かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 51(アフリカ)

2019-01-22 19:34:01 | 短歌の鑑賞
  馬場あき子の外国詠6(2008年2月実施)
  【阿弗利加 2 金いろのばつた】『青い夜のことば』(1999年刊)P168~
  参加者:KZ・I、KU・I、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、
       田村広志、 藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
  レポーター:T・H      司会とまとめ:鹿取 未放

51 アトラスを越えんとしつつ深々とアフリカを吸へば匂ふアフリカ

      (レポート)
 長年の夢であったアフリカの旅が実現した。作者は喜びにうちふるえている。今、アトラス山脈を越えて沙漠に向かいつつある。大きく深呼吸をしてみると、ああ恋しい沙漠の匂いがする。これこそがアフリカの匂いである。「深々とアフリカを吸」う、これこそ大自然の匂い、地熱の匂い。アフリカはこの匂いのほか表現のしようがないと作者は感激しておられる。匂いの内容を言っており、詩情豊かである。(T・H)

      (まとめ)
 「アフリカを吸へば」とはたいへん大きな把握だが、ここではそれが生きている。アトラスを越えようとして深呼吸をするとアフリカそのものが匂うのだ。それは五官のすべてを通して感じ取るアフリカという存在の本質なのだろう。
 アトラス越え、は「阿弗利加」の章のいちばん初めに〈不愛なる赤砂(せきしや)の地平ゆめにさへ恋しからねどアトラスを越ゆ〉などと出てきているが、それぞれの章で発表の雑誌が違う為、時間的にラグが生じている。(鹿取)




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