ツッパリ生徒と泣き虫先生
近くの市民体育館でテニスの壁打ちをするようになった。これが手軽な運動でいい。
日曜だったので、何かの試合が行なわれていた。子供のバレーボールの試合だった。
うっ、かわいい、とロリコンの血が騒いだ。少し試合を見た。小学生くらいの子供のチームが試合をしていた。片方のチームのサービスエースが二回きまった。うまいな、と思った。決まるたびに、みんな集まって、拳を差し出し、「よっしゃ」と可愛い掛け声を出している。チームワークもいい。はじめは、弱いチームも反撃してくるだろうと思ったが、試合を観ているうちに、明らかに力量差があることがわかってきた。サービスされてもレシーブも満足に出来ず、トスも下手で、敵陣にボールを返すことも出来ない。弱いチームは一点もとれない。点差がどんどん、開いていく。20対0、30対0。
はじめは、面白いな、と思っていたが、だんだん体の奥から、堪えようもないない気持ちが起こってきた。
「この情けない子らは、今どんな気持ちだろう。メチャクチャやられて、くやしいやろなー。みじめな思いしてるだろうなー」
がんばれ、がんばれ、せめて一点だけでもとれ、と私は心の中で叫んだ。だが、弱いチームは一点も取れなかった。試合がおわった。120対0。記録的な大敗である。勝ったチームは進学校でスポーツも強い。一方、負けたチームは県内でも札つきの落ちこぼれ小学校である。小学生なのに、勉強はしない、学校にもろくに行かないで、家でファミコンばかりしている生徒が多い。
「ふん。あなた達なんか百年かかっても私達の学校には勝てないわよ」
勝ったチームの一人の女の子がそんな事を言った。
負けたチームはそんなこと言われても黙って、しょんぼりしている。
その時、コーチである教師が立ち上がって、彼らの所に行った。
教師はバレーボールの元、全日本代表だった。彼はあたたかい口調で負けて、しょんぼりしている子らに言った。
「おつかれさん。怪我は無いか。くやしかったやろな」
その時、一人の子供が倒れて泣いて叫んだ。
「くやしいー」
小学生なのにタバコを吸い、リーゼントにサングラスで夜の街をナナハンでとばしていた、不良の大畑だった。
チームみんなが泣き出した。
その日以来、大畑はタバコをやめてバレーボールの猛練習をはじめた。
近くの市民体育館でテニスの壁打ちをするようになった。これが手軽な運動でいい。
日曜だったので、何かの試合が行なわれていた。子供のバレーボールの試合だった。
うっ、かわいい、とロリコンの血が騒いだ。少し試合を見た。小学生くらいの子供のチームが試合をしていた。片方のチームのサービスエースが二回きまった。うまいな、と思った。決まるたびに、みんな集まって、拳を差し出し、「よっしゃ」と可愛い掛け声を出している。チームワークもいい。はじめは、弱いチームも反撃してくるだろうと思ったが、試合を観ているうちに、明らかに力量差があることがわかってきた。サービスされてもレシーブも満足に出来ず、トスも下手で、敵陣にボールを返すことも出来ない。弱いチームは一点もとれない。点差がどんどん、開いていく。20対0、30対0。
はじめは、面白いな、と思っていたが、だんだん体の奥から、堪えようもないない気持ちが起こってきた。
「この情けない子らは、今どんな気持ちだろう。メチャクチャやられて、くやしいやろなー。みじめな思いしてるだろうなー」
がんばれ、がんばれ、せめて一点だけでもとれ、と私は心の中で叫んだ。だが、弱いチームは一点も取れなかった。試合がおわった。120対0。記録的な大敗である。勝ったチームは進学校でスポーツも強い。一方、負けたチームは県内でも札つきの落ちこぼれ小学校である。小学生なのに、勉強はしない、学校にもろくに行かないで、家でファミコンばかりしている生徒が多い。
「ふん。あなた達なんか百年かかっても私達の学校には勝てないわよ」
勝ったチームの一人の女の子がそんな事を言った。
負けたチームはそんなこと言われても黙って、しょんぼりしている。
その時、コーチである教師が立ち上がって、彼らの所に行った。
教師はバレーボールの元、全日本代表だった。彼はあたたかい口調で負けて、しょんぼりしている子らに言った。
「おつかれさん。怪我は無いか。くやしかったやろな」
その時、一人の子供が倒れて泣いて叫んだ。
「くやしいー」
小学生なのにタバコを吸い、リーゼントにサングラスで夜の街をナナハンでとばしていた、不良の大畑だった。
チームみんなが泣き出した。
その日以来、大畑はタバコをやめてバレーボールの猛練習をはじめた。