goo

どのように活かしているか

 令和二年司法試験合格者である司法修習生Yさんから、お願いしていた原稿が届きました。

 「ふだんの勉強や仕事に、クリエイトの各トレーニングをどのように活かしていますか」というテーマで書いていただきました(最近、よくできる生徒さんにお願いしています

 いつものスコアなどはなく、感想だけを掲載します。

 きっと、教室に通う生徒さんには参考になるはずです。

 Yさん、ありがとうございました
 

  

カウント呼吸法
訓練で得た能力: ほんの十数秒のうちに、自分の気持ちを落ち着かせ、集中しつつも肩の力は抜けている状況を作る。

どのように活かしているか: 上司との面談や重要な試験のときなど、頭が冴えていて欲しいのに緊張しがちな場面には、いつもカウント呼吸をしてから臨んでいる。不思議なほどスッと余分な力が抜けて、まさに教室でトレーニングを開始するときと同じ、静かで集中力の高まった状態になることができる。クリエイトへ通ううちに、カウント呼吸が自分の気持ちを整え集中するためのスイッチになった。

 

サッケイドシート
訓練で得た能力: ①視野を意識的に広げる、②視線を無駄なく動かす。

どのように活かしているか: 1 議論しながらホワイトボードやパワポ資料を見るときに活用している。画面全体に多くの情報が盛り込まれているため、狭い範囲を1行ずつ読んでいると全体像を見失いかねない類の資料だが、サッケイド訓練の要領で視野をぐいっと広げ視線を素早く動かすことにより、記載された情報の全体像を瞬時に把握できる。
 
 2 本屋で本を探すとき、目的の本を迅速に見つけられるようになった。以前は本棚を一段ずつたどっていく探し方しかできなかったが、今はぐいっと視野を広げて、本棚1台分の背表紙を丸ごと視界に入れることができる。

 3
 クリエイト入塾以前は、速く見ようとして焦るあまり視線が画面上をぐるぐる彷徨ってしまうことがあったが、最近はそのような無駄な動きがなくなった。これにより日々のあらゆる読み取り行為の効率が上がり、全体としての事務処理能力が底上げされたと感じる。

 

かなランダム/数字ランダムシート
訓練で得た能力: 特定の文字又は数字だけが浮き上がるように目線を切り替え、大量の情報の中から短時間のうちにそれらを見つける。

どのように活かしているか: 1 リサーチをする際に活用している。特に、数百ページの書籍(例えば、法学の分野であればコンメンタールや逐条解説など)の中から特定の用語や情報だけを探し出すときに有用だ。リサーチ課題のなかには、記載が「存在しないこと」の確認に価値がある場合がある。その場合、記載が存在することを確認する場合よりも大量のページを検討する必要があるが、前記のような目線の切り替えが可能になったことで、この作業の苦痛が大幅に軽減されている。

 2 起案や議論をしていると、「この情報、どこかに書いてあったのは確かだが、どこにあったんだっけ」という状態になることが度々ある。その場で資料を見直して該当箇所を探さねばならないが、ランダムシート訓練の要領で情報を探すと速い。重宝している。

 3 書面作成時の誤字脱字チェックに活きている。ランダムシート訓練のおかげで、文字が多少ぼやけて見えるくらいのスピードで読み直しても、誤字脱字により生じる不自然な1~2文字に気付きやすくなった。

 4 かなと数字のみならず、英語にも応用できる。TOEFLのリーディング試験で文章から特定の単語を探し出す際、ランダムシート訓練のとき同様に、単語全体の形のイメージ特徴をとらえてざっと眺めると、英単語であってもパッと目に飛び込んでくる。

 5 本屋で本を探すとき、目的の本を迅速に見つけられるようになった。本の題名や著者名のうち特徴的な部分を意識して、背の高い本棚を上からざっと眺めると、目的の一冊がぽんと目に飛び込んでくる。

 

かなブロック/数字ブロックPシート
訓練で得た能力: 特定の文字又は数字だけが浮き上がるように目線を切り替え、大量の情報の中から短時間のうちにそれらを見つけつつ、視線の動きと連動させる。

どのように活かしているか: 1 パソコンで書面を書く際、漢字変換が速くなった。変換候補一覧を幅広く眺め、目的の漢字だけを浮き上がらせる見方ができるようになったためだ。

 2
 国語辞典や英英辞典を速く引けるようになった。クリエイト入塾以前は、目的の単語付近までは来ているものの肝心の対象が見つからず、モタモタと視線が移動するだけの時間があって、辞書を引く度ストレスに感じていた。今はひらがなや英字への反射神経が良くなったうえ、対象外の単語が目に飛び込んできたときに視線を素早く次の単語群のほうへ引っ張ることができるので、随分速く快適になった。

 

漢数字一行Pシート
訓練で得た能力: 特定の漢数字だけが浮き上がるように目線を切り替え、大量の情報の中から短時間のうちにそれらを見つける。

どのように活かしているか: 裁判所の訴訟記録(証拠や主張書面をつづった冊子)は、漢数字、ひらがな及びカタカナを組み合わせた事件番号により管理されている。膨大な記録を収めた棚から素早く目的の記録を探し出すことができ、時間短縮になっている。
 
 漢数字一行訓練が直接活きる場面はなかなか無いものの、目線の切り替えを最も意識しやすい訓練であるため、前記「かなランダム、数字ランダム」「かなブロック、数字ブロック」記載の活用法にも寄与している。

 

たて一行ユニット
訓練で得た能力: 類似する複数の文の中から、特定の文だけが浮き上がるように目線を切り替え、短時間のうちにそれらを見つける。

どのように活かしているか: 前記「かなランダム、数字ランダム」「かなブロック、数字ブロック」に同じ。たて一行ユニットを通じて、ある程度長さのある文も、実はそのうちたった3文字で識別できると気付いたことで、目線を切り替える際により効率的な見方を選択できるようになった。

 

スピードチェック、ランダムチェック
訓練で得た能力: 特定の記号に瞬時に反応しつつ、その認識と視線の動きや手の動きとを連動させる。

どのように活かしているか: 前記「かなランダム、数字ランダム」「かなブロック、数字ブロック」に同じ。

 

ロジカルテスト
訓練で得た能力: ①論理把握力、②異なる情報群を同時並行で処理する、③解法の言語化実践修正を繰り返して最善のものを見つける。

どのように活かしているか: 1 文章を一読したとき、論理展開に違和感を覚えて立ち止まることが増えた。ロジカルテストのおかげで、文章の構造を分析する際の粒度が細かくなったこと、以前は全く自信がなかった自分の論理把握力に自信が持てるようになり、小さな違和感であっても無視せず丁寧に検証するようになったことの2点が要因と思う。

 2 複雑で混沌とした問題に上手く向き合えるようになった。ロジカルテストでは、自分の解法を言語化して明確にし、実際に使用して修正点が見つかれば随時ブラッシュアップするというシンプルな過程の繰り返しが、最善の解法に近づく最も効率的な方法であることを実感した。複雑で混沌とした問題であっても、同様に粛々と解法の言語化実践修正を繰り返せば対処できるはずだ、と自信を持って取り組むことができている。

 

スピードボード
訓練で得た能力: ①異なる情報群を同時並行で処理する、②解法の言語化実践修正を繰り返して最善のものを見つける。

どのように活かしているか: 多数の異なるタスクを同時並行で進めることが上手くなった。スピードボード訓練は、クリエイトの数あるトレーニングの中でも、最もマルチタスクを要求される訓練だと感じる。私の場合、(a)視線を素早く動かし、記載された情報を「上下に関する情報」と「左右に関する情報」に分けて取得する、(b)異なる情報群(上下、左右)ごとに相殺や足し引きをする、(c)得られた結果(「上2左1」といった数値)を、マス目上の地点という異なる情報に置き換えてアウトプットする、という解き方をしている。このような複合的な処理を高速度で繰り返すスピードボード訓練は、異なるタスクを同時並行で処理する能力の養成に役立つ。

 

イメージ記憶、イメージ読み
訓練で得た能力: ①単語や文章から、瞬時に視覚的なイメージを喚起する、②言葉とイメージの間を自由に行き来する。

どのように活かしているか: 1 TOEFLのリスニング試験で聞き取った内容を頭の中で映像化する際、イメージ喚起力が役に立つ。メモを取るよりもはるかに内容を忘れにくいし、試験の時間が少しだけ楽しくなる。音声のスピードに追い付くためには、瞬時に次々とイメージを喚起する必要があるが、イメージ記憶訓練は時間的にタイトなので、瞬発力も鍛えられている。

 2 以前よりも、読み手が具体的にイメージしやすい文章を書けるようになった。自分が書いた文章を読み直す際は、この文章から具体的な場面がイメージできるかという観点でチェックをし、もし上手くいかない箇所があれば、よりイメージを喚起しやすい表現に修正するというように、言葉とイメージの往復が柔軟にできるようになった。

 

倍速読書訓練
訓練で得た能力: 文章を読む速度精度を調整する。

どのように活かしているか: 読む目的や書籍文書の種類に応じて、読む速度精度を変えている。

 例えば、未知の分野についてリサーチする場合、まずは速読で広範囲の情報に目を通しつつ重要な箇所を抜粋し、その後抜粋した箇所を精読する読み方を採っている。最初の工程で膨大なページを確認せねばならないが、倍速読書訓練の2倍速のときの要領で迅速にページをめくると、作業時間を大幅に短縮することができる。作業の効率化はリサーチの質の向上にもつながるため、この読み方を選択できること自体が、私の強みとなっている。

 他にも、以前ならば前提知識が足りずに途中で挫折していたであろう本を、気軽に読み通せるようになった。「ラフにサクサク読んで、とりあえず全体像をつかまえよう」と割り切り、精度を落とすことによって、速く楽しく、それでいて内容も予想外に把握できている読書が実現している。この読み方を選択できるようになってから、読める本の幅はぐんと広がった。

 全て1倍速均一な精度で読んでいたころの自分を思えば、読む目的や書籍文書の種類に応じて複数の読み方を選択できることは、大きな財産だと感じている。

 







      

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 出来ることな... 忙しいときに... »