実であることを、否応なしに感じさせてくれます。      なおし

         

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