「ちあきなおみを徒然に思う」
彼女の今を紹介する記事『表舞台から姿を消し30年「アパート経営」「病院に行かな
い」今』が『女性セブン』(2022年5月12・19日号)に掲載されているようで、その
全文だか抜粋だかは不明ですが、先日(4月29日)ネット上に載っていました。
見出しで事足りてしまうのですが、少々付け足すと、代表作『喝采』発表から50年と
いう節目の年にも当るのですよね、今年は。
一昨年亡くなった中村泰士(享年81)が喜寿を迎えた2016年に記念コンサートを開
催し、その際、ちあきに祝福のコメントを依頼したが、彼女は「いまは一介のおば
あちゃんだから」として、首を縦に振らなかったとのこと。
芸能関係者某氏によると、“「ちあきさんはまもなく後期高齢者となる年齢ですが、
いたって健康で、もう何年も病院に行ってないそうです。歩くときもスタスタと早歩
きで元気そのもの。意外にも格闘技が大好きで、ボクシングや総合格闘技をテレビで
見て熱狂するほど、気持ちもお若いようです」”とのこと。
『喝采』で第14回日本レコード大賞を受賞(1972年)した6年後(1978年)に日活の俳
優だった郷鍈治(宍戸錠の実弟で最初の頃は本名の宍戸鍈治で出ていた)と結婚する
のですが、上に挙げた写真(このネット記事に添付されていた)がその結婚記者会見
時のもの。随分とラフな様子でしょ。
さて、話は変わって。
何故そのようなラフな恰好で臨んだのか。そのときの経緯を紹介しているのが、『週刊
女性』(1978年5月23日号)で、その表紙には「ちあきなおみ・郷鍈治が親族だけで結
婚!」のキャッチコピーが。
発売当時は180円ですが、10年くらい前だったでしょうか、その十倍近い値段で中古
品を手に入れました。当然のことながら、他誌も採り上げているのですが、これし
か見つかりませんでした。
最初の記事が「詳報 神社で柏手を打ったふたりだけの挙式」と見出しのあるその内容
になります。
どのようなことか、かいつまんで記しますと、
4月29日から30日にかけて二人の友人に一通の手紙が届きます。そこには、時候の挨拶に
続けて「私共は此度、四月二十八日に結婚を致しました…。」そして二人の名前(本名の
宍戸鍈治、瀬川三恵子とそれぞれの芸名)が併記されています。
受け取った皆はビックリ仰天。宍戸錠も所属するコロムビアレコードも全く知らされてい
なかった。
“それも無理はない。挙式と"披露宴"の出席者は、本人たちをふくめてたった四人。双方
の母親たちが同席していたというのに、その母親たちでさえ、いうのだ。「式だなんて知
らずに出席させられちゃったんです…」”
二人が交際を始めてからやがて4年。代官山のマンションで同棲に近い生活を送っていた
ちあきが突然、母に結婚を匂わせる発言をした。わざとらしくカレンダーに指を当てて、
“「あら、二十八日は大安だね。ちょうど仕事もないし、この日に決めたわ」”とね。
やっと結婚を決めたと喜んだものの、式場を心配する母に対して、“「ううん、格式ばら
なくても先方のお母さんをおよびしてごあいさつをして、それを式がわりにすればいいの
よ」”。
郷鍈治の方も似たり寄ったりで、日頃めったに母に連絡しないのに珍しく電話で、“四月
二十八日の昼過ぎに迎えに行くよ。先方のお母さんにあいさつに行くから一緒に行っても
らいたいんだ」”なんて急に云われた母だって“「先方にうかがって、何をするの」”と
首を傾げるのは当たり前。それに答えたのが“「だから、あいさつさ」”だもの、ちあきと
郷が示し合わせた上での両家のやりとりはこんなものだったらしい。
そして4月28日、ちあきと母(ヨシ子)の待つ八雲の自宅へ郷鍈治と母(文)がやってきて
双方の挨拶が交わされた後、郷が突然、直立不動になって“「大事なお嬢さんをいただき
ます!」”、それに応じ母ヨシ子が反射的に立ち上がって“「ふつつかな娘ではござい
ますが、どうかよろしくお願いをします」”、ちあきも郷の母文に向かって“「よろしく
お願い致します」、郷の母文が応じて、“「こちらこそよろしく…」”。
そして団欒が始まったと思われたそのとき、郷がぶっきらぼうな声で、“「ええ、では、こ
れで終わりにします!」”。
これが結婚式なんだと気付いた二人の母。しばしの茫然の後、“「ほんとうに、これだけ
でいいのかい」「なんなら、ほら、うちのすぐ近くに氷川神社があるから二人であそこで
柏手でも打ってきたらどうだろう」”と提案。郷とちあきは“「ああ、それはいい考えだ」
「ね、二人で神社へ行ってきましょうよ」”と応じた。
二人が神社から戻ってくると、母がまたまた提案。“まだこの時間なら区役所も開いている
から、二人で結婚届を出してきたらどうなの」”と。
こうしてちあきと郷の結婚式と婚姻届がなされた。
先に紹介した写真は、その八日後の5月6日にちあきの所属する事務所の一室で行われた記者
会見のときのもの。
記者から“「奥さんになった実感は」”と問われたちあきが“「奥さんと呼びかけられたの
は、あとにも先にも、今がはじめて。私のことかしらと…(ワアハッハッ)」”と高笑い。
花嫁衣裳を着たかったのではの質問にも“「花嫁姿は、これまで何回もドラマの中で経験し
てますし、あまり形式にこだわらない性質だから(ホホホホホホホと笑いが続く)」”。
披露宴についても“「ぜんぜん考えてもいないし、やりたいとも思いません(ウフッフッフ
ッフ)」”。
結婚を機に引退するのかと問われると、ぶきっちょながらも主婦業をためしたいとした後に、
“失格したら、また歌をうたうかもしれないから引退ではなく、開店休業のままで…。それ
に、離婚したときに困りますからね」”と、大きな眼をなくしながら笑い転げる。居並ぶ報
道陣も引き込まれて笑いの大合唱になったそうな。
ちあきのこのラフさが堪らなく魅力的なんだよね。なのに離婚ならぬ死別後、ラフさはすっ
かり鳴りをひそめている(ように思える)。
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