かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 2の143

2019-03-03 21:03:29 | 短歌の鑑賞
  ブログ用渡辺松男研究2の19(2019年2月実施)
     Ⅲ〈錬金術師〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P96~
     参加者:泉真帆、M・I、岡東和子、A・K、T・S、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子   司会と記録:鹿取未放


143 うんうんと焼葱を首に巻き付けて風邪(ふうじゃ)の父は座しておるなり

       (レポート)
 「焼葱を首に巻き付けて」とは民間療法で咽頭の炎症に効くのだろう。それにしてもこの語順が巧みだ。焼葱を首に巻き付けてうんうんうなるなどとはしない。さらに風邪(ふうじゃ)とルビのあることも、なんとなく父を邪気あるもののごとく思わしめる効果があり、ユーモラス。(慧子)

  
      (当日意見)
★葱の香が鼻から入ってそれもいいようですよ。晒しに巻いて使うんですね。昔は火鉢で気軽に葱
 が焼けたんですね。(T・S)
★具体的で、この歌いいですね。時代というものが見えてきて。「おりたり」じゃだめで「おるな
 り」がいいですね。ふうじゃというふりがなもいい。(A・K)
★「ふうじゃ」が堂々とした感じでいいですね。「父を邪気あるもののごとく」とレポーターは書
 いているけど、私はそうは思わない。このお父さんの設定は大正生まれか、昭和の初めかもしれ
 ないけど、そういう風格というか、父親としての大きさを「ふうじゃ」から感じます。(鹿取)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする