小説家、反ワク医師、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、反ワク医師、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

一番楽で儲かるプロスポーツは野球

2023-07-29 10:02:49 | 武道・スポーツ
一番楽で儲かるプロスポーツは野球。

なので。

楽して世界的な名声と金を儲けたければ子供の頃から野球をやればいい。

守備ならプロも高校野球もほとんど同じ。

守備なら甲子園に出られるほどの基本が身についているレベルの高校球児なら出来る。

野球は9回の守備と攻撃である。

野手は打者としての能力が一番、大きい。

なので打率、ホームラン数、が良ければ、プロ野球の球団は、何億という年俸で、スカウトしてくれる。

攻撃では。

バッターは1試合、最低3回、多ければ5~6回くらい打席に立てばいいだけ。

守備なら、たとえば外野(レフト)ならフライなら簡単にとれる。

1試合でレフトに飛んでくるヒット性の難しい球を上手く処理しなればならないのは、1試合で、多くても5回あるかないか、だろう。

それも無いこともある。

なので、野手は1試合に打席でも守備でも、何もしなかった、ということも、あり得る。

野球の試合時間は4時間くらいで長いが、一人の選手がする運動量は、極めて少ないのだ。

プロテニス選手の運動量と比べてみれば、それは一目瞭然である。

プロテニスには一瞬の休みも許されない。

絶えず全力で走り続け、相手の打ったボールは全て返さなくてはならない。

それは卓球やバトミントンでも同じ。

そもそも体形を見てみれば一目瞭然。

プロ野球選手は食いたい放題で、デブでも通用する。

否、デブの方がウェートがあって、パワーがあるから長打を打てる。

野球は瞬発力だけが要求されるスポーツだからだ。

しかし、テニス、卓球、バトミントン選手にデブはいない。

そんな体形では勝てない、という厳しさがある。

テニス、卓球、バトミントンなどは、有酸素運動の持久力と強い瞬発力の両方が要求されるスポーツだからだ。

なのに、卓球やバトミントンの選手はプロ野球選手のように何億と稼ぐことなど出来ない。

そもそも、プロ野球は毎日、試合をやれる。し、やっている。

試合場の移動もあるし、そもそも、プロ野球選手は、試合=実戦練習でもあるから、ハードな練習も必要ない。

オープン戦が始まったら、毎日が試合だから、試合前に軽めに、体をほぐすだけである。

そもそもプロ野球選手は、みな、老けている。

食いたい放題の瞬発力だけのスポーツだからだ。

他のスポーツの選手は老けない。

なのに、なぜプロ野球選手は何億と稼げるのか。

答えは簡単。

プロ野球は、プロスポーツの中でも一番、人気があって、観客動員数が多く、テレビ中継までされて、日本人のほとんどが観て知っているから、興行収入が多いから、有能な選手には、何億もの年俸を与えられるからだ。

それに比べ、フルマラソンの選手や、フェンシング、剣道の選手などは、プロ野球選手と比べものにならない厳しい練習をしても、収入は少ない。

観る人が少なく、野球より、はるかにマイナーなスポーツだからだ。

なので。

楽して世界的な名声と金を儲けたければ子供の頃から野球をやればいい。

のである。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

怠け心に勝つため人間の惰性の心理を逆に利用する

2023-07-29 07:27:41 | 考察文
怠け心に勝つため、人間の惰性の心理を逆に利用する。

僕はスポーツクラブに入っている。

そして筋トレとランニングをしている。

もちろん趣味なんかではなく、マッチョになりたいわけでもない。

ただただ健康のためである。

よりよく生きるためである。

便秘解消のためである。

という理由なので、「嫌だなー。面倒くさいなー」と思いながら、嫌々、仕方なく行っているのである。

なので、ともすると、サボり勝ちになる。



人間は何か(特に遊ぶこと)をしようと思い決めてしまうと、それを途中でやめて、思いとどまる、ということが出来にくい心理がある。

どこか行楽地へ行こうと思って電車に乗った後。

とか、

登山しようと思って準備した後。

とかである。

こういう時、人間は、天気予報で、「天候が荒れる可能性がありますので、くれぐれも注意して下さい」という予報が出されても、「もう用意したんだから」という感情が働いて、行ってしまうことが多い。

いわゆる雪山登山は「登る勇気より引き返す勇気」というやつである。

人間は、やり始めたことは、ついやってしまう、という惰性の心理がある。

僕もトレーニングジムに行くの、面倒くさいなー、と思いながら寝ている時。

ともかくトレーニングウェアを着て、車にエンジンを駆け、走らせてしまうのである。

そうしてトレーニングジムに着くと、もう、せっかく来たんだから、という心理が働くので、40分のランニングと筋トレ全種目をやってしまうのである。

2時間以上やってしまう。

やった後では体調が良くなって健康が良くなっているのである。

人間は怠けがちである。嫌なことはやりたくないものである。

しかし僕は、

「人間は、やり始めたことは、ついやってしまう、という惰性の心理がある」

ということを利用して嫌なことでもやっている。

これは最近、気づいた方法だが、とても効果がある。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビッグモーター兼重宏行・元社長は大ウソつき

2023-07-29 04:49:13 | 考察文
ビッグモーター兼重宏行・元社長は大ウソつき。

ビッグモーター兼重宏行・元社長は7月25日に謝罪の記者会見を行ったが。

あれを見て、おかしいと思ったことがある。

それは、ゴルフボールを使って車を傷つけていたことに対し、それを、

「ゴルフを愛する人への冒涜ですよ」

と言う発言である。

これは明らかにおかしい。

なぜ、ゴルフボールを使って車を傷つけることが、「ゴルフを愛する人への冒涜になるのか?」

さっぱり、わからない。

「車を愛する人への冒涜」

だろが。

じゃあ、野球のバットやボールで、車を傷つけていたら、それは、「野球を愛する人への冒涜」になるのか?

スポーツの道具(に限らず)多くの日用品は物を壊す道具となり得る。

ゴルフを愛する人たちは、兼重宏行の記者会見を見て、「オレはゴルフを愛している。ゴルフボールを使って車を傷つけるなんてゴルフを愛する人への冒涜だ」と怒っているだろうか?

そんな人など一人もいないだろう。

「ゴルフなんてくだらない」と言って新品のゴルフボール100個を川に捨てる動画をアップしたら、それはゴルフを愛する人は怒るだろう。

こういうふうに、平気で、おかしなことを言うヤツは間違いなく、確信犯の犯罪者である。

記者会見では謝罪していたが、まったく心がこもっていない。

こういうヤツはオレオレ詐欺と同じで、人間の良心を完全に捨てているから平気でウソをつけるのである。



兼重宏行元社長は、とんでもない不正を知っていた場合でも、知らなかった場合でも、そのどっちでも犯罪者である。

不正を知っていた場合なら、とんでもない犯罪者であることは言うまでもない。

不正を知らなかった場合は。

会社の社長には、会社が、どういうことをしているか、不正はしていないか、を入念に調べて、それを把握しておく責任がある。

不正を知らなかった、というのなら、社長としての責任を放棄しているということになる。

なので、どっちであっても兼重宏行は犯罪者である。



僕は損保ジャパンに入っている。

無事故無違反のゴールド免許である。

無事故無違反のゴールド免許なので、損保ジャパンにとっては有難い客である。

今年も更新の知らせがきたが、無事故無違反だと、1等級、あがり、保険料も安くなる。

損保ジャパンから更新継続の電話がかかってきた時、僕は、

「どうして無事故無違反なのに保険料が3万円に上がるのですか?以前は2万円台だったのに?」

と聞いた。

すると担当者は、

「へへへ。それは、ちょっと・・・」

と言って保険料が上がる理由を説明しなかった。

保険会社だって、会社の偉いヤツどもが会議を開いて、話し合って物事を決めているのは、当然である。

だから、保険料を上げざる理由だって、わかっているはずである。

だから損保ジャパンも、ビッグモーターの不正を知っていて、不正に関わっているのは間違いない。

世の中、ウソだらけ。何も信じられない。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

徳洲会病院は特別な病院ではない

2023-07-29 03:59:11 | 医学・病気
徳洲会病院は特別な病院ではない。

徳洲会病院は、創始者の徳田虎雄が、「命だけは平等だ」の理念で現行の医療より、より良い医療をしようと思って始めた医療法人グループである。

その理念は。

1. 年中無休・24 時間オープン
2. 入院保証金・総室(大部屋)の室料差額冷暖房費等一切無料
3. 健康保険の3 割負担金も困っている人には猶予する
4. 生活資金の立替・供与をする
5. 患者さまからの贈り物は一切受け取らない
6. 医療技術・診療態度の向上にたえず努力する

である。

この5(患者さまからの贈り物は一切受け取らない)は僕が医者になる前から、最初から、おかしいと思っていた。

というのは、患者が医者に感謝の気持ちでする贈り物は、100%、お菓子の詰め合わせセットなのである。

僕は医者になってからも、病院勤務で、それを見ている。

お菓子の詰め合わせセットなど、2000円ていどである。

そして、お菓子の詰め合わせセットを貰っても、医者にとっては有難迷惑なのである。

なので、お菓子の詰め合わせセットは、医局に置かれて、誰も食べすに放置されているだけなのだ。

患者からのお礼の贈り物なので、捨てるということも出来ないのである。

患者さまからの贈り物が、10万円を超す(越さなくても)現金だったら、確かに問題だが。

アホな徳田虎雄は、バカだから、そんなことも、わからないのである。



今年の6月12日に、体調が悪くなって、湘南藤沢徳洲会病院にかかった。

その時のことも、後で書きたい。

病院には徳田虎雄の顔写真が飾られていて、てめえのことを、

「大医は国を癒す」とか「大医は世界を癒す」とか、

偉がっているが。

ふざけんなー、と叫びたくなった。

良心的な医者、医療法人だったら、コロナワクチンは患者に打たない。

コロナワクチンは人殺しの毒薬であり、政府の補助金目当てに平気で打っている。

徳洲会病院の医者もコロナワクチンのことを知らない。

ので平気で打っている。

何が「命だけは平等だ」だ。

偉そうなことを言う前に、医者の端くれなら、せめて金儲けのために、患者を殺す毒薬を打つことをやめろ。

これからは徳洲会病院には、くれぐれもかからないように。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

屋外プールで泳げない

2023-07-29 03:40:27 | 医学・病気
屋外プールで泳げない。

それは今年が猛暑だからではない。

いつものことである。

夏は50mの屋外プールで泳ぎたく、そして屋外プールで泳いだ方が体力がつくのだが。

僕は肌が弱いので、屋外プールで(曇りの日でも)1時間、泳いだだけで、背中が1度熱傷を起こして、背中がヒリヒリして痛くて小説が書けなくなるからだ。

僕は、夏はいつも、このジレンマに悩まされている。



しかし夏になると筋トレの強度を上げて出来るようになるのだ。

別に意識しなくても。

冬では、ともて出来なかった筋トレの強度が夏になると、強度を上げて出来るようになるのだ。

この理由は正確には、わからない。

夏は体の体力が上がっているのだろう。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タコ星人(小説)

2023-07-27 13:15:19 | 小説
「タコ星人」

という小説を書きました。

ホームページ、「浅野浩二のHPの目次その2」にアップしましたのでよろしかったらご覧ください

「タコ星人」

ある日のことである。
僕は妹と家の裏山に登った。
早朝で誰もいない。
すると驚いたことに、山の頂上に大きな円盤があった。
まるでマンガで見るようなUFOのようだった。
円盤の回りでは、何匹もの赤いタコが地上の様子をカメラで撮っていた。
あるタコは、地面の土を採集したり、別のタコは雑草を取ったりしていた。
タコは手が八本あるので、その八本の手を器用に使っていた。
僕と妹は、身を伏せて、タコ達に見つからないようにして彼らの行動を観察した。
「うーむ。地球は我々の惑星より、はるかに住みやすい環境だ」
「確かにそうですね」
「しかし科学技術は我々の方が、はるかに上ですね」
「そうだな」
「地球を乗っ取ろう。そして地球人を全員、我々の奴隷にしよう」
「そうですね」
「今、地球はコロナウイルスのパンデミックとコロナワクチンで大騒ぎだ。地球人は、どういう性格なのか調べてみるために、試しにコロナウイルスをばら撒いてみたが、地球人はバカで、利権に走るだけで、大騒ぎしている。戦争もしているし、共産主義国家も存在するし、争いが絶えない。こんなバカなヤツらは簡単に乗っとることが出来るな」
「そうですね」
「核ミサイルを打ち落とす、迎撃ミサイルPAC-3などを開発しているようだが、我々の保有する超高性能核ミサイルなら、迎撃ミサイルPAC-3など、簡単にすり抜けて命中させることが出来る。まあ、次回、アメリカと中国に一発ずつ、核ミサイルを落としてやれば、第三次世界大戦となって、地球人の9割は死んで自滅するだろう。その後に、一気に我々が地球を侵略すればいい。それまでは我々の存在は知られてはならない。地球人の歴史を見ても地球人は宇宙人はいないと思っているし、地球人は宇宙人の地球征服を知ったら一致団結する可能性があるからな」
「そうですね」
そんな会話がなされていた。
僕はびっくりした。
彼らは紛れもない宇宙人で、地球を征服しようとしているのだ。
コロナウイルスも宇宙人が地球にばら撒いたのだ。
今回、彼らが地球にやってきたのは、地球の調査のためで、次回は、いつかはわからないが、アメリカと中国に、核ミサイルを、彼らは打ち込んで地球を滅ぼすつもりなのだ。
「お、お兄ちゃん。こ、こわい」
そう言って妹が僕の服を引っ張った。
ガサッ。
その音が彼らに気づかれてしまった。
タコ星人どもが、みな僕たちの方を見た。
「しまった。地球人に見つかってしまった。退却だ」
そう言って、彼らは、みな急いで円盤状のUFOに乗り込み出した。
彼らは、科学技術の進歩の度合いは地球人より、はるかに進んでいるのだろうが、体形は小型のタコである。
動作はのろかった。
ちょうど、東大医学部に入れるほどの学力があるが、痩せて体力の無い、モヤシのガリ便のようなものだ。
人間だって、何も持たない素手ならば、ライオンにもゴリラにもかなわない。
しかし人間は大脳新皮質だけは、異常に発達しているから、マシンガンや麻酔銃で捕獲し、全ての動物を支配しているのである。
それと同じようなものだ。
僕は、どうしたらいいか迷った。
しかし、このままでは、地球は彼らに乗っとられてしまう。
UFOから降りて、地球を観察していた、タコ星人は、全員、UFOに乗り込んで、UFOは宙に浮き出した。
しかし、一匹のタコ星人が残っていた。
「しまった。皇太子さまが、まだお乗りになっておられなかった。着地して、お乗せしろ」
そういう声が聞こえてきた。
地上から浮き上がったUFOは再び地上に着地しようとした。
このままでは地球は彼らに乗っとられてしまう。
僕は無我夢中で、UFOに乗りそこなったタコ星人を捕まえようと駆け出した。
どうやら、タコ星人の国にも、天皇制のようなものがあって、乗り遅れた、タコ星人は貴重なタコなのだろう。
こいつを人質にとっておけば、いざという時に地球に有利になる。
僕は、ウロウロしている、タコ星人を捕まえてデイパックの中に入れた。
そして妹と一緒に、急いで、その場を逃げた。
タコ星人は、その存在を知られるのが怖いのと、皇太子を取り戻すこと、のどちらをとるかで迷っている様子だった。
その隙をついて僕と妹は走りに走った。
幸い、道路に出ると、巡回中のパトカーが、こちらにやって来た。
僕は道路に出て、大手を振りながら、パトカーに向かって走った。
妹の手を曳いて。
パトカーも僕に何か緊急の事が起こったことを察してくれて、スピードを出して、こちらに向かってくれた。
「どうしました?」
パトカーが僕の横に止まると、警察官がパトカーの中から聞いた。
空を見上げると、タコ星人のUFOは、はるか上空にあった。
皇太子を取り戻すことと、自分たちの存在を知られないことの、どちらを選ぶかで迷っているのだろう。
僕は正直に言おうか、どうか迷ったが、正直に言っても、信じてもらえず、ふざけていると思われると思ったので、
「ちょっと変な男たちに追われているような気がするんです。こわいんです。もしかすると間違いかもしれませんが。済みませんが、警察署でかくまってもらえませんか?」
と言った。
「わかりました。どうぞ、お乗り下さい」
そう言って警察官は後部座席のドアを開けてくれた。
僕と妹はパトカーの後部座席に乗り込んだ。
パトカーは藤沢北警察署まで僕と妹を連れていってくれた。
「何があったのですか?」
警察官が聞いた。
UFOやタコ星人が地球を侵略しようとしていることを言っても、信じてもらえないと僕は思ったので、僕は黙っていた。
しばしして。
「すみませんでした。ちょっと僕、気が小さくて臆病なので、警察署まで送って貰いましたが。僕の思い過ごしだったと思います。気持ちが落ち着きましたので、家に帰して貰えないでしょうか?」
僕は言った。
「わかりました。それでは気をつけてお帰り下さい」
こうして僕と妹は警察署を出た。
・・・・・・・・・・・・
僕は妹を連れて家に帰った。
家に着くと僕はデイパックを開けた。
小さなタコ星人が出てきた。
「ふー。息苦しかった。しかし何か話すと、オレ様の存在が地球人に分ってしまうからな。だから黙っていたんだ」
とタコ星人は生意気な態度だった。
「おい。お前。オレ様はタコ惑星の王子なんだぞ。丁重に扱え。そうすれば、地球を征服することを、思いとどまってやることも考えてやるぞ」
と生意気な態度だった。
「おい。タバコをくれよ。一服したいんだ」
とタコ星人は生意気な態度で言った。
僕はタバコとライターをタコ星人に渡した。
タコ星人は、八本の手があるので、その手で、器用にタバコを口に咥えて、ライターで火をつけて一服した。
「おい。お前はタコ星人の王子なのか?」
僕はタコに聞いた。
「そうだ。オレ様はタコ惑星の王子なんだぞ。だから丁重に扱え。そうすれば、地球を征服することを思いとどまってやることも考えてやるぞ」
とタコ星人は生意気な態度で言った。
「コロナウイルスはお前たちが作って地球にばら撒いたんだな?」
僕はタコ星人の王子に聞いた。
「そうだ。あらかじめ、コロナウイルス用のワクチンを用意しておいてな。この風邪ていどの弱毒ウイルスを地球にばら撒いたら、地球人はどうするか。地球人の性格と知性を知るためにな。思った通り、いや予想以上に、地球人は間抜けで、どの国も政官財が癒着していて、利権だけしか頭にないエゴイストだと分かった。コロナワクチンは変異するから、同じワクチンを打てば打つほど、ADE(抗体依存性感染増強)が起こるのは、わかっているのに、利権だけしか頭にない、バカな地球人どもは、同じワクチンを打ち続けて、未曽有の危機だなどと騒いでいる。あっははは。バカで愚劣なヤツらだ。体のあらゆる細胞がmRNAワクチンを取り込むから、自然免疫が低下して、地球人は、これから、どんどん死んでいくだろう」
タコ星人の王子はタバコをふかしながら、余裕の口調で、そんなことを言った。
僕の心は口惜しさと憤りに煮えたぎっていたが、人間が愚かだったことも事実なので言い返せなかった。
それより僕はタコ星人のことを知りたかったので、ぶん殴りたい気持ちを我慢した。
「あんたらは、地球のタコに似ているが、どうしてですか?」
僕は聞いた。
「地球人は海の中から、魚類、両生類、そして陸に上がって、哺乳類へと進化していったのだろう。しかし我々は、進化の過程で、タコから哺乳類へと進化してしまったのだ。だから外見は、一見タコに似ている。しかし我々、タコ星人の頭脳は、お前ら地球人とは、比べものにならないほど優れているのだ。だから科学技術も、お前ら地球人とは、比べものにならないほど高い。我々の科学技術から見ると、地球人の科学技術など、ママゴト程度だ。あっははは。笑いが止まらんぜ」
「お前たちは、そんなに頭脳が優れているのか?」
「当たり前だ」
「じゃあ、これを解いてみろ」
そう言って僕は、今年の東大の全科目の入試問題を、タコ星人の王子の前に置いた。
タコ星人の王子は、シャープペンを取ると、素早い勢いで解答を書き込んでいった。
何しろ、手が八本あるので、複数の問題を同時に解いた。
その書く速さは物凄かった。
5分もかからず、タコ星人の王子は解答を書き上げた。
僕はそれを、とって、正解を書いた赤本を開いて比べてみた。
びっくりしたことに全問正解だった。
次に僕は、数学で解決されていない、リーマン予想、をタコ星人の王子に見せてみた。
リーマン予想とは、1859年にドイツの数学者ベルンハルト・リーマン(1859)により提唱された、「全ての素数を表す式は可能か?」という問題で、クレイ数学研究所は、この問題を解いた人間には100万ドルの懸賞金をかけている。しかし数多くの天才数学者が、この問題に挑んだが、まだ解決されていない。
僕はタコ星人の王子に、
「おい。この問題を解けるか?」
と聞いてみた。
すると、タコ星人の王子は、なんだ、リーマン予想か、と言って、ノートにシャープペンで、物凄い勢いで数式を書いていった。
5分もかからず、タコ星人の王子はリーマン予想の方程式を書いた。
といっても、僕は、中学1年生なので、中学1年生の数学の知識しかないので、そんな高等数学はわからず、それが正答になっているのか、どうかはわからない。
僕は次に、他の数学の未解決証明問題である、
・バーチ&スウィンナートン・ダイアー予想
・P≠NP 問題
・ホッジ予想
・ポアンカレ予想
・ヤン-ミルズ方程式の質量ギャップ問題
・ナビエ-ストークス方程式の解の存在問題
の6つの問題を、タコ星人の王子に見せて解かせてみた。
するとタコ星人の王子は、その6つの問題を物凄い勢いで解いていった。
何やら難しい非常に長い方程式である。
これらも、僕は中学1年生の数学の知識しかないので、それが正答になっているのか、どうかはわからない。
しかし当たっていたら、合計100万ドル×6=600万ドルである。
しかし今年の東大入試問題も、全問正解しているので、これらの問題も正解になっているような気がした。
タコ星人の王子はタバコを吹かしながら、
「お前ら地球人はバカだな。わがタコ惑星では、こんなのは、1000年前にとっくに解決されている」
と言って、余裕の様子で、タバコを吹かした。
「さあ。これでわかっただろう。オレ様を丁重に扱え。そうすれば、地球に核ミサイルを打ち込むのを考えてやる。何せ、オレ様は、タコ惑星の王子なのだからな」
と言って、吸っていたタバコをフーと吐き出した。
「おい。バカな人間。腹が減ったぜ。何か食い物もってこいよ」
とタコ星人の王子は傲慢な態度で言った。
僕は、コロナワクチンで死んだ人たちを代表して、このタコ野郎をぶん殴ってやりたい思いに駆られだが、こいつは地球をタコ星人の侵略から守る、切り札、大切な人質なので、我慢して丁寧な口調で、
「王子様。わかりました。食べ物をお持ちいたします」
と言って部屋を出た。
・・・・・・・・・・
このタコ野郎は地球を守る大切な人質であることは、わかっていたが、新型コロナウイルスとコロナワクチンをばら撒いて、地球人を殺したり、ワクチン後遺症にした、このタコ野郎に対する怒りを僕は我慢することが出来なかった。
それで僕はキッチンに行き、冷蔵庫から、タコを取り出して、タコの丸焼き、タコの寿司、タコときゅうりの酢の物、を急いで作り、天然木漆塗りの大きな椀に入れ、蓋をして、そして、それを膳に乗せ、タコ星人の王子の所に持って行った。
「王子様。お食事をお持ち致しました」
と言って僕は膳をタコ星人の王子に差し出した。
「おう。持ってきたか。このウスノロ」
とタコ星人の王子は横柄な態度で言った。
強がっていても腹が減っていたのだろう。
タコ星人の王子は、八本の手を使って、急いで椀の蓋を開けた。
開けるや否や、タコ星人の王子は、ただでさえ赤い顔を真っ赤にして怒り狂って、僕に向けて、ブバッと黒い墨を吹き出した。
「バカ野郎―。なんだ。この料理は。全部、タコ料理じゃねえか」
タコ星人の王子は顔を真っ赤にして言った。
「お気に召されませんでしたでしょうか?」
僕は恭しく聞いた。
「当たり前だ。オレ達、タコ惑星の者は、タコが進化したのだ。だから我々にとって、タコは聖なる動物なのだ。ちょうどお前たちが、犬や猫などの哺乳類を可愛がるのと同じだ。そのくらいの事も想像がつかないのか。代わりの料理を持ってこい」
そう言ってタコ星人の王子は、八本の手を使って、椀を僕に投げつけた。
「は、はい」
僕は焦って、椀を拾い集めて、部屋を出た。
・・・・・・・
僕は、すぐに109cm×71cm×87cmのLLサイズのペットケージを持ってきた。
以前、僕の家では、父の趣味で2匹のサルを、そのケージで飼っていたのであったのである。
「王子様。王子様は人質という身分であらせられるので、失礼ながら監禁させて頂きます。どうかこの中にお入り下さい」
と僕は丁寧な口調で言った。
すると、タコ星人の王子は、存外、取り乱すこともなく、
「おう。お前らとしては、そうせざるを得ないことくらい、わかってるぜ。入ってやるよ」
と言って、存外素直にペットケージの中に入っていった。
タコ星人の王子は、ペットケージの中に入ると、
「おい。バカな人間。オレは腹が減っているんだ。何か食い物もってこいよ」
と傲慢な態度で言った。
「はい。わかりました」
僕は、スマートフォンで、ピザーラに電話した。
そして、マルゲリータクォーターのラージサイズとシーザーサラダとコーンクリームスープとキリン一番搾りを注文した。
10分もかからず、ピザーラの宅配バイクがやって来た。
ピンポーン。
「はーい」
僕は玄関に出た。
「ご注文の品をお届けに来ました」
と言って、マルゲリータクォーターのラージサイズとシーザーサラダとコーンクリームスープとキリン一番搾り、を僕に渡した。
僕は、1万5000円払って、それを受けとった。
そして、それをタコ星人の王子様に献上した。
「王子様。マルゲリータクォーターのラージサイズとシーザーサラダとコーンクリームスープとキリン一番搾り、をお持ち致しました。お召し上がり下さい」
と僕は恭しく言った。
「おう。本当はフランス料理が食いたかったんだがな。まあピザで我慢しておいてやるぜ」
とタコ星人の王子は横柄な態度でピザーラの箱を開けた。
そしてガツガツ食い出した。
タコ星人の王子は横柄な態度だったが、腹が減っていたのだろう。
そしてピザが美味かったのだろう。
マルゲリータクォーターのラージサイズを一気にガツガツ食ってしまった。
そして、キリン一番搾りをゴクゴク飲んだ。
プハー、うめえー。
虚勢を張っていても、やはり腹が減っていたのだろう。
ついタコ星人の王子は本音を洩らした。
・・・・・・・・・・・・・
腹が満たされたタコ王子は、ポンポンと腹を叩いて、おもむろに窓の外を見た。
そして、
「あーあ。ついてねーぜ。可哀想なオレ様」
とつぶやいた。
そして、おもむろに和歌を一句詠んだ。
「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも」
これは19歳で遣唐使として中国の唐へ渡った留学生、阿倍仲麻呂が故郷をなつかしんで詠んだ歌である。阿倍仲麻呂は、その優秀さから玄宗皇帝に気に入られ、中国名「朝衡(ちょうこう)」として50年以上、玄宗皇帝に仕えたのである。一度帰国を許されたが、途中で船が難破して引き返し、結局、日本に帰れぬまま唐の地で没してしまったのである。
気取ったヤツだと僕は思った。
阿倍仲麻呂は気品のある人物だが、このタコ野郎は、極めて生意気でワガママで口が悪く、気品のカケラもない。それにまだ地球に来て一日も経っていない。
タコ王子は僕を見た。
・・・・・・・・・・・・
「おい。オレ様はタコ惑星の王子なんだぞ。丁重に扱え。そうすれば、地球を征服することを、思いとどまってやることも考えてやるぞ」
タコ王子は生意気な口調で言った。
「おい。お前はオレ様を退屈させない義務がある。なんか面白いことをしろ」
タコ王子は生意気な口調で言った。
「何をすればいいのでしょうか?」
僕は怒りを我慢して丁重な口調で聞いた。
「そうだな。裸になって悶える女の真似をしろ。オレがそれを撮って、その動画をネットにアップしてやる。ただ全裸だとコンプライアンスに引っかかって削除されるからな。お前の母親のブラジャーとパンティーを履いてやれ」
僕はムカーと腹が立ったが、地球をタコ星人の侵略から守るためには仕方がない。
僕は両親の寝室に行って、服を脱いで、母親のブラジャーとパンティーを履いた。
姿見のカガミに、その姿が見えた。
僕はイケメンではなく女装趣味も無いので、その姿は極めてグロテスクで極めて滑稽だった。
僕はタコ王子のいる僕の部屋に行った。
ぶわっはははは。
タコ王子は、ブラジャーとパンティーを履いた僕の姿を見ると大声を出して笑った。
「よし。床に寝て、足をこっちに向けて股を大きく開け。そしてオナニーして激しく悶えろ」
屈辱的だったが地球を守るためには仕方がない。
僕は言われたように、床に寝て、タコ王子の方に向かって股を大きく開いた。
そして、片手をブラジャーの中に入れ、片手をパンティーの中に入れ、ゆっくり胸とおちんちん、を揉みしだきながら、あはん、あっは~ん、と悶え声を出した。
ぶわっはははは。
タコ王子は満足しておられるようだった。
地球の存亡は僕の演技にかかっている。
そう思うと僕はタコ王子を満足させるために、あはん、あっは~ん、と悶え声を出しながら、より激しく悶えた。
演技しているうちに僕は何だか本当に淫乱な気持ちになってきた。
「ぶわっははは。いいぞ。いいぞ」
タコ王子は哄笑しながらスマートフォンを僕に向け、悶えている僕の姿を撮影し出した。
「おい。こう言え。僕は青葉台中学の青野健太という者です。僕には女装趣味があって、毎日こういうことをしています。皆さま。どうか僕の本当の姿をとくとご覧ください。とな」
僕は怒髪天を衝いた。
こいつは何て性格の悪いヤツだ。
こいつは、徹底的に僕をおとしめることが楽しくて楽しくて仕方がないんだ。
しかし地球を守るためには仕方がない。
僕はタコ王子に言われたセリフを言った。
「僕は青葉台中学の青野健太という者です。僕には女装趣味があって、毎日こういうことをしています。皆さま。どうか僕の本当の姿をとくとご覧ください」
ぶわっははは。
タコ王子はまたも大笑いした。
30分くらい僕は演技させられた。
タコ野郎は、よし、もういいぞ、と言った。
僕は恥ずかしい演技をやめた。
タコ野郎は、スマートフォンを操作して録画した動画をYou-Tubeにアップした。
1時間もしないうちに、100万回の再生、と、いいね、と、チャンネル登録が起こった。
そしてコメントには、「わっははは。爆笑」「最高に面白い」「青野さん。面白かったでした。これからも、こういう面白い動画をアップして下さい。期待しています」などと無数のコメントが書かれていた。
タコ野郎もタコ野郎だが、日本国民も日本国民だ。
コロナワクチン後遺症や真面目な政治問題の動画は見ずに、こんなふざけた動画ばかり見たがるとは。
そんな面白おかしいことにしか興味を持たないから、日本国民はコロナ茶番の真実を知らないのだ。
そんな遊ぶことしか考えていない情けない日本国民だが僕には愛国心がある。
なので情けなくても日本国民を守るためには仕方がない。
僕はタコ野郎と同時に日本国民に対する怒りをぐっとこらえた。
・・・・・・・・・・・
翌日、学校へ行くとクラスどころか、学校中の生徒、全員が僕の昨日の恥ずかしい動画を知っていた。
教室に入ると、みんなが、僕の所にやって来た。
「おい。青野。お前の動画、見たぜ。最高に面白かったぜ」
「お前も勇気があるな。あんな動画をアップ出来るなんて」
「これからも、ああいう動画アップしろよ。必ず見てやるから」
クラス中の男子生徒が僕の所に来て、そんな感想を言った。
女子生徒もやって来た。
「青野くん。昨日の動画、見たわ」
「青野くんて真面目な性格だと思っていたけど、あんな変態な趣味があったのね。人は見かけによらないのね。でも面白かったわ」
「青野くんて露出狂の変態だったのね。知らなかったわ」
などと女子生徒は言った。
僕は女子生徒に変態と思われてしまったことに屈辱で死にたい思いになったが黙っていた。
(違うんだ、僕はタコ星人に命じられて、仕方なくやったんだ)
と僕は大声で叫びたくなったが、地球を滅亡から守るために、じっと我慢した。
僕に好意を寄せていて僕も好きで、付き合っていた佐藤愛子がツカツカとやって来た。
「青野くん。私、青野くんが好きだったけれど、申し訳ないけれど、お付き合いは、これで終わりにして下さい。ゴメンなさい。私、ああいう性癖を持った人は、どうしても生理的に受けつけられないんです」
と言って去って行った。
ガーン。ショックだった。恋人の佐藤愛子にまで僕はふられてしまった。
しかし地球の平和を守るために、僕はぐっとこらえた。
その日、学校が終わっても僕は部活の野球部には出なかった。
どうせ、また先輩や皆からからかわれるだけだからだ。
なので僕は家に帰った。
家に帰る途中、すれ違う人は僕を見ると、
「あっ。あの子よ。昨日、面白い動画をアップしたのは」
と、皆、僕のことを知っていた。
僕は恥ずかしくて外に出るのが、こわくなってしまった。
家に着いて部屋に入るとタコ星人の王子が待っていた。
「おう。帰ったか。お前の動画は500万回、再生になっているぞ。オレが撮ってやったからだ。感謝しろ」
タコ野郎は、あいかわらず横柄な口を聞いた。
僕はムカーと頭にきた。
(何が感謝だ。お前のせいで僕は日本国民みんなから変態と見られてしまったんだぞ)
と僕は怒鳴りつけてやりたかった。
しかし地球の存続のために僕はぐっと怒りをこらえた。
「おう。今日も動画を撮ってやるぞ」
タコ野郎が言った。
僕はギョッとした。
どうせまた、ろくでもないことをさせるんだろう。
こいつにとっては、徹底的に僕をおとしめることが楽しいんだから。
僕は何をやらされるのか、わからない恐怖におびえていた。
「じゃあ、お前の面白動画、二弾目だ。安村昇剛の、とにかく明るい安村をやれ。ただしパンツは履かないで全裸でな。おちんちんは手で隠せ。お前は中学1年生でまだ子供だ。おちんちんは手で隠すんだからコンプライアンスにはかからないだろう。ほれ。やれ」
僕に、恥ずかしさと同時にタコ野郎に対する激しい怒りが瞬時に起こった。
しかし人類を守るためには仕方がない。
僕はタコ野郎の前で服を全部ぬいで全裸になった。
そして、おちんちん、を手で隠して、
「では、とにかく明るい青野、をやらせて頂きます。見方によっては全裸に見えるポーズです」
と言って、サッとある格好をとった。
もちろん僕の、おちんちん、が見えないポーズである。
タコ野郎が、あっははは、と笑った。
10秒くらい、そのポーズをキープしてから直立して、
「安心して下さい。履いてないけど見えないんですよ」
と言って僕は、サッと、おちんちん、を手で隠した。
「あっははは、上手いぞ」
とタコ野郎が笑いながら、それをスマートフォンで撮影した。
これは毛穴から血が噴き出るほどの屈辱だった。
安村昇剛は海水パンツを履いてやっているが、僕は本当に全裸である。
気をつけないと、一瞬でも気を抜くと、本当に、おちんちん、が見えてしまう。
そういう点で僕の方が本物の(とにかく明るい安村)である。
僕はタコ野郎に命じられて、おちんちん、が見えない色々なポーズをとった。
10くらいのポーズをとった。
タコ野郎は、あっははは、と笑いながら、
「よし。もういいだろう」
と言った。
タコ野郎はスマートフォンをカチャカチャ操作して、その動画をYou-Tubeにアップした。
1時間もしないうちに、500万回の再生、と、いいね、と、チャンネル登録が起こった。
そしてコメントには、「わっははは。爆笑」「最高に面白い」「青野さん。面白かったでした。これからも、こういう面白い動画をアップして下さい。期待しています」などと無数のコメントが書かれていた。
まさにバズった。
翌日、おそるおそる学校に行くと、皆が僕を見て、あっははは、と笑った。
「青野。お前、露出狂だったんだな」
「お前が変態だとは知らなかったぜ」
などと散々からかわれた。
クラス委員長の杉山康子がツカツカと僕の所にやって来て、
「青野くん。話し合いの結果、決まったことなんですけど。もう私達女子に話しかけないで下さい。あなたとは絶交します。私達女子は変態とは付き合いたくないんです」
と厳しい口調で言い捨てて去って行った。
ガーン。ショックだった。
その日も学校が終わると僕は一目散に走って家に帰った。
母親と手をつないでいる小学校低学年くらいの女の子が僕を見て、
「あっ。動画に出てる、やたら脱ぎたがっている変な人だ」
と変人を見るような目で僕を見て言った。
僕はいい加減、日本国民に頭にきていた。
僕は心の中で叫んだ。
(てめーら。誰のためにオレがあんなことを、していると思っているんだ。お前ら日本人、いや、地球の全人類を宇宙人の侵略から守るために、変態よばわりされながらも、我慢してやっているんだそ)
僕はそれを大声を出して叫びたかった。
家に着いて部屋に入ると、タコ野郎が僕の帰りを待っていた。
一日中、檻の中にいるので退屈しているのだろう。
「おう。遅かったじゃねーか」
とまだ遅い時間ではないのに、タコ星人は言った。
僕はタコ星人に命じられて、毎日一本、変なことをやらされて、毎日一本、動画をアップさせられた。
タコ野郎は僕をおとしめることが楽しみなので動画は全て恥ずかしいものばかりだった。
・女の下着をクンクン嗅ぐ変態の役。
・ミニスカートを履いてセクシーな衣装で女装して、その上ルージュの口紅をつけたりして、こってりと女装メイクしての日本ハムファイターズのきつねダンス。
・ゴキブリホイホイにかかった、生きたゴキブリまで食べさせられた。
(あれは本当に気持ち悪かった。しかし昆虫食を推奨している結果になってSDGsからは感謝のコメントが書き込まれた)
・僕はカポエラなんて出来ないのに、カポエラの難しい空中回転技のアクロバットをタコ野郎の命令でやらされた。
(頭を打って、あわや死ぬところだった)
しかし日本国民は、ただただ面白おかしい動画を見たいので、僕の動画の再生数は、どんどん上がっていき、僕は日本一のユーチューバーになってしまった。
否、世界中の全ての国で、うけたので、世界一のユーチューバーになってしまった。
しかし僕はほとほと疲れてしまった。
・・・・・・・・・・・・
しかし、驚いたことが起こった。
You-Tubeの広告収入で何と100億ドルが僕の銀行預金口座に振り込まれていたのだ。
You-Tubeで収入が得られる、ということは何となく知っていた。
しかし僕は世間知らずなので、You-Tubeで収入が得られるといっても、スズメの涙ていどだろうと思っていた。
しかし、まさか、こんなに振り込まれるとは。
嬉しいというより吃驚した。
しかし驚きはすぐに僕の使命感に変わった。
僕は、この100億ドルを、ワクチン後遺症で苦しんでいる人や、ワクチンでかけがえのない親族を失った遺族の人達に寄付しようと思った。
日本政府は、ワクチン後遺症を認めず、ワクチンで近親者を失った遺族の人達は泣き寝入りしている。
しかも、その数は100万人を超しているのだ。
しかし僕は偽善的なことが嫌いだったので匿名で寄付しようと思った。
僕の恥ずかしいYou-Tubeの動画投稿が金儲けのためにやっていた、と思われるのが僕は嫌だったからだ。
今にして思えば、クラスの女子に変態よばわりされ軽蔑されたのも、僕が金儲けのためにしている、と思っていたからだろう。
寄付する先は、偽善利権党が支配する日本政府にしては、間違いなくネコババして、悪いことに使うだろうから、信頼できるワクチン後遺症の会、や、ワクチン遺族会にした。
どうしたら、匿名で大金を寄付できるかは、ネットで色々と調べたが、わからなかったので、父親に僕の思いを伝え、父親にやってもらった。
結果、100億ドルは、ワクチン後遺症で苦しんでいる人達や、ワクチンで近親者を失った遺族の人達の手に渡った。
テレビや新聞では、寄付者は誰だろうと、さかんに推測していた。
世間では、素晴らしいタイガーマスク現象だと騒いだ。
タコ星人と一緒に生活するようになって、三ヵ月、経った頃だった。
タコ星人の王子は、ある日、おもむろに、めずらしく真面目な口調で僕に話し出した。
「おい。青野。お前は、オレの意地悪によく耐えたな。世間から変態と見られ、恋人にはフラれ、カポエラのアクロバットでは死にそうになったのにな。お前を見直したよ。では本当のことを言おう。オレはタコ星人の王子ではないんだ。確かにタコ惑星の科学力は地球人の科学力をはるかに超えている。核兵器にしても一瞬で地球を滅ぼすことが出来る。そうして、実際、宇宙にいくつもある悪い惑星の国は抹殺してきた。100以上の悪い惑星の国を我々は滅ぼしてきた。しかし地球人は良い心をもったヤツもいれば、悪い心のヤツもいる。なので地球を滅ぼすか、滅ぼさないでやるか、で迷っていたんだ。そこで地球人は、どんな心の生物なのか、実地調査することに決めたんだ。お前は初めに、タコ星人が地球を征服する会話を聞いただろう。しかし、あれはウソだ。UFOから、お前は、初めから見つけて知っていたんだ。そこで、お前に地球を征服する話を、わざとお前に聞こえるように話したんだ。オレはタコ星の王子ではなく、タコ惑星のスパイだ。地球人に、三ヵ月捕まえられたら、地球人はどんなことをするか、実際に調べるために、送り込まれたスパイだ。オレはスパイ番号5991という者だ。お前は、恋人を失い、変態よばわりされながらも、地球を守るために我慢したな。お前のような、優しい立派な心を持ったヤツもいることに、オレは感動したよ。明日、三ヵ月目だ。あの場所にUFOがやって来る。オレはタコ星に帰る。オレはお前のことを正確に正直に政府に語るよ。地球人にも良いヤツはいると。たぶん、おそらく、タコ星の議会では、地球を滅ぼさない方針になるだろう。色々と意地悪してゴメンな。お前はオレの与えた試練に命がけで耐えた。お前は本当に良いヤツだ」
タコ星人は語った。
そういうことだったのか、と僕は驚いた。
しかし、それを聞いて僕は安心した。
・・・・・・・・・・
翌日になった。
僕は、タコ星人を連れて裏山に登った。
朝早い時間だったので誰も人はいなかった。
やがて空のかなたからUFOが降りてきた。
何人ものタコ星人が降りてきた。
「おお。スパイ番号5991。無事だったか」
タコ星人がスパイ番号5991の安全に驚いていた。
「こいつは青野という中学1年生だ。政府に言われたように、色々と意地悪をしたが、こいつは、よく耐えたぞ。地球人にも良いヤツはいる」
タコ星人が言った。
「そのことの詳細は、帰ってから、じっくり話してくれ。地球人に見つかったら、やっかいなことになるからな。はやくUFOに乗り込め」
言われて、タコ星人のスパイはUFOに乗り込もうとした。
タコ星人は僕の方を見て、
「青野。楽しかったぜ。地球は滅ぼさないよう政府に言ってやるからな。コロナウイルスを地球にばら撒いてゴメンな」
そう言うや、タコ星人はUFOに乗り込んだ。
UFOは、あっという間に超高速で離陸し、超高速で宇宙のかなたに飛び立っていって、見えなくなった。
僕はやれやれ、とほっとした。
ここで僕の回想を終える。
恩着せがましいことは言いたくないが。
僕が命をかけて我慢したから地球は宇宙人に侵略されていないのだぞ。
遊ぶこともいいが、そしてYou-Tubeの動画も、面白おかしいのを見るのもいいが。
少しは、メディアの言うことを、鵜呑みに信じないで、真面目な社会問題も自分で調べろ。
そうしないと本当に地球は宇宙人に侵略されてしまうぞ。



2023年7月27日(木)擱筆

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小説・倉橋敦司(小説)

2023-07-20 22:04:01 | 小説
「小説・倉橋敦司」

という小説を書きました。

ホームページ「浅野浩二のHPの目次その2」にアップしましたので、よろしかったらご覧ください。

「小説・倉橋敦司」

名古屋市に10億円かけて作られた大豪邸がある。
この家の主人は倉橋敦司といって児童文学・ラブコメミステリー小説、の日本で第一人者の倉橋敦司という男である。
分筆活動だけではなく倉橋敦司は絵も描けた。
一時は漫画家になろうと思ったこともあるほどなので倉橋敦司の絵は上手かった。
その絵は、子供の頃から描いていただけあって、輪郭がはっきりしていて、そして現実感があって、そして健全そのものだった。
倉橋敦司は子供の頃から読書が好きで、日本の純文学や外国の作品も多読していた。
倉橋敦司は、小学校・中学校・高校、とすくすく健全に過ごした。
大学は名古屋大学文学部を卒業した。
歴史が好きで歴史ドキュメントを執筆するため資料を蒐集していた。
倉橋敦司の受賞歴を以下に書いてみる。
「受賞作品」
◆児童文学
・創作文芸賞最優秀賞・株式会社アートコミュニケーション
「算数100点大作戦」オムニバス作品集に収録
・ビジュアルアート大賞最優秀賞~児童部門(文芸社)
「ぼくたち二人名探偵」単行本化
・第31回児童文学賞佳作・PTA機関紙「子とともに ゆう&ゆう」
「いたずら文ちゃん いたずら大作戦」
・五木村・創作佳作・五木村活性化審議会
「子守歌大作戦」
◆エッセイ
・扇風機エッセイ募集最優秀賞・松下ネットワークマーケティング
「扇風機のある風景」パンフレット掲載
・響きあう詩エッセー募集・お仏壇のはせがわ
「心の支え」広報誌掲載
・「忘れられない言葉」武田薬品工業賞・講談社
これほどまでに、輝かしい受賞歴をもっているので、日本の文学界での倉橋敦司の存在は絶大だった。
今ではパソコン、インターネットが普及して、小学生でもパソコンを使うようになったので、エロチックな小説は、どの小説投稿サイトでも規制が厳しくなって、書けなくなってしまった。ネットの小説投稿サイトでは、健全でエロは無く、ストーリーが面白いラブコメミステリー小説がもてはやされるようになった。
そういう時代の状況も倉橋敦司にとっては有利に働いた。
倉橋敦司ににらまれては、日本で小説を書くことは不可能だった。
倉橋敦司の書く小説はラブコメミステリー的なものが多く、子供が読んでも面白いものばかりだった。
連載形式で投稿しているので、次はどうなるのか、と多くの倉橋敦司ファンは、それが楽しみで眠れないほどだった。
倉橋敦司は子供の頃、江戸川乱歩に心酔して、乱歩の小説を読破した。
それがミステリー小説の作り方の勉強にもなった。
なので倉橋敦司の小説はストーリーが奇抜なので、読者をワクワクさせるのである。
しかし倉橋敦司にどうしても理解できない作家もあった。
それは谷崎潤一郎だった。
倉橋敦司には、サディズムやマゾヒズム、というものが、どうしても理解できなかった。
サディズムやマゾヒズムは倉橋敦司にとって、変態としか思えなかった。
倉橋敦司は小説投稿サイト・エブリスタにラブコメミステリー小説を投稿するようになった。
倉橋敦司の人気は絶大で、倉橋敦司を知らない日本人はいないほどにまでなった。
しかし、ある時、倉橋敦司は浅野浩二というアマチュア作家を見つけた。
面白い作品もあったが、浅野浩二の作品は、SМ的なエロチックな小説も結構あった。
倉橋敦司はそれが許せなかった。
今は誰でもネットで小説が読める。
18歳以下の小学生も読むことが出来る。
エブリスタの方針にしても、エロチックな作品は、R18と表示して、読んではいけません、と警告してはいるものの、読めてしまうのである。
倉橋敦司は子供が楽しく読めて、読書や歴史が好きになり、健全に成長することを意識して作品を書いていたので、彼は浅野浩二の書く、変態小説を嫌った。
(こんな変態小説を読んだら子供が不健全な性格になってしまう)
と倉橋敦司は危惧した。
倉橋敦司にとっては子供が健全に成長することが絶対的な信念だったのである。
・・・・・・・
ある時、倉橋敦司は書斎で、連載ラブコメミステリー小説の続きを執筆していた。
すると。
ピンポーン。
チャイムが鳴った。
「はーい」
倉橋敦司は急いで玄関に向かった。
カチャリ。
倉橋敦司が玄関の戸を開けると一人の少女が立っていた。
セーラー服を着ている可愛らしい女子高校生だった。
「こんにちは。君は誰。何の用?」
倉橋敦司が聞いた。
「は、初めまして。倉橋敦司先生」
少女はかしこまって恭しくペコリと深くお辞儀した。
全身がガクガク震えている。緊張している様子が見受けられた。
「先生」と呼ばれたことから、倉橋敦司は、大体の予想がついた。
黙っている倉橋敦司に少女はこう言った。
「あ、あの。私。倉橋敦司先生のファンなんです。アポイントもとらないで、いきなり来てしまって申し訳ありません」
少女は深々と頭を下げた。
「ああ。そうなの。それは有難う。せっかく来てくれたんだから、家に入って下さい」
子供思いの倉橋敦司は少女に優しく言った。
「あ、有難うございます。お邪魔します」
そう言って少女は家に入った。
少女は居間に通された。
そこには大きなソファーと大理石のテーブルがあった。
「さあ。遠慮なく座って下さい」
倉橋敦司に言われて、少女は、失礼します、と言ってチョコンとソファーに座った。
倉橋敦司はキッチンから、紅茶とクッキーを持ってきてテーブルに置いた。
「さあ。食べてください」
「はい」
少女は倉橋敦司に勧められた手前、そっとクッキーを一枚、口に入れた。
そして紅茶を一口飲んだ。
「あ、あの。先生。小説をご執筆中だったのではないでしょうか?」
少女が聞いた。
「ううん。別に。確かに連載小説のストーリーを書いていたけれど、このあと、ストーリーをどうしようか、と、ちょっと行き詰っていてね。ちょうど一休みしようと思っていたところだったんだ」
「そうですか。それを聞いて安心しました」
少女はつぶらな瞳を倉原敦司に向けた。
「それとね。僕は何事にも、どんな人にも興味を持っていてね。人との出会いは大事にしているんだ。小説家なんて経験が多い方がいいからね。それが小説を書くヒントになることがよくあるからね」
そう言って倉原敦司も紅茶をズズズーと啜った。
「私なんかで小説のヒントになるんでしょうか?」
「なるとも。なるとも。というより、なるかどうかは、わからないけれど、なる可能性はある、と言う方が正確だな」
と倉橋敦司は言った。
「ところで君は高校生でしょ。高校何年生?」
「高校1年です」
「女子校?それとも男女共学?」
「男女共学です」
「学校の勉強は好き?」
「はい」
「それはいいことだね。国語と歴史はしっかり勉強しておいた方がいいよ。それと読書もした方がいいよ」
「はい。しています」
「君はどんな作家や作品が好きなの?」
「はい。私は倉橋敦司先生の書くラブコメミステリー小説、や、歴史ドキュメントが好きです。倉橋敦司先生は、歴史の資料をちゃんと集めて、歴史ドキュメントを書いておられますから、とても勉強になります」
「それを聞くと嬉しいな」
「私だけじゃありません。私のクラスの生徒は、みんな倉橋敦司先生の小説は面白い、と言って読んでいます。私の学校の生徒は全員、倉橋敦司先生のファンなんです」
少女は熱弁をふるった。
「ふーん。それを聞くと嬉しいな」
倉橋敦司の顔がほころんだ。
「あ、あの。ところで。先生は浅野浩二という人を知っていますか?」
「えっ。知っているよ。エブリスタで知ったんだ。でも、どうして、そんなこと聞くの?」
少女はその質問には答えず、代わりに倉橋敦司に聞き返した。
「あ、あの。倉橋敦司先生は、浅野浩二さんの書く小説をどう思いますか?」
「ああ。浅野さんの小説ね。あの人はアブナイ小説をよく書くからね。困ったもんだ」
と言って倉橋敦司は、はー、とため息をついた。
それを聞いた時、少女は、いきなり身を投げ出して、どっと倉橋敦司の前に土下座した。
「ど、とうしたの?君」
倉橋敦司はびっくりして聞いた。
少女は顔を上げた。その目からは涙がポタリ、ポタリと流れていた。
「ど、とうしたの?君」
倉橋敦司は、訳が分からず同じ質問をした。
少女は涙を流しながら話し出した。
「く、倉橋敦司先生。父を許してあげて下さい」
少女は大泣きに泣きながら言った。
「えっ」
倉橋敦司は一瞬、どういうことなのか、訳が分からなくなった。
「く、倉橋敦司先生。私は浅野浩二の娘の浅野彩子です。父はエブリスタに出した小説を倉橋敦司先生が読んで下さって、率直なコメントをして下さるので、倉橋敦司先生にとても感謝しているのです」
「そうだったんですか。あなたは浅野浩二さんの娘さんだったんですか。でも、どうして、いきなり土下座したり、許して下さい、なんて言うんですか?」
「く、倉橋敦司先生。確かに父は倉橋敦司先生が父の小説を読んで下さって、率直なコメントをして下さることに感謝しているんです。でも父はエロチックな小説も書きたがっているんです。倉橋敦司先生は、本心のコメントをして下さるので、父の書くエロチックな小説に対しては、(またアブナイ小説を読んでしまった)とコメントするので、父はそれに対して悩んでいるんです。今はエロチックな小説は書けない時代で、父はエロチックな小説を書きたいけれど、それを発表できないことに悩んでいるんです。そのため父は首吊り自殺をはかったこともあるんです。私が、あわやという所で止めましたが。確かにエロチックな小説を書くことは罪です。しかし父はエロチックな小説しか書けないんです。なので父の罪を償いたくて私は倉橋敦司先生の家に来たんです。どうか私を罰することで父を許してあげて下さい。私はどんな罰でも受けます」
そう言って彩子は、エーン、エーン、と泣き出した。
うーん、と倉橋敦司は悩んでしまった。
「君。君はお父さんに、僕に謝りに行くよう命じられて、ここに来たの?」
倉橋敦司が聞いた。
彩子は倉橋敦司を直視した。
「倉橋敦司先生。先生に対して失礼ですが、父はそんなことを私にさせるような性格では絶対ありません。私は父を尊敬しています。父は私を手塩に掛けて優しく育ててくれました。今日、ここへ来たのは、父に命令されて来たのではなく私の意志で来たのです。父は私が今ここにいることを知りません。それは信じて下さい」
彩子は、エーン、エーンと泣きながら言った。
うーん、と倉橋敦司は悩んでしまった。
しばしして。
ガチャリ。
玄関の戸が開く音がした。
「おーい。おやじ。帰ってきたぞー」
そう言いながら、一人の高校生が居間に入ってきた。
倉橋敦司の息子の高校1年生の倉橋二郎だった。
倉橋敦司は息子の二郎をキッとにらみつけた。
「おい。いつも言っているだろう。おやじ、じゃなくて、お父さん、と呼べと」
倉橋敦司は不機嫌な顔で言った。
倉橋敦司は心の正しい人間だが、息子の二郎は、粗暴な性格だった。
倉橋敦司としては息子を優しく大切に育てたつもりなのだが、だからといって、息子が清廉潔白な性格になる、という保障などない。
そこが人間の難しいところである。
倉橋敦司としては息子の二郎に、丁寧に勉強を教え、読書を勧め、豊かな教養のある人間に育てようとしたのだが、息子の二郎は、父親の思いと違って、勉強は全くせず、高校生の分際で酒を飲み、タバコを吸い、暴走族のグループに入って、夜の町をバリバリと音を立てて、750ccのバイクを走らせ、万引きはするわ、カツアゲはするわ、覚醒剤は吸うわ、の不良に育ってしまったのである。
二郎は父親の前に土下座している彩子を見た。
「おい。おやじ。この子は何なんだよ。どうして土下座なんてしているんだよ?」
二郎が父親の倉橋敦司に聞いた。
倉橋敦司は息子に事情を説明した。
「この子はな、浅野浩二さんの娘さんの浅野彩子さんだ」
「どうして、おやじ、に土下座なんかしているんだよ?」
「この子はな、父親の罪を償いたいと言って、ここに来たんだよ。何とも健気な娘さんじゃないか。お前も少しは、こういう人間を見習ったらどうだ?」
「ああ。浅野浩二さんの娘さんか。可愛いじゃねーか。ところで父親の罪を償うって、どういうことだ?」
「浅野浩二さんの小説はエロチックな小説が多いだろう。だから、それが、子供に悪影響を与えていることに罪悪感を感じているんだよ」
「なーんだ。そんなことか。そりゃー、おやじの方が間違っているぜ。オレ、浅野浩二さんのエロチックな小説、好きだぜ。オナニーで抜けるからな。それより、おやじの定型的なラブコメミステリー小説の方が、子供だましの、テクニックだけのストーリーで、つまんねーぜ」
うぐっ。
倉橋敦司は返す言葉がなかった。
二郎は続けて言った。
「おやじは頭で書いているけれど、浅野さんは心で書いている。だから浅野さんの作品を読むと浅野さんの心、浅野さんの優しさが伝わってくるぜ」
うぐっ。
またも倉橋敦司は返す言葉がなかった。
その時、ピピピッと倉橋敦司の携帯電話の着信音が鳴った。
倉橋敦司は携帯電話に耳を当てた。
「あなた。今、××のスーパーにいるの。私が万引きしたって因縁をつけられているの。助けて。すぐ来てくれない」
倉橋敦司の妻の倉橋悦子からの電話だった。
「わかった。すぐ行く」
倉橋敦司は携帯電話の送話口に言った。
妻が万引きをしたのではなく、息子の二郎が万引きをしたのだろう。それを妻の悦子に難クセつけているのだろう。いつものことである。
倉橋敦司は背広を着た。
そして息子の二郎を見て、
「おい。ちょっと用ができたからオレは出かける。お前は彩子さんを慰めてやれ」
そう言い残して倉橋敦司は出かけて行った。
あとには、倉橋敦司の息子の二郎と浅野浩二の娘の彩子が残された。
「お前。浅野浩二の娘さんなの?」
「はい。そうです。浅野彩子と言います」
「オレ、浅野浩二さんの小説、好きだけどな。だけど、おやじは、アブナイ小説ってコメントしているけどな。あんたに罪を償う必要なんてないと思うけどな。でも罪悪感に打ちひしがれている人にとっては、罰されないことの方がつらいだろう。オレがおやじに代わって、あんたを罰してやってもいいぜ。さあ、どうする?」
「はい。お願いします。私を罰して下さい」
「よし。じゃあオレが罰してやるよ。さあ、立ちな」
「はい」
倉橋敦司の息子の二郎に言われて、彩子は立ち上がった。
二郎は彩子の手を掴んで家の外に出た。
家の外にはホンダCB750があった。
二郎はそのバイクにまたがった。
そしてキックペダルを踏み込んでエンジンを始動させた。
バルルルルッ。
重厚なエンジン音が鳴った。
「さあ。後ろに乗りな」
「はい」
二郎に言われて彩子はオートバイにまたがり、二郎の体をギュッと抱きしめた。
「よし。じゃあ行くぞ」
倉橋二郎はオートバイのギアを踏み込み、クラッチをつないだ。
オートバイは勢いよく走り出した。
20分くらい走ってバイクは人気の無いある林の中で止まった。
回りには何もない。
「さあ。降りな」と言われて彩子はオートバイから降りた。
そこにはプレハブの小屋があった。
「ここは、おやじの集めている歴史の資料置き場さ。物好きなことだぜ」
さあ入りなと言って、二郎は彩子をプレハブの中に入れた。
プレハブの中は色々な歴史の資料が山積みになっていた。
倉橋敦司が歴史ドキュメントを正確に書くために蒐集した資料だった。
「あんたはオヤジの罪の償いをしたいんだろう?」
「はい。そうです」
「しかしオレのオヤジは子供好きの清廉潔白な性格だからな。とても、あんたを罰することなんか出来ないぜ。だからオレがオヤジに代わって、あんたを罰してやるぜ」
「はい。お願いします」
「よし。じゃあ、まず着ている服を全部、脱いで、素っ裸になりな」
「はい」
彩子はセーラー服を脱ごうとした。
その時。
「ちょっと待ちな」
二郎が制した。
「何でしょうか。倉橋くん」
「オレ一人で見るだけじゃ勿体ないからな。お前のヌードをスマートフォンで撮影してやるぜ。そして、その動画をネットにアップしてやるぜ。どうだ。嫌か?」
そう言って倉橋二郎はスマートフォンを取り出して彩子に向けた。
彩子の顔が真っ赤になった。
「そ、そんなー。ひどいわ」
「嫌なら、やめてもいいぜ。しかし、それならお前は父親の罪の償いをしないことになるからな。お前のオヤジは小説を書けなくなるぜ。さあ、どうする?」
二郎は意地の悪い選択を彩子に迫った。
彩子はしばし顔をしかめて迷っていたが、
「わかりました。どうぞ好きなように動画を撮って下さい。私は耐えます」
彩子が言った。
「よし。じゃあ、まず着ている服を全部、脱いで、素っ裸になりな」
「はい」
彩子はワナワナ手を震わせながら、セーラー服を脱ぎ、スカートを脱いだ。そしてブラジャーを外しパンティーも脱いで一糸まとわぬ丸裸になった。
彩子は男の前で丸裸になったことは一度もなく、さすがに羞恥心から、手で胸とアソコを隠しながら体をモジモジさせていた。
「どうだ。恥ずかしいか?」
「は、はい」
「だろうな。あんたは自分の父親の罪を父親に代わって償おうと思うほどの、健気で崇高な性格だからな」
彩子は手で胸とアソコを隠して黙っている。
「じゃあ、罪の償いとして、しばらく、こうやって裸のあんたをとくと鑑賞してやるぜ」
二郎は裸でモジモジしている彩子をスマートフォンで撮影した。
しばしの時間が経った。
「じゃあ、そろそろ本格的な責めをするとするか」
倉橋二郎はそう言って立ち上がった。
「さあ。両手を出しな」
「はい」
彩子は胸と秘部を隠していた手を前に出した。
倉橋二郎は彩子の両手をつかむと、グイと荒々しく両手首を重ね合わせた。
そして縄できつく彩子の手首を縛った。
「ああっ」
彩子は思わず声を出した。
無理もない。彩子は今まで、男に裸にされて、手首を縛られたことなど一度もなかったからである。
激しい羞恥と恐怖が彩子に襲いかかったのである。
倉橋二郎は縄の余りを天井の梁に引っ掛けて、グイグイ引っ張っていき、固定した。
これで彩子は天井から吊るされる形になった。
彩子の体は縄に引っ張られて、ピーンと一直線になり、つま先立ちになった。
今まで女の恥ずかしい所である乳房と秘部を覆っていた手が外されたため、彩子の体が丸見えになってしまった。
二つの乳房は丸見えになってしまったが、女のいじらしさ、恥ずかしさのため、彩子はアソコだけは何とか隠そうと膝を寄り合わせてモジモジさせた。
それが二郎には面白かった。
「ははは。恥ずかしいだろう?」
二郎はスマートフォンで撮影しながら言った。
「は、はい。で、でも耐えます。私がこうされることで父の罪の償いになるのなら」
「ああ。罪の償いになるぜ。しかし見事なプロポーションだな。おっぱいも大きいし、腰もくびれているし、尻は大きいし」
そういう卑猥な言葉を吐きかけられることで、彩子は自分のみじめな状態を、ハッキリと認識させられて、その度に、顔を真っ赤にして、体をモジつかせるのだった。
二郎もそれが面白くて、彩子の体を鑑賞するだけでなく、時々、そういう卑猥な言葉を彩子にかけた。
その度に彩子は、顔を真っ赤にして体をモジつかせるのだった。
卑猥な言葉は、いわば気つけ薬のようなものだった。
しばしの時間、二郎は彩子が恥じらい苦しむのをスマートフォンで撮影しながら楽しんで眺めていた。
20分くらい経った。
「よし。じゃあ、今度は本格的な責めを開始するぞ」
そう言って二郎は立ち上がった。
彩子は何をされるのか、わからないので、不安げな顔つきで、おびえている。
二郎は鞭を持って、ピシャリと床を叩いた。
「じゃあ徹底的に鞭打ってやる。泣いても許さんからな」
そう言って二郎は思い切り、彩子の尻を一振り、鞭打った。
ピシーン。とムチが彩子の尻に当たり、激しい弾ける意気のいい音が鳴った。
二郎は思い切り叩いたので、一発でも、彩子の尻には鞭打たれた所に赤い跡が出来た。
「ああー。痛いー」
彩子は顔をのけぞらし髪を振り乱して思わず叫んだ。
彩子は鞭打たれたことなど一度もなかった。
SМプレイで、鞭打ちプレイというものは知っていたが、こんなに痛いものだとは知らなかったのである。
「ふふふ。どうだ。痛いか?」
二郎が聞いた。
「はい。痛いです」
彩子は答えた。
「じゃあ鞭打ちはやめて欲しいか。やめて欲しいなら、そう言いな。やめてやるぜ。ただし、それでは、お前は父親の罪の償いを放棄したことになるからな。お前のオヤジはSМ小説を書けなくなるぜ。しかし鞭打ちに耐えるというのなら、お前のオヤジはSМ小説を書けるぜ。罪を償ったことになるからな。オレもオヤジに浅野浩二さんのSМ小説を批難するな、と進言してやるぜ。さあ、どうする?」
倉橋二郎は彩子に判断を求めた。
「ど、どうか、鞭打ちを続けて下さい。父にとってSМ小説を書くことは、生きることそのものなのです。私は父に代わって父の罪の償いをします。倉橋さま」
彩子はためらうことなくキッパリと言った。
「ふふふ。よく言った。じゃあ鞭打ちを続けるぜ」
そう言って倉橋二郎は彩子の尻を激しく鞭打ち出した。
ビシーン。
ビシーン。
ビシーン。
スベスベしたきれいな彩子の尻に鞭が当たる度に意気のいい音が炸裂し、彩子の白桃のような尻はみるみる真っ赤になっていった。
「ああー。痛いー。お許し下さい。倉橋さま」
彩子は、体を右へ左へ、そして前へ後ろへ、とムチから逃げるように体を動かしながら、そして足をパタパタさせながら、気が狂うような痛みに耐えた。
しかし倉橋二郎は容赦なく鞭打ちを続けた。
「ははは。美しい女をいじめることがこんなに楽しいとはな。オレも浅野浩二さんのSМ小説を読んで、SМの楽しさに目覚ちまったぜ。確かに、オレのオヤジが浅野浩二さんの小説をアブナイ小説と警鐘を鳴らしたのは本当だったな。ああいう小説は確かに少年に悪影響を与えるな」
倉橋二郎は、ふざけ半部にそんなことを言いながら彩子を鞭打った。
ビシーン。
ビシーン。
ビシーン。
「許して。許して。倉橋さま」
彩子は号泣しながら、倉橋の鞭打ちに耐え、そして倉橋に許しを求めた。
彩子は鞭打たれながら、何だか、倉橋敦司の息子の二郎にではなく、倉橋敦司本人にいじめられているような気がしてきた。
それも無理はない。
鞭打っているのは、間違いなく倉橋敦司の血を受け継いでる倉橋敦司の息子なのである。
そして親と子の性格は違うが、倉橋敦司の息子の倉橋二郎の顔は父親の倉橋敦司にそっくりだったのである。
彩子は痛みで思考力が低下してきて、朦朧とした意識の中で、今、自分は倉橋敦司に責められ、そして許しを求めているような気持ちになっていた。
「倉橋さま。お許し下さい」と叫ぶ彩子の心は「お許し下さい。倉橋敦司さま」だったのである。
30分くらい倉橋は彩子を鞭打ち続けた。
彩子は尻といわず、背中、腹、太腿、と全身が赤く蚯蚓腫れしていた。
彩子は痛みの感覚が麻痺して、倉橋がいくら鞭打っても、グッタリして反応しなくなっていた。
「ふふふ。よく耐えたな。それじゃあ、鞭打ちは勘弁してやる」
そう言って倉橋は鞭打ちをやめた。
「お慈悲を有難うございます。倉橋さま」
彩子が言った。
「つま先立ちで立ち続けるのも疲れただろう。吊りも勘弁してやる」
そう言って倉橋は彩子を吊り上げている縄を解いた。
吊りが解かれて、彩子はズルズルと床に倒れ伏した。
「お慈悲を有難うございます。倉橋さま」
彩子はハアハアと息を荒くしながら謝辞を述べた。
責められるのはつらいが、責めに耐えることで父の罪の償いが果たされているようで、彩子は苦痛と恐怖の中にも一抹の喜びをも感じていた。
それは、あたかも徳川幕府のキリシタン弾圧の拷問に耐えているキリシタンの心境に近かった。
父の罪が許されるのなら、どんな拷責にも耐えられるような気持ちになっていた。
もし父が今の自分を見たら「彩子。そんなことをするな。お前はオレにとって命より大切な一人娘だ。オレはSМ小説なんて書けなくなってもいい。オレのSМ小説なんて三文小説だ。しかしお前は、かけがえのない一人娘だ」と言ってとめるだろう。しかし本当のところは父親にとってSМ小説を書くことは生きることそのものなのだ。父親は自分の命を捨ててまで自分を守ってくれる、そういう人間なのだ。そう思うと彩子の父に対する思いも一層、強まった。親の子に対する愛と、子の親に対する愛、は、共に命がけの愛で、どちらが上かとか、そういう比較の出来るものではなかったのである。
「おい。彩子。これで終わりだと思うなよ」
倉橋は彩子の顔をグリグリと踏みつけながら言った。
「はい」
「お前はオレの奴隷になるか?」
「はい。なります」
「よし。じゃあ、今度はこうしてやる」
そう言って倉橋はロウソクを二本、取り出して持つと二本のロウソクに火を点けた。
ポッとロウソクに火が灯った。
倉橋は二本のロウソクを右手と左手に一本ずつ持った。
そうして床に倒れ伏している彩子の顔を踏みつけながら二本のロウソクを彩子の体の上で傾けた。
ポタリポタリと蝋涙が彩子の体に垂らされた。
「ああっ。熱い。熱い」
彩子は体をくねらせた。
しかし蝋涙はポタリポタリと彩子の体に垂れていき、あれよあれよ、という間に彩子の体はロウソクまみれになった。
「お許し下さい。倉橋さま」
彩子は泣きながら倉橋に許しを乞うた。
しかし倉橋はニヤニヤ笑いながらロウソクを垂らし続けた。
彩子の艶のある美しい長い黒髪が床にばらけて、そして体には鞭打ちの赤あざと、ロウソクの斑点でまみれ、清楚なセーラー服に身を包んで、天真爛漫のいつもの笑顔の彩子とは、程遠いみじめな姿になった。
彩子の体がロウソクまみれになると倉橋はロウソク垂らしをやめた。
倉橋はもう美しい女を虐めるサディズムの虜になっていた。
「よし。じゃあ次は、犬のお散歩だ。お前は人間ではなく犬だ。四つん這いになって歩け」
「はい」
「オレがいいと言うまでオレの回りを四つん這いで這って歩け」
「はい」
彩子は犬のように四つん這いになって倉橋の回りを這って回った。
「ふふふ。尻の割れ目が開いて尻の穴もアソコも丸見えだぜ」
倉橋はそんな揶揄の言葉を吐きかけた。
彩子は倉橋の回りをのそり、のそり、と10周回った。
「よし。とまれ」
と倉橋は彩子に命じた。
言われて彩子は立ち止まった。
「ふふふ。次はこうしてやる」
そう言って倉橋は大きな浣腸器を手に持った。
浣腸器の中にはグリセリン液が満たされていた。
「おい。彩子。顔を床につけて尻を持ち上げろ」
倉橋が命じた。
「はい」
彩子は四つん這いの姿勢で顔を床につけた。
顔が下がったため、尻が高々と上がり尻の割れ目がパックリと開いた。
尻の穴もアソコも丸見えになった。
「ふふふ。浣腸してやるぜ。動くなよ。じっとしていろ」
倉橋はそう命じて、浣腸器の先を彩子の尻の穴にプスッと差し込んだ。
「ああっ」
彩子は思わず声を出したが、倉橋の命令に従って、じっとしていた。
倉橋は、ふふふ、と笑いながら浣腸器のプランジャー(押し子)を押していった。
浣腸器の中のグリセリン液が、全部、彩子の尻の穴の中に入った。
そして浣腸器を尻の穴から抜きとった。
肛門括約筋が閉じて、彩子の尻は、あたかもグリセリン液を飲み込んだかのようになった。
ほどなくして彩子に排便の苦痛が襲ってきた。
しかし、花も恥じらう乙女が、トイレでもない所に、便を放出することなど出来ようもない。
だんだん激しくなる腹痛に、彩子は身を捩って、ああっ、ああっ、と叫びながら体をくねらせて、のたうちまわった。
「倉橋くん。お願い。おトイレに行かせて」
彩子は涙を流しながら倉橋に哀願した。
「ここにトイレなんてないぜ」
倉橋は冷たく突き放した。
しかしプレハブの中にトイレが無いというのも事実だった。
しかしプレハブの中で排便するわけにもいかない。
彩子はどうしたらいいか、わからず、ああっ、ああっ、と苦しみの声を上げながら、のたうちまわった。
しかしその姿を見ることが、サディストになってしまった倉橋のこの上ない楽しみだった。
「く、倉橋くん。お願い。外へ行かせて」
彩子が悲しそうな表情で倉橋に哀願した。
トイレは無い。しかしプレハブの外は誰もいない森林である。
それなら、せめて、外で排便することが唯一の方法だと彩子は思った。
しかし倉橋はプレハブの戸の前に仁王立ちして、それを許さなかった。
「そんなにクソがしたいか。それなら、この中に出しな」
そう言って倉橋は大きな洗面器を床に置いた。
「ああっ」
彩子はそれを見て絶望の声を上げた。
外の森林の土の上で排便するのなら、まだ救いがある。
しかし倉橋は、それを許さず、彩子が排便するのを、とくと見ようというのだ。
「ふふふ。お前がクソをする所をスマートフォンで撮ってネットにアップしてやるぜ」
倉橋は笑いながら言った。
何という意地悪なことだろう。
花も恥じらう乙女が男の見ている前で洗面器をまたいで排便する行為をとくと見ようというのだ。しかもそれをスマートフォンに録画しようというのだ。しかも、その録画した動画をネットでアップしようというのだ。天真爛漫で真面目で明るい彩子に、どうしてそんなことが耐えられようか。
「ゆ、許して。倉橋くん」
彩子は泣きながら、髪を振り乱し、もんどりうって、歯をカチカチ噛みならしながら、肛門括約筋をギュッと閉め、祈る思いで倉橋に許しを求めた。
しかし倉橋はニヤニヤ笑いながら、彩子が苦しむ姿を楽しんで見ている。
サディストにとっては、女が苦しむ姿を見ることが、この上ない楽しみなのである。
倉橋に彩子を許してやろう、という気持ちなどカケラもなかった。
「許して。許して」
彩子は何度も倉橋に哀願した。
しかし倉橋は、彩子の哀願を聞く気は全くなかった。
しかし、彩子の排便を我慢する忍耐力は限界にきていた。
彩子は、もう我慢できない、と言って、急いで洗面器の所に行った。
そして大きく足を開いて洗面器をまたいだ。
ブリブリブリ―。
間一髪だった。
我慢に我慢をかさねていただけあって、大量の便が洗面器の中に排出された。
丸裸で男の見ている前で排便することなど彩子には生まれて初めてのことだった。
倉橋はしっかりと、彩子の排便をスマートフォンで撮影した。
倉橋は、茶色い液体で満たされた洗面器を見て、
「うわー。すごい。こんなきれいな女でも、クソは汚いんだな」
と言った。
そして洗面器に顔を近づけて、クンクンとその匂いを嗅いだ。
「うわー。くせー。清楚な女でも、いつも、こんなクサいクソを体の中に溜め込んでいるんだな」
と、ことさら彩子を辱しめるように言った。
彩子は、エーン、エーンと大粒の涙を流しながら、床にうずくまってしまった。
しかし一度、火がついたサディストの加虐心は止まらない。
倉橋は床にうずくまっている彩子の所に行った。
倉橋は彩子を足で蹴って仰向けにさせた。
そして彩子の顔を靴でグリグリ踏みにじった。
倉橋はマルキ・ド・サド以上の完全なサディストになりきっていた。
「おい。彩子。口を開けろ」
倉橋は靴を彩子の顔から、どけて言った。
言われて彩子は大きく口を開けた。
倉橋はズボンのチャックを開けた。
そして、おちんちんをチャックから出した。
「おい。彩子。ションベンを飲ましてやるからな。ちゃんと全部、飲め」
そう言って倉橋がションベンをしようとした時である。
・・・・・・・・
「待った」
大きな声が起こった。
プレハブの戸が開いた。そして男がのっそりと入ってきた。
何と男は、倉橋二郎の父親の倉橋敦司だった。
息子の二郎はびっくりして目を白黒させた。
「お、おやじ。どうしてここにいるんだよ?」
二郎はわけが分からなかった。
「そうだろうな。じゃあ、ことの成り行きを説明するよ」
と言って倉橋敦司は話し出した。
「彩子さんが土下座している所にお前が帰ってきただろう。お前の言い分を聞いているうちに、お前の言うことにも一理あるな、と思ったんだ。そして父親の罪を償いたいと言っている彩子さんに対して、オレもどうしたらいいか、わからなくて悩んでいたんだ。まさかオレが彩子さんを罰することなんて出来ないからな。そんな時、ちょうど、悦子から電話がかかってきただろう。オレはチャンスだと思ったんだ。ここはオレが席を外して彩子さんとお前二人にしてみたら、いいんじゃないかと思ったんだ。オレはスーパーに行って、店長に謝罪して、お前が万引きした商品の代金を払ったんだ。そして、どうせお前のことだから、きっと、二人になったら、お前は彩子さんをここに連れ込んで、彩子さんを虐めるだろうと予想していたんだ。なので、スーパーを出ると、急いで車を飛ばして、ここへ来たんだ。案の定、お前は彩子さんを虐めていたな。最初から、とくと見ていたよ。オレは凄惨な虐めなんか、すぐに止めるべきだと思ったんだ。しかしオレは心を鬼にして、少し様子を見てみようと思ったんだ。お前が彩子さんを虐めるのは見るに耐えなかったけどな。しかし彩子さんの父親を慕う気持ちは命がけの本物だと、わかったよ。感動した。彩子さんは命がけで父親を守ろうとしていると100%確信した。オレも浅野さんのエッチな小説を、アブナイ、アブナイ、と言い過ぎたことを反省しているんだ。浅野さんは単なるスケベ心でSМ小説を書いているんじゃない。オレがSМを理解できなくて、SМは単なる変態だと決めつけていただけだと分かったんだ。浅野さんは、真剣に自分の生まれついた感性で、人間の生き様を書いていたんだとわかったんだ」
倉橋敦司は熱弁を振るった。
そして倉橋敦司は、裸でロウソクまみれの、みじめな姿の彩子の所に行った。
倉橋敦司は裸の彩子に優しく毛布をかけてやった。
「彩子さん。私の息子のしたことだが、あんな凄惨な虐めをされて、さぞつらかったでしょう。私は何度、入って行って止めようと思ったことか。私にはそれが出来た。しかし、それをせず、あなたが虐められるのを、じっと見ていた私を許して下さい。息子に代わって私が心から謝ります。ごめんなさい」
そう言って倉橋は彩子に深々と頭を下げた。
「いえ。いいんです。気にしないで下さい。倉橋敦司先生」
彩子の顔に微光がさしていた。
「しかし僕もほとほと困っていたんです。父親の罪を償うために罰されたいという、あなたの健気な訴えに、どうしたらいいか、わからなかったんです。まさか、あなたの訴えを聞いて私があなたを罰することなんて、出来っこないし。しかし、僕も児童文学者として、そしてラブコメミステリー作家として、子供を堕落させるエロチックな小説を認めることは、どうしても出来なかったんです。しかし私は、息子にどんな酷い虐めをされても、父親の罪の償いのために耐えている、あなたの心に感動しました。子は親の鏡です。もし、あなたのお父さんの浅野浩二さんが、悪い人間だったら、あなたのような立派な心の人間には育たなかったでしょう。きっと浅野さんは、持てる愛を全てあなたに注いであなたを育てたのでしょう。そして、あなたを子供の頃から一人の人間として、その人格を尊重して育てたのでしょう。僕も息子には精一杯の愛を注いで育てたつもりです。しかし僕は、自分が正しいと思うことを息子に押しつけていたことを今、思い知らされました。スマホのゲームばかりするな、学校の勉強はちゃんとやれ、子供の頃から日本や世界の名著を読んで読書の習慣を身につけろ、と言ってきました。自分では、いいことをしているつもりだったが、ちょっと干渉し過ぎてしまったと反省しています。僕は息子を、まだ幼いからという理由で、一人の人間として、その人格を認めていなかったのです。そういう育て方をすると、子供は親に反発してグレてしまいます。息子がグレてしまったのは僕の過干渉、親の価値観の押し付け、のせいです。彩子さん。あなたのお父さんは、いいお父さんだ。僕は自分の過ちに後悔しています」
倉橋敦司はうちひしがれていた。
彩子は黙って倉橋敦司の言う事を聞いていた。
彩子は倉橋敦司に裸を見られるのが恥ずかしくて動けないため毛布をギュッと握りしめた。
そのことに倉橋敦司も気づいた。
「おっと。彩子さん。つい僕の思いを語ることに夢中になってしまって大切なことを忘れていました。服を着て下さい。僕は後ろを向いています」
そう言って倉橋敦司はクルリと体の向きを変え彩子に背を向けた。
「有難うございます。倉橋敦司先生」
そう言って、彩子は倉橋のかけた毛布を取り去った。
女は誰でも着替えをする所を見られるのは恥ずかしいものである。
彩子はパンティーを履きブラジャーを着けた。
そしてセーラー服を着た。
「倉橋敦司先生。服を着ました」
明るい声が聞こえた。
彩子の声を聞いて倉橋敦司はまた体を反転させて彩子を見た。
そこにはセーラー服を着て、チョコンと座っている彩子がいた。
その顔には微笑みが見えた。
息子の二郎に散々、虐められた後だが、倉橋敦司のしんみりとした話を聞いているうちに元気を取り戻したのだろう。
その時である。
プレハブの戸がギイーと開いて一人の美しい女性が入ってきた。
「あ、彩子さん。初めまして。私は倉橋敦司の妻の倉橋悦子と申します」
女はそう言ってペコリと彩子に頭を下げた。
「倉橋敦司先生の奥様ですね。こちらこそ初めまして。浅野浩二の娘の浅野彩子と申します」
そう言って彩子は倉橋悦子に手を伸ばした。
悦子夫人も手を伸ばして二人は固い握手をした。
「彩子さん。私も主人と同様、あなたに謝らなくてはなりません。息子の二郎が、あなたに、あんな、むごい虐めをしているのを、私も黙って見ていたのですから」
ごめんなさい、と言って悦子夫人は深々と頭を下げた。
「いえ。謝る必要はありません。奥様はきっと倉橋先生に、出るな、と制されていたのだと思います。違いますか?」
彩子が聞き返した。
「え、ええ」
悦子夫人は申し訳なさそうに小声で言った。
「彩子さん。私も本心を言います。夫はスーパーにすぐに駆けつけてくれました。そしてスーパーの店長に謝罪しました。夫は(今、急ぎの用事があるので後日、あらためて謝罪に来ます)と言って、スーパーを出ました。そして私を車に乗せて、ここへ連れてきたのです。夫は(たぶん二郎が少女を虐めているだろう。お前は心が優しいから止めに入りたくなるだろう。しかし、どうなるか最後まで見るんだ。オレも止めには入らないつもりだ)と言ったのです。私が(その少女は、どういう人なのですか?)と聞くと(浅野浩二さんの娘さんだ)と言いました。私も主人が連載小説を投稿しているエブリスタを読んでいますから、浅野浩二さんの小説も読んで知っていました。どうして息子の二郎が浅野浩二さんの娘さんを虐めるのか、その理由がわかりませんでした。なので、主人に聞くと(浅野浩二さんの娘さんは父親の罪の償いをして欲しい)、と言って主人の所に来たいきさつを話してくれました。私は何と健気な娘さんなのだろうと感動しました。そしてプレハブの外から主人と共に、あなたが息子の二郎に凄惨な虐めを受け、それに耐えている姿を見ました。そして私は感動しました。こんなに深い親子愛で結ばれた親と子は、この親子以外この世にないだろうと思いました。あなたは本当にお父様を愛しておられるのですね」
そう言って悦子夫人はハンカチを取り出して、目からこぼれ出した涙をふいた。
外は暗くなり始めていた。
悦子夫人は彩子にもっと色々と言いたいことがあるように見えた。
それを察して倉橋敦司が、
「ともかく家にもどろう」
と言った。
「はい」
と彩子は元気に返事した。
倉橋敦司と悦子夫人と彩子は立ち上がった。
そしてプレハブを出た。
黙って話を聞いていた息子の二郎もプレハブを出た。
プレハブの外には、倉橋敦司が運転してきた車と、息子の二郎の750ccのオートバイがあった。
倉橋敦司は車のドアを開けた。
悦子夫人は後部座席に乗り込んだ。
倉橋敦司は助手席を開けて、彩子に、
「さあ。乗って下さい」
と言った。
はい、と言って彩子が助手席に乗り込もうとすると、息子の二郎が、
「彩子さん。今日は本当にひどいことをしてしまって、すまなかった。謝るよ。ゴメン」
と彩子に頭を下げた。
息子の二郎も父親と母親と彩子の話を聞いているうちに心変わりしているようだった。
二郎はホンダCB750にまたがって、キックペダルを踏み込んだ。
バルルルルッ。
重厚なエンジン音がかかった。
「彩子さん。もしよかったら僕の後ろに乗らない?」
二郎が彩子に聞いた。
「はい」
彩子はニコッと笑って、二郎の大型バイクの後ろにまたがった。
そして、ピタッと二郎に背中をくっつけて二郎を背後から抱きしめた。
それは恋人同士のオートバイのタンデムのように見えた。
「じゃあ行くぞー」
と倉橋敦司が言って車が発車した。
二郎のオートバイも発進した。
日の暮れた名古屋市街を車と、その後ろをオートバイが走った。
20分くらいして程無く倉橋敦司の家に着いた。
4人は家に入った。
「彩子さん。お風呂を沸かしました。どうぞ、お入り下さい」
悦子夫人が言った。
「はい」
彩子は悦子夫人の後について風呂場に行った。
彩子は脱衣場で服を全部、脱いだ。
そして体中にこびりついている蝋涙を一つ一つ、丁寧に剥がした。
そして風呂場に入り、石鹸で体を洗い、浴槽に入った。
温かい湯船に浸かっているうちに、今日、受けた責めの疲れがとれていった。
十分、湯船に浸かってから、風呂場から出た彩子は、また下着を履き、セーラー服を着た。
そして居間にもどった。
悦子夫人が食卓に料理を並べていた。
風呂から出てきた彩子を見ると、
「彩子さん。夕食が出来ました。どうぞ召し上がって下さい」
と言った。
「はい」
彩子は食卓に着いた。
夕食はすき焼きだった。
倉橋敦司と悦子夫人、二郎も食卓に着いた。
「彩子さん。今日はもう遅い。泊まっていかないかね?」
倉橋敦司が聞いた。
「はい」
彩子は笑顔で答えた。
来客を交えた4人の夕食が始まった。
「彩子さん。今日は本当にひどいことをしちゃってゴメンね」
二郎が謝った。
二郎が、ゴメンね、という言葉を言ったのは今日が生まれて初めてだった。
「いえ。いいんです。私、父の罪の償いが出来たようで、むしろ嬉しいんです」
彩子は笑顔で言った。
「いや。僕が悪いんだ。エブリスタに投稿してくる浅野さんの小説を、アブナイ、アブナイと言い続けたから、浅野さんを悩ませ、自殺にまで追い詰めてしまったんだから」
倉橋敦司がしんみりした口調で言った。
「時代が悪いのよ。昔は小説投稿サイトは、どこでも、エロチックな小説に寛容だったわ。でも今では小学生でもパソコンやスマートフォンを使うようになって、ネットを見れるようになったでしょう。もう学習にパソコンは欠かせない物になったわ。だから小説に限らず、ネットではエロチックな動画や写真を出せなくなってしまったでしょう。運が悪かったのよ」
悦子夫人が言った。
「そうだね。確かにそうだ」
倉橋敦司が相槌を打った。
「エッチな小説が子供を本当に堕落させているかどうかは、私にはわからないけれど、それは疑問だと思うわ。政府は子供がエッチな小説を読んだら、それにハマってしまって勉強をおろそかにする、と思っているようだけれど、それは短絡的な机上の空論だと思うわ。子供ってエネルギーが有り余っているでしょ。だから子供は何にでも興味を持つでしょ。スポーツもすれば、プロスポーツも観るわ。音楽も聴けば、映画も観るわ。そもそも現代は子供も大人も活字離れしているから、小説を読む子供なんて、ほんの少数だと思うわ。エッチな小説だって小説を読まないよりは読んだ方が読書する習慣が身につく可能性があると思うわ。エッチな画像は確かに刺激的だと思うけれど。エッチな小説が、そんなに子供に悪い影響を与えるかしら?むしろスマホゲーム中毒の方がはるかに危険だと思うわ」
悦子夫人は熱弁を振るった。
夫人は続けて言った。
「あなたはエロチックな小説はアブナイと言っているけど、それは違うと思うわ。エロチックな小説を書く人は、そういう小説を書くように生まれついた人だと思うわ。人間だれだって性欲はあるわ。世の中にエロチックな小説や動画、写真、があるから、それを読んだり見たりすることで性欲が満足されて、世の中の性犯罪が抑えられている、ということはもう間違いないと思うわ。もし世の中から、エッチな創作物が全く無くなってしまったら、どうなると思う?性欲を発散できる物が無くなってしまったら、性欲のはけ口が無くなってしまうから、性欲の発散が生きた人間に向かってしまうわ。強姦や未成年の性行為が平然と行われるようになるわ。その方がもっとアブナイと思うわ。エロチックな小説を書いている人は、世間から軽蔑されながらも、世の中から性犯罪を無くすことに寄与している人とも言えると思うわ」
悦子夫人が言った。
彩子は笑顔で、黙って、熱弁を振るう悦子夫人の話を聞いていた。
悦子夫人がエッチな小説を擁護してくれることが、父を擁護してくれているようで嬉しかったのである。
二郎も黙って食べていた。
その晩、彩子は客間に寝た。
悦子夫人がパジャマを貸してくれたので、それを着て。
色々なことがあったが、結局、事態がいい方向に向かってくれたので、他人の家に泊まることなど滅多にない彩子だったが、緊張して眠れない、ということはなく熟睡できた。
・・・・・・・・・・
翌日になった。
4人で朝食を食べた。
いつもなら朝寝坊の倉橋二郎も起きてきて一緒に食べた。
その後、少したわいもないことを1時間ほど談笑した。
「色々とお世話になりました。そろそろ帰ります」
と彩子が言った。
「そうですか。お父さんに、倉橋が、浅野さんの小説を、アブナイ小説、アブナイ小説、と言い過ぎたこと反省している、とお伝え下さい。もうこれからは、決して、軽々しくアブナイ小説などと言いません。彩子さん。よろしかったらまた来て下さい」
倉橋敦司が言った。
「有難うございます」
彩子はペコリと頭を下げた。
彩子は玄関に向かった。
倉橋敦司と悦子夫人、二郎が見送りに玄関までついてきた。
「色々とお世話になりました。楽しかったです。さようなら」
彩子はお辞儀して靴を履いて家を出ようした。
その時。
「待って下さい」
倉橋二郎が彩子をとめた。
「彩子さん。もしよかったら、あなたの家まで、僕のオートバイで送らせて貰えませんか?」
倉橋二郎がためらい勝ちに言った。
彩子も、倉橋敦司も悦子夫人も、言葉には出さないが、彩子を好きになっている二郎の気持ちを理解していた。
「はい。二郎さんに送ってもらえるなんて嬉しいです」
彩子は笑顔で言った。
「それは嬉しいな。実を言うと、女の子とのタンデムは、あなたが初めてだったんです。僕のオートバイに乗ってくれる女の子はいないので・・・。あなたのような、可愛い女の子とのタンデムは、とても気持ちがいいです」
二郎はホンダCB750にまたがって、キックペダルを踏み込んだ。
バルルルルッ。
重厚なエンジン音がかかった。
「彩子さん。どうぞ後ろに乗って下さい?」
二郎が彩子に言った。
「はい」
彩子はニコッと笑って、二郎の大型バイクの後ろにまたがった。
そして、ピタッと二郎に背中をくっつけて二郎を背後から抱きしめた。
それは恋人同士のオートバイのタンデムのように見えた。
「じゃあ行くぞー」
二郎のオートバイが発進した。
二郎は東名高速を東へ向かって飛ばした。
そして浅野浩二の家に着いた。
「倉橋さん。どうも有難うございました」
彩子はオートバイから降りて倉橋にペコリとお辞儀した。
「あ、あの。彩子さん」
二郎はためらい勝ちに顔を赤くして言った。
「はい。何でしょうか?」
「またオートバイでツーリングして貰えないでしょうか?」
二郎が照れくさそうに聞いた。
「有難うございます。喜しいです。またオートバイに乗せて下さい」
彩子は笑顔で答えた。
「有難う。彩子さん」
二郎は感激した。
「二郎さん。スマートフォン貸してもらえないでしょうか?」
彩子が言った。
「はい」
二郎はスマートフォンを彩子に渡した。
彩子はピッピッピッとスマホを操作して二郎に返した。
「二郎さん。私の携帯電話の電話番号とメールアドレスを登録させて頂きました。いつでも電話なりメールなりして下さい」
彩子はニコッと微笑んだ。
「有難う。彩子さん。感謝に耐えません」
それでは、さようなら、僕は家に帰ります、と言って二郎はオートバイにまたがって、キックペダルを踏みこんだ。
「さようなら。二郎さん。またお会いする日を楽しみにしています」
彩子は微笑んで二郎を見ながら手を振った。
「さようなら。彩子さん。ぜひ、またお会いしたいです」
そう言って二郎はギアを1速に入れ、クラッチをつないだ。
二郎のオートバイが走り出した。
彩子は二郎のオートバイが見えなくなるまで手を振り続けた。



2023年7月20日(木)擱筆


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジョコビッチ敗れる・嬉しい

2023-07-17 21:07:45 | 武道・スポーツ
ジョコビッチ敗れる・嬉しい。

ウィンブルドン2023男子決勝。

ジョコビッチ vs アスカラス

ジョコビッチはもう歳だ。

引退しな。もう十分、勝ち続けただろ。

アスカラスを応援していたが、途中から、ジョコビッチが勝ちそうに見えてきたのでテレビを消した。

少しして、テレビをつけたら、何と、アスカラスが優勝していた。

それにしても、チャレンジって何なのよ?

何回権利があるとか何とか。

変なルールにするなよ。

テレビで観ていても、アウトかインはわかるぞ。

それとテニスはデュースがうざったい。

まあ所詮、プロスポーツなんて他人事だからどうでもいいが。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウィンブルドン2023

2023-07-12 07:01:17 | 武道・スポーツ
昨夜(というか今日)スビトリナ(28歳、世界ランキング76位)とシフィオンテク(22歳、世界ランキング1位)の試合を見た。

僕は断然、スビトリナを応援した。

世界ランキング76位が世界ランキング1位との戦いに挑む。

その根性が気に入った。

スビトリナは出産した後でもあった。

勝ち目は圧倒的にシフィオンテクの方が上である。

僕は勝ち目のない選手が強敵と戦う時、勝ち目のない選手の方を応援する。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水泳7時間

2023-07-09 20:09:32 | 医学・病気
日曜。水泳7時間。スポーツジムで。便出る。夏だから問題なかったが。寒くなったら塩素と寒暖差アレルギーに注意。スポーツジムは特に塩素濃度が強いのかもしれない。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

僕の歌

2023-07-09 02:14:21 | Weblog
僕の歌

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レジ袋マジうぜえ

2023-07-04 15:43:21 | Weblog
レジ袋マジうぜえ

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水泳(6月13日以来)

2023-07-01 22:23:43 | 医学・病気
水泳(6月13日以来)。4時から9時まで5時間、泳ぐ。

6月12日(月)に腹を壊して、それ以来、熱と便秘。膿性痰。食べられない。

6月19日(月)に徳洲会病院に行く。バカげたコロナ茶番を続けているのにあきれる。気管支炎と診断される。ウイルスだろうが、オーグメンチンとサワシリンを一週間分、処方される(させた)。点滴。喀痰検査。結果はまだ知らない。

医者は患者のことなど何もわからないのだから、すべて僕がして欲しい処置、検査を医者がするように誘導した。医者とは利用するものであって決して信用してはならないもの。これは6回目のコロナワクチン打ち続けている世の全てのバカ医者どもから明らか。医者は何も知らないのである。病気は自分で調べて自分で治すもの。医者は利用するだけの道具に過ぎない。コロナ騒動でいかに医者がバカであるか、わかったはず。

今日、3週間ぶりに水泳。喘息でない。しかし、なぜかスポーツジムの風呂やサウナに入ると喘息が出そうな予感。なので、スポーツジムの風呂やサウナには入らない。原因わからず。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする