プロ野球の怪我は、何もデッドボールだけで起こるものではない。
プロ野球は変則的なスポーツである。ピッチャー以外は、バッティングの技術の評価が、ほとんど全てである。守備の技術の評価も、ないことはないが、守備は、出来て当たり前、という感はある。
ほとんどのスポーツは、そのスポーツに合った体型、筋肉になる。ボクシングなら、引き締まった無駄のない柔軟な筋肉。フルマラソンなら、脂肪のない痩せた体格。スピードスケートなら、太い太腿。男子体操なら太い上腕。(力技があるから)と、そのスポーツに合った独特の体型になる。逆に言うなら、その人の体格を見れば、ある程度、どのようなスポーツをやっているか、推測できる。
野球も、バッティングだけ、というスポーツなら問題はない。ホームランバッターには、体格が大きく、体重があった方が、圧倒的に有利である。これは、砲丸投げ、円盤投げ、槍なげ、の選手が、体格が大きく、体重があった方が、有利なのと同じ理屈である。
格闘技においては、体格の大きさ、筋肉の多さ、体重の多さでは、多い方が、有利なのは、言うまでもない。脂肪も、体重の一部として、ないより、適度に、あった方が、有利である。(また格闘技においては、脂肪は、蹴られた時、相手の打撃を吸収してしまうクッションとなる、という面もあるが)
野球のバッティングでは、体格の大きさ、体重の重さ(適度な脂肪をも含む)が、あった方が、長打を打つのに有利な体格である。だから、野球では。バッティングだけ、というスポーツなら、問題はないのである。しかし、野球では、言うまでもなく、ヒットだろうが、ゴロになろうが、フライになろうが、要するにボールが当たったら、全力で一塁、(ヒットの場合は、二塁、三塁)まで全力で走らねば、ならない。守備でも、守備の時だけ、身軽な体型になる、ということは、出来ないから、重い体で全力で走らねばならない。のである。重い体で、全力で走れば、当然、膝に負担がかかる。(特に40歳、前後の選手の場合)なので変形性膝関節症になりやすい。走る時だけ、短距離ランナーの体格になることは出来ない。だから。打つための、筋肉で体を作っておいて、打った後、その体で、全速力で走ることを強いられるのだから、肉離れ、や、捻挫など、怪我をしやすいのは、当然のことである。