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中高年の恋 命輝かせる、体内サプリ
きのう1月27日(火)の毎日新聞夕刊に、高樹のぶ子がインタビューされていました。
年齢的には団塊の世代に属するものではありませんが、このブログにピックアップしておきます。
もちろん、高樹のぶ子の以下の意見すべてに賛同して取り上げているわけではありません。
そういうことよりも、エネルギッシュな作家の発言を目にし、10代20代の若い人がこの作家の文庫を開いてみようと触発されたらと、考えたしだいです。
なお、作家は、敬愛の気持ちをこめて呼びすてになります。真
特集ワイド:
作家・高樹のぶ子さんが語る、
中高年の恋
命輝かせる、体内サプリ
深刻な不況が厚い雲のように社会を覆う。「経済が低迷すると、恋愛のエネルギーも低下する」と指摘するのは恋愛小説の名手で作家の高樹のぶ子さんだ。「恋愛は心と体を元気にする体内サプリメント。中高年にこそ恋愛が効く」とも説く。ここはじっくり高樹さんの話に耳を傾けたい。【山寺香】
◇「枯れ木」風土…
♂も♀も老い進む 有性生物、意識して
取材場所として指定された東京都内にあるホテルの一室を訪ねると、黒を基調にしたワンピース姿の高樹さんが笑顔で迎えてくれた。適度に体にフィットする素材から見えるきゃしゃでほっそりとしたラインからは、とても62歳という年齢を想像することはできない。つやつやと光る唇のグロスも色っぽい。かと思えば、好奇心をたたえきらきらと輝く瞳はまるで少女のよう。そのギャップに、同性ながらドキドキしてしまう。
思わず口をついて出てきた言葉は、「その若々しさの秘訣(ひけつ)は?」--。
「飛行機に乗る時も街を歩く時も、あこがれの対象になるようなすてきな男性を常に探しています。私が女であり続けることは、夫が男であり続けるためにもいいことなんですよ。ふふふ」
クスリも毒も栄養も知恵も、人間の骨身に届く大切なものは、実は『傷口』から入ってくるものなのです
高樹さんが昨年11月に出版した初の恋愛エッセー「うまくいかないのが恋」(幻冬舎)のなかの一節。同書は、相手の気持ちを確かめる方法や失恋からの立ち直り方など、経験に基づいた高樹版「恋愛論」に仕上がっている。
「バブル時代には、男性も女性も恋愛にぎらぎらとしていた。けれども最近は傷つくのを恐れ、石橋をたたくことさえしない人も多い」
高樹さんの見立てによると、景気の動向と恋愛は関係があるという。100年に1度の大不況のなか、中高年は恋愛に臆病(おくびょう)になるばかりで、このままだと団塊世代は“枯れ木”の山になってしまう--。高樹さんはそう懸念する。
自身も団塊の世代に当たる。そして、恋愛論を語れるだけの激しい経験もしてきた。24歳で結婚し1児をもうけたが、夫の友人だった現在の夫と恋に落ち、離婚と再婚を経験した。
37歳だった84年に「光抱く友よ」で芥川賞を受賞。恋愛小説を書き始めたのは40歳を過ぎてからだという。99年に谷崎潤一郎賞を受賞した「透光の樹」では、25年ぶりに再会した40代の男女の恋愛とエロスを描き、映画化され話題となった。官能的な性愛の描写だけではない。高樹さんの作品では、年を重ねる中で表面が曇り体の奥深くに埋もれていった<人間としての本質>が、恋愛を通して最後の輝きを放つ。その美しさに、読む人は心を揺さぶられる。そして、今執筆中の「甘苦(がんくう)上海」では、50代のキャリアウーマンが主人公。上海を舞台に人生最後の恋に身を投じる姿を描く。
命を輝かせるのが恋愛
高樹さんの持論だ。
「私自身、60代です。この年の恋愛は、お金や地位などもはや重要ではない。命を輝かせるために必要なんです」
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高樹さんは、恋愛の視点から人生を三つの時期に分けて解説する。若い時代の「第1次恋愛期」、40~50代の社会的使命を背負いながらの恋愛を「第2次恋愛期」、60代以降の定年退職後の恋愛を「第3次恋愛期」と呼んでいる。
「子供を産み育てることが主目的の第1次恋愛期は打算的になるのが当たり前ですが、年をとってからの恋愛はもっと純粋で自由になる」
昔は恋愛は若い人のものと思われていたが、平均寿命が延び、さらに団塊世代が大量退職する時期に来ると第3次恋愛期をどう過ごすかが重要な課題となるだろう。
「日本には年をとったら枯れるのが高尚だという精神風土があります。でも、枯れてはいけません。男も女も、『有性生物』であることを放棄した時点で、一気に老いが進むのです。団塊世代が退職する今、枯れ木の山ができてしまう。だから、私は恋愛論を通して“枯れ木”撲滅運動をしているんです」
高樹さんが使う「有性生物」は、自分は男、あるいは女であると性別を意識して生きる人を指す。
「セックスできるということとは別で、意識の問題です。80代でも口紅を塗らないと外出しない女性もいれば、20代でも部屋に閉じこもり化粧もせずにジャージー姿で過ごす女性もいる。平均寿命が延びても、健康寿命とかけ離れていれば医療や介護が必要な期間が長くなるだけで、幸せではありません」
景気の関係だけでなく、中高年とりわけ団塊世代の男性から活力が失われていると感じている。
「中年の男性は、男としての魅力が社会的地位や財力、あるいは性的能力とイコールだと思っている人が多い。だから退職すると一斉に男としての魅力がなくなったと思い込んでしまいがちなんです。でも、女性はそんなものを求めていません。求められるのは全く別の能力です」
その能力とは、共同生活するために必要な家事能力▽精神的なサポート能力▽一緒にいて相手を心地よく感じさせる能力--などという。
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そうは言っても、その年代になると老いを意識することは避けられず、病ともまったく無関係ではいられない。死についても自然と考えが及ぶこともあるだろう。
でも、高樹さんの言葉を借りれば人生のタイムリミットさえも恋愛を燃え上がらせるためにくべるまきとなる。「期限があればこそ、今やらなきゃ後はないって気持ちになるでしょう。それで、より過熱的に感情が働き過激になれるかもしれない。時間が決められているからこそチャレンジできることもあるはずです」
相思相愛で成就する愛は100人に1組くらいのもので、恋はうまくいかなくて当然。失敗を恐れず一歩踏み出してみよう
高樹さんのメッセージだ。高樹さんが言っているのは性愛に限った恋愛ではない、心のありようである。
インタビューの最後、高樹さんはこう締めくくった。
「恋愛の相手は誰だっていいんですよ。お隣のご主人だと問題になる場合には、ヨン様だって構わない。大切なのは、有性生物であり続けようとする意識なんです」
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■人物略歴
◇高樹のぶ子(たかぎ・のぶこ)
1946年、山口県生まれ。84年、「光抱く友よ」で芥川賞を受賞。「透光の樹」「蔦燃(つたもえ)」など数々の恋愛小説を発表。現在芥川賞選考委員、九州大アジア総合政策センター特任教授を務める。
毎日新聞 2009年1月27日 東京夕刊
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KO寸前でした。
枯れたらさすがにマズいですよね~。そろそろ
何とかしなければ!
もちろん、いろんな意味で、です。
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