古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第四十一章 乍恐御断書付 (有田文書)其の九

2015年05月26日 07時39分29秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐御断書付」第二ページ、上の三~四行目

 

解読 預り可申候間、其分ニ相心得く連

    候様ニと申置、次左衛門罷帰り候由

 

読み 預かり申すべく候間、其の分に相心得呉れ

    候様にと申し置き、次左衛門罷り帰り候由。

解説 「預り」・・・読むのは難しい。前行から、「御裁許ニ預かる」、「御裁許して戴く」と言う文章の流れで読みましょう。  「可申候間」・・・ここもたいへん難解です。申すべく候あいだ。「可」、「間」の崩し方に注意して下さい。 「其分ニ」・・・これも読むのはたいへん難しい。初歩のレベルではありません。 「相心得」・・・これも読むのは困難です。 「く連」・・・一頁の八行目に出た「く連」と同じです。「その様に了解しておいて下さい。」「く」は「久」が元の字です。 「候様ニと」・・・相心得くれ候様にと。 「申置」・・・言って置き。これも難解です。 次は人名で「次左衛門」。前出。 最後も難しい、「罷帰り候由」。「罷」は丁寧な接頭語です。

 


第四十一章 乍恐御断書付 (有田文書)其の八

2015年05月25日 06時32分55秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐御断書付」第二頁、上の一~二行目

 

解読 田并上村より附候様ニ存候間、右之趣

    一ト通り大庄屋元へ願出、御裁許ニ

 

読み 田並上村より附け候様に存じ候間、右の趣

    一通り大庄屋元へ願い出、御裁許に

解説 「田并上村より」・・・読みにくいですが、「田並上村より」。田並上村から。 「附候様ニ」・・・田並上村の方から火を付けた様に。 「存候間」・・・存じ候あいだ。存じますので。「間」が難しい。 「右之趣」・・・右に述べた趣旨。内容。「趣」の崩し方もたいへん難解です。 「一ト通り」・・・「下」に見えますが、一通り『ひととおり』と書いています。古文書では、一般に送り仮名は附しませんが、読み方が色々ある字に、この様に送り仮名を付けるケースが有ります。【例・上エ、下モ、など。ここでは「ト」が送り仮名です。】 次ぎも読みにくい。「大庄屋元へ」です。 「願出」・・・これは比較的読みやすい。「出」の崩し方は形で覚える。 「御裁許ニ」・・・『ごさいきょに』。裁決して決めて貰う。  


第四十一章 乍恐御断書付 (有田文書)其の七

2015年05月24日 04時56分05秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐御断書付」第一頁、上の十三~十四行目

 

解読 一ノ谷志多も焼拂不申哉との

    義も有之候へ者、此度之火ハ弥々

 

読み 一の谷シダも焼き払い申さずやとの

    義もこれ有り候えば、此のたびの火は弥々

解説 「一ノ谷志多も」・・・一の谷の羊歯も。「志」は変体仮名の「し」で、「多」は変体仮名の「た」です。珍しく濁点が有るので、「しだ」=「羊歯」。春の新芽がワラビで、冬にはシダになります。 「焼拂」・・・焼き払い。 「焼拂不申哉」・・・焼き払い申さずや。焼いてしまおうではないかと。 「義も」・・・話しも。 「有之候へ者」・・・これ有り候えば。 焼き払ってしまえと言う話しも有ったくらいなので。 「此度之火ハ」・・・「此」も形で覚える字。 最後も読むのは困難ですが、「弥々」・・・いよいよ。とうとう。遂に。 


第四十一章 乍恐御断書付 (有田文書)其の六

2015年05月23日 08時46分09秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐御断書付」第一頁、上の十一~十二行目

 

解読 又々次左衛門を以申遣候ニ者、先達而

    霞ヶ谷火事之節、いつそう

 

読み またまた次左衛門を以て申し遣わし候には、先達て

    霞が谷火事の節、いっそう

解説 「次左衛門」・・・『じざえもん』、人名。「次」も「左」も読むのは困難です。「衛」はほとんど書かないで、点の様な場合が多い。「門」は「つ」の様な字になります。 「を以」・・・ここは比較的読みやすい。次左衛門に頼んで。次左衛門に命じて。 「申遣候ニ者」・・・言って来させたのには。「遣」の下の「し」が「候」で、「ニ」の次は「者」・・・「は」。 次の濃い字が「先達而」・・・『せんだって』、先日。このあいだ。慣用語として覚えましょう。 次の「霞」という字も読むのは困難です。このブログでは既に第十九章で出ました。 「火事」・・・「事」が細長く読むのは難しい。 「之節」・・・これも難解。「節」も形で覚える。 「いつそう」・・・本頁三行目に出た、「い川そう」とおなじです。今度は「川」を「つ」と書いています。「いっそ」、「むしろ」、「思い切って」。「いっその事」。


第四十一章 乍恐御断書付 (有田文書)其の五

2015年05月22日 05時29分05秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐御断書付」第一頁、上の九~十行目

 

解読 當月八日之夜有田上村領三好谷

    より出火有之由ニ付、有田上村より

 

読み 当月八日の夜有田上村領三好谷

    より出火これ有る由に付き、有田上村より

解説 「當月」・・・「當」は「当」の旧字体。 「八日之夜」・・・「夜」の崩し字は超難しいです。 次の「有田上村」も読みにくい。 「三好谷」・・・「谷」も読むのは困難です。 十行目最初は、合成文字の「より」です。薄くて読むのは困難ですが、偶然本行の最後も同じ「より」です。最初の「より」は薄くて、欠けていますが、よく見ていると同じ形に見えて来ます。 次も読みにくいですが、「出火」です。 次は「有之由」・・・これ有る由。出火が有ったとのこと。「由」も読みにくい。 「由ニ付」・・・出火が有ったとの事に付き。 再び「有田上村」・・・前行と同じ文字です。 最後は「より」・・・合成文字です。