2024年度版 渡辺松男研究34(16年1月)
【バランスシート】『寒気氾濫』(1997年)115頁~
参加者:S・I、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子 司会と記録:鹿取 未放
281 黒というふしぎないろのかがよいに税理士も黒きクルマで来たる
(当日意見)
★出版記念会の時、小島ゆかりさんがこの歌がいいとおっしゃっていたのですが、理由
は忘れました。黒って権威の色ですよね、だから裁判官なんかも黒いガウンを着ま
す。まあ、やくざさんも黒いスーツに黒いクルマだったりしますけど。ここでも権威
の象徴として税理士は黒いクルマで来るわけで、工場主はきっとその税理士にぺこぺ
こするんでしょうね。圧迫感を与えるわけです。(鹿取)
★税理士だから黒字になるようにと黒に拘っているんじゃないですか。赤字を嫌うわ
けですから。売り上げが伸びるようにと。(M・S)
★工場主はそういうことを信じるかもしれませんけど、ここではもっと一般的な黒では
ないですか。 (S・I)
★ハイヤーってありましたよね、権威的な人はタクシーでなくハイヤーを使ったんです
よね。足を取られないようにという配慮もあったかもしれないけど、政治家などは皆
ハイヤーを使った。あれ、黒ですよね。暴力団も黒ですけど。だから黒は立派な人が
乗っているというイメージ。税理士さんが赤字を避けて黒い車を利用したとは今まで
聞いたことがないので。そして税理士さんは本来は正しい経理の仕方を指導する人で
すけど、雇われているから会社側に都合がいいように不正をする。だからかがよいは
ないですよ。黒には権威のカサを被ったごまかしがある。(鈴木)
★黒に対する一般的なイメージもある。有無を言わせないというような。厳粛でフォー
マルな感じもする。特に税理士さんは黒でないと表現できなかったのかな。クルマが
カタカナになっていますが、ちょっと揶揄しているのかしら。(S・I)
★クルマがカタカナ、気づきませんでしたが、きっと揶揄えすよね。(鹿取)
(レポート)
税理士が黒いクルマで来た。ということだが、その車を「黒というふしぎないろのかがよいに:となにか物語の始まる気配をただよわせる。税理士の仕事は感性などを離れた数理上のことでそこに不思議はない。だが、作者の色に対する感覚の冴えがおもしろい一首をなした。(慧子)
(後日意見)
『寒気氾濫』冒頭の「地下に還せり」の章に275番歌でもあげた〈土屋文明さえも知らざる大方のひとりなる父鉄工に生く〉と並んで〈もはや死語となりておれども税吏への父の口癖「われわれ庶民」〉がある。(鹿取)
【バランスシート】『寒気氾濫』(1997年)115頁~
参加者:S・I、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子 司会と記録:鹿取 未放
281 黒というふしぎないろのかがよいに税理士も黒きクルマで来たる
(当日意見)
★出版記念会の時、小島ゆかりさんがこの歌がいいとおっしゃっていたのですが、理由
は忘れました。黒って権威の色ですよね、だから裁判官なんかも黒いガウンを着ま
す。まあ、やくざさんも黒いスーツに黒いクルマだったりしますけど。ここでも権威
の象徴として税理士は黒いクルマで来るわけで、工場主はきっとその税理士にぺこぺ
こするんでしょうね。圧迫感を与えるわけです。(鹿取)
★税理士だから黒字になるようにと黒に拘っているんじゃないですか。赤字を嫌うわ
けですから。売り上げが伸びるようにと。(M・S)
★工場主はそういうことを信じるかもしれませんけど、ここではもっと一般的な黒では
ないですか。 (S・I)
★ハイヤーってありましたよね、権威的な人はタクシーでなくハイヤーを使ったんです
よね。足を取られないようにという配慮もあったかもしれないけど、政治家などは皆
ハイヤーを使った。あれ、黒ですよね。暴力団も黒ですけど。だから黒は立派な人が
乗っているというイメージ。税理士さんが赤字を避けて黒い車を利用したとは今まで
聞いたことがないので。そして税理士さんは本来は正しい経理の仕方を指導する人で
すけど、雇われているから会社側に都合がいいように不正をする。だからかがよいは
ないですよ。黒には権威のカサを被ったごまかしがある。(鈴木)
★黒に対する一般的なイメージもある。有無を言わせないというような。厳粛でフォー
マルな感じもする。特に税理士さんは黒でないと表現できなかったのかな。クルマが
カタカナになっていますが、ちょっと揶揄しているのかしら。(S・I)
★クルマがカタカナ、気づきませんでしたが、きっと揶揄えすよね。(鹿取)
(レポート)
税理士が黒いクルマで来た。ということだが、その車を「黒というふしぎないろのかがよいに:となにか物語の始まる気配をただよわせる。税理士の仕事は感性などを離れた数理上のことでそこに不思議はない。だが、作者の色に対する感覚の冴えがおもしろい一首をなした。(慧子)
(後日意見)
『寒気氾濫』冒頭の「地下に還せり」の章に275番歌でもあげた〈土屋文明さえも知らざる大方のひとりなる父鉄工に生く〉と並んで〈もはや死語となりておれども税吏への父の口癖「われわれ庶民」〉がある。(鹿取)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます