かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 201(中国)

2019-03-26 19:12:57 | 短歌の鑑賞
馬場あき子の旅の歌26(2010年3月実施)
    【飛天の道】『飛天の道』(2000年刊)164頁~
参加者:N・I、Y・I、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放


201 烏魯木斉に天池(てんち)あり標高二千なり西王母の雪風に匂へり

   (レポート)
 烏魯木斉には、標高2000メートルのところに天然の池がある。雪消水で作られた池であろう。「西王母の雪風に匂へり」とはどんな雰囲気なのであろうか。神々しい雰囲気、それは下界とは違い、とおい過去の伝説を思い出させる。(T・H)
 西王母:中国の伝説上の仙女。災害と刑罰を司る、と考えられた。漢の武帝が長命
       を願っていることを知り、3000年に一度実がなるという仙桃を捧げた、
       と言われている。


(まとめ)
 その名もズバリ天池という風光明媚な池が烏魯木斉にある。標高二千という高度にあって、周囲には雪を頂いた山々が連なっている。山々の峰には雪が積もっていて、風に乗って雪が匂ってくる。それは西王母の降らす雪であって、清新このうえもない。
 二句め「あり」、三句め「なり」と二箇所に切れがあり、結句は「匂へり」とi音の脚韻を踏んで力強くシャープなリズムを生み、作者の感動の強さを伝えている。もっといえば二句めの「あり」は音数上は「天池あり/標」と句割れになって複雑なリズムを作っている。
 ところで作者が訪問した時の天池は、ひっそりして人もまばらだったのだろうか。いまや観光地化してレジャーランドのようなにぎわいで、国の内外から連日観光客が訪れてごった返していると聞く。土産物屋などもたいへんな数のようだ。(鹿取)

コメント
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