ブログ版清見糺の短歌鑑賞 17 酔いどれ船
鎌倉なぎさの会 鹿取 未放
110 熱のために豆腐のように崩れゆく脳をおそれて嚥む解熱剤
「かりん」97年8月号
「豆腐のように崩れゆく脳」に懼れの実感がある。一、二句それぞれ末尾が「に」となっている上、初句は一音字余りである。初句「に」はなくとも十分意味は通じるので計算上の字余りであり、高熱でぼんやりした感じを出しているのだろう。その分下句にスピード感がある。(鹿取)
111 風邪ひけば観世榮夫も咳をする貴妃のかんざし揺れて序の舞
「かりん」97年8月号
「楊貴妃」の序の舞。静かな平行移動である舞なのに、コンコンと咳をするのでかんざしが揺れるのである。しかし、そのかんざしの揺れにも楊貴妃の妖艶な姿態のイメージを感じ取っているのだろう。カ、カ、カと乾いた音を重ねて咳をしながら舞う観世榮夫を危ぶみ、はらはらしながら観ている気分を歌っている。(鹿取)
鎌倉なぎさの会 鹿取 未放
110 熱のために豆腐のように崩れゆく脳をおそれて嚥む解熱剤
「かりん」97年8月号
「豆腐のように崩れゆく脳」に懼れの実感がある。一、二句それぞれ末尾が「に」となっている上、初句は一音字余りである。初句「に」はなくとも十分意味は通じるので計算上の字余りであり、高熱でぼんやりした感じを出しているのだろう。その分下句にスピード感がある。(鹿取)
111 風邪ひけば観世榮夫も咳をする貴妃のかんざし揺れて序の舞
「かりん」97年8月号
「楊貴妃」の序の舞。静かな平行移動である舞なのに、コンコンと咳をするのでかんざしが揺れるのである。しかし、そのかんざしの揺れにも楊貴妃の妖艶な姿態のイメージを感じ取っているのだろう。カ、カ、カと乾いた音を重ねて咳をしながら舞う観世榮夫を危ぶみ、はらはらしながら観ている気分を歌っている。(鹿取)