2025年度版 渡辺松男研究46(2017年2月実施)
『寒気氾濫』(1997年刊)【冬桜】P154~
参加者:泉真帆、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:①曽我 亮子 ②渡部 慧子
司会と記録:鹿取 未放
386 永劫のごとく澄みたる冬の日の蜆蝶は手に掬えそうなり
(当日発言)
★382番歌に「久方の空澄みわたりゆえもなく元旦の日をおびえていたり」がありましたが、元旦の空も永劫のごとく澄んでいるって感じたのでしょうかね。やっぱり怖いですね。(鹿取)
★作者は野原に寝っ転がって青空を眺めているのではないかと思った。雲一つ無い青空は巨大な水瓶のように感じるときがありますが、作者もそんなふうに感じたのじゃないか。そこにひらひらと飛んでいる蜆蝶を見て、水の連想から砂に住んでいる生きものを連想して砂に手を入れて掬えそうと思ったんじゃないかな。そんなふうな意識の錯覚を起こしたのかなと。(真帆)
★私はそのまま飛んでいる蝶が手で捕まえられそうだと読んでいます。永劫にはやはり懼れとか、懼れるがゆえの怯えのようなものがあって、そこに一瞬可憐な蜆蝶がひらひらとやってくる。うまく言えませんが何かその永劫の中の一瞬に感応している歌かなと。永劫と蜆蝶の一瞬の邂逅が大事なのでしょう。好きな歌です。(鹿取)
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